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1. 同期のサクラ

投稿日時: 2019/12/07 staff4

「同期のサクラ」と言うドラマが人気を呼んでいます。ルールを守るのは大切なことです。しかし、そのルールに反発する人がいるのに従わせようとすることで、様々な社会的関係を崩してしまうことがあります。いわゆる「正義感が強い」と言われる人たちの行動です。緊急性や、例外というものに全く融通がきかなくて、そのルールを人に押し付けてしまうこともあります。おそらく、このドラマは高機能ASDの言動をまねた脚本だと思います。(鋭く他者感情を読むなど当てはまらないところも多いですが・・・)ASDの子どもたちもこうした融通の利かない正義で自分自身が苦しむ場合も少なくないです。

赤信号で渡ってはいけない。列に横入りしてはいけない。制服を崩して着てはいけない。このように守らないといけないルールもあります。そのルールを守っていない人に何も考えずに「ダメだよ!!!」と注意をしにいってしまいます。相手が大人であっても、上級生でも下級生でも、怖そうな人であっても、誰にでも後先を考えずに行動してしまいます。正論が正解というわけではない、ルールは社会や関係を守るためにある、ルールのために人間がいるわけではない事の理解がしにくいのです。「ルールがあるんだから、守ります」と、周りにもルールを強制してしまおうとするときもあります。どうしても許せない。どうしても直接注意しないと気が済まない。どちらが合っているのかを、はっきりさせないと気が済まない場合が多く、お友達とぶつかるときもあります。相手の人格を否定してしまうほど攻撃的になってしまう子もいます。

自分が正しいのになんで?と、結果的に嫌がられたり、生きづらくなってしまったり、苦しみを抱えてしまったりします。しかし、学校の先生には気に入られる事があったりします。なぜなら進んで憎まれ役をしてくれ、決まりをみんなに伝えてくれる、良い子だという評価になりやすいからです。だから余計に仲間の気持ちが読む訓練ができません。そして、大人がいなくなった時、異質を締め出して自分たちの帰属感を高めようとする、いわゆるいじめという集団からの総攻撃に合うこともあります。

許せない!のは自分にも言えることで、金曜日に上履きを持って帰るルールがあって、もし、子ども本人が持ち帰りを忘れるとします。そうなるとルールを破ってしまった子と、自分で決めてしまうのです。そして、ルールを破ってしまったことを自分で許せずに泣いてしまうとか、癇癪を起してしまったりと。ルールに柔軟性がないというのは、自分自身も苦しめることになるのです。

身近なルールを互いに守るには「信頼」関係が必要です。これは大人から教えてもらえません。「当たり前」なのでわざわざ教えないのです。お友達を仲良くするってそもそも、どうしたらいいのかと言うのも同じです。挨拶をするのはなぜなのか。貸してと声をかけるのはなぜなのか。ありがとうというのはなぜなのか。ごめんなさいという意味はなぜなのか。一緒に遊ぶ意味はなんなのか。お名前を覚えるのはなぜなのか。なんとなく親がしているからだとか意味を分からずに、挨拶をしたりしている子どもも多いです。

どこから、どこまでの線が仲がいいのかというラインですら、人それぞれです。自分は自分。人は人。という感覚がなく。僕が思ったから、あの子も思ってると、相手に思いを強制する場合があります。相手には相手の意見があって、それが正しいと自分が思わない時だってあるという感覚が必要なのです。でも、それを相手に「悪いことだからダメなんだよ!」というのはたんなる押し付けになるのです。ここは本当に難しくて大人でも分かり合えないときもあります。集団が大きくなればなるほど権力関係と同調意識が支配し、通常なら間違ったことが正しいとされる時すらあります。むしろ、社会はその方が多いのでさらに彼らは混乱するのです。

ルールを守ることで必死になると、関係性という大切なところを見落とします。なぜルールが出来たのか、なぜルールを守らないといけないのかルールは例外があります。なんらかの考えがあってルールを破るわけです。(ルールは破らない方がいいですが)ルールが先にあるわけではなく、人間を守るために、ルールが存在すると根気強く教え、自分と他人とは考え方も全て違うのだと、形式的に理解させることも必要だと思います。線引きが上手くいかなければ、どうしても「私がこうなのに、なんで守らないの?」となってしまいがちです。そこを、自分は自分、他人は他人、だから違う事もあるし違って当たり前だと教えます。

また、基礎となる「信頼関係があるのか」「相手に好きだと思ってもらっているか」「尊敬をされているか」などの関係性が整っているか、また関係性を作る努力をしているのか。とっても難しいことですが人間は関係性がないと、人の話を聞くことが出来ないのだと教えます。本来、ルールとは誰かに言われて守るものではなく、自分で理解し自分で守るもので、強制する事は難しいことだと話していきます。