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発達障害学生の就職率は学生全体と比較して半数程度 支援乏しく苦労、ロールモデルも少ない実情〈A...

発達障害学生の就職率は学生全体と比較して半数程度 支援乏しく苦労、ロールモデルも少ない実情〈AERA〉

日本学生支援機構の調査によると、ここ10年で障害のある学生数は4倍になり、なかでも発達障害は6倍に増えた。各大学が発達障害学生への支援に取り組み始めているが、就職支援はまだ手探り。全学生の就職率と比べて、発達障害学生の就職率はかなり低い現実がある。2022年12月19日号の記事を紹介する。 【グラフ】発達障害のある学生の就職率は?
*  *  *  発達障害学生支援は全国の大学で広がっている。日本学生支援機構の調査でも、45.4%の大学が特性に応じた配慮依頼文書を配布していると回答。38.1%が専門家によるカウンセリングを実施するなど、授業や学生生活をサポートしている様子がわかる。  ところが、「進路・就職指導」になると数字が大きく下がるのが実情だ。就職支援情報を提供していると答えたのは、全体の20.3%。さらに、キャリア教育を実施しているのは17.6%にとどまった。  支援の乏しさは就職率にも影響している。大卒就職者の割合を見ると、2021年の大学生の就職率が76.2%だったのに対して、発達障害のある学生は41.5%。発達特性のない学生にとっても大きな負荷がかかる就活の場面で、発達障害学生の多くが苦労している現実がある。立命館大学衣笠キャリアオフィスの中原真さんはこう指摘する。 「授業や学生生活は環境配慮でうまく適応できても、自分が労働力を提供し、その対価として給料をもらうという雇用契約のなかで働くというイメージもわきづらい傾向にあります」  社会で自分が役立つのかや、向いている業界や企業がわからず働く姿が想像できない。マルチタスクが求められる就活で、そんな不安が募り、ストレスがかかってしまうという。  学生の不安を解消するために、立命館では個別相談などで企業の募集要項を一緒に見ながら、働き方への理解を深める支援も実施。就労時に希望する配慮や、その上で企業にどう貢献できそうかを整理し、最後には学生が自分の言葉で語れるようになることを目指してサポートする。

■診断名が「バイアス」へ

 キャリア支援のなかで重視するのは、困り事や特性を診断名のみで判断しないこと。カテゴリーを当てはめてしまうと、表層的な支援に陥るおそれがあるという。中原さんはこう話す。

「診断名に関わらず特性は重なり合うこともあり、単純なカテゴライズがバイアスになってしまう。個別相談では、本人が口に出すことはもちろん、背景にあるものまで目を向けて支援するように努めています」

 18年には、障害者雇用促進法が改正され、発達障害を含む精神障害者が雇用義務の対象になった。だが、課題もある。

「発達障害を持ちながら働いているロールモデルがまだ少ないと感じています」(中原さん)

 企業と障害者雇用について情報交換をしても、ホームページを見ても、紹介されているのは身体障害者の社員が多いのだという。同大障害学生支援室のヒューバート眞由美さんは言う。

「これまでは障害者雇用の大半が身体障害だったため、精神・発達の方を雇用するノウハウがまだ十分ではなく、企業にとっても大きなチャレンジになっているのだと思います。大学としては、学生と企業と一緒に成功体験を重ね、互いに成長できればと思っています」

■ファーストペンギンに

 その成功体験の第一歩になったのが、10年前に卒業した一人の女子学生との出会いだ。

 発達障害学生の就労支援に取り組みたい思いはあったが、まだ手探りの状態だったヒューバートさん。支援内容がその学生に合うかどうかもわからない。それでも一緒に頑張りたいと、思い切って学生に提案した。すると、学生は群れから最初に海に飛び込むペンギンになぞらえこう言った。

「私はファーストペンギンですね」

 学生はもちろん、大学にとっても先が見えない状況での取り組みだ。不安もあったが、一緒に就労支援事業所を訪ね歩き、学生は無事就職。以来、発達障害学生への支援も少しずつ整ってきた。(編集部・福井しほ)

※AERA 2022年12月19日号より抜粋

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じゃんぷに18時以降の子ども達と将来の話をすることがあります。「僕はプログラムの仕事してみたいな。」と明確なビジョンを持っている子もいれば「俺はどうせ働けへんわ…」と悲観的になっている子もいます。

今,社会の中で発達障害への理解が広まっています。ただ記事中にもあるように精神障害への理解はまだまだのようです。精神障害を持っている方は一見なんともないように見えるので専門の知識がないと適切な支援をするのが難しいのでしょう。

そういった中で手探りながらも意欲的に取り組んでいる企業があることは素晴らしいです。「スターバックス」や「ユニクロ」も障害者雇用に積極的な企業として有名です。

ユニクロといえば初任給が30万になるということで話題になっています。今度は障害者雇用の賃金問題が解決していくような動きがあるとよいですね。

レジリエンス

レジリエンスは“Resilience”と書き「困難や苦境からの回復力、復活力」という意味です。逆境に置かれたときに早く復活できる人をResilient(レジリエント)な人と表現します。同じ状況に置かれても、すぐに回復する人もいれば、長々と引きずってしまう人もいます。
立ち直りが早い人と遅い人、何が違うのでしょうか?
誰でも、しんどい環境の中にいたら、気が滅入るものですが、「動き出せば好転するはず」と思えるポジティブな思考ができるかどうかが大事です。

このポジティブ発想やネガティブ発想は生まれつきではありません。小さい頃の身近な大人の関わりが大きく影響することが分かっています。
大人がポジティブな関わりをすると、その子もポジティブ発想を学びやすく、大人が、ネガティブな関わりをしてしまうと、ネガティブ発想を身につけてしまうのです。

「大丈夫、なんとかなる」
「この程度で済んでよかった」
「長引かせない+否定的に考えすぎない」発想を優先し、それを言葉で伝えていきます。
一方で、「もうダメだ」「最悪だ」のような言葉を慎むことです。「○○すると怖いよ」「○○したら大変なことが起こるよ」と脅さないことも大事です。
「学習性無力感」と言って、すでに“無力”を学んでしまっていると、「どうせダメだ」「ムリに決まっている」と最初から決めつけてしまうことがあります。
「無力感」は失敗経験の繰り返しで学習されます。
子どもの思考スタイルは、大人の関わりで変わります。意識的に、ポジティブになる働きかけが大事です。

身近な人間関係が励まし合う関係だと、人は強くなれます。家族の絆や友だちとのつながりが前向きだと、もし傷ついたり落ち込んだりするようなことがあっても立ち直りは早くなります。
相手の痛みや悲しみが理解できる力が身につくように、人を励ます言葉が持てるように、大人自ら、共感力を示すと、子どもの学びにつながります。

大人は先回りして、あれこれと子どもにしてあげたくなります。本当に大人がしてあげるべきことは、そこそこ失敗しない方法は教えるけれども、重要なことはつまずいてしまったときにどう対処したらいいかを教えることです。
怖いのは、失敗することではなく、その後の解決法を知らぬまま育ってしまうことです。先回りして学ぶべきリカバリーの経験を回避することではないということです。

もし大人が、子どもの行動を管理しすぎてしまうと、その子の自立力はなかなか育ちません。子どもの頃、自分で決断をする機会が多い子は、自立度が早いということも分かっていますので、大人が先導しつつも、子どもにできる判断や決断は子どもに委ねます。

自己管理が上手になると、レジリエンスが向上するだけでなく、スランプやストレスを未然に回避する力にもつながっていきます。まずは、何で遊ぶか、何を着るか、何を持っていくかなど、自分の身の周りの簡単なことから決める習慣をつけていきます。

レジリエンスは、コツコツと積み重ねていくものです。積み上げは今からでも可能です。

4/8 府立学校再開だそうです

先ほど京都府のホームページで学校再開の案内が発表されました。

これ以上は放課後デイも、もう無理っぽいなぁというのが正直な感想です。子どもの活動にはある程度の広さが必要ですし、放デイは過密だけでなく毎日預かれるだけの事業所数が乙訓地域にはないので、1~2日おきに来ることになり、子どものニーズに合いません。あと、スタッフも日曜だけの休みなので疲弊してきていることもあります。

やれやれです。
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新型コロナウイルス感染症に係る学校再開について
令和2年4月3日 京都府教育委員会

4月1日の国の専門家会議の提言等を踏まえ、文部科学省の「新型コロナウイ ルス感染症に対応した臨時休業の実施に関するガイドライン(以下「ガイドライ ン」)」が改訂されました。 これを受け、本府における状況を踏まえ、新学期(4月8日又は9日)から学 校教育活動を再開することとし、下記のとおり対応します。

1 再開に当たっての府立学校の対応

(1) 感染症対策の徹底 〇 感染源を絶つ 毎朝の検温、風邪症状の確認 〇 感染経路を絶つ 手洗い・咳エチケットの徹底、通勤ラッシュを避けるための時差登校 〇 集団感染のリスクへの対応 3つの条件が同時に重なる場を徹底的に避ける
(2) 部活動の条件付き実施 〇 自校の部員のみによる校内での活動 〇 活動時間は2時間以内 〇 長時間閉鎖空間に集まるような発表会等は禁止 〇 体育館や音楽室等の活動場所の割振り
2 ガイドラインの臨時休業の考え方
(1) 感染者が判明した学校の臨時休業の考え方 〇 校内に感染者が確認された場合であっても、その活動の態様や接触者の 多寡、地域における感染拡大の状況、感染経路の明否等個別の事情をみな がら臨時休業すべきか否かを判断する。 (府立学校の児童生徒又は教職員の感染は確認されていない。)
(2) 感染拡大警戒地域における、感染者がいない学校も含めた、地域一斉の臨 時休業等の考え方 ○ 学校への通学にあたっては、通学に電車等の公共交通機関を利用してい る場合には、時差通学等の工夫について検討する。 〇 学校の臨時休業について、地域全体の活動自粛を強化する一環として合 わせて行うことにより、効果が発現されるよう留意する。
3 府内市町(組合)立学校への対応 府教育委員会から市町(組合)教育委員会に対し、国のガイドラインを踏ま え、府立学校の対応も参考に適切に対応するよう依頼する。
4 その他 今後の感染状況等によっては、再度の臨時休業を要請することもある。

