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みんなちがってみんないい

幼児や学童に集団発生「アタマジラミ症」


幼児や学童に集団発生「アタマジラミ症」 普通のシャンプーで寄生予防

2021年5月11日【読売新聞】

皮膚のトラブルでは、大阪医科薬科大の森脇真一教授(59)に聞きます。(聞き手・東礼奈)

◇皮膚のトラブル(15)アタマジラミ症洗髪で予防
「アタマジラミ症」は、頭部のみに寄生する「アタマジラミ」が、頭皮から血を吸うことによって起きる虫刺症です。初期は無症状ですが、寄生する成虫が増えれば、頭がかゆくなってきます。頭同士の接触や、ブラシ、帽子、寝具、タオルなどの共用でうつるため、季節を問わず幼児や学童間で集団発生します。

成虫の体長は2~3ミリ。卵は1ミリくらいで、毛髪の中に白く見えます。しかし、しっかり固着しているので、引っ張ってもなかなか取れません。

虫や卵を拡大鏡で観察すれば、容易にアタマジラミ症を診断できます。学校からの指示で受診される子も多く見られます。治療では、家庭用殺虫剤と同じ成分の「フェノトリン」が配合された市販のシャンプーやパウダーを使います。ただし、成虫と幼虫にしか効きません。卵は1週間で 孵化ふか するので、3日に1度、3~4回繰り返します。

最近、沖縄ではフェノトリンが効かないアタマジラミが増えており、本土でも、その割合が5%を占めることが確認されています。フェノトリンを使いながら、成虫や卵を物理的に駆除できる「すきぐし」で髪を根気よくとかすことも必要です。すきぐしはインターネットなどでも購入できます。

男児では髪を短くすることも有効です。普通のシャンプーで洗髪すれば寄生を予防できるので、集団発生があれば頻繁にお子さんの頭部をチェックし、しっかり洗ってあげましょう。

アタマジラミ症は軽い湿疹やフケ症とも似ていますが、自己判断は禁物です。症状や、周囲での流行状況などから「もしかして」と思ったときは、すぐに皮膚科の受診をお願いします。

【略歴】
森脇真一(もりわき・しんいち)
皮膚科専門医。大阪医科大卒。京都大、浜松医科大などを経て2009年から現職。医学博士。

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昔はプールで集団発生することが多かったですが、最近は子どもの洗髪が管理できない家庭が増えてくる中で発生する事も少なくないようです。特にボディーイメージが弱く、かつ、物事の段取りが苦手な発達障害の子どもの場合、頭を濡らすだけだったり、シャンプーを表面につけるだけで隅々まで洗えていないことが多いです。また、女子の場合はアニメの憧れでロングヘアーにするのですが、自分のイメージだけで伸ばしているので鏡を見てチェックすることも少なく、櫛で整髪したりのケア管理も不十分で、気が付くとアタマジラミが発生することがあります。

基本はショートヘアーの方がボディーイメージも持ちやすいし、洗う順序も多くないのでお勧めです。どうしてもロングを子どもが主張する場合は、洗髪の際に大人が介入する(日常的に手伝う)ことを条件にして認める場合もあります。これから汗ばむ毎日です。武漢風邪よりもアタマジラミの方が他人の帽子やタオルの接触感染に注意しなければなりません。帰宅してきたら髪の毛の生え際のチェックをしてあげることも大事かもしれません。

場面緘黙

場面緘黙(かんもく)とは、家庭なら話せるが学校のような「特定の状況」では声を出して話すことができないことをいいます。「家ではおしゃべりで、家族とのコミュニケーションは全く問題ないのに、家族以外や学校で全く話せないことが続く」状態です。この症状のために、本来持っている様々な能力を、人前で十分に発揮することができにくくなります。人見知りや恥ずかしがりとの違いは、「そこで話せない症状が何か月、何年と長く続くこと」です。人によって症状(話せない場面・程度)にはかなり差があります。

場面緘黙は、育ての方の問題ではなく、「不安症や恐怖症の一種」と考えられるようになってきました。「自分が話すことに怖れを感じる」人として支援を行なうのが主流となっています。発症原因は、『不安になりやすい気質』などの生物学的要因があり、そこに複合的な要因が影響していると考えられています。脳が新しい刺激に敏感に反応する「行動抑制的な気質」を元々もつというケイガン(Kagan 1989米)の仮説が有力です。不安が高まりやすく、行動が慎重となるため、環境に慣れるのに時間がかかります。10~15%の子どもがこの気質を持ち“その傾向は生涯続く”といいます。

入園や入学、転居や転校時などの環境の変化により、不安が高まって発症することが多いようです。クラスでの先生からの叱責やいじめがきっかけとなることもあります。一旦話せないことが続くと、「自分が話し出すとみんながなんていうだろう」など、注目されるような気がして強いプレッシャーを感じます。話さないでいる方が不安レベルが下がるため、この症状が定着するのではないかと考えられています。

