すてっぷ・じゃんぷ日記

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勝ち負けよりも楽しさ

 小学生のZくんは勝ち負けにこだわる傾向があります。家族ですごろくをしていて、負けそうになったらすごろくの紙ごとひっくり返してしまったこともよくあったそうです。半年くらい前にすてっぷで人生ゲームをしたときも、Zくんは運悪く大きい目が全然出ずに、「もうやめる!もうやりたくない。」と大きな声で言い放ったことがありました。職員から人生ゲームはお金を増やすゲームで、着いた順で決まらずに一発逆転があることを、開始前にもそのときにも説明を受け、友達からも「まぁまぁ。Zくん、まだ始まったばかりだよ。」と慰められて何とか続けていましたが、お金が減るマスに止まってしまい、「もうやりたくない。もうやらない。」と言って廊下に飛び出そうとしました。

 そこで職員は「やめていいよ」とZくんに伝えました。最後まで続けなければならない、でも負けるのは嫌だという思いに挟まれ、爆発寸前だったZくんは「本当に?」と職員に尋ねました。職員は「いいよ。でも最後までいっしょにいようね」と、最後まで観戦してその場を共有することを提案すると、Zくんは「わかった」と、終わるまでその場にいることができました。それまでは、最後まで続けるか、投げ出すかの2極しかなかったZくんですが、「やめると伝えて、最後までいっしょにいる」という中間ができました。以降もボードゲームや公園遊びなどで、勝ち負けがある遊びを友だちとする中で、負けが見えてくると「やめる」と職員に伝えるZくん。でも最後までその場にいて、場の共有を続けられることが増えてきました。

 するとZくんに変化が。それまでは「負けるかも」となかなかチャレンジできなかった新しい遊びやゲームに、どんどん挑戦できるようになったのです。そして自分の好きなゲームを見つける中で、だんだんと楽しさを感じるようになっていきました。Zくんの最近のお気に入りは「カタン」というゲーム。有名なボードゲームで、サイコロ運もある中で、戦略や相手との交渉といった、大人でも難しく感じる要素のあるゲームですが、Zくんは何回かする(まず、この時点で素晴らしい!)中で、楽しさにはまっていったようです。さらに先日、職員が「Zくん、今から家帰って何するの?」と尋ねると、Zくんは、「家で人生ゲームする。家に2つあるんだけど、昨日、新しくもらった方が楽しいんだよ」と言いました。あれだけ嫌がっていた人生ゲームを! お母さんからは、「以前、家族で人生ゲームをしたときは、イライラしてぐちゃぐちゃにしてけんかになってしまった。でも、本人から『やりたいけどイライラしてきてたらぐちゃぐちゃにしてしまうから』と言うようになり、私からも(すてっぷとおなじように)気持ちを受け止め、『いいよ』と言うと、楽しんで見るようになりました」とは聞いていたものの、いつのまにか、Zくんは人生ゲームも遊べるようになっていたようです。

 半年前、すてっぷで遊んだ人生ゲームで爆発しかけたものの、それをきっかけに職員に「やめる」と伝えたら、受け止めてもらえたという経験ができたZくん。以降もその経験を積みながら、新しい遊びやボードゲームで友達と楽しく遊べた経験を増やせたことで、職員の知らない間に爆発のきっかけだった人生ゲームでも遊べるようになっていました。子どもの成長は、早いなぁとしみじみ感じた嬉しい出来事でした。

挑戦者が現れました

 O君は『マイクラ』が大好き。すてっぷでパソコンやゲームが出来る時間はいつも『マイクラ』をしています。ですがO君以外の子ども達はあまり『マイクラ』をしません。みんなでできるテレビゲームの『スマブラ』が人気です。ゲームの趣味は人それぞれなのですが、職員は一緒に遊べるようになれるといいなと思い、O君に「一緒にしてみん?」と、日頃から『スマブラ』に誘っていました。けれど、O君は、「うーん。いいやー。パソコンする。」と誘いに乗ることはありませんでした。職員がO君に「今までどこかでしたことある?」と聞くと「2回だけある。」と言っていました。『スマブラ』は操作は簡単ですが、プレイ経験がある人とない人では実力差が出るゲームなので、勝てるように操作するのが大変だったり、負けるのが嫌だったりするのかなと考えていました。