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長岡京市

学校の再開について<3月27日午後8時現在>
国からの臨時休校の要請に基づき、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、3月24日まで小・中学校を臨時休校としていました。
現在は、感染拡大のリスクを高める環境をつくらないように配慮しながら、学校再開に向けた準備を進めています。
始業式
感染拡大防止を徹底したうえで、下記日程で実施します。
小学校:4月7日
中学校:4月8日
修了式と同様に、体育館に全校児童生徒を集めての実施はしません。
晴天時は、グラウンドで着任式を実施します。(雨天時は各教室で実施し、着任式は実施しません)
入学式
文部科学省の方針を踏まえ、来賓・在校生は出席せず、新入生・保護者・学校関係者のみで実施します。
小学校:4月8日
中学校:4月9日
出席者にはマスクの着用を呼びかけます。
対象者には、別途お知らせします。

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向日市

更新日:2020年3月26日
文部科学省から、「新型コロナウィルス感染症に対応した学校再開ガイドライン」が示されました。
本市といたしましては、同ガイドラインを踏まえた上で、新学期から市立小中学校の教育活動を再開いたします。
再開にあたりましては、ご家庭での検温など、引き続き十分な警戒を行うようお願いいたします。

小学校
始業式 令和2年4月7日(火曜日)、通常どおりの登校
入学式 令和2年4月8日(水曜日)午前9時30分開式
中学校
始業式 令和2年4月8日(水曜日)、通常どおりの登校
入学式 令和2年4月9日(木曜日)午前9時30分開式
留意事項
入学式は、小中学校ともに、入学する児童生徒と保護者及び教職員のみで行います。
式典縮小の趣旨をご理解いただきまして、咳エチケットを徹底するなどのご配慮をお願いいたします。

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大山崎町

学校の休校措置を解除します(3月23日17時30分掲載)
 政府の要請に応じる形で3月3日(火曜日)から3月24日(火曜日)まで休校としている大山崎町立小中学校については、3月24日(火曜日)をもって休校措置を終了します。なお、小学校については4月6日(月曜日)まで、中学校については4月7日(火曜日)まで春季休業中です。
 1.入学式について
  次のとおり対策を講じた上で実施します。
  来賓招待の中止など、式典の簡素化
出席者全員のマスク着用及び消毒液の設置
実施中の会場の適切な換気
  ※両小学校は4月8日(水曜日)、中学校は4月9日(木曜日)を予定
 2.始業式について
  全校集会の形を取らず、校長訓示等は校内放送等により実施します。
 3.その他
離任式(4月1日)は中止します。
部活動は当面の間、中止します。

映画「僕が跳びはねる理由」公開へ

自閉症の作家・東田直樹さんエッセー原作の映画「僕が跳びはねる理由」公開へ

2021年4月1日 12時00分【東京新聞】

作家の東田直樹さん(28)=千葉県君津市出身=が、自身の自閉症の症状や日常の思いをつづり、世界でベストセラーとなったエッセーを原作にしたドキュメンタリー映画「僕が跳びはねる理由」が、世界自閉症啓発デーの2日から公開される。東田さんは「見ている風景は同じでも、自分とは異なる物の見方や、感じ方をしている人がいることを多くの人に知ってほしい」と呼び掛ける。(柚木まり)

◆書くことは「自分がここに生きている証明」
自閉症は発達障害の1つで、社会的なコミュニケーションがうまく取れないなどの特徴がある。重度の自閉症の東田さんは、目の前にパソコンのキーボードのようにアルファベットを書いた厚紙を置き、指をさしながら読み上げて会話をする。今回は、オンラインでインタビューに応じた。

5歳の時に自閉症と診断された東田さん。幼いころから、パソコンで創作を続けてきた。原作のエッセー「自閉症の僕が跳びはねる理由」(エスコアール)は13歳で執筆し、誤解されやすい自分の行動を説明。自閉症の息子がいる英国人作家のデイヴィッド・ミッチェルさんと妻のケイコ・ヨシダさんが翻訳し、感情や思考を代弁した作品と高い評価を受け、欧米や中国など30カ国以上で出版、117万部を超えた。

映画は、英国など海外の自閉症の人たちの生活を通し、家族や社会との関わりを映し出す。音楽や映像で自閉症の人たちが感じている世界観が表現される。
東田さんにとって、文章を書くことは「自分がここに生きている証明」。「自分のことが自分でもよく分からない人はたくさんいます。僕は自分の世界観を言葉にすることで、自分らしく生きることができています」

◆コロナ禍でも「生きることが少しでも楽になれば」
新型コロナウイルス禍で、多くの人がコミュニケーションに悩む。東田さんは「人が生きる意味を見失いそうになっていると思います。僕は、いつもどうしたら幸せを感じることができるのか考えています。自分の書く文章で、生きることが少しでも楽になる人が増えてくれたら、こんなにうれしいことはありません」とつづる。

ミッチェルさんは取材に、東田さんとの出会いを「息子の閉じられた心を開く鍵を得た。息子が自閉症でない人と同じように、愛を含めたすべての感情と能力を持っていると感じられた」と振り返る。映画公開には「自閉症に尊厳を与える作品だ」と期待を込めた。
映画は、ジェリー・ロスウェル監督。角川シネマ有楽町ほか全国で順次公開。

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言葉を持たない、知的重度の自閉症と思われていた特別支援学校在籍の東田君。会話もできなくて「跳びはねて」いた少年の中に、こんなにも感性豊かな世界が広がっているなんてすごいなぁ。「僕が跳びはねる理由」(2007年刊行)を私が読んだときの感想です。その映画がついに完成しました。

でも、彼の言葉を信じない人は、「自閉症児はみんな実際には高い知能を持っており、なんらかの原因でそれが発揮できないだけである」という親の願望ではないか、ゴーストライターがいるのではないか、という人も少なくなかったです。それは、東田君の手にお母さんが手をそえて文字を綴るという、FC(ファシリテーティッド・コミュニケーション)の手法が使われていたことも原因の一つでした。その頃欧米では、FCによって虐待があるとして訴えられた家族や施設職員の裁判が続き、日本ではFCが懐疑的に受け止められていたからです。

東田君の言葉が本物だということがみんなに分かったのは、彼が自分でPC入力を始め、ブログをはじめたことからです。FCは卒業し自らパソコンに文を打ち込んだり、携帯用の文字盤を指で押さえながら、自らのことばで話すようになりました。質問にも、自分でポインティングしながら、ゆっくりですが、丁寧に答えられています。東田直樹君が、2010年10月から2011年8月まで、18歳の頃に書かれたブログから加筆、修正されたのが「あるがままに自閉症です 」本です。文庫本もありますのでぜひお読みください。映画上映は、まだ関西では予定されていませんが、情報が入り次第掲載したいと思います。

 

 

ASDで会話が一方通行になる6歳 母娘の困難にどう寄り添う?『リエゾン』

ASDで会話が一方通行になる6歳 母娘の困難にどう寄り添う?『リエゾン』2023/02/03 06:30

引用元記事

俳優の山崎育三郎が主演を務めるテレビ朝日系金曜ナイトドラマ『リエゾン-こどものこころ診療所-』第3話がきょう3日(毎週金曜23:15~※一部地域除く)に放送される。

『リエゾン-こどものこころ診療所-』第3話より=テレビ朝日提供
今作は郊外の児童精神科クリニック「さやま・こどもクリニック」を舞台に、自らも発達障害=凸凹(でこぼこ)を抱える院長・佐山卓(山崎)と研修医・遠野志保(松本穂香)のコンビが、発達障害を抱える子どもとその家族に真っすぐに向き合い、寄り添っていく姿を描く医療ヒューマンドラマ。


「さやま・こどもクリニック」で研修を始めた志保は、診察する前に患者が来院した経緯などを聞き取る予診を任せてもらえることに。緊張しながらも張り切る志保が担当することになったのは、会話が一方通行になる6歳の女の子・柿崎希(沢田優乃)。小学校入学を前に母・柿崎貴子(黒川智花)は不安な様子だったが、診断の結果、ASD(自閉スペクトラム症)であることを伝えると大きく動揺する。そこで佐山は、まず療育を受けることを提案。その療育を担当するのが、志田未来演じるクリニックとリエゾン(=連携)の関係を敷いている言語聴覚士の堀凛だ。普段はロリータファッションに身を包んでいるが、話し方は男前で強気な性格。そのギャップに志保は一瞬怯むが、2人はタッグを組み、小競り合いを見せながらも共に真っ直ぐ全力で希の療育に向き合っていく。やがて希と貴子が直面してしまう困難にどう寄り添っていくのか。

第3話では「さやま・こどもクリニック」の庭に植えられている“スノードロップ”の花が度々登場し、物語の鍵となっていく。佐山の亡き叔母・佐山りえ(風吹ジュン)は生前にスノードロップの前で、あることを佐山に伝えていた。その言葉は佐山の胸に深く刻まれ、クリニックを継ぐことを決意するきっかけに。果たして「さやま・こどもクリニック」設立に隠された秘密とは。さらにスノードロップは、希や希の家族にもある影響を与えていく。

SNSでは毎回子役の演技も話題となっているが、第3話では6歳にして大河ドラマ『青天を衝け』(21年)や『祈りのカルテ 研修医の謎解き診察記録』、『NICE FLIGHT!』(22年)などの話題作に出演してきた沢田が登場。沢田演じる希はおしゃべりが大好きな女の子だが、誰彼構わず話しかけては会話が一方通行に。沢田がセリフ量の多い難役を全力で演じきる姿にも注目だ。

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発達障害をテーマにした漫画を原作にした実写ドラマです。(原作・原案など ヨンチャン、竹村優作 作画 ヨンチャン 出版社 講談社)

引用記事に載っている3話はもう放送終了しています。見よう見ようと思いつつ見れていなかったので筆者は昨夜『TVer』で1~3話まで一気見しました。主人公の一人はASD,もう一人はADHDを抱える児童精神科医で,相談に来る親子の悩みを少しずつ解いてく様子を描くヒューマンドラマです。

子ども達から「俺(私)って発達障害なん?アホなん?」と聞かれると「凸凹があるだけよ。」と伝えています。(以前ここのブログを書いていた先生からそう教えて頂きました。)このドラマの中でもそのように言っており,発達障害を抱える子ども,保護者の悩みを丁寧に描いていると感じました。

