すてっぷ・じゃんぷ日記

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山に行きたい!

 ある日のお迎え前の時間に、K君のお母さんから電話がありました。「K君が雷が怖いのですてっぷに行くのを渋っている。」というのです。確かに西のほうを見ると雲がかかっており、夕方からくもりの予報になっています。お母さんが本人に直接伝えさせたいとのことで、職員が電話でK君と話すことにしました。「K君、今日は公園でフリスビーして遊ぶ予定なんだけど来ない? 雷が怖いなら、室内遊びでもいいよ。」と職員が伝えると、意外な答えが返ってきました。

 「山に行きたい。」

 K君とは別グループの活動に山登りがあったので、「山登りに一緒に参加する?」と聞くと、K君は「うん。早くすてっぷに行きたくなってきた。」と答えました。

 その後、K君が来所してきました。来ることを渋っていたような様子は全く無く、ニコニコしていました。職員が「今日は頂上まで行く予定だよ。結構歩くけど大丈夫?」と聞くと、「頂上まで行くと何があるの?」との質問。「頂上から見える景色はきれいだよ。」と伝えると、「そうなんだ。見たい!」と言って、わくわくしている様子でした。山登りに行くと、天気予報の予想よりも早く雲が広がってきて雨も降ってきました。頂上までは行くことができませんでしたが、友達や職員といっしょに楽しそうに下山。その日の振り返りでは、「楽しかった。」と満足している様子でした。

 活動をするにあたって、見通しを持たせることや決まったルーティンがあると、子ども自身が抵抗なく参加できたり不安を解消できると筆者は考えています。いつもなら来所してから個人スケジュールやホワイトボードで視覚的に見通しを持ってもらっていますが、今回は来所前のこと。雷が苦手なK君は西の空の雲を見て、足取りも重かったのでしょう。「すてっぷでは、今日何をするんだろう?」という気持ちも重なって、不安だったと思います。今回は電話で職員とコミュニケーションが取れ、気持ちを受け止めてもらい、見通しを持てたことで来所することが出来ました。

 すてっぷでは、本人の思いや希望を受け止めてやり取りすることで、納得して前向きに活動に向かえるようにしたいと思っています。山登りに行きたい気持ちを受け止めてもらうことでKくんの心が晴れたようで、「今度は頂上まで行く!」と職員に伝えて笑顔で帰路につきました。

 

絵カード ポイッ!

今日の、I君のスケジュールには最初に公園遊びが入っていました。ところが、職員が確かに入れたはずの公園絵カードが貼ってないのです。おしまい箱を見てみると「終わった」ことになっています。I君だなとわかりました。実は今日の天気は雨こそ降っていないのですが、曇っていて怪しい感じはあります。I君の苦手は「雷音」です。雷が鳴ると怖いのです。

I君はおしゃべりもできるし、人を笑わせるのも好きな子です。けれども、人と交渉するのが苦手なのです。交渉が苦手な人の多くは、嫌なことや困ったことも訴えることができず一人で「解決」しようとします。今回は、スケジュールにある「公園行き」でもしもの雷音に見舞われないように、自分の「公園行き」をないことにしたのです。

それに気づいた職員が「どうだろうねー、雷鳴るかもしれないけど鳴らないかもね、とりあえずみんなも行くし行ってみない?」と大好きな子も行くことがわかったのか、「なら行こっかなー」と自分で決めました。話してみれば否定的な情報だけなく肯定的な情報もある事が分かります。でも、人に話しかけない限りはその情報は得られません。

また、人に自分の困った事を聞いてもらうだけで、そんなに深刻な感情があったわけではないことも自覚できます。今度はスケジュールから絵カードポイを見つけたら、その絵カードを持って「あのさー このスケジュール困っているけどどうしよう」と交渉に来てくれるように支援しようと思います。公園行の車の中では安心したJ君のおしゃべりが楽しくはじけていました。

本日も雨の合間に里山公園で遊んできました。帰ってきたらゴロゴロと雷鳴が轟いていました。

近年になって落雷は温暖化などの影響で、ゲリラ豪雨やスコールのような大雨に伴って増加傾向にあるようです。従来は、山間部での落雷が主でしたが、ここ数年は都市部での落雷のケースが増えていると考えられています。雷は「高い所・高い物・高く突き出た物」に落ちやすい性質があります。建物の屋上・山の頂上などや、また、周囲に高いものがないグラウンドや、平地が広がる公園・ゴルフ場・屋外プール・堤防・砂浜などは要注意です。落雷による死亡事故で1番多いのは「開けた平地で雷の直撃」、2番目が「木の下の雨宿りでの落雷」です。この2つが全落雷事故死の半数以上を占めます。建物の軒先で雨宿りするは非常に危険です。建物に落雷してしまうと、雷の電気は外壁を伝って襲いかかってくるからです。また、木の陰での雨宿りも、間接的に落雷する可能性があります。「ビル・高い物・木からは、屋外ではできるだけ離れる」が原則です。