すてっぷ・じゃんぷ日記

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調子のいい時こそ支援のチャンス

先日のブログ(「子ども達の変化 フィードバック 投稿日時 : 05/31 」)で少し書きましたが、子ども達が良い変化を見せ始める時があります。

子ども達の課題を感じた時、それをどのような支援をしたらそれが解決できるのか、或いは少しでも軽くできるのかを考えます。それぞれの子どもの得意不得意を見ながら支援を計画していきます。

子どもが課題のある姿を見せている時、試行錯誤しながら支援を続けていきます。ただ問題がある時があり、少しその課題がなくなった姿を見ると続けていた支援もパタッとやめてしまうことがあります。

子どもが良い姿を見せた時こそが支援のチャンスです。じゃんぷに通う子どもの中に少し言葉遣いが荒い(乱暴な)子がいます。(本人に悪気はないですよ!)「誤解されるよ」と言っても意味がよくわかっていないので「〇〇します、と話します。」と続けてきました。

その子は自信のついた学習は自分で進めたい、という気持ちがあります。そういうときも「もう教えんといて!自分でやるわ!」と少し乱暴な口調でしたが、ついこの前「ちょっと待ってください、自分でします。」と話してきました。「今の言い方とってもよかったです!」と返しましたが、それで終わらずこれからも支援は続けていきます。今、調子がよいからこそ入るでしょう。

新しい仲間

 出会いの季節と言えば春。ですが、まだ肌寒かった2月に、すてっぷへ新しい仲間がやってきました。小学生のAくんは活発な子で、年上の友だちにも物怖じせず、元気に話しかけます。声が大きくなりがちで、職員が声のレベルを提示することで、小さな声で話せるように練習をしています。

 もう一つ職員が気になったのは、友だちへの誘い掛けの言葉。「○○くんはこっち、△△くんはあっちをして」と、誘うというよりも、なかば指示のような声掛けになってしまいます。年上の友だちにも同じように声をかけてしまい、「なんで決められな、あかんねん」と反発の声が返ってきます。そこで職員から、「~しよう?」や「~はどう?」といった、相手が受け入れやすい誘いの言葉に言い換えられるように練習してきました。

 先日は年上の友だちたちといっしょにボードゲームで遊びました。人数が多かったので2グループに分かれることに。Aくんははじめ違うグループだったのですが、他方がしていた『スライドクエスト』というゲームに興味を持ちました。『スライドクエスト』は箱の四方にレバーがあり、そのレバーを動かすことで箱の中のステージを傾け、駒をゴールへ動かしていくというゲームです。レバーは4つですから、当然一人ではできません。2~4人が協力してレバーを動かすのです。

 「『スライドクエスト』したい!」と伝えたAくん。グループみんなもしたいとなり、他方のグループと交代して『スライドクエスト』をすることになりました。早速Aくんは「○○くんはそっち、△△くんはこっちのレバーね。僕は2つする!」と宣言します。そこで職員が「他の子が2つしたかったらどうする?」と聞くと、Aくんは「あっ、そうか! どうする?」と自分から2人に聞くことができました。Aくんすごい!と内心驚きの職員。日々の成長が現れた場面でしたが、Aくんがやりたい!と思える遊びだったからこそ、発揮できたのだとも思います。毎日の取り組みが面白いと思えるよう工夫して、支援の機会を作っていきたいと思います。

お出かけの計画

じゃんぷに通う中学生の中に、お出かけをするのが好きな子どもがいます。先日は友達と淀川河川公園にある「さくらであい館」に自転車で行ったそうです。

その子は読み書き計算にかなり強い苦手意識があります。計算機を使うこと等はルール違反と思っているのか使おうとはしませんが、本来は使うべきでしょう。なので学習の中ではなく、本人の興味のあることの中で使うことにしました。

知的好奇心の強い子なので、いろんな場所に行きたいと思っています。歴史に興味があるので本来は海外にも行きたいそうですが、現実的に行ける場所に絞って、「ここに電車で行くとしたら往復いくら必要かなぁ」というと、計算機を使います。それで計画を立てる練習もしつつ、学習に計算機を使うハードルを下げたい、と考えています。

次は8月にある山科のお祭りに行きたいそうです。山科は乙訓からだと電車を使わないといけないので、また練習をする良い機会になりそうです。

「今度はこおり鬼!」

 「いっしょにあそぼ!」(2023/2/7)で紹介した支援学校小学部のPさん。友だちのことが大好きで、今日は友だちと遊べるかな?と思いをはせて帰ってきます。すてっぷに着くと、まずは自分や友だちの予定が書かれているホワイトボードを確認。下校時間の都合でPさんが先に公園に行くことが多いのですが、友だちと遊べることを心待ちにしていて、「〇〇くん、もう来る?」と職員に尋ねる姿も見られるようになってきました。