昨今,発達障害が社会に認知されつつありますが,作中で「『発達障害』という言葉だけが一人歩きしているのではないか。」というセリフがあったように発達障害という存在は認知されてもそれを理解,支援するというのはまだまだこれからなのではないか,と感じることもあります。こういったドラマきっかけでも,その本質を理解し支援しようとする方が少しでも増えれば,と思います。

ラーニングピラミッド

学習方法と平均学習定着率の関係は「ラーニングピラミッド」という図で表すことができます。学習時間が限られていて状況では、より効率の良い方法での学習がスムーズに学習内容を身につけることにつながります。学習方法を見直すだけで思わぬ効果が出ます。

ラーニングピラミッドを見ると、ピラミッドの下に行くほど定着率が高いことがわかります。では、各段階の内容について見てみると(下図)

講義を受ける(5%)
読書する(10%)
視聴覚〔ビデオ・音声による学習〕(20%)
実演を見る(30%)
他者と議論する(50%)
実践による経験・練習(75%)
他人に教える(90%)

物事を他人に教えるためには、自分でしっかりと内容を理解していなければなりません。「他人が書いた文章を読み上げるだけ」「書籍・ネットの文章をツギハギしただけ」では突っ込んだ質問をされると返答に詰まります。いろいろな方法で何度も実践経験を積み、時には失敗も経験することで教えることができるようになります。
定着率の高いラーニングピラミッド下方の学習法ほど、より自発的・能動的な働きかけが必要です。能動的に学習するためには、まず知識や興味を高め、その後話し合って理解を深めてから発表したり教えたりすれば限られた時間を上手に使った学びが進みます。

ラーニングピラミッドの中でもより能動的な「他者と議論する」「実践による経験・練習」「他人に教える」を重視した勉強方法「アクティブラーニング」が新しい学習指導要領の中で注目されています。でも、昔から「人に教えることが一番の勉強」と言われ続けているのですからいまさらという気にはなりますが、やっと公教育が注目し始めたということが重要です。

子どもの心身への影響考慮”京都府『4月8日から学校再開』

“子どもの心身への影響考慮”京都府『4月8日から学校再開』発表 京都市も再開決定
【MBS】2020/04/03 17:51

新型コロナウイルスをめぐり、“京都府”は府立学校について4月8日から(一部は9日から)再開すると発表しました。「難しい苦渋の決断ではありますが、感染症対策を徹底していただくことなどを前提として、臨時休業の延伸については要請しない。」(京都府 西脇隆俊知事)府は、京都産業大学関連で感染者が広がっているものの、感染ルートは判明していて、休みが続く子どもの心身への影響も考え、感染症対策の徹底を前提に再開を決めたということです。また“京都市”は、中学校を4月6日から再開、小学校を4月8日から再開すると発表。朝晩の体温などを記入した健康観察票を毎日持参させて確認する他、給食は向かい合わせで食べないなどの対策をとるということです。

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京都市もお知らせ発表がありました。


令和2年4月3日
京都市教育委員会

新型コロナウイルス感染拡大防止を踏まえた教育活動の再開等について

本市では,3月5日(木)から全市立学校・幼稚園において臨時休業を実施し,その後,春季休業期間となっておりましたが,感染防止対策を一層徹底したうえで,下記のとおり,教育活動を再開しますので,お知らせいたします。 なお,再開後も,児童生徒等や教職員に感染者が発生したり,本市域の状況に大きな変化が生じた場合等については,臨時休業の実施等,対応を変更する場合があります。




1 教育活動再開の判断について
本市においては,現時点で「新型コロナウイルス感染症に対応した臨時休業の実施に関するガイド ライン(改訂版)」 (4月1日付 文科省)における「感染拡大警戒地域」とまで判断する状態ではありませんが,大阪府と近接するなど「予断を許さない状況」であり,4月2日付で,市長・知事連名により,市民・府民に対して,「人混みが予想される場所への不要不急の外出や会合等への参加を自粛」いただく等の緊急のお願いを発していることを踏まえ,感染防止対策を一層徹底したうえで,教 育活動を再開することとします。


2 再開に当たり感染防止対策を一層徹底 ①換気の悪い密閉空間,②多くの人の密集,③近距離・密接(互いに手を伸ばしたら届く距離)での会話や発声,の「3密条件」が同時に重なる場を徹底的に避けることを基本とし,次のとおり,更なる感染防止対策の徹底に取り組みます。
(1)児童生徒等の健康観察の徹底 ア 朝晩の体温や健康状態を家庭で記入する「健康観察票」を毎日持参,確認。体温未記入等,健康状態が確認できない場合は,直ちに検温等を実施。
なお,各家庭において,この機に,子どもたちをはじめ,御家族の体調・健康管理の徹底,保健衛生意識の一層の向上について強くお願いする。 イ 発熱・咳等の風邪症状がみられる児童生徒や教員の登校,出勤自粛の一層の徹底。
(2)基本的な感染症対策の徹底
ア 登校時,トイレ後,給食前,ロング休み後等で必ず手洗いするなど指導の一層の徹底をはじめ,こまめな手洗いや咳エチケットの徹底。
イ 多くの児童生徒等が触れる場所(ドアノブ,手すり,スイッチ,共有する器具等)の消毒。
ウ 免疫力を高めるため,十分な睡眠,適度な運動やバランスの取れた食事を心がけるよう指導。

(3)集団感染のリスクへの対応
ア 休み時間毎に2方向の各1つずつ以上の窓や入口を開ける,教室等のこまめな換気を実施。 イ マスクの着用,手作りマスクの普及に向けた取組の実施。
(4)対面,接触,発声等を伴う教育活動の更なる工夫
ア 各教室の席は講義型(一斉授業の形態)として,座間もできる限りスペースを空けるなど配置を工夫。
イ 話し合い活動やグループ活動等において,近距離での会話とならないよう,スペースを確保。
ウ 音楽科における歌唱指導や管楽器の演奏等では,間隔を空け,人がいる方向を向かない。また年間指導計画の中で単元の順序を入れ替えて実施。
エ 家庭科(技術・家庭科)における調理などの実習は,年度当初に行わず,年間指導計画の中で 単元の順序を入れ替えて実施。
オ 体育科(保健体育科)において,できる限り個人や少数で実施し,児童生徒が密集せず距離を取って行うよう工夫。
(5)給食における配慮 ア 配食を行う者はもとより,児童生徒の手洗いを徹底。
イ 机を向かい合わせにしない等,飛沫を生じさせない工夫。ランチルームでの会食はしない。
(6)高等学校等
高等学校・総合支援学校(職業科)については,公共交通を利用して通学する生徒が多数在籍す ることから,時差登校等,各校が感染防止対策を工夫して教育活動を行う。
(7)部活動について
すべての校種で,当面の間,部活動を原則中止。
<参考>
入学式については,「3密条件」が同時に重なる環境を回避することを徹底し,来賓・保護者・在校 生の出席者を限定したり,次第を見直し短縮化したりして実施します。また始業式についても,校内放送で行うなど,感染拡大防止に十分留意したうえで実施します。

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第14回世界自閉症啓発デー

第14回世界自閉症啓発デー(令和3年4月2日)に寄せて 厚生労働大臣メッセージ

はじめに、新型コロナウイルス感染症により日常生活が様変わりする中で、自閉症をはじめとする発達障害のある方々の生活を日々支えておられるご家族の皆様、地域で支援に携わっている関係者の皆様に心から敬意を表します。

毎年4月2日は、国連の定める「世界自閉症啓発デー」です。今年で制定から14回目を迎えます。また、我が国では4月2日から8日までを「発達障害啓発週間」としています。
未だ新型コロナウイルス感染症の状況が予断を許さない中ではありますが、日本自閉症協会をはじめとする関係団体の皆様のご尽力により、インターネットによる配信の活用など開催方法を工夫した上で、今年も、関連イベントが開催できますことに改めて御礼を申し上げます。

関連イベントとして、東京タワーや全国各地のランドマークを「癒やし」や「希望」などを表す自閉症のシンボルカラーである青色でライトアップする「ライト・イット・アップ・ブルー」などが行われます。国民の皆様には、こうしたイベントを契機として、自閉症をはじめとする発達障害への理解を深めていただきたいと思います。

発達障害は、生まれつきの脳機能の障害によるもので、親のしつけや教育が原因ではありません。その特性は一人ひとり様々であり、自分の得意なことを活かして活躍されている方が数多くおられます。

一方で、周囲の理解が十分でないことによって、その行動や態度が「自分勝手な人」、「変わった人」などと誤解され、生きづらさを感じながら生活している方もおられます。発達障害に対する正しい理解が社会に広まれば、周囲の方の接し方も変わり、そうした生きづらさも軽減されると考えています。

発達障害者支援法では、乳幼児期から高齢期までのライフステージを通じた切れ目のない支援を実施することや、家族なども含めたきめ細かな支援を推進し、身近な場所で支援が受けられる体制を構築することなどが明記されています。

厚生労働省においては、この法律の趣旨も踏まえ、ライフステージに対応する一貫した支援を行うため、各都道府県等に設置される発達障害者支援センター等において、専門人材の配置により、関係機関との連携や困難事例等への対応など地域支援機能を強化しています。また、自治体を通じて、発達障害のある方の御家族や御本人に対し、ペアレントトレーニングやペアレントプログラムといった発達障害の特性の理解や適切な対応等に係る研修等の実施や、ワークショップ等の開催など青年期の発達障害のある方の居場所づくりに取り組んでいます。

引き続き、こうした自治体を通じた取組を推進するとともに、子育て支援や教育等の分野でも適切な支援が行われるよう、関係府省と連携し、発達障害のある方がその力を発揮できる機会を増やしてまいります。
今後とも、皆様の御理解と御協力をよろしくお願いいたします。

令和3年4月2日
厚生労働大臣 田村 憲久


「世界自閉症啓発デー」に当たっての文部科学大臣メッセージ

4月2日は、国連で定められた「世界自閉症啓発デー」です。また、我が国では、4月2日から8日までの1週間を「発達障害啓発週間」とし、自閉症をはじめ、発達障害についての正しい理解が進むよう啓発活動に取り組んでおります。

