すてっぷ・じゃんぷ日記

転換性障害

Pさんが痙攣を繰り返し起こすことがありました。確かに、Pさんにはてんかんの既往歴があるので思春期に入ってまた出てきたのかと思っていました。医師の診断はてんかんではないということでした。思春期以降の女性に起こりやすい転換性障害の一つだという事です。

転換性障害は、伝統的にはヒステリーと言われたもので、意識化されない心理的葛藤により身体症状が生じる(転換される)と考えられています。これらの身体症状によって本人は一時的にせよ葛藤から解放されたり、葛藤による不安や苦しみが軽減すると考えられます(疾病利得)。身体症状は多彩で神経学的には説明つかず、運動障害や感覚障害などが認められると言います。

感覚の鈍麻や麻痺、歩行困難、不随意運動、けいれん、声が出ない(失声)、視力障害、聴力障害が生じます。当事者はこれらの身体症状にたいして、無関心であったり容易に受容している態度が見られあまり心配していないように見えます。

発症は突然で、当初は身体疾患が疑われ医学的な検査や処置が行われます。ほとんどの場合、数日から数か月で症状は消失しますが、心理的葛藤が生じるたびに繰り返されることもあります。葛藤となる問題が解決されると、症状が消失することもあります。

治療法としては、先ず支持的な対応で情緒的な援助を行い不安軽減に努める一方、葛藤内容がわかっているなら具体的な対処法を検討することで病状が改善することもありますが、わからないことも多いです。周囲が、一喜一憂せず自然に治るまで付き合うおおらかさが何よりも大事と言われています。