すてっぷ・じゃんぷ日記

ご意見番

A君が近頃、後輩や障害の重い人への気遣いがとてもよくできるようになったと、みんな驚いています。それまでは、自分の話を相手にすることしか興味がなく、仲間の話など全く聞いていないしその内容に興味もないというのがA君の姿でした。

低学年の面倒見もものすごくよくなって、後輩の話もよく聞いてくれるので低学年からも慕われています。今日も公園で模型のゴムプロペラ飛行機で遊んでいる時に、うまく飛ばないので困っている後輩たちに、機首をもう少し上げて飛ばした方がよいなどとアドバイスをしていました。

ところが、A君は、模型飛行機を飛ばしたことはないのです。B君が持ってきた模型飛行機をみんなで回して遊んでいるのですが、A君は自分が飛ばしてみようとは1回もしていないのです。1回も飛ばしたことがないのに、後輩にあれこれ助言しているのです。

そういえばと他の職員が、カードゲームの時もA君はルールは良く知っているはずなのに、やり方が違うと後輩に意見して周囲がフリーズしていたことがあったと報告してくれました。ゲームリーダーはA君なので、結局通常のルールで良いとA君決済で進んでいったというのです。もしかして、後輩に『ご意見』がしたいだけなのではないかという疑惑がもたれはじめたのです。

つまり、これまでは、他者に対して自分の話を一方的にするという行為が、「しつこい」とか「他の人の話も聞いて」といろいろ注文がつくので面倒になり、低学年ご意見番ならみんな話を聞いてくれるし高学年だからリスペクトされてクレームもつかないし「一石二鳥」という「ご意見技」を編み出したという見立てが出てきました。後輩の話をよく聞くというのも、次のテイクの「ご意見ネタ」になるから聞いているというのです。ホンマかいなというA君びいき派の反論もありますがしばらく様子を見ようという事になりました。