文部科学省では、発達障害をはじめ、障害のある方が一生を通じて自らの可能性を追求し、その個性や能力を生かして活躍できるよう、学校教育、生涯学習、文化芸術、スポーツ等の各分野において、省内はもちろんのこと、厚生労働省等関係省庁とも連携し、横断的・総合的に関連施策を推進しております。特に、発達障害支援については、3年前に制度化された高等学校における通級による指導をはじめ、その一層の充実・整備を図っているところです。

この1年、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、私たちの日常生活は大きく変わりました。学校現場も例外ではありません。過去に例のない対応を余儀なくされている学校をしっかりと支え、全ての子供たちの学びを保障するとともに、発達障害を含め、障害のある子供たち一人一人に応じた、適切な指導及び必要な支援を行えるよう引き続き必要な施策を講じてまいります。

また、本年4月から、全国の児童生徒が1人1台端末環境での学びをスタートし「GIGAスクール元年」を迎えるほか、小学校における35人学級を段階的に実現してまいります。こうした、ICTの活用と少人数学級を車の両輪として、全ての子供たちの可能性を引き出す、「個別最適な学び」と「協働的な学び」を実現する「令和の日本型学校教育」の構築を進めてまいります。

結びに、この「世界自閉症啓発デー」や「発達障害啓発週間」が、全ての教育関係者等にとって、発達障害等についての理解を深め、本人や保護者の方々の気持ちに寄り添った支援について真摯に考え、実践する契機となり、障害の有無に関わらず誰もがその能力を発揮し、共生社会の一員として共に認め合い、支え合い、誇りを持って生きられる社会の実現につながっていくことを強く期待いたしまして、私からのメッセージといたします。

令和3年4月2日
文部科学大臣 萩生田 光一

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国連総会(2007.12.18開催)において、カタール王国王妃の提案により、毎年4月2日を「世界自閉症啓発デー」(World Autism Awareness Day)とすることが決議され、全世界の人々に自閉症を理解してもらう取り組みが行われています。

日本でも、世界自閉症啓発デー・日本実行委員会が組織され、自閉症をはじめとする発達障害について、広く啓発する活動を行っています。毎年、世界自閉症啓発デーの4月2日から8日を発達障害啓発週間として、シンポジウムの開催やランドマークのブルーライトアップ等の活動を行っています。京都タワーもブルーライトアップして協力しています。

自閉症をはじめとする発達障害について知っていただくこと、理解をしていただくことは、発達障害のある人だけでなく、誰もが幸せに暮らすことができる社会の実現につながるものとして、私たちNPOホップすてーしょんもこのイベントに賛同しています。セサミストリートのジュリアちゃんも自閉症キャラクターで今回のリーフやポスターのモデルになっています。

「リエゾン」第6話「子どもにも見せたい」と反響 読み書きが苦手なSLDの子の問題に「すごく勉強...

「リエゾン」第6話「子どもにも見せたい」と反響 読み書きが苦手なSLDの子の問題に「すごく勉強になる」

山崎育三郎が主演するドラマ「リエゾン-こどものこころ診療所-」(テレビ朝日系)の第6話が、24日に放送された。(※以下、ネタバレあり)

 児童精神科医の佐山卓(山崎)は、共に働く言語聴覚士の堀凛(志田未来)から、いとこの宮内春香(山田真歩)のことを相談される。

 子連れ同士で再婚した春香は、夫の息子の優太(石塚陸翔)との接し方に悩んでいた。さらに、佐山が優太を診察し、検査をしたところ、読み書きが苦手なSLD・限局性学習症であることが分かる。

 凛から教わったトレーニングを始めた優太だったが、それでも学校の授業では苦労していたため、佐山はタブレットを使った学習方法を提案する。

 春香は、早速学校に相談するが、担任教師からは「優太くんだけが特別扱いとなると、『ずるい』と感じるお子さんが出てくるかもしれない。いじめにつながる可能性も否定できない」と言われ、許可は下りなかった。

 そんな中、優太は学校で散々なテストの結果を同級生にからかわれ、けんかになってしまう。

 放送終了後、SNS上には、「学校の対応にイライラした。SLDの子がタブレットを使うことが特別扱いにならないように、生徒に説明するのが担任の仕事だろう」「SLDの子がタブレットを使うのは、足の不自由な人が補助具を使ったり、目の悪い人が眼鏡をかけたりするのと同じなのだと思った」「ステップファミリーは難しいこともたくさんあるけれど、実の父よりも考えたり、悩んだりしている、いいお母さんだった。一緒に悩んで乗り越えて、親子になっていくんだね」などの感想が投稿された。

 このほか、「SLDについて、すごく勉強になった。深夜枠での放送はもったいない。たくさんの親と子に見てほしい」「『リエゾン』はゴールデンタイムに放送するべき。子どもにも見せて、凸凹がある子や多様性について、まずは理解してもらうことが大事だと思う」といった声も、多く寄せられた。

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先日紹介した「リエゾン」の最新話で学習障害について取り上げられていました。

作中では学校でのタブレットの使用を「いじめに繋がるかもしれない。」と断られています。確かにまだICTの導入が出来ていない学校もあるかもしれませんが、最近は多くの学校でICTを活用した学習が行われています。

1人1台のタブレットを使い、読み書きが苦手な子どもでもフリック入力や音声入力を使って自分の考えや意見をまとめ、それを交流することが出来ます。筆者が勤めていた自治体では「ロイロノート・スクール」を使用していましたが、授業中の子ども同士の交流によく活用していました。理科の実験の様子をリアルタイムで交流しながら子ども同士で学び合うなど、今までやりたかったけれど出来なかったことが出来るようになったと思っています。

全ての読み書き障害の子どもにICTが合うという訳ではありませんが、その子が自分にとってやりやすい一つの方法になりうると思います。またそれはこれからどんどん広がっていくでしょう。

視覚支援

視覚支援は、1960年代の半ばに、米ノースカロライナ大学のエリック・ショプラー教授のグループによって始められたTEACCHプログラムで提唱された「構造化」と同じ意味です。
視覚支援の代表例はスケジュール表であり、毎日の生活や学校での学習時間割を作成し、視覚的なスケジュール表として前もって示すと、ASDの子どもは不安や混乱が少なくなります。
ASDの子どもはいつもと違う予期しない状況になると、恐怖や困惑を示すことが多いです。スケジュール表を、いつも使うリビングの壁や学校の自分の机の上などに掲示しておくと安心して次の予定に向かえます。言葉や文字が理解でいない自閉症児の場合、スケジュール表ではイラストや写真を使った絵カードが用いられます。
自閉症児者の用いるスケジュール表では、個々の行動予定は、認知レベルによって文字だけで書かれたものから、文字カードや絵カードのようにカード化されています。また、工程のある作業を行うときはワークシステムという名前でスケジュール表を作業や仕事の一部分で使うこともあります。これはワーキングメモリーという短期記憶が弱い人にも有効です。音声は消えてしまいますが、文字や絵は消えません。「何回言えば覚えるの?」と言い続けたが一回書いて示せば忘れなくなったというケースはたくさんあります。

また、「声かけ、表情や表現」を大事にしたいと思うばかりに、絵カード支援や視覚支援をためらわれる方がおられます。でも、聴覚に障害がある方と知れば視覚支援も使うでしょうし、視覚障害のある方に白杖や点字ブロックが必要ないという方もいません。ASDをはじめとする発達障害は即座に理解してもらいにくい障害です。発達期の子どもならなおさらです。発達はできないことができるようになる過程ですから、今できないことが未来にできないとは言いにくいからです。

それでも、誰が発信しても本人が理解できているかどうか、子どもの発信していることが誰でも理解できるかどうかは子どもの普段の生活に寄り添っていれば、わかることです。子どもの時期に、分からないことが長く続いたり、言いたいこと言えない状況が長く続くと、レジリエンス(逆境からの復元力)は低下していきます。

このような視覚的なスケジュールを用いることで自閉症の子どもは、「今何をすべきか」「次は何をすべきか」「最後までにはどれだけ残っているか」を理解しやすくなります。求められていることを達成したとき提示した大人も受け止めた子どもも嬉しい気持ちを交流し合います。スケジュールカードやワークシステムはあくまでも成功を支えるツールでありそれ自体が目的ではありません。

絵カード支援でいつもとても気になることがあります。大人のしてほしいことは絵や文字でしつこく示すのに、子ども側から発信する方法を与えていない場合がとても多いのです。つまり一方通行の視覚支援です。言っていることはわかるけど言いたいことが言えない状況が続くと自立することができません。自分は自分、人は人、みんなちがってみんないいを実現するにも理解と発信は一体なのだということです。

ASDの人たちが周囲の人たちと「やったね・いいね」をたくさん積み上げられるように視覚支援を利用していきたいものです。

放課後デイサービスは「3密」

先ほど、政府が武漢ウイルスの感染拡大を受け、緊急事態宣言に踏み切る意向を固めたとニュースがありました。まさか、京都府が思い直して始業式を延期することはないでしょうが、もしやと心配しています。長い春休みと新入生の対応で放デイ関係者は疲弊しているからです。表向きだけ整えても、裏方がどうなっているのか、見えない部分に負担がかかっていることも考えた施策を望みます。

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休校延長で障害児・生徒の放課後デイサービス悲鳴 3密の空間の残業「限界に近い」
毎日新聞2020年4月5日 19時40分(最終更新 4月6日 11時40分)

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、感染が広がる地域で学校の再開時期が遅れることになったが、しわ寄せを受けるのが子供たちを預かる施設や事業所だ。中でも障害のある児童や生徒を預かる放課後等デイサービスでは、密閉・密集・密接の「3密」を避けられない空間で、目を離せない子供たちと長時間過ごさざるを得ない状況が続き、関係者から「限界に近い」と悲鳴が上がる。