場面緘黙を「家庭環境のせい」と考えるのは誤解です。過去の研究では「虐待」や「トラウマ」に関連付けられてきましたが、ほとんどの子どもには関係ないことがわかりました。学校の先生は「親の過保護のせい」と考えがちですが、子どもが人前で話せなければ親が心配そうにするのは当たり前ですし、親も不安になりやすい繊細な気質をもつ場合が多いので理解が必要です。親も周囲から「過保護」「心配し過ぎ」と言われて傷つき孤立しがちです。子どもの一番の理解者になれるのは親と先生です。親と先生が協力しあうことで、子どもへの必要な支援が始められます。

「必要な支援」を行ったうえで「子どもの成長の伸びしろへの手出し(過保護)」を控えることが大切です。症状改善や二次的問題予防には、親や先生、友だちなど、周りの人たちの「場面緘黙への理解」が大きく影響します。場面緘黙は、お医者さんや学校の先生から「大人になったら自然と治る」と言われることが多いですが、場面緘黙には、早期発見と対応が大切です。場面緘黙の子どもは、おとなしい子どもが多く、園や学校で先生が困るような目立つ問題行動がないため、支援を受けにくく、見過ごされがちです。自然に改善したように見える事例でも、事後検証すると、偶然、環境が治療的な設定になっており、本人の努力で治癒したケースも多いようです。支援を受けずに成長すると、症状改善が遅れるだけでなく、うつや他の不安症状、不登校や人間不信などの二次的な問題が生じやすくなります。

場面緘黙の子どもは、自分でも自分がなぜ話せなくなるのかわかりません。それなのに、人から「なぜ話さないのか?」と問われます。周囲の理解やサポートがない幼稚園や学校生活は、緊張の連続です。腹痛や頭痛などの身体への影響、誤解や理不尽な扱いに、悲しみ、無力感、自責感、孤立感、自分への怒りが生じます。先生のサポートがなければ、いじめを受けるリスクも高くなります。話せないことから、社交スキルやコミュニケーション力の練習機会も狭まります。そのため、うつや他の不安症状、不登校や人間不信などの二次的な問題が生じやすくなります。

場面緘黙は、「専門家だけで治せる症状」ではありません。家庭と学校が協力して、まず「安心できる環境」を調整することが最も大切です。研究では、不安が低い場面からスモールステップでチャレンジを進め、活動参加、動作、発話ができる場面を増やしていく行動療法的アプローチが最も効果的とされています。この方法は、「自転車の練習」と似ています。自転車に乗るのを避けていては、自転車はうまくなりません。逆に、いきなりロードレースに参加しても怖い思いをするだけです。補助輪をつけたり、人に支えてもらったりしながら、少しずつ怖くなくなるようにします。米国では、極微量のSSRI(抗うつ薬)で不安をさげて、このようなスモールステップと組み合わせる方法がもっとも有効と言われています。

大事なことは、話さないことを責めないことや、不安が高すぎる場面で発話を強要しないことです。答えが返ってこなくても、あたたかく話しかけてあげてください。返事は返せなくても、とてもうれしいと感じているはずです。筆談が出来る場合は、書くコミュニケーションを促しましょう。よく考えてみれば、私たちも緊張して声が詰まったり、頭が真っ白になることがあります。そんな時に何を言われても落ち着くまでは状況は改善しないことも思い出すはずです。その傾向が強いか弱いかの違いです。だとすれば、どの子にも傾向濃淡の度合いは違うがそういうことがあるはずです。つまり、発達障害の特性の濃淡の傾向と同じだという事です。

コロナ、子どもと知識共有して

長引く臨時休校。さすがに勉強嫌いの子どもたちも、もう休みは飽きたみたいです。自分たちは何のために休んでいるのか、どうなれば登校できるのかと言う情報は大人と共有しておく必要があります。

 

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コロナ、子どもと知識共有して 医師らが教材作り発信

2020年4月17日 14時00分【朝日新聞デジタル】

新型コロナウイルスの情報を子どもにも分かりやすく届けようと、医療関係者が教材などを作って発信しています。親子で正確な知識を得て、どう向き合うか考えてほしい、との思いが込められています。

小学生が「監修」

岡山大の狩野光伸教授(医療科学)は今月初め、科学系研究者らが参加する一般社団法人「知識流動システム研究所」の仲間らと子ども向け教材「新型コロナウイルスについていっしょに考えよう!」を作り、研究所のホームページで公開している(https://www.smips.jp/KMS/2020/04/02/stop_corona_20200402/別ウインドウで開きます)。ダウンロードして印刷すれば、チラシや小冊子が簡単に作れるようになっている。