 先週、職員と子どもたちで『スマブラ』をしているところに、O君がやってきました。その日もパソコンのゲームを選んで遊んでいたO君。見てみるとパソコンは閉じられていました。そこで「O君もする?」と聞くと、「ううん、見とく。」と言ってゲームの様子を見学していました。そして先日、『スマブラ』をしている子どもたちの輪の中に、コントローラーを握ったO君の姿が! 職員が「今日はO君もするんだね。この前、見てたからしたくなったりしたの?」と聞くと、O君は「うん。今日が3回目の『スマブラ』。」と答えてくれました。

 さて、せっかくO君が参加できた初めての『スマブラ』。楽しく遊んでほしいと思った職員は、「個人戦だったらO君が負けてしまったで終わるかもしれない。職員が入って2対2のチーム戦を提案しようかな」と考えていました。すると、職員の心を見透かしたようにP君が言いました。「O君、初心者で操作慣れてないから俺かQ君とチーム組んで2対1で遊ぼうや。」職員はすかさず「いい提案だね!」と褒めました。Q君も「O君が参加するって、『挑戦者が現れました』みたいやなぁ。」とP君の提案を受け入れ、3人で遊び始めました。

 『挑戦者』というのは、『スマブラ』で遊んでいると、CPUが割り込んできて勝負を挑んでくるシステムのことなのですが、子どもたち3人はそれになぞって遊びをどんどん盛り上げていきます。O君とチームを組むのがP君からQ君に交代したり、CPUを入れて2対2にしたり、決められたアイテムだけを使って対戦したりと、アイディアがいっぱい! 職員が提案しなくても、初めてのOくんが楽しめるように子どもたちだけで工夫できたことに感嘆の職員は見守るだけ。Oくんも操作はぎこちないですが、友だちといっしょに楽しそうに遊ぶことができていました。

 今日も『スマブラ』をしようと準備している子どもたち。その輪の中にO君もいました。職員がO君に尋ねました。「O君、今日も『スマブラ』するの?」O君は答えました。

「うん。4回目。」

挑戦者が、レギュラーメンバーになりそうです。

「ハンデをあげる」

 いよいよ梅雨入りが発表されましたね。今日は幸いにも晴天で、今の間にとみんな公園遊びに行きました。これからは雨が降る日も増えてくるので、今日みたいにはなかなかお出かけできないことでしょう。

 先日、雨が降っていた日に室内で児童と職員でボードゲームをしました。その時にしたボードゲームは「街コロ」というものです。サイコロとカードを使って自分の街を発展させていくゲームです。どう発展させるかというと、「パン屋」、「コンビニ」、「テレビ局」などの施設を貯めたお金で買っていき、施設カードを増やしていきます。サイコロを振って出た目と自分の施設カードに表記されている目が揃うとお金をより多く手に入れることができるという仕組みです。

 この日の街コロに参加した児童はG君とJ君。ゲーム自体はG君は何回かしたことがあり、J君は前回初めて遊び、今回が二回目でした。J君は前回遊んだ街コロが楽しかったのか、「何のボードゲームして遊ぶ?」と話し合いになった時に即座に「街コロ!」と言ったのでした。その時担当していた職員は、初めて街コロをすることもあり、活動のねらいに「児童がゲームの説明を職員にしてみる。」ということを含めていました。ゲーム開始前に、児童が職員に説明をしてみる時間を取ったのですが、すると意外や意外!

「先生、初めてするし○○の施設カードを買える値段を安くするわ!」

と言ってきたのでした。これには職員もびっくりでした。

 実は前回、初めてのJ君は、別の職員の提案でハンデをもらっていたのです。ゲームのハンデ(2022/5/31)のときに、テレビゲーム内でのハンデを受け入れたJ君。ボードゲームで友だちとするときにもハンデを入れられたら…、と思い、このとき試していたのですが、まさか初心者の職員を思いやり、ハンデを提案してくれるとは…。嬉しい限りです。せっかくなので快くハンデを頂くことにしました。

 ゲームを始めるとビギナーズラックなのか職員が強運で出したいサイコロの目を連発し、一番貯金を増やし街を発展させていきました。そのゲーム展開に「ハンデ関係ないやん!」とつっこみ、児童も職員も笑ってしまいました。楽しいだけならず思いやりの気持ちも受け取ることができて心地よく遊べた時間になりました。

計算の使いどき

 「因数分解や方程式なんていつ使うの?」数学嫌いの中学生がよく言うこととして紹介されることが多い言葉です。「将来使わないものをどうして勉強しなきゃいけないの?」と質問され、まじめな数学教師は理屈で答えようとします。「道筋立てて考える力をつけるためだよ」「物理の勉強で使うよ」算数と数学の違いも、こんな言葉で説明されることが多いですね。算数は「実生活で使用する計算を学ぶもの」、数学は「論理的な思考を身に着けるもの」と言われることがあります。