「きょうは何をして遊ぼうか」。福岡市内にある障害児通所支援の放課後等デイサービス事業所を3日に訪れると、部屋の隅に置かれたテーブル席で、女性職員が手足にまひがある女子生徒(16)にぴったりと付き添い、話しかけていた。言語障害もある生徒は音の出る文字盤を指して「太鼓」と答えた。 奥の3畳ほどの畳スペースでは、児童3人が職員2人と輪になってブロック遊びをしていた。約40平方メートルの室内でこの日、一日を過ごしたのは市内の特別支援学校や特別支援学級に通う小学3年~高校3年までの6人とスタッフの計約15人。子供たちには知的障害や身体障害があり、職員が目を離した隙(すき)の事故を防ぐため、部屋は常に閉め切っている。職員はマスクを着用しているが、嫌がる子供たちは6人全員が着けていなかった。

前日、福岡市は市立学校の休校期間を17日まで延長し、週末を挟んで再開時期を20日以降に遅らせると発表していた。元々は放課後の夕方のみだった預かり時間が、朝から夕方までに拡大されて1カ月。その状態がさらに少なくとも2週間は続くことになった。 「職員の残業は増え、家に自分の子を置いて来ている職員もいる。使命感でやってもらっているが限界に近い」。休校延長が決まり、事業所の運営者の女性(54)は本音を漏らす。 この女性が運営するデイサービス事業所は市内に計3カ所あり、児童・生徒計53人に対し、職員は30人。休校が始まってからはパート職員に長く働いてもらうなどして何とかやりくりしている。職員のマスクも一時不足し、消毒液は買い置きがなくなってしまった。

一般に特別支援学校は1クラスの人数も少なく、子供たちに目が行き届きやすいように児童・生徒1人当たりの教員も多く配置されている。子供たちが走り回る運動場もある。女性は「感染拡大を防ぐための受け入れ態勢としても、学校の方がはるかに環境は整っているはず」と話し、休校中の特別支援学校でも子供たちを預かってほしいと訴える。全国的には休校に伴う措置として、学校で教室などを開放し教員らが障害を持つ子供たちを預かる例はあり、文部科学省によると、3月10日現在で回答のあった102自治体のうち80自治体の特別支援学校が実施していた。

福岡県内でも北九州市は、休校期間が始まった当初の3月初めに市内に8校ある特別支援学校で実施し、各校2、3人が利用。小西友康・特別支援教育課長は「急な休校で預け先の事業所が予約できないなどの家庭もあったため、学校を選択肢の一つにしてもらった」と話す。市は4月3日、福岡市同様に休校期間を17日まで延長すると決め、学校での預かりも続けることにした。 特別支援教育を専門とする香川大の坂井聡教授は「休校延長で影響が長期化している今、教育委員会と事業所が連携し、学校でも受け入れて預かる子供の数を分散させるなど、休校中の対応を見直すべきだ。事業所だけに負担を強いると、疲弊してしまう」と指摘する。【山口桂子】

学習障害抱える児童、タブレット支えに無事卒業

学習障害抱える児童、タブレット支えに無事卒業 ノート代わりに黒板撮影、テストでも利用OK

2021年3月31日 10:30【京都新聞】

文字の読み書きが苦手な「学習障害」がある京都府長岡京市の児童が、理解を支える道具としてタブレット端末を活用し、今春小学校を卒業した。テストでの利用も認められており、国の施策で全児童生徒へのタブレット配備が本格化する中、障害がある子への対応の広がりに期待がかかる。ただ、専門家は「渡すだけでは問題が解決せず、個性に応じた補正が大切」と支援の必要性を呼び掛けている。

長法寺小に通っていた山木旬(しゅん)君(12)は、学習障害の一種「発達性ディスレクシア」と診断されている。知的能力に遅れは見られないが、漢字を枠の中に文字を収めたり、読んだりすることが苦手で、読み書きに多くの時間を要し、理解する前の段階でつまずく。「なんで自分だけできひんねやろう」と悩みは尽きなかった。

母の弥生さん(44)は、文部科学省が定める「合理的配慮」としての対応を学校と協議。文字やスペースを大きくし、ルビを打ったプリントや、ペンで触れると音声が流れる教科書に加え、6年生になるとタブレットを持参して使うことが認められた。

授業中は、読み書きを別の方法に置き換えている。ノートを取る作業の代わりに黒板を撮影。アプリを使い、画像への書き込みや自動読み上げができるようにする。画面上では自由に拡大可能なため、記入しやすくなるだけでなく、1文字ずつが認識できる利点もある。「置いてかれている」と感じていた授業が、少しずつ分かるようになった。2学期からは、一部の教科ではタブレットでのテスト受験も認められ、評価対象となった。

澄んだ空が広がった今月19日。卒業式を終えた山木君は、同級生たちと笑顔で記念写真に収まった。「しんどいこともあったけれど、楽しい6年間だった」と穏やかな表情を浮かべ、将来への思いを口にした。「夢は学校の先生になること。僕みたいな障害がある人に優しく教えてくれる先生がいたので、僕もそうなりたい」

■能力・特性に応じて調整を
文部科学省が推進する「GIGAスクール構想」は、タブレットやパソコンを小中学生に1台ずつ配備する計画で、新年度から本格運用が始まる。障害がある児童生徒の情報通信技術(ICT)機器持ち込みは、自治体によって対応に差があり、活用へのハードルが軽減される可能性もある。

NPO法人「支援機器普及促進協会」(長岡京市)の高松崇さんは「視力が低い場合は眼鏡を掛けるように、学習障害がある子は、ほかの子と困り方が違うからタブレットを使うということ」と、必要性を説明する。

端末配備で、個人負担だけでなく、周囲の子や保護者が抱きがちな不公平感が、取り払われる利点があるという。その上で、「眼鏡も個人に合わせた調整が必要であるように、機器を渡せば理解できるのではなく、その子に合った補正が大切」と指摘する。機器の役割は本人の自立の支援だ。能力に応じたアプリの設定や、紙に文字を書くのと同程度の入力技術が、子ども自身で機器を使いこなす上で重要となる。

山木旬君は、ICT機器を通じた療育支援を行う放課後等デイサービス「ヴィキッズ」(向日市寺戸町)に通う。入力練習だけでなく、検索方法や、授業と日常生活に役立つアプリの使い方を学ぶ。帰宅後も、学校で撮った黒板画像で復習を繰り返し、活用技術の向上に努め、学習意欲にもつながっている。講師の岡田拓郎(たくお)さん(39)は「日進月歩の技術を使った新たなアプローチ。学習障害であることを気にせず生きていけるきっかけになれば」と見守る。


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学習障害の子どものために、デジタル教科書やICT支援にPCやタブレットの教室持ち込みを学校に提案すると「他の子どもとの公平性の問題がある」と担任から何度も断られた経験があります。眼鏡や補聴器と同じことではないかと食い下がっても、それは社会に認められているからだと取り付く島もありませんでした。社会を変えるには学校がパイオニアになることなのに、そんな気概も学校からは失われてしまったかと悲しくなりました。

福祉行政や相談事業所にも学習障害は学校や塾が対応することだと誤解している関係者がいます。学習障害は聞けばわかるが読めないとか、喋れるが書けないというもので、教科学習以前の問題ですから、当然医療や福祉も関わるわけです。眼鏡や補聴器をはじめ障害の支援機器は福祉が扱っています。視覚障害の子どもに白杖の指導をしたり点字の支援をするのは福祉か学校かと言い合うことはありません。それと同じように考えればいいのに、かたくなに福祉支援の対象ではないと言い張る担当者が未だにいるのです。

それが、このGIGAスクールでやっと学校では支援が実現しそうです。でも支援機器の使い方はその子の特性によって違います。今後も、ICT機器の使い方が他の子どもと違うと言って特別を認めない先生が現れないか若干心配もあります。しかし、こうした記事が掲載されることで、ICT支援は学習障害への当たり前の対応だという事が広まればいいと思います。新しい放デイ事業所じゃんぷでは、「発達性ディスレクシア」に特化した療育を専門的に実施しています。特性に応じた学校での対応と同じように、家庭でも特性に応じた自学自習が必要です。アセスメントを繰り返しながら、正確で持続的な支援が必要です。詳しくは075-874-5170(学びの広場じゃんぷ)までお電話ください。

発達障害の男子高校生が、カードゲームを続ける理由…普段は、他人とのコミュニケーションが苦手

発達障害の男子高校生が、カードゲームを続ける理由…普段は、他人とのコミュニケーションが苦手

 

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引用記事元が長いので割愛させていただきます。

記事ではコミュニケーションが苦手な高校生がカードゲームの中だと相手の気持ちを読もうとしたり相手の反応を見て自分の出すカードを考え、苦手なことでも好きなことの中でなら出来ることもある、と書かれていました。

じゃんぷの中や同法人のすてっぷの中でもボードゲームを用いて子ども達が遊ぶことがあります。同じようにその中で子どもたち同士でワイワイとゲームをしながらコミュニケーションを取ります。遊びの中でSST(ソーシャルスキルトレーニング)に取り組んでいる訳ですね。ブログの中でもいくつか紹介していると思います。

さて、筆者も恥ずかしながらこの年でカードゲームをしています。そこで出会う人たちの中には「コミュニケーションが苦手なんだろうな」と感じることもあります。常に自分のことばかり話す人、ずっと黙っている人(SNS上では多弁)、醬油の染みがついた部屋着のままでも気にしない人…等々

お世辞にも「カードゲームをしたらコミュニケーションが上手になる!」とは言えませんが、一つの方法として良いのでしょう。それで友達の輪が広がり、外に出るようになった、といった事例もあります。あまり大っぴらにするような趣味ではないですが、プラスの影響を与えることもあります。ただ最近はポケモンカードやワンピースカードの大流行で普段カードゲームをやらないような層が入ってきました。普通に歓迎をすればよいのでしょうが、プライドなのか何なのか、それを排除しようとする動きがなぜかあります。所謂「陽キャ」を自分たちのテリトリーに入れたくないのでしょうが…これではまだコミュニケーションが出来るようになる、とは言えないですね。

スヌーズレン

すてっぷでは空気清浄機を稼働しています。この清浄機の正面パネルはコバルトグリーンの水流が渦巻いている様子が見えるようになっています。この輝く水流をいつまでもいつまでも楽しむ子どもたちがいます。引き込まれてうっとりするようです。私も小さいとき水道の流れに見とれたり洗濯機の渦巻きをいつまでも見ていた記憶があります。心が穏やかかになるのです。これを最近ではスヌーズレン効果というそうです。