子どもの問いに対し、ちゃんと説明することが重要、という視点から企画した。①コロナウイルスってなに? ②どのような症状があるの? ③どうやって感染するの? ④感染をふせごう! ⑤ウイルスとたたかっている友だちや家族を応援しよう!――という5項目。④の予防法は、手洗い方法やマスクの使用法、「密閉・密接・密集」を避けることなどを詳しく説明している。感染した人への差別も戒め、「応援しよう」と呼びかけている。

イラストをちりばめたカラーで「感染」「味覚の変化」などの漢字にルビもふった。より詳しく解説した「もっと知りたい人のためのQ&A」や「大人版」も用意し、保護者からも正確な情報を伝えられるようにしている。各地の教育委員会などで活用が広がり、紙芝居版も公開した。

狩野さんは「子どもも当事者だから、きちんと理解し、納得することが大切。教材を活用し、自分で考えて対応してほしい」と話す。

愛知県の藤田医科大学医学部の微生物学講座・感染症科も2月に「コロナウイルスってなんだろう?」という教材を作り、同科のホームページで公開している(http://www.fujita-hu.ac.jp/~microb/Final_version_ruby.pdf別ウインドウで開きます)。英語版もある。

「子供(こども)が感染(かんせん)してもちょっとした『かぜ』くらいですむことがほとんど」だが「おじいちゃんやおばあちゃん、もともと病気(びょうき)のある人(ひと)がかかると重(おも)い病気(びょうき)になり、命(いのち)をおとすこともあります」と説明。「コロナウイルスやっつけるぞ作戦」として手洗いやせきエチケットも紹介した。

桜井亜樹助教は、自身の小学生の子どもに「監修」をお願いしたという。「退屈な生活にイライラしている子もいれば、かかったらどうなってしまうのか心配している子もいるでしょう。まずは子どもが新型コロナウイルスについてどう思っているか確認した上で、納得できない、もしくは不安に感じている部分を埋められる情報を伝えるのはとても大切なことだと思う」

「不安で怖いのは当たり前」
 子どもに向き合う大人に呼びかけようという動きも。

 子どもの心理に詳しい大湫(おおくて)病院児童精神医療センター(岐阜県瑞浪市)の関正樹医師は、保護者に向けて「気持ちとの付き合い方」を助言する小冊子を作った。

 診察時、「外に出るのが怖くて診療を受けに行けない」「(発熱や風邪症状が出て)感染したのではと不安で眠れない」と訴える子どもがいた。親も疲れたり神経質になったりしている場合があるため、まず親向けに情報を伝えることにした。

 小冊子では「こころが疲れると イライラしやすくなったり コロナウイルスのことばかり考えたり」ということが起こると説明。「ひとりで抱えない」「情報番組を見過ぎない」「できるだけ手抜きを」「不安を信頼できる人と分かちあって」などと助言している。子どもが「怖い」と訴えたら、真剣に耳を傾け、予防のために「できること」を伝えてあげる、といった対処法も掲載した。

 子ども向けに「不安は考えれば考えるほど大きくなります」として、運動や深呼吸、ゲームなどに集中することを勧めている。

 小冊子は院内で配るほか、データを病院のホームページ(http://www.ob3.aitai.ne.jp/~okutehp/covid19.html別ウインドウで開きます)でも公開している。関さんは「不安で怖いのは当たり前という点と、どう対応したらよいかを親と子に伝えたかった。長期戦とも言われる中、親子で話すきっかけとしても使ってほしい」と話す。(上野創、山本奈朱香)

子どもの受診控え増加コロナ感染恐れ、健康状態悪化

検診後、子どもの受診控え増加コロナ感染恐れ、健康状態悪化が顕著

2021/5/11 12:24【山形新聞】

県内の医師、歯科医師が加入する県保険医協会(中島幸裕理事長)は10日、学校での健診後の受診状況に関して、新型コロナウイルスの影響を調べたアンケート結果を公表した。2020年度の未受診率では、高校の歯科が8割を超えた。これに伴い小学校では肥満や視力低下、虫歯が増加するなど健康状態の悪化が見られた。

調査は県内全ての小学校、中学校、高校、特別支援学校を対象に今年2月から3月にかけて行った。149校から回答があり回答率は36.2%。19年度(特別支援学校は調査対象に含めず)の7.8%を大きく上回った。

健診・検査の未受診率は歯科、眼科、視力、耳鼻咽喉科、聴力、内科について尋ねた。20年度は全体で歯科が47.6%で最も高く、次いで耳鼻咽喉科41.3%、眼科40.6%だった。中でも高校歯科が82.2%に上り、唯一8割超となった。19年度との比較では、最も差が開いたのは中学校内科が36%増の46.7%となった。