 すてっぷの小学生たちの中には、算数の計算でも実生活の中で使うことが難しい子どももいます。そこでそういったことを活動の狙いとして、買い物学習をしたり、遊びの中に自然と計算が入るもので遊んだり、といったことに取り組んでいます。計算が自然に入る遊びとして、誰もが知っているものと言えば、「人生ゲーム」が挙げられるのではないでしょうか。要するにすごろくなのですが、ルーレットを回して出目を出すのが特徴で、止まったマスに基本的にはお金をもらうか、逆に払うかという指示が書かれています。お金は1000ドルからのお札を実際に配って自分のものにしますが、これがちょうど日本のお札が1000円から始まるので、よく子どもたちは「1000円配るね」と言って1000ドル札を渡したりしています。

 すてっぷにも人生ゲームがあり、設定遊びとして取り組むことがあります。銀行役はだいたい職員がしていますが、子どものグループによっては子ども同士で相談して、子どもが銀行役になることこともあります。子どものほとんどは、自分が止まったマスの指示を読んだり、指示に従って「○○円ください」と銀行役に伝えたり、○○円払ったりするだけで、頭をいっぱい使っています。慣れてくると、1000円払うのに5000円札しかないので、「おつりの4000円ください」と言いながら5000円札を出したり、「4人から2000円ずつもらうから8000円になるな」と考えたりと、計算の使いどきがだんだん増えてきます。ただ人生ゲームの難点としては、人数が多くなると、時間が長くなってしまうことです。また、人数が多くなると今が誰の番で、次は誰の番になるのかが分かりにくくなることがありました。そこで、すてっぷでは、ルーレットではなく10面さいころを転がすようにしてみました。ルーレットは回りだしてから止まるまで時間がかかりますが、サイコロだと一瞬で出目が分かって時間短縮になります。また、さいころを転がす入れ物を作って、それを順番に回すことで、今が誰の番かをわかりやすいようにしてみました。すると、時間が短縮できて順番がわかりやすくなり、疲れたり混乱したりで読む・計算する余力がなくなってしまうということが減ってきました。

 今後もこのような工夫をすることで、子どもたちが遊びの中で学習を生かせた!という成功経験を積あげられるよう取り組んでいきたいと思います。

ゲームのハンデ

 すてっぷの小学生メンバーの休憩時間のブームは、昨年はiPadが中心でしたが、今年はWiiUでの大乱闘スマッシュブラザーズ(略称「スマブラ」)のようです。「スマブラ」は、子どもたちの好きなキャラクターがたくさん登場するサバイバル格闘ゲームです。みんな得意なキャラクターを使って、「やった!」「やられた!」と大盛り上がり。

 何年か前も小学生メンバーで「スマブラ」がはやった時期がありました。しかし今年のメンバーほど盛り上がっていたことはありません。「スマブラ」は対戦ゲームですので当然勝ち負けがあります。もともと負けることが苦手な子が多い中、負けが続くと「やめる」と遊ぶ人数がどんどん減っていくということも多々ありました。そう考えると今の小学生メンバーたちが、負けても「もう1回」と最後まで仲良く遊べているのは、絶妙なバランスで成り立っているのかもしれません。

 そんな中でも、トラブルがあったり、職員が気になるようなことがあったりします。実は思いやり(2022/5/3)のJ君が落ち込んだきっかけのゲームが、この「スマブラ」でした。その後G君が落ち込んでいるJ君に思いやりを見せてくれ、J君が元気を取り戻したのは紹介した通りですが、他の子が帰った後G君とJ君が2人で「スマブラ」をすることに。これはチャンス!と、「スマブラ」のゲーム内で設定できるハンデを職員から紹介しました。トラブルがあったJ君へのフォローもありますが、「スマブラ」の上手なG君がゲームの集団には入らないことが気になっていて、タイミングを見てハンデを紹介しようと思っていたのです。

 負けるのが嫌な子どもたちですが、ハンデをつけることも嫌がることが多いです。平等を好むのか、ハンデがついているところで勝ってもうれしくないのか…。そんなときは職員が遊びに加わり、バランスを取ろうとしますが、子どもたちも敏感です。少しでも手抜きに映れば、「わざと負けないで!」と怒り、やる気をなくします。それに比べると、事前にハンデを提示して、お互いに納得したうえでスタートした方が、穏やかに終えられることが多いです。それも数字で示すことのできるハンデの方が、より受け入れてもらえやすいです。

