すてっぷ・じゃんぷ日記

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ハサミ

U君がスケジュールに書いてもいないのに「ハサミくださ~い」と言って牛乳パックを分解する作業を要求しました。U君のこれまでの自発的な要求と言えば「キッチンラーメンくださ~い」と「サイダー飲みま~す」だけだったので職員は驚いたと言います。

U君は自発的な要求が少なくて、結果、事業所から飛び出して大人の注目を集める不適切行動になってしまうので、「嫌ではない作業」に大人が注目して褒めると言うことを繰り返してきました。その結果注意喚起行動はなくなったのですが、好きなことがなかなか見つからないのは同じでした。

そんな中での「ハサミくださ~い」だったので、ハサミを使う活動が好きなことが分かったのです。お母さんに聞くと小さい時にはハサミでいろんなものを作るのが好きだったそうですが、大きくなると使わなくなったそうです。原因は不明ですが、切り出すレパートリーが尽きて飽きたのかもしれません。

たまたま、他の人が作業しているのを見てハサミ大好きが蘇ってきたようです。U君たちの好きなものを探すのには大変苦労をしています。好きなものがないと、新しいことや苦手なことに取組む際に交渉ができないからです。だんだん上手になっていくということは伝えにくいので、どうしても好きなことと引き換えの交渉が大事だからです。らーめん・サイダー・ハサミと、飽きないうちに次の好きなものを探すために、TTAP(TEACCH Transition Assessment Profile:移行アセスメントプロフィール)を使ってみようかなと考えています。

 

はさみチョキチョキ

Kちゃんが初めて鋏に挑戦しています。線に沿ってチョキチョキ切っていくのですが、紙をうまく固定するのが難しいようです。鋏のコツは実は添える手が重要です。みんな鋏の利き手に注目しがちですが、紙は固定しないとうまく切れません。紙をどう固定するのか、どこを持つのか、どのくらいの力で固定するのかを、鋏の利き手と連動させてつまんだり添えたりするのです。

就学前で鋏を使わなくても、教えればだんだん上手になるので心配はいりませんが、実はこうした手先の活動は粗大運動と並んで重要なのです。ものを変化させる(紙を切る)ために、自分の方が力や位置を調整しながらモノに働きかけていく活動は、自己コントロールの力を育てていきます。もちろん粗大運動でもこの力は育つのですが、対象物が変化するところが重要なのです。Kちゃん口をひん曲げて上手に切ろうと頑張っています。