スヌーズレンとは、オランダ語で「クンクン匂いを嗅ぐ」、「うとうとする」という用語を組み合わせた造語で、外界を探索することや心地よくまどろむ状態を示すものです。もとは1970年代にオランダで重い知的障害がある人の余暇活動として始まりました。
この活動を行う空間スヌーズレンルームには、光・音・匂い・振動・触覚の素材等、感覚を優しく刺激するものが効果的に配置してあります。
利用者はこの空間で、自ら好きな感覚を楽しみ、誰からも指示されない特別な時間を過ごします。

アロマセラピー、タッチングケア、音楽療法等の温かな治療が注目され始めた1980年代、それらを一つにまとめようという動きの中でスヌーズレンはヨーロッパを中心に発展してきました。
昨今では、世界30カ国以上に広がり、その人にとって心地よい感覚刺激を通じたアプローチをすることで、思考・感情・行動を変化させていく治療的なものとしても用いられています。
スヌーズレンを構成する要素は、(1)利用者、(2)ケアする人、(3)環境の3つです。
現在ヨーロッパでスヌーズレンルームはこのような目的で使用されています。
●重い障害や病気がある人の余暇活動
●精神障害者・発達障害児へのプレイセラピー
●認知症の老人へのケア
●心理的に不安定な人の情緒安定のため
●自発性・コミュニケーション力を養う探索活動として
●子どもたちがゆったりしたペースで過ごせる時空間として

このような使用目的でコミュニティセンターや保育園にも広がっており、日本でも様々な場所での活用が期待できます。

府立学校も連休明けまで臨時休校

先ほど、府教委のホームページで府立学校の臨時休校の再開が発表されました。当事業所もさすがに体力の限界が来ていますので、連休明けまでは午後からの開所にしたいと考えています。

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広報資料
新型コロナウイルス感染症の拡大防止のための 府立学校に係る臨時休業について
令和2年4月7日 京都府教育委員会

4月3日(金)の府立学校の再開発表後、この週末にかけて新たな感染者が20 件確認され、そのうち感染経路が不明な事案が16件見られるとともに、首都圏の ほか、大阪府や兵庫県といった近隣府県に対し、緊急事態宣言が出される見込み であるなど、感染拡大の懸念が一層高まってきています。 そうした状況を踏まえ、府立学校の臨時休業について、京都府教育委員会にお いては、下記のとおり対応することといたしましたのでお知らせします。


1 府立学校の臨時休業 感染拡大の傾向が顕著な京都市・乙訓通学圏及び山城通学圏の府立学校並び に通勤・通学で京都市との往来が多い口丹通学圏の府立学校について、臨時休 業を実施する。
(1) 対象校 府立高等学校附属中学校(3校)、府立高等学校(本校35校・分校2校) 及び府立特別支援学校(本校8校・分校1校)
(2) 臨時休業の期間 令和2年4月13日(月)から5月6日(水)まで なお、終期については、今後の状況に応じて延長することがある。
(3) 臨時休業期間中の学校教育活動 〇 週に1~2日程度の登校日を設け、児童生徒の健康観察や学習状況の確 認等を行う。 〇 部活動は禁止とするが、登校日に教員の指導の下、運動不足やストレス 解消のための機会を設けることを可とする。
(4) 学習保障 〇 登校日に課題解説、新たな課題の配付、質問の受付等を行う。 〇 可能な範囲でメール等による指示を行う。
(5) 特別支援学校について 〇 上記の内容を基本としつつ、各校の状況に応じて対応する。 〇 自宅及び福祉サービス等で児童生徒の居場所が確保できない場合には、 特例的に学校で受け入れる。その際、スクールバスは「3密」に配慮しつ つ運行する。なお、給食については提供しない。

2 臨時休業対象校以外の学校
〇 府北部地域に所在する府立学校(附属中1校、高校15校・6分校、特別支 援3校・2分校)については、感染症対策を徹底した上で、学校教育活動を 実施する。部活動については条件を付した上で実施する。
〇 学校の所在地(市・町)で感染者が確認されている場合など、感染を危惧 されるご家庭の判断で欠席する場合は「欠席扱い」としない取扱いができる 場合がある。
〇 今後の地域の感染状況の変化や児童生徒、教職員が感染した場合等は、臨 時休業することがある。

3 府内市町(組合)立学校への対応 府教育委員会から市町(組合)教育委員会に対し、府立学校の対応も参考に 適切に対応するよう依頼する。

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京都・滋賀15市町、再び一斉休校 府立学校も検討
2020年4月6日 22:05

新型コロナウイルスの感染拡大を受け京都府、滋賀県内の15市町教育委員会は6日までに、同日以降順次再開する予定だった市町立の小中学校などについて、再び一斉休校することを決めた。感染者の急増や感染ルート不明者が増えていることを考慮した。京都府教委も府立学校の再休校について7日に判断する。

京都市教委は6日、市立小中高校、義務教育学校、総合支援学校、幼稚園を10日から5月6日まで再び一斉休校とすると発表。毎週登校日を設け、健康観察や学習状況の確認などを行う。宇治や亀岡、向日など山城、丹波、乙訓地域の11市町教委も6日以降順次、再休校とする。八幡、京田辺、井手の3市町を除き入学式や始業式は予定通り実施する。

滋賀県でも、感染者集団(クラスター)が発生した草津市は入学式と始業式を9日に行った後、10~19日を臨時休校にすると決めた。隣接する栗東市は8日に入学式と始業式をした後、9~19日を臨時休校とする。6日に感染者が確認された甲賀市は8~19日を臨時休校にする。8日の始業式は中止し、9日の入学式は行う。

京都府の西脇隆俊知事は6日、臨時の記者会見を開き、始業式から再開予定だった府立高と付属中、特別支援学校について、再休校の検討を府教委に要請したと明らかにした。府教委は7日に休校時期や期間、区域を判断する。
西脇知事は方針の変更について、感染ルート不明者の増加や政府が隣接の大阪府などを対象に緊急事態宣言の準備に入ったことを考慮したとし「児童生徒の健康を守るため」と強調。府北部と南部で感染状況に差があることなどから「地域ごとに異なる判断となる可能性も十分にあると思う」との見方を示した。再開を発表して間もない休校要請に「非常に迷惑を掛けた」と陳謝した。

京都、滋賀で6日までに再休校を決めた教委
▽京都市(10日~5月6日)
▽宇治市(小9日、中10日~5月6日)
▽亀岡市(8日~5月6日)
▽城陽市(小8日、中9日~10日)
▽向日市(小10日、中11日~5月6日)
▽長岡京市(小9日、中10日~5月6日)
▽八幡市(7~13日)
▽京田辺市(小6日、中7日~13日)
▽木津川市(小6日、中7日~10日)
▽大山崎町(10日~5月6日)
▽井手町(6~14日)
▽精華町(小8日、中9日~14日)
▽草津市(10~19日)
▽栗東市(9~19日)
▽甲賀市(8~19日)
※かっこ内は期間。小は小学校、中は中学校。京都新聞社調べ

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発達マイノリティーという考え方

発達障害は「障害」か 発達マイノリティーという考え方/下

西田佐保子・毎日新聞 医療プレミア編集部
2021年4月4日【毎日新聞】

「発達障害」は、先天的な脳の機能の偏りにより生じる障害の総称で、自閉症スペクトラム障害(ASD)、注意欠如多動性障害(ADHD)、特異的学習障害(LD/SLD)などが含まれます。重度のASDの作家・東田直樹さん(28)によるエッセー「自閉症の僕が跳びはねる理由」が原作のイギリスのドキュメンタリー映画「僕が跳びはねる理由」(2020年)の字幕を監修した、明治大学子どものこころクリニック院長で、東田さんとも交流のある山登敬之さん(63)は、発達障害ではなく、発達マイノリティーと呼ぶことを提唱しています。(前編「映画「僕が跳びはねる理由」で知る発達障害の誤解/上」)

発達障害は病気ではない
――山登さんは、精神的ストレスから生じるうつ病や統合失調症などの2次障害がなければ、特に発達障害に積極的な診断は必要ないとの考えをお持ちですが、その理由をお聞かせください。

◆発達障害は病気ではありません。「障害」とされているものは生物学的な特徴であり、個人差です。個人が困ることなく生活できていれば、診断の必要はないと思います。ただ、2次障害の他にも、日々の日常生活を送る上で支障があり、ご本人が悩み、周りも心配するケースなどがあります。その場合、医者がサポートできることがあれば、もちろんします。福祉のサービスを受けるために診断書が必要になるとか、そういうときも、ですね。

――いわゆる“大人の発達障害ブーム”で、その概念は広く知られるようになりました。

◆ASDであれADHDであれ、発達障害の人は、周囲の人と比べ自分にはできないことが多い、自分は周囲と違うなどと感じて、寂しい思いも悔しい思いも重ねてきています。「大人になって発達障害と診断をされて、自分の生きづらさに合点がいって、それから道が開けた」といった話ばかり注目されます。しかし、診断がついたからといって根本的な問題が解消されるわけではありません。発達障害に根本的な治療法はないのが現実ですし、必要なのは治療より支援です。マイノリティーはマイノリティーのまま生きていく。大変な思いをすることには変わりがないわけですよね。だからこそ、支援の重要性に目を向けるべきだと思います。

――ADHDの場合、薬物治療という選択肢もあります。また、不注意、多動性、衝動性などADHD特有の思考の“癖”と捉え、何らかの対策を取ることも可能ではないでしょうか。

◆確かにADHDの場合はできないことが具体的なので、工夫のしがいがあると思います。ASDの人たちのように、コミュニケーションの仕方がわからず人間関係を築けないという方に、助言をひとつするのも難しいじゃないですか。その点で言えば、ASDとADHDでは異なります。

――先ほども「マイノリティー」という言葉が出てきましたが、山登さんは「発達障害」の代わりに「発達マイノリティー」と呼ぶことを提唱されています。

◆「セクシュアルマイノリティー」から着想しました。後から知りましたが、僕よりも前に「発達的マイノリティー」と表現している精神科医の人もいますし、最近、発達障害の著作でベストセラーを出した本田秀夫さんは、発達障害は生きづらさを抱える少数派の「種族」であると言っています。
発達障害の人は、生まれつき皆と違うから「障害」と言われてしまいます。でも、発達の仕方は人それぞれ異なります。発達が平均的集団と異なる一群に名前をつけただけですから、社会的には「マイノリティー」と考えてもよいのではないでしょうか。