 J君もはじめは「スマブラ」のハンデに、「えー」と言っていましたが、G君がすっと「いいよー」と言ってくれたので、すんなりハンデを受け入れて遊びました。終わった後で聞いてみるとJ君は、「ハンデがあったから、勝ったり負けたりしたー」と少し前向きに捉えてくれていました。

 さて今後、子どもたちはハンデを取り入れて遊べるでしょうか。せっかく子どもたちで楽しく遊べている休憩時間ですので、職員からは無理強いせず、子どもたちどうしで成長しあえる機会を保障していきたいと思います。

好きなものがあることはいいこと

先日の懇談会で、T君が習い事を嫌がるので困ったという相談を受けました。T君の欲しいものがあるか聞くとゲームが欲しいとのことでした。それではゲーム機やゲームソフトをご褒美にして習い事に通わせてはどうかとお話ししました。

すると、ゲームを与えてしまうとやめなくなってかえって家の中の親子の争いごとが増えそうで気が進まないとのことでした。ゲーム時間親子摩擦事象は、大抵の家庭で日常茶飯に生じている問題ですから、世界中で沢山の解決アイデア事例が蓄積されています。また、ゲームをするためにお手伝いをしたり、勉強をしたり親が仕向けることが、物を与えないと行動しない即物的で自制の効かない人になってしまわないか心配だという保護者の気持ちもよくわかります。でも、「ご褒美子育て」を貫いたから、即物的で自制の効かない人になったという例は見た事がないです。

むしろ、幼少期に必要以上の我慢を強いられたり、親の気分で一貫性のない物の与え方をされて、大きくなってから自制が効かず、いろいろ問題を抱えている人の方が目につきます。欲しいものを与えることは悪いことではありません。約束を守れば報いはあるということを小さな時期からしっかり教えることが人への信頼感や自尊心を育てると思います。特に相手の気持ちを推し量ることが苦手な子どもたちには、目に見えるものが大事なように思います。思いやる気持ちは褒められた経験から育ちます。

私たちが困ってしまうのは、好きなものが見つからない、やりたいことが見つからない人です。元気な人をコントロールすることは容易ですが、欲しいものやりたい事が見つからない人の行動変容はとても難しいです。ゲームにしろガンプラ(「機動戦士ガンダム」のシリーズに登場するモビルスーツ、モビルアーマーと呼ばれるロボットや戦艦などを立体化したプラモデルのこと)にせよ、子どもに欲しいものが沢山あることは、子育て上、とてもラッキーなことだと考えると、色々なアイデアが湧いてくると思います。

 

田んぼの田

L君たちを呼んで、「田んぼの田」ゲームをしました。他府県では十字鬼ともいいます。走り回って遊べるのが楽しいゲームです。

一辺が4~5mの四角形を描きます。その中に十字を書きます( 田の字 )。十字の部分は「鬼の道」です。幅50cmぐらいの道幅にします。「鬼」を一人決めます。鬼以外の人は「子」になります。

子をスタート位置(升の一つ)に集めます。子が4つの升を何周するのか、鬼は、「○週!」と決め宣言します。鬼は「鬼の道」を行ったり来たりしながら子をタッチします。子は鬼にタッチされないように「田の字」のコートを鬼が決めた回数だけ回ります。子は鬼の道には入ってはいけません。鬼の道を飛び越えながら進みます。コートは右回りでも、左回りでも良いです。但し、途中で回る方向を変えてはいけません。

「鬼にタッチされる」「鬼の道に入る」子はアウトです。子が決められた回数を回ることが出来たら子の勝ちです。すべての子を鬼がタッチ出来たら鬼の勝ちです。サブルールとして、「人数が多い時は鬼が2人」「タッチされたら鬼になり、鬼がどんどんと増える」というルールやチーム対抗戦にして、チームワークを楽しむ高学年版もあります。

缶釣り

空き缶釣りと言えば、マグネットと相場が決まっていますが、それでは簡単すぎるしマグネットが重いのでお互いの糸が絡まりやすいのも気になります。そこで、マグネットの代わりに割りばしを切った短いもの(3cm程)をたこ糸にT型に結び付けて空き缶の穴に竹ひごが引っかかるように釣ります。これはかなり調整力が必要になりますし、釣れれば達成感もあります。子供が成長するのと同じようにゲームも少しづつ成長させます。