すてっぷ・じゃんぷ日記

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高すぎた目標

W君の指導の事後評価を行いました。W君の目標は、仲間に誘われたら遊べるとか、自分の思いを伝えられる等、社会性やコミュニケーションについて支援学級の子どもによく見られる目標設定でした。けれども、W君はASDの対人相互性の発達に課題があり、目標が高すぎて「達成せず」と評価せざるを得ませんでした。もちろん、あてずっぽうに書いたのではなく、相談事業所から送られてきた資料を基に作成した支援計画で、五月に職員みんなで検討をしたものです。

しかし、今読むとどう見ても支援学級でお友達と話すことが楽しいと感じる子どもの支援計画にしか読めません。W君は、言われたことはある程度理解するし、少しおしゃべりもしますが、応答のおしゃべりがほとんどで自発の表出コミュニケーションが弱いです。人を特定して話しかけていないなど、コミュニケーションの基本のところで課題があるようです。公園遊びでも、誘われれば後ろからついてくるし、みんなと一緒にいるのは楽しいのですが、友達のしていることには興味がないので未だに一人遊びのままです。順番等友達の行為に着目することを目標にするべきだと話し合いました。支援学校の子ども達中心に取り組んでいる的あて等の少人数遊びの方がやるべきことがはっきりして達成感もあり楽しめそうです。

初めて通所利用する子どもの場合、学校や学級在籍、以前の情報を頼りにしてしまい、本人の実態と違う目標を設定してしまうことがあります。間違いを修正するために、相談事業所のモニタリング制度はあるのですが、相談事業所の抱える件数が多すぎて、丁寧に検討できないのかあまり役に立ちません。もう少し、検査結果などフォーマルデーターを提供してもらえれば良いのですが、子どもによってデータの提供量も違います。身辺自立が確立しており顕著な行動問題がないことは、とても良いことですが、療育目標を設定する際には認知特性の情報が欠かせません。周囲が困らないことを基準にするのではなく、本人の特性に応じた目標精度の高い療育を提供していきたいと思います。