 友だちとの遊びは、職員が支援しながら行っています。鬼ごっこは職員との1対1からスタート。最初は逃げるだけだったのが、タッチされたら鬼が交代して、今度は自分が追いかけるということが理解できるようになってきました。職員が付いて、友だちと一緒に鬼ごっこすることにも最近取り組んでいて、今は「こおり鬼」にチャレンジしています。鬼の交代がなくPさんにとって分かりやすい中で、こおりの人を助けたり、逆にこおりになっているところを友だちに助けてもらったりと、友だちと関わりながら遊んでいます。

 先日のこと、Pさんは一足早く大きなU公園へ行き、友だち達は学校が終わって集まり次第、近くのV公園へ行くことになっていました。すてっぷに帰ってきたPさんはいつも通りホワイトボードを確認。するとPさんは、「1番U公園、2番V公園!」と職員に伝えました。最初にU公園に行って職員と遊び、次にV公園に行って友だちと遊びたいと伝えたのです。Pさんが自発的に伝えられたことを職員はほめ、友だちの来る時間に合わせてU公園からV公園に移動しました。V公園は比較的狭い公園で、「田んぼの田」をすることに。Pさんはいつもの鬼ごっこのように田のエリアに気づかず逃げていきます。ですが職員がPさんに田のエリアを注目させると、友だちの動きをまねながら、田のエリア内をぐるぐる逃げ回るようになりました。次は大繩での八の字跳び。これも始めはその場跳びになっていたのですが、後半は友だちの動きをまね、外から縄に入ろうと伺うように。職員がタイミングを教えることで、見事縄に入って一度跳んでから外に出るという、八の字跳びの動きができて、友だちと一緒に続けることができました。

 学校が違っても一緒に遊べる場を作れることが放課後等デイサービスの強みの一つだと紹介してきましたが、そこで発揮される子どもの能力のすごさには改めて驚かれるばかりです。それと同時に、その機会を逃さないためには、適切に支援できる能力が必要であり、職員としては身を引き締まる思いがします。Pさんの保護者の方によると、Pさんは家でも姉妹やその友だちも意識して、いっしょに遊ぼうとする姿が見られるようになってきたそうです。Pさんを初め、すてっぷの子どもたちが豊かな放課後を過ごせるよう、励んでいきます。

支援の共有

 

 すてっぷでは特に支援計画の見直しの時期を固定しているわけではありませんが、4月入所の方が比較的多いこともあり、6か月ごとの見直しが重なる時期が生まれます。この2月、3月がまさにこの時期で、保護者の方に日程を調整していただき、毎日のように面談日が設定されています。

 支援計画の見直しは、事後評価及び次期の支援計画の原案を作成後、常勤職員全員で検討会議をするようにしています。この会議でこの半年の支援の評価が適切か、次の半年の方向性は変更した方がよいか議論し、次期の支援計画案を作成しています。

 ここで次の半年の方向性を考えるとき、どうしても評価に引っ張られてしまうことがあります。評価で出来ていなかったことの支援を続けていこうだったり、評価で『達成』でも続けていった方がいいだろうと考えたりして、次期の方向性が変わらない原案が会議に出されることがあるのです。

 もちろん評価が『未達成』や『ほぼ達成』で、今の支援を続けていけばあと半年や1年で『達成』になるだろうと考え、引き続き支援を行うことを保護者の方に提案する場合もあります。ですが進学や卒業までの期間を考えた時、支援を引き続き行うばかりでよいのか、と立ち止まり、視点を変えることが必要なことがあります。それは進学した姿、卒業した姿を思い浮かべて、そのときに身についていてほしい力、できるようになっていてほしいスキル、そのために今取り組むべきこと(職員にとっては支援)は何だろうかと考えることです。支援する立場としては、今取り組んでいることや、今できないことだけにとらわれず、未来の姿を考えて日々の支援を積み上げていることを忘れずにいたいと思っています。

 支援するうえで何よりも大事なのは、本人や保護者の方、または学校の先生方や他の支援者の方たちと、支援の方向性を共有することです。そのときに、引き続きという言葉は大変便利です。ですが支援者として、時には視点を変えて考えること、結果として方向性や項目を変えるなら、本人や保護者の方に丁寧に説明して提案していくことを怠ってはいけないと思っています。保護者の方にわざわざすてっぷまで来ていただき、面談のために貴重な1時間をいただいていることに感謝しながら、その時間でより良い支援を共有できるよう努めていきます。

興味があるのは良いことです!