ASDの人たちの進路はどう決まる?
――日本の精神医療の現場では、米国精神医学会の作成する国際的診断基準「精神障害の診断と統計マニュアル(DSM)」をもとに診断する医師が多いといわれています。DSMの第4版(DSM-4)には「広汎(こうはん)性発達障害」というカテゴリーがあり、多くのケースで知的障害を伴う「自閉症」、知的障害は伴わない「アスペルガー症候群」、一部自閉症の特徴がある「特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)」といった分類がありました。しかし、13年に改定されたDSM-5からは撤廃され、ASDという単一の診断名に統一されました。そのことにより診療の場で混乱が生じませんでしたか。

◆DSM-5でASDを診断するには、「複数の状況で社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的な欠陥」と「行動、興味、または活動の限定された反復的な様式の存在」という二つの項目を満たす必要があります。「スペクトラム」は連続体を意味しますが、これは同じASDでも特徴の「濃淡」は異なるということです。特徴が濃い、つまり障害の重さ、生活の不自由度などは人それぞれで、精神医学的に障害として同じグループになっても、必要な支援は異なるのです。
ASDは人口の約2%を占めると言われていますが、軽度の方が最も多く、重度の方が最も少なくなっています。東田さんのような、会話も困難な、いわゆる古典的な「カナー型自閉症」の数は限られます。東田さん自身も、「僕みたいな自閉症とアスペルガーみたいな人たちを一緒にして語るのはどうか」と話していました。

――ASDの治療法は確立しておらず、療育が重要になります。ASDの人の多くはいつ診断され、どのように進路を決めていくのでしょうか。

◆日本は1歳半と3歳時の検診で、子どもの成育過程をチェックしていきます。3歳検診の時に言葉が出ないなど、同年代の子どもに期待されることができない場合、公的もしくは民間の療育のサービスを受けられます。そして、保育園や幼稚園で年長のとき、就学相談を受けます(ただし任意)。重度のASDの場合は、特別支援学校や特別支援学級に通い、軽度だと、通常学級に入って、週1回程度の特別支援教育を受けることになります。

――東田さんなど重度のASDで会話が困難ながらも知的レベルが高い人が、一般の人と同じ教育を受けることは難しいのでしょうか。

◆東田さんは小学校6年生から中学校卒業までは特別支援学校に通ったけれど、ちゃんと勉強したいということで、通信制高校に入学して卒業しています。ただ、重度のASDで会話ができず、知能検査で要求する問題に答えられないと、知的能力が低いと判断されてしまいますから通常の学校に通うのは難しい。「そのような検査が彼らに適切か」「その知能を正しく数値化できるのか」という問題もあり、教育現場の状況は変わっていません。

――卒業後は、どのような道を進むのでしょうか。

◆障害者雇用枠で企業に就職する人もいます。ただ、社内で働く人たちの理解や認識はさまざまです。最初は黙って受け入れているものの、知らず知らずのうちに排除する動きが出てきて、それにいたたまれなくて出勤できなくなってしまう人もいます。また、通常の就職が現状では困難な人は、就労継続支援A型や同B型といった施設に通所しながら働きます。ただ、そこでも適応できずに家に引きこもる人もいます。

――介護する保護者などが亡くなった場合、生活をどのように続けていくのですか?

重度のASDの方々は施設に入所、もしくはグループホームに入居するケースが多いですね。介護のサービスを受けながら、アパートから福祉施設に通所する人もいます。

日本はそれこそ高齢者の介護もそうですが、家族任せの面がまだまだあるので、介護する両親の体が動くうちは子どもの面倒をみようとする。ASDの人の自立を考えたら、もっと多くの選択肢があればよいと思います。

――海外でASDの人たちはどのように見られているのでしょうか。

14年に「シンプル・シモン」というアスペルガー症候群の青年を主人公にした映画が公開されました。あの中でシモン青年は「触らないで、アスペルガーです」と書いたバッジを胸につけているんですよ。感覚が過敏なので不意に触られるとビックリしてしまうというわけです。でも、「それだけこの種の障害が社会に認知されているんだな」と思って感心しました。日本では「アスペ」といったら、「コミュ障」と同様、一種の悪口ですから事情が全然違いますよね。

――ASDの方々が個性を伸ばし、満足度の高い生活を送るためには、私たちの手助けが必要だと、東田さんも語っています。具体的にどのようなサポートをすればいいのでしょうか。

◆例えば、足の悪い方が重い荷物を持って階段を1段ずつ上っていれば、僕らは何をすればいいかわかります。でも、電車の中で大きな声を出して、ぴょんぴょん跳びはねている人を見かけて「どうしたの?」とたずねる人は少ないでしょう。
ひょっとすると、その人は楽しんでいるだけかもしれない。でも、その人も、東田さんと同じ生きづらさや苦悩を抱えているかもしれません。そのような、伝わりにくい、伝えにくい、ギャップをどう乗り越えるか――。

先ほど、ASDの人たちの進学や就職などについてお話ししました。まずは、彼らの存在に関心を向けること、彼らがどのように生活しているかを知ることが第一歩かと思います。

やまと・ひろゆき 精神科医、医学博士。明治大学子どものこころクリニック院長。筑波大学大学院博士課程医学研究科修了。専門は児童青年期の精神保健。主な著書に「新版・子どもの精神科」(ちくま文庫)、「子どものミカタ」(日本評論社)、「東田くん、どう思う?」(東田直樹さんとの共著、角川文庫)ほか。

映画「僕が跳びはねる理由」
公式サイト https://movies.kadokawa.co.jp/bokutobi/

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映画「僕が跳びはねる理由」が京都でも上映されます。
アップリンク京都
https://kyoto.uplink.co.jp/map
tel. 075-600-7890 kyoto@uplink.co.jp
〒604-8172 京都府京都市中京区烏丸通姉小路下ル場之町586-2 新風館 地下1階
4/16(金)~ 公開 時間未定
4/17(土) 『僕が跳びはねる理由』特別ビデオ舞台挨拶開催 時間未定

かたずけられない


子どもが自分の部屋を片付けられなくて、部屋がいつも物で散乱していて困っておられる方は少なくありません。散らかっている部屋にいるのに平気でいるというのは、どうしても心配になりますし、部屋を片付けて生活してほしいと思うのは当たり前です。
部屋を散らかす子どもは片付けが苦手で、言われて部屋を片付けても、あっという間にまた散らかってしまうものです。
あまりにも汚い部屋で暮らしている子どもは、もしかして病気なのではないだろうかと不安に思われる方もおられると思います。
病気でなかったとしても、部屋を片付けられない子どもは、いつまでたっても片付けられないままなのだろうかと心配になり、どうすればよいのか悩んでいる方も少なくありません。
部屋を片付けられないという病気や障害は確かに存在します。
しかしきちんと観察して、ひとりひとりの子どもに合った対応をしていくことで、片付けられない子どもも、片付けられるような方法がみつかります。
また、病気や障害とまで言えなくても、片付けられない子供に寄り添って、片付けられるようになるまで親が教えたり手助けしたりすることで、多くの子どもは片付けられるようになるものです。

なぜ子供が片付けられないのか考えてみると以下の理由が考えられます。

★必要性を感じていない
片付けをしない子どもたちの中には、『部屋が散らかって汚くなっていても気にならない』という子どもがいます。
片付けられない子どもたちは、部屋がおもちゃやゴミ袋が散乱しているような状態でも気にならず、片付けをする必要を感じていません。親が『片付けて』とか『掃除をして』と言っても、家族みんなが気持ちよく暮らすという他者の視点がわからないので掃除や片付けをしなくても良いと考えています。
★片づけ方がわからない
または、ただ単に面倒くさくて掃除が大嫌いなので、片付けができないという子ども達もいます。片付けをしなくてはいけないと感じながらも、どうやって片付ければ良いのか分からないで、結局散らかった部屋のままでいる子どもたちもいます。片付け方が分からない子どもには、大人が丁寧に片付け方を教えることで、うまく片付けられるようになります。

★ストレスが原因になっているケース
子どものストレスが原因になっているケースも考えられます。子どもの生活の中の、学校生活、家庭環境、親子関係、夫婦関係、友人関係などの中で大きなストレスを感じている場合、心に抱える問題が大きくて、その子どもの中では片付けをしている場合ではない、片付けをする気も起きないような心理状態になっているケースです。ストレスによって片付けができない子どもの場合、やはり片付けよりもその子どものストレスの原因となっている問題を、解決していく必要があります。

★病気や発達障害などによるもの
『片付けられない症候群』と言われるADHDやADDという発達障害がありますが、この障害を持っている場合、その子どもは片付けがとても苦手です。ADHDである場合は、脳の機能的な障害に原因があり、『不注意』『多動性』『衝動性』と言う特徴を伴っています。
ADHDの特徴である、うっかりミスがとても多かったり、少しもじっとしていられない性格だったり、衝動性を抑えられないなどコントロールがしにくい性質を感じられる場合は、正しく診断をしてもらう必要があります。
発達障害と診断されたら、その障害に合った支援や薬の力で、片付けられないことも含め、生活の不自由さを和らげることができます。
片付けられない子どもの中には『ため込み症候群』といわれる強迫性障害のひとつ、ホーディングという障害を持っている場合もあります。『物を集めすぎて困る』とか『捨てられない』という特徴があります。ADHD、強迫性貯蔵症のほか、ASDのこだわり等柔軟性の欠如が原因の場合もあります。
そのほか、うつ病、セルフネグレクト、統合失調症、認知症。これらの病気は、ストレスが原因で引き起こされる病気です。