受診していない児童、生徒が多い理由を、同協会は▽新型コロナの感染を恐れた受診控え▽水泳授業がなくなり眼科・耳鼻科で所見があった子どもの未受診者の増加―などとした。

一方、未受診の要因で関連深いと思われる家庭状況(複数回答可)では、最多が「子どもの健康への理解不足」で、「保護者が共働き」「保護者が子どもに無関心」と続いた。

新型コロナの感染拡大による影響が「ある」と答えたのは小学校が最多の52.1%で、次いで中学校が34.5%。このうち小学校は「肥満の増加」が最多で、「視力低下」「保健室登校の増加」「虫歯の増加」などの事例が確認された。

同協会は「コロナ禍で子どもの健康状態の悪化が顕著になり、健康格差が懸念される」とし、「子どもの健全な発達のため、保護者への啓発など対策に乗り出す必要がある」としている。
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メディアの容赦ない感染恐怖の煽り報道がこんなところにも影響しています。「水泳授業がないなら泳げないのは同じだし、治療は感染の可能性が少なくなってから」とか「歯科は直接口腔内の治療なので感染可能性が高いのではないか」と保護者や子どもが考えても無理はないと思います。元々子どもの健康への理解不足があるにしても、感染騒ぎで余計に行かない理由を与えてしまうのでしょう。

外遊びが少なくなれば、家の中でゲームなどの遊びに変わるのは自明の理で、教育関係者でなくとも予測のつく事です。自治体の公園課は感染防止のために、昨年の4月と同じく公園のロックダウンをしています。公園や公園の遊具を封鎖したらどの程度の感染予防になるかどうかのエビデンス調査もしないまま、自粛ムードだけで公園ロックダウンをしているとしか思えません。同じ自治体内の教育や保健行政から子どもの健康上公園は開けて欲しいと言う要請はなかったのでしょうか。緊急時でも縦割り行政は強固に維持され、クレームを恐れる行政は報道に煽られた市民の声にどんどん臆病になっていきます。

オリパラ開催が可能な理由に、海外に比べて「さざ波程度」の感染者数と表現しただけで、武漢肺炎で亡くなった死者への冒涜だという意味不明のバッシングがありました。数値や根拠に基づかない感情的な煽りが、子どもを室内に閉じ込め、子どもの健康を害していることについては、こうした人たちの想像にも及ばないのでしょう。白血病から軌跡のカムバックをした池江選手に五輪辞退求める声もひどいものです。水泳アスリートを目指す子どもたちの目にこうした大人たちのやりとりはどう映るでしょう。公園の遊具を開放するくらいでは、子どもの肥満は解消しないでしょうが、事実と根拠に基づいて勇気をもって行動する姿はきっと子どもたちのお手本となるはずです。

 

発達段階とあそび

前回は、習い事型放課後等デイサービスのことを掲載しましたが、今回は年齢別のニーズを考えてみます。小学校の低学年は体験型で、遊びながら考えていく段階ですが、高学年になると思考型で、計画してから遊びをデザインするように変わっていきます。集中時間も格段に伸びてきます。同じことを半日ぶっ通しでも平気になってきます。中学生はさらに価値観を計画に取り込みながら「いけてる」「ださい」と判断して遊びをデザインしていきます。これはもう趣味といってもいいレベルです。

このように、年齢によって遊び方は変わっていきます。これは別に、年齢別でないと遊べないというのではなく、各年齢のニーズを満たす内容が遊びに必要だという事です。例えば構成(役割)遊びや製作(ものづくり)遊びなどは、それぞれのニーズを満たす内容が準備されています。

しかし、遊びきるとなると、それぞれのニーズを満たしていく段階別に用意された遊びがやはり必要です。となると、放デイのありかたも年齢別に内容が変わってくるはずです。年齢が増すにつれて、専門的な事、普段はできないことを子どもは求めるようになっていきますし、このニーズにこたえることができない放デイは子どもの心が離れていきます。放デイの内容をデザインすることは子どもの発達のニーズに合わせていくことといえるのかもしれません。

ただ、対人サービスである限り子どもの信頼を得るのは内容だけではなく内容に導くスタッフの人格であるのはどんなところでも変わりはありません。

春と秋にひどくなる発達障害の片頭痛

春や秋の季節の変わり目になると発達障害の子どもたちの特性がいつもより目立つようになる、片頭痛がひどくなるということがあるようです。季節の変わり目になるとどうして特性が強くあらわれるのか、それは「気圧の変化で脳がすこし腫れるような感じ」と言う人もいます。季節の変わり目は気圧の変化で体調を崩しやすいので敏感な発達障害の子どもたちは、大きく影響をうけます。