先日,相談事業所とのモニタリングで「A君が学校でもとっても生き生きしてるんです!」と話を聞きました。A君は学習に向かいはしますが,苦手な算数の問題等は避けようとする姿がありました。(最後までやり切りますが)

今年の夏ごろ,突然漢字に執着する様子が見られました。漢字の学習をしている時でもそうでないときも,「〇〇って漢字はあるの?」「習ってない漢字は入ってる?」と質問をするようになりました。

お家や学校でも同じことをしているらしく,大人の思いとしては「それよりも今の勉強をしてほしいなぁ…」となるところです。

ですがその気持ちを受け止めつつも今の学習に向かえるよう工夫をする,ということになり,家庭,学校,じゃんぷ全ての場所で同じように対応をすることになりました。

「文章問題の漢字を教えて!」と言われると「問題終わったらね」「今日の算数の終わったら珍しい漢字5個教えるよ」と,その興味を引き出しにしながら学習に取り組みました。

学校,家庭,じゃんぷと同じ対応をするとA君はどこでも学習に意欲的に取り組み,難しかった文章問題も少しずつ自分で取り組むようになっています。(文字に興味を持ってくれたので文章を読む機会が必然的に増え,読む力がついたこともあります。)

子どもが何かに興味を持つことは素晴らしいです。そのことをないがしろにせず,学習に関連付けたりして学習に向かうための引き出しにすることが大事です。

また,今回は関係機関が同じ理解をし,共に支援が出来た事も大きいと思います。子どものことを理解し,共に支援をする。大事だなぁ~~!!!

 

先生,書いて下さい!

先日じゃんぷに通う3年生のJ君が「今日はしんどいかも…先生,算数の宿題,式だけ書いてください。」と要求してきました。

J君は学習に対しての苦手意識が強く,宿題もやりたくない思いが強いです。4月当初,「やりたくない!」という気持ちが強く,宿題を「ない!」と言ってやり過ごそうとする姿も見られました。

読み書きや計算の処理が苦手なJ君にとって,ノートのマス目が小さくなったり,わり算といった学習内容のレベルアップ等,環境の変化についていくので精一杯だったのでしょう。「ここまでやろう。」「式は先生が書くよ。」「ここはなぞってもいいよ。」等,負担を減らしたり個別学習の時間で具体物を示して計算の方法をおさらいしたりし,J君が達成感を得られるように支援をしてきました。

宿題への向き合い方がわかったのか,ここ最近は「宿題嫌だ!」と言わずに黙々と取り組む姿が続いていました。大嫌いだった漢字の宿題もとても丁寧に取り組んでいます。

先日久しぶりに「算数の宿題の式だけ書いてください。」と職員に要求しました。「やりたくないよー!」ではなく具体的に援助を求めることが出来たのです。「わかった,じゃあ書いてる間漢字の宿題やっとく?」と聞くと「うん!」と言って黙々と宿題に取り掛かるJ君。自分の調子を客観視し,援助を要求したJ君の成長に感動した出来事でした。

約分が難しい…

じゃんぷに通うD君が約分に苦戦をしています。そもそも,約分を苦手としている子どもは多いですが,それはなぜでしょう?

約分とは分母と分子を同じ数で割っていくのですが,この『割れる数で割る』というのが少々曖昧で難しく感じているようです。特に計算が苦手であったりこだわりのある子どもにとっては余計にそう感じるようです。

最初はD君が公倍数,公約数を理解していないのか,と思いましたがそういうわけでもありません。それはきっちり理解していました。D君が「一気に終わらせたい。」という気持ちがあるようです。

「分数×分数」「分数÷分数」の宿題やプリントの答えを見ると「16/28」で終わっていたり,傍から見たら「まだ割れるやん!」と思ってしまいますが,D君にとってはそこで力を使い果たしてしまっているようです。

しかしそれで終わりにし,テストで×を貰ってしまうとそれはそれでD君の自己評価が下がってしまいます。

6年生の問題は問題数が多く,書くスペースも少ないです。約分の基礎である「小さい数字で割っていこう」ということを改めて教えつつ,少ない問題数でフリースペースが広い課題を準備し,定着するよう支援をしていこうと考えています。

 

モラル支援

高学年のK君がみんなを待たせているのに、待たせたことを謝罪もしないで下級生に横柄にあたることがあったという報告がありました。スタッフにしてみれば、在宅がちのK君がみんなと遊ぶことができる機会の出鼻をくじきたくなかったという思いがあります。しかし、反省会ではそれは支援だろうかと議論になりました。

まず、不適切な言動をスタッフはあれこれの理由があってもスルーしてはいけないことです。なぜ皆を待たせて謝罪がないのか正面から聞くことです。高学年の存在は、低学年にとってあこがれの存在です。しかしそれは下級生に横柄にしたり謝らなくていい存在ではありません。スタッフがその言動をスルーすれば集団モラルは劣化してしまいます。スタッフは、どんなに急いでいても、相手の気持ちがわかりにくい子どもたちだからこそ、なぜ謝罪が必要か丁寧に説明することが支援です。その場でできないなら後で話そうと保留して、その言動を許してはいないことを全体に示す必要があるという話をしました。