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1. ICT機器 児童生徒の9割が期待も 学校は半数以上が十分活用せず

投稿日時: 2021/09/01 staff4

ICT機器 児童生徒の9割が期待も 学校は半数以上が十分活用せず

2021年9月1日 【NHK】

小中学生に1人1台配られているタブレット端末などのICT機器について、児童生徒の9割が「勉強の役に立つ」と期待を寄せる一方、十分活用していない学校が半数を超えていることが文部科学省の調査でわかりました。

文部科学省は、ことし5月、全国の小学6年生と中学3年生、200万人以上を対象に「全国学力テスト」を実施し、あわせてタブレット端末などICT機器の活用状況についても調査して、31日、公表しました。

この中で児童や生徒に、タブレット端末などICT機器の使用が勉強の役に立つと思うか聞いたところ、「役に立つと思う」、「どちらかといえば役に立つと思う」という回答が小中学生ともに90%を超えました。

一方で、学校に対し、教職員と児童生徒がやりとりをする場面でどの程度ICT機器を活用しているか尋ねたところ、「全く活用していない」、「あまり活用していない」という回答が、小学校で55%、中学校で57%でした。

また、児童生徒に1人1台配備されたタブレットなどの端末をどの程度家庭で利用できるようにしているか聞いたところ、小中学校ともに「持ち帰らせていない」もしくは「持ち帰ってはいけないことにしている」があわせて60%以上となり、毎日もしくは時々持ち帰り利用させている学校は20%程度にとどまりました。

文部科学省の浅原寛子 学力調査室長は「ICT機器の学習への活用について子どもたちの期待が非常に高いことがわかった。休校など非常時に備える意味でも1人1台の端末を積極的に活用してもらいたい」と話しています。

端末の持ち帰り 学校の対応に差
感染の急拡大で今後、臨時休校も想定される中、文部科学省は小中学生に1人1台整備しているタブレット端末などの最新の活用状況も公表しています。

ことし7月末の時点で1人1台の端末の整備は全国の96%にあたる1742の自治体で終えていますが、3.9%にあたる70の自治体では完了していないと答えたということです。

家庭に端末を持ち帰ることについては、全国の公立小中学校などおよそ3万校のうち、感染拡大や災害など非常時に対応できるよう「準備済み」と回答した学校は64%、「準備中」と答えたのは32%、「実施・準備をしない」が4%と、対応に差があることがわかりました。

文部科学省は夏休み明けに登校できないケースや休校などが想定されるとして、「実施・準備をしない」と回答した自治体に対し、速やかに準備をするよう促したということです。

専門家「平常時から教室で使い、持ち帰って練習を」
ICT教育に詳しい東北大学大学院の堀田龍也教授は、タブレット端末などに対する子どもたちの期待は高い一方、活用は十分広がっていないという調査結果を受け、「自治体によっては、オンライン授業の取り組み事例を徐々に近隣の学校に広めているところもあるが、中にはすべての学校が一斉にできるようになるまで活用を始めない自治体もある。できること、できるところから進めていくことが大事だ」と話しています。

そして、感染拡大が収まらない中で新学期が始まることから、「学校でも十分使い方がなじんでいないのに、非常時にタブレット端末を家に持ち帰ったところで活用は容易ではない。平常時のうちから教室で使い、持ち帰って練習をするなど備えておくことが学習を保障するうえでも非常に重要だ」と指摘しています。

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端末持ち帰り調査: 05/27)でもコメントしましたが、すてっぷで把握する限り、全児童分のタブレットが配備された乙訓の小学校で、夏季休暇中に家庭に端末を持帰らせた学校はなかったようです。大阪では環境が整っていないのに市長のオンライン授業発言はけしからんと校長先生の市長あての提言がSNSで拡散される事件も起こりました。ただ、実際の提言は現在の教育を憂う個人的な感想が多く、オンライン学習に触れたのは全文の1割もなく、しかも具体的な指摘もないままに一方的に校長の感想が書かれているだけで、事実に基づいた内容がありません。恐らくは、これはメディアが大阪市長批判のためにする政治的に煽った事件であり、子どものオンライン学習の具体的な推進には何の役にも立たない話だと思います。

けれども、「全体が揃うまで実施しない」というのは、公平性を大事にしているかのように聞こえますが、このフレーズを使う人によって意味合いは変わるのです。サービスを受ける人が使うと同じ税金を払っているのだからサービスは公平にしてくださいと言う意味になります。しかし、サービスを供給する側が使うと、全体が揃わないのだからサービスできるところもやらないし、もう少し努力すればできるところも全体の足並みがそろうまでやらなくていいという言い訳になるのです。つまり、公平と言う言葉が努力しない事を免罪し、個々で努力したり工夫することを抑制してしまうのです。

年金や給付金などの公平性と、設備や技術格差の可能性を内包しているサービスの公平性とでは意味合いが違います。前者は一律平等ですが、後者はできるところから実施し、遅れたところは公平性を目指して全力で追いつく努力するのが公的サービスのあり方です。そういう意味では、オンラインができないと言う前に何か努力をしたのかという疑問が残ります。

前回も紹介しましたが、民間のリモート用サーバーを使ってオンライン授業を実現している学校(学校つなぎ学習支援: 06/03)もあるのです。できない理由を並べるのは簡単ですが、子どものためにICT教育を実現しようとする前向きな姿勢がなければ、できるものもできないのです。世の先生方は公的サービスの公平性とは何かを再考され、タブレット持帰りを実現してほしいと思います。