環境の変化を苦手とする発達障害の子ども達は、春や秋に体調を崩すことがおおいです。もちろん気圧の変化もありますが、この季節は行事が多い事も関係するようです。新学年、運動会、学芸会、文化祭などイベントが多いです。そのために多くの練習をします。運動会なら競技や行進のほかにもマーチングがあったり、学芸会なら劇や歌の練習もあります。これらのイベントのために、毎日集団行動が求められることも増えていきます。ただ、今は武漢ウィルス予防のための休校続きですから、学校がなくても症状があるなら、生理的な問題が大きいと考えてあげるべきです。

体温調節が苦手な子の多い発達障害ですが、今は日中でも動くと半袖でいいかなと大人でも思う季節ですから、多動な子ども達にとっては暑い。そして湿度が高いことも影響してさらに暑さを感じる季節です。「暑い」と言って、室内に入っても冷房がついていません。かつ動き回るので、体内の温度が上昇して具合が悪くなる、または片頭痛がはじまります。

片頭痛の予防薬が処方されていない場合は、小児用の頭痛薬が処方します。頭が痛くなってからでは頭痛薬は効果がありません。頭痛の初期の段階で服用した方が効き目があります。彼らは、うまく言いたいことを伝えられない(言語化できない)、痛みに鈍感ということがありますので、初期の段階の頭痛を知らせることは困難ですので、「頭に違和感を示している」時点で、「頭痛くなりそう?」と聞いてみると、何らかの返答がかえってくると思います。本格的に片頭痛が始まってしまった場合は、頭痛薬を飲ませ少し寝かせるとすっきりすることが多いようです。

世界2位の富豪、アスペルガーを公表

世界2位の富豪、アスペルガーを公表「変な投稿も、脳がそう働くから」

5/13(木) 【女子SPA!】

イーロン・マスク氏
天才実業家として知られ、昨年発表された長者番付で世界2位に選ばれたイーロン・マスク氏(49)。先週末、人気コメディー番組に出演し、自身がアスペルガー症候群であることを明かした。番組のなかで同氏は、これまで過激な言動で批判や炎上を招いてきたことについて、「脳の働きによるもの」と自虐的に語った。

僕は今夜歴史を作ることになる
米電気自動車(EV)大手のテスラと宇宙開発企業スペースXを創設し、「アメリカで最も革新的なリーダー」の1人と呼ばれているマスク氏。

今年発表された長者番付では一時、アマゾンCEOのジェフ・ベゾス氏を抜き世界1位の富豪に。その直後、ベゾス氏が1位に返り咲いたものの、マスク氏もその莫大な資産で世界2位に君臨している。

そんな桁外れな実業家であるマスク氏は先週末、米人気コメディー番組『サタデー・ナイト・ライブ(SNL)』に出演。番組のオープニングで驚きの告白をした。

「『サタデー・ナイト・ライブ』の司会を務められて光栄だ。本気でね。僕の場合、何かを発言した後に、それを“本気で言っている”とみんなにわざわざ言わないといけない。僕の話し方には抑揚や変化があまりなくて、コメディに向いているらしいからね」

「実のところ、アスペルガー症候群という障害を持つ人物として初めて、『SNL』で司会を務めることで、僕は今夜歴史を作ることになる」

アスペルガー症候群は神経発達障害の1つ。他人との関係構築やコミュニケーションに困難が生じることがある一方で、特定の分野へのこだわりや集中力が強く、成功を収める人も多いといわれている。最近では、「自閉症スペクトラム」という呼び方をされることが多い。

マスク氏の告白に会場では喝采が起こったが、2003年に同番組の司会を務めたコメディアンのダン・エイクロイドもアスペルガー症候群を公表していることから、ネット上では「事実と異なる」と指摘する声もあがった。

これまでの問題発言、子供のキテレツな名前もネタに
番組の中では、これまでたびたび批判や論争を巻き起こしてきた自身の言動についても言及した。

2020年にパートナーとの間に誕生した子供に「X AE A-12」というキテレツな名前を付け、世間をざわつかせたマスク氏。今回、その名前の読み方が「キーボードを駆けぬける猫」であることを明かした。

また、SNSで炎上を引き起こし、ときに訴訟沙汰に発展するほど、過激な言動を繰り返していることについては、次のように説明した。

「私が、ときおり変なことを言ったり投稿したりしていることは自覚している。でもそれは、私の脳がそう働くからだ」

「私の発言で気分を害した人にこう言いたい。私は電気自動車を考案し、宇宙船で火星に人を送りこもうとしている。そんな人間が、落ち着いていて、フツーの奴だと思ったか? とね」

マスク氏は、2018年4月1日のエイプリルフールに「テスラ社が破綻した」とツイートし、株価を最大8%下落させた。それ以外のツイートでもたびたび波紋を呼び、米証券取引委員会(SEC)に訴えられたことも。また、タイで少年らが洞窟に閉じ込められる事故が起きたときには、現場で救助にあたったダイバーを「小児愛者の男」と呼び、批判を浴びた。