片付けられない子どもが片付けられるようになるには、大人の助けが必要です。言葉を教えるように、子どもに片付けを教えていきます。
一緒に片付けを始めることで、片付けに対する重要性に気が付く機会となります。
部屋での探し物が多かった子どもなら、一緒に分類したり、整理したりする作業を通して、部屋を片付けることは生活を快適にし、物の置き場所を把握することが、便利で心地よいことであるということが分かってくると思います。一緒に片付けをしていく中で、片付けられない理由や行動の癖が分ってくると思います。つい散らかしてしまう癖を解消するための対策を一緒に工夫することで、散らかさないためには『具体的にこんな工夫をしたい』という、対策の意図も理解してくれます。
例えば、ゴミ箱の置き場所ひとつとっても、ゴミを入れやすい場所へ移動するだけで、ゴミ箱へゴミを入れる行動がかなり増えると思います。脱いだ服を床へ置きっぱなしにされないように、サッとひっかけられるフックを壁に取り付けたり、かけやすいハンガーラックを用意したりすればよいかもしれません。帽子やかばんなども、簡単にかけられるようポールハンガーやハンガーラックがあると、簡単にひっかけるだけで片付けられる仕組みを作ることができます。

部屋が汚いと怒るのに、部屋をきれいにしても褒めないでいるという事も多いです。怒られて仕方なくする片付けと、片付けたら褒められるという片付けだと、片付けをした時の気分がよいものになるか悪いものになるか、ずいぶん違ってきます。『片付けを始めた時』『片付けをしている時』『片付けが終わった時』など、こまめにほめて、子どもの片付けへのやる気を引き出していきましょう。
逆に、もし片付けが上手くいかなくても、怒ったり嫌味を言わないことが重要です。ほめるという大人の行動は、片付けが嫌いな子どものやる気を引き出していきます。みんなの一員として、子どもに『お手伝い』として役割分担を与えましょう。お手伝いのご褒美としては、『褒めること』が最もよいのですが、なかなかお手伝いをしてくれない子どもには、お手伝いの分担をこなしたら、例えば何か好きなことをしてよいというご褒美などを与えると、お手伝いも続けられるようになります。
片付けられない子どもには、それぞれ違った理由や原因があります。
親が子どもを見守り、必要な時に必要な助けをタイミングよく差し出し、子どもに寄り添っていくことで、片付けられない子どもも少しずつ片付けられるようになります。
片付けは教えていかなければならないものであると意識して、ひとつひとつ褒めながら教えてあげるとうまくいきます。

 

絵カードセンター

絵カードセンターは、自閉症支援に特化した絵カードのサイトです。絵カードの作成とダウンロードができ、絵カードの作り方・使い方など関連情報も提供中。自閉症の子どもを持つご家庭や特別支援に関わる先生は、ぜひ絵カードセンターを活用してください。視覚支援、PECS(ペクス)の絵カード、TEACCH(ティーチ)構造化の絵カードにも使えます。

絵カードメーカー (楽々絵カード作り)

絵カードメーカーでは、自閉症の子どもに使う絵カードが簡単に作れてダウンロードできます。一日のスケジュール表やカレンダーでよく使うイラストが揃っています。スマホで撮った写真からでも絵カードが作成できます。文字入れも自由自在。絵カードのサイズは、3種類から選べます。

PECSの絵カードはiPadアプリのPECSⅣ+を購入するとバーチャル絵カード(アプリ上のみ使える絵カード)が実装されていますが、PECSⅣ+のPECSが使えない人や、実物ブックも使う場合には絵カードを作る必要があります。個人的な経験では1年目で300単語程度を使うようです。そんなときにパパっと作れたらなぁと思う事はしょっちゅうです。また、名詞はほとんど写真で済むのでまだ良いのですが、動詞や形容詞等汎用性の高い単語は絵カードとなり、できるだけ家庭や学校でもそろえたいのですがなかなか一致しません。市販のアプリでも帯に短し襷に長しのものも多いです。こんなWebが出てきたことはうれしい限りです。ぜひ使ってみます。

発達性協調運動障害児の手先の不器用さ改善

確率共鳴現象で発達性協調運動障害児の手先の不器用さ改善、畿央大学などが検証

2021年4月5日【大学ジャーナルオンライン】

畿央大学の信迫悟志准教授らは、武庫川女子大学、明治大学、慶應義塾大学と共同で、コンパクトな確率共鳴装置を手首に装着することで、発達性協調運動障害を有する児の手先の器用さが改善することを明らかにした。

発達性協調運動障害(DCD)は、麻痺はないが協調運動技能の獲得や遂行に著しい低下がみられる神経発達障害の一類型。学校生活・日常生活やスポーツ活動の様々な運動スキルに不器用さが現れ、自己肯定感・自尊心の低下や不安障害・抑うつの増加といった心理面への影響も懸念される。DCDの頻度は学童期小児の5~6%と非常に多く、その過半数が青年期・成人期にも協調運動困難が残存するとされる。

一方で、身体への微弱な機械的ランダムノイズ刺激による感覚・運動機能の改善は、古くから知られている。この改善は確率共鳴(SR)現象と呼ばれ、健常者に加え脳卒中後片麻痺患者・パーキンソン病患者・脳性麻痺児でも観察されている。しかし、DCDを有する児に対する介入報告は極めて少なく有効性は不明だった。

研究グループは、6~11歳のDCDを有する児30名(平均年齢9.3歳)にSR現象を用いた二重盲検介入研究を実施。児の両手首に装着された振動触覚デバイス(SRデバイス)による振動触覚ランダムノイズ刺激によってSRを提供し、手先の器用さテスト(微細運動機能テスト)を行った。その結果、SR装置によってSR現象を付与している際に、DCDを有する児の手先の器用さが有意に向上した。

ただし、SRによる改善効果はその直後のSRを提供しない際に持ち越されなかった。今後は、SRの提供時間の長さやSR装置装着中の運動の種類と「持ち越し効果」との関連についての研究が必要としている。

論文情報:【Frontiers in Neurology】Influence of stochastic resonance on manual dexterity in children with developmental coordination disorder: A double-blind interventional study

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発達性協調運動障害(DCD)の子どもは、「ミルクを飲むときにむせやすい」「寝返りがうまくできない」「ハイハイがぎこちない」など、乳児のうちからその兆候は現れてきます。保育所や幼稚園に通うような幼児期には、「階段の昇り降りが苦手」「はさみがうまく使えない」「着替えが遅い、難しい」など、さまざまな形で症状が現れます。

DCDの頻度は6~10%と高く、小学校の30人学級ならクラスに2、3人はいる計算になります。注意欠如・多動性障害(AD/HD)の約30~50%、限局性学習障害(LD)の子どもの約50%に見られ、自閉症スペクトラム障害(ASD)と併存することも多くあります。そして、この障害は大人になっても、50~70%と高い頻度で残存するとされています。

これまでも発達障害のある子どもに不器用さが見られることは認識されていましたが、そのような症例が単独にも存在し、発達障害の子どもたちを理解し、支援していく上で重要であることが、近年専門家により指摘されています。発達性協調運動障害(DCD)の子どもたちの「不器用さ」は、生活の場面でも、学習の場面でも、本人の心に大きな負担となります。不器用さは、専門家ですら脳の機能障害と理解している人は少ないために周囲からの支援は受けにくく、逆に、保護者や教師から間違った対応がなされて、事態が悪化するケースがあります。

例えば、「縄跳びが飛べない」「縦笛が吹けない」「字をマス目に収められない」、そのような子どもに対して、教師も保護者も「練習が足りない」「怠けている」「だらしない」「何度も繰り返せば、必ずできるようになる」として、反復練習を強いる指導をしがちです。本来は発達障害の一種であることを理解した上で、ていねいな説明と適切なサポートや合理的配慮を行うべきなのに、挫折感や屈辱感を与えるような訓練が繰り返され、結果として本人の自尊感情が大きく損なわれます。

どんなに運動が下手でも、体を動かすことが嫌いな子どもはいません。比較されることがなく、“ここでは下手でもいいのだ”とわかれば、子どもたちは安心して運動にチャレンジします。小さな目標であっても、それを達成した喜びは子どもを前向きな気持ちにさせます。その環境の一つが、DCDの子どもたちが比較的多い放デイと言えます。運動が苦手で学校では外野に追いやられ、ボールが回ってこないのでスポーツの楽しさを得ないまま高学年になる子どもが少なくありません。そうした子どもたちにとっての放デイでのスポーツは、外野の声を気にせず安心してスポーツが楽しめる条件があります。

そして、今回の研究成果は、手先の不器用さにアプローチするデバイスの開発でした。これはもともと内視鏡手術などで敏感な感覚を必要とする道具として開発が進められていた技術です。DCD支援のセオリーは粗大運動から微細運動にというもので、いきなり細かな手先の運動から入るのは禁忌なのですが、このデバイスがあれば器用さが増すというものです。残念ながらこのデバイスがないと効果は持続されないのでさらなる研究が待たれます。

学童保育のありかた

学童保育(乙訓では留守家庭児童会)は「地域で子育てする」制度で、「子どもは放課後に育つ」視点を持った地域事業とも言えます。嘱託職員や派遣労働の職員が人材となる中で、子どもが自ら通いたくなる学童保育にするためには、教育福祉家庭の連携以前に学童保育の運営方法を検討する必要があると言われています。
「子ども主体の学童保育」の理念を掲げ、地域の指導員会議や研修会をもち、理念をどう具体化するかに腐心する中で、親も子も次第に学童保育に好感を寄せ始め大型の学童保育所も好評を得ているという報告もあります。その中身は、保護者の多くが、「外遊びが多く」「手づくりおやつは美味しく」「子どもは楽しく通えている」、「子どもの気持ちを大切にしてくれる職員」が多く、「楽しい行事が増え」、「家庭との連携」も「トラブルへの対応」も適切にされていると評価しています。ステークホルダー(利用者)を大切にする方法を抜きにしてどんな組織も発展はありません。
良い学童保育は、①学童保育運営に責任を持つ法人等の正規職員の採用で学童保育実践の持続可能性を図ること、②正規職員を核にした責任ある運営体制を創出すること、③保育内容をお仕着せのものから子どもと共に作り出すものに転換すること、そのために、④職員間の連携を深めること だとしています。
学童保育を「子どもの生活」を守るための地域拠点として位置づけ、家庭と深く連携し、学校との連携も図る、「福祉と教育をクロスボーダー」できる位置に置くことによって、居心地のよい子どもの居場所を創出し、親子関係の修復、家庭や地域の再生にも寄与できるのではないかといわれています。そのためには、利用者=ステークホルダーの意見聴取や運営への参加は欠かせません。