放送中の発言で株価急落
今回のSNLで、暗号通貨のドージコインについても言及したマスク氏。「母の日スペシャル」ということで、番組に登場した母親のメイさんが、「母の日のプレゼントを楽しみにしているわ。ドージコインでないことだけを願っているわ」とコメントしたところ、「それだよ。その通り」と冗談交じりに返答した。

さらにドージコインについて、「世界を席巻する制止できない乗り物」とした一方で、「詐欺みたいなもの」と表現した。マスク氏のこの発言直後、ドージコインの株価は急落した。

<文/BANG SHOWBIZ、女子SPA!編集部>

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高級電気自動車、走るスマホと言われるテスラ、1段目と4段目が帰還するエコロケットのクールドランゴンの開発者兼経営者。マスク氏は米国でスティーブ・ジョブスを超える注目を集めています。彼が高機能ASDであるアスペルガー障害をカミングアウトした理由はわかりませんが、米人気コメディー番組『サタデー・ナイト・ライブ(SNL)』でも彼のこだわる一番乗りをしたかったのではないかと想像します。

二人の女性と3度の離婚をし、7人の子どもをもうけ、今またジョニー・デップと離婚したアンバー・ハードと交際しているという49歳の彼の私生活もジェットコースターのようにスリル満点です。2021年現在、純資産が19兆9,586億円超に達し、アマゾンのジェフ・ベゾスと富豪世界一の戦いを続けているマスク氏は、第3位のビル・ゲイツと同じプログラマーでありエンジニア出身の経営者です。著名な人が発達障害のカミングアウトをしてくれるのは子どもたちに良い影響を与えると思います。

みんなの学校

「大阪市立大空小学校。大阪市住吉区にある公立小学校。2012年度の児童数・約220人のうち、特別支援の対象となる数は30人を超えていたが(通常学級数6・特別支援学級7)、すべての子供たちが同じ教室で学ぶ。教職員は通常のルールに沿って加配されているが、地域の住民や学生のボランティアだけでなく、保護者らの支援も積極的に受け入れた「地域に開かれた学校」として、多くの大人たちで見守れる体制を作っている。学校の理念は「すべての子供の学習権を保障する学校をつくる」であり、不登校はゼロ。唯一のルールとして“自分がされていやなことは人にしない 言わない”という「たったひとつの約束」があり、子供たちはこの約束を破ると“やり直す”ために、やり直しの部屋(校長室)へとやってくる。テレビ版「みんなの学校」の放送後には全国各地から、支援を必要とする子どもたちが数多く、校区内へと引っ越している。」

http://minna-movie.jp/

これは映画「みんなの学校」ホームページの掲載文です。この放送を見たとき、大阪出身の人は昔こんなクラスに自分もいたと思い出す人は少なくないかもしれましません。差別をしない教育として大阪のあちこちでこの風景はみられました。でもこの映画の感じとは全然違うと感じた人は多いと思います。差別禁止という考え方が先に立ち、子どもや先生たちの言葉がきれいごとで本音じゃない感じがあったのです。この映画を見た多くの人が感動をします。こんな学校であってほしい、こんな校長先生であってほしい、こんな職員であってほしい、こんな子どもたちであってほしいと思うのです。それは本音で子どもも木村校長も話すからでしょう。きれいごとを言わずに、現実は現実として受け止めながら人としての在り方を観ている人に考えさせるからかもしれません。正しい答えはないけど、正しい答えを探す努力を惜しまないところに感動するのかもしれません。まだ観たことがない方は上映会スケジュールが出ていますのでご覧になってはどうでしょう。

ニンテンドースイッチ

「どうぶつの森」巣ごもりでヒット 任天堂ゲームソフト、世界で500万本超販売
【毎日新聞】2020年5月6日 15時00分

任天堂が販売中のゲームソフト「あつまれ どうぶつの森」が記録的なヒットを続けている。新型コロナウイルスの感染拡大により世界中で外出自粛が広がる中、現実の世界では控えているお花見やデートができたと「巣ごもり」プレーヤーの共感を集めている。

「あつまれ どうぶつの森」は、任天堂のゲーム機「ニンテンドースイッチ」の専用ソフト。2001年に発売された第1作から続くシリーズ7作目で、スイッチ向けでは3月20日に初めて発売された(希望小売価格・税抜き5980円)。通称「あつ森」として親しまれ、海外では「アニマルクロッシング・ニューホライズン」として売られている。

米調査会社のニールセンによると、ソフトのダウンロード世界販売は3月に500万本に上り、家庭用ゲームのダウンロード月販売の新記録を達成した。ゲーム情報誌「ファミ通」などによると、パッケージ販売でも発売16日間の累計が300万本超を記録し、米国での3月のゲームソフト販売数で1位を獲得した。

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武漢ウィルス騒動もなんのその任天堂は新ソフトでばく進中です。今回は、ゲーム内容が何もないところから始まる開発ゲーム、いわばマイクラ風が子どもの心をつかんだと言えます。

Nintendo Switchのコントローラには、トロンOSが搭載されています。(OS=オペレーションシステム:コンピュータの基本ソフトウェア)トロンOSとは1980年代、日本がIBM勢とマイクロソフトOSから一発逆転を狙った次世代OSです。結局、パソコンOS界を制したのはマイクロソフトウインドウズとマックOSでした。性能は優っていたトロンOSでしたがアメリカの圧倒的な交渉力と営業力に負けてしまいます。

負けたトロンOSはマイクロチップを搭載した小型デバイスに移植され、日本の全ての携帯電話に使われ世界中に輸出されました。しかし、その携帯電話もスマホに変わり、OSはアンドロイドとiPhoneのiOSに変わり、またも全てをアメリカ陣営に奪われてしまいます。

平成時代のOS覇権戦争でアメリカ勢に歯ぎしりしてきたものとしては、任天堂ゲーム機の一部であっても世界中を制覇していると思うと、ちょっとだけ胸のすく思いがあります。トロンOSは事実上の世界標準のオープンソフトウェアとなり全ての電気製品がネットに繋がる時代、IOTの世界で進化していくと思います。

小学生のスマホは慎重に

小学生のスマホは慎重にいじめ、犯罪のおそれも

2021年05月14日【産経新聞】

スマートフォンが小学生にも普及する中、SNSを巡るトラブルも増えている。ささいな行き違いから友人間でのネットいじめに発展したり、犯罪に巻き込まれたりするケースも。だが、SNS上でのトラブルを学校や保護者が把握するのは難しい。子供にどのようにスマホを使わせるべきか、慎重に考える必要がある。(木ノ下めぐみ)

大阪府東部に住むパート勤務の女性は、3年前に次女が巻き込まれたSNS上でのトラブルが、今も尾を引いていると話す。

炎上、不登校に
きっかけは、些細(ささい)なことだった。小学5年生だった次女が訪問先で撮影した犬の写真をFacebookに投稿したところ、グループ仲間の女児が「他人の犬の写真を勝手に上げるのはルール違反」との趣旨をコメント。次女は許可を得たことを説明したが、その後は「Instagram」や「TikTok」など、ほかのSNSにも写真や動画などを投稿するたびに批判され、“炎上”状態になった。

女性は次女の投稿内容を把握しており、「変な内容はなかった」と振り返る。状況が一向に改善しないため、投稿を控えることやアクセス制限、退会も勧めたが、次女は「退会したら学校で何をされるか」とおびえた。

次第に「学校にもネットにも居場所がない」とふさぎこむようになり、今も学校を休みがちな状態が続いているという。

被害、5年で倍増
短い言葉だけでやりとりするグループチャットは、大人同士でさえ誤解を招きやすい。実は、SNSには高度なコミュニケーションスキルが必要だが、生まれたときからインターネットが身近な「デジタルネイティブ」世代の子供たちは、ネットは使いこなせても、そこに潜む危険性を理解できているわけではない。

警察庁のまとめでは、2020年にSNSをきっかけに犯罪に巻き込まれた18歳未満の子供は1819人。全体の被害者数は前年から263人減少したが、小学生の被害は12人増の84人で、5年間で倍増している。背景にあるのが、スマホの普及だ。内閣府の20年度の調査によると、スマホでネットを利用する小学生442人のうち、41%が自分専用のスマホを持っていると回答した。

SNS上でのトラブルに遭遇した女児も、学童保育を卒業した小4のときに専用スマホを持ち始めた。母親の女性は「仕事で不在がちなので、スマホを持たせれば子供と連絡をとりやすく、安心できた」と話す。

規約浸透せず
実は、ほとんどのSNSは13歳未満の子供の使用を認めていない。Twitterは保護者の同意が必要で、近年小学生にも人気のTikTokは保護者が認めたとしても「アプリを使用できない」と規約に明記している。

だが、規約の内容が十分に保護者に浸透しているとは言い難い。東京都が21年、子供にスマホなどを使わせている保護者を対象に行った調査では、小学校高学年の保護者260人中、SNSの利用に年齢制限があることを知らなかった保護者は41.8%と、半数近くに上った。

子供たちに比べて、学校側や保護者はSNSで何ができるのか、知らないことも多い。例えばSNSを使っていなくても、オンラインゲームのチャット機能を使えば、不特定多数とのやり取りは可能だ。20年9月には、横浜市で小4女児がスマホ向けオンラインゲームのチャット機能で知り合った男に連れ去られる事件が発生している。

保護者はなぜ、小学生にスマートフォンを持たせるのか。
通信・ITサービスの調査を行うMMD研究所が19年12月、保護者約1000人を対象に行った調査では、小学生の子供にスマホを持たせる理由で多かったのは「習い事に通い始めた」(20.6%)、「学校の行き帰りが心配」(18.9%)など、子供の安全確認を目的としたものが多い。

ただ、子供たちのスマホ利用を保護者が管理できているとは言い難い。

内閣府の20年度の調査では、スマホを小学生に使わせている保護者の95.2%が利用時間や閲覧できるサイトの制限といった管理をしていると答えた一方、子供が具体的にどんなサイトを見ているのかなど、利用状況まで把握している保護者は40.3%だった。

子供のネット利用などに詳しい兵庫県立大学の竹内和雄准教授は「どうしてもSNSを子供に使わせたいなら、どのように使用しているかを親がもっと監督すべきだ」と指摘。「子供にいつからどのようにSNSを使わせるべきか、社会全体で議論する必要がある」としている。

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SNSの問題と言うより、それは学校でいじめがあると見るべきで、SNSがきっかけになっただけで、SNSの問題ではないように思います。確かに、デジタルコンテンツが小学生まで使えるような時代になっているのに、大人の管理指導がその浸透速度に追い付いてないことで生じている現象とも言えます。だからと言ってスマホを使うなと規制することはもはや不可能です。

ただ、スマホの個人識別はやろうと思えば簡単にできますから、端末の使用者が未成年である証明提供を、携帯会社が行う仕組みやそれに基づいた法規制はやろうと思えばすぐにできる内容です。未成年と識別される情報提供のある携帯端末はSNSにはアクセスできないようにするのは簡単なことです。

また、法の網をかけなくても、子どもの携帯端末の管理ソフトを使えば、大人の判断でアプリをインストールできなくすることも可能です。子どもの携帯端末の管理は保護者の責任です。少なくとも子どもに携帯を与えるなら管理ソフトを使ったり、管理会社と契約するのは親の義務だと思います。しかし、事はこうした親のネットスキルだけの問題でなく、子どものネットリテラシーやモラルの育成が課題だと思います。法律家や政治家は社会的規制をかけることを検討し、親や教育関係者はスマホの責任にせず、ぶれずに人権教育を進めていくことが大事なのだと思います。

強度行動障害

強度行動障害とは、自分の体を叩いたり食べられないものを口に入れる、危険につながる飛び出しなど本人の健康を損ねる行動、他人を叩いたり物を壊す、大泣きが何時間も続くなど周囲の人のくらしに影響を及ぼす行動が、著しく高い頻度で起こるため、特別に配慮された支援が必要になっている状態のことを言います。
この定義に加えて、「家庭で通常の育て方をし、かなりの養育努力があっても著しい困難が持続している状態」という但し書きも付されています。つまり、精神医学的な診断(例:精神遅滞、自閉症、統合失調症)とは別に、さまざまな養育上の努力はしていても、行動面の問題が継続している状態に対して付けられる呼称が「強度行動障害」であるということです。

下に厚労省が示した障害支援区分に基づく行動援護の判定基準表があります。合計10点以上が行動援護の対象となる要件の1つとなります。

行動援護の対象が強度行動障害というわけではありませんが、強度行動障害と普通の行動障害に質的な境界線はないといった方が正しいと思います。強度と表現しているのは支援側の理由からです。自傷や他害、飛出や奇声は、またはその前駆症状と認められるような指示待ち等は、その程度に関わらず必ず同じ原因があります。少々の行動障害だから見過ごすというのは、困っている姿を見過ごすのと同じだと思うのです。

下記リンクの「強度行動障害支援者養成研修【基礎研修】」のテキストは支援者用に国立のぞみ園が作成したものです。今回は、このテキストに沿いながら、何故行動障害になるのかどんな支援が行動障害の予防につながるのか、連続シリーズで考えたいと思います。

http://www.nozomi.go.jp/investigation/pdf/report/04/05.pdf

 

カミングアウト

栗原類さんは、イギリス人の父と日本人の母を持つハーフで、5歳ごろからモデルの活動を開始し、中学2年生の時からファッション雑誌『MEN’S NON-NO』に掲載されます。俳優業にも積極的に挑戦している栗原類さんがNHKの番組で自分が発達障害だということを告白しました。その番組では「冷蔵庫にいつも入っている牛乳がない、または配置が違うだけで気持ちがわるくなる」「聴覚が敏感なので不穏な音は非常に苦手である」と言っていました。子どもの頃はアメリカにいてそのアメリカの音楽の授業がどうしても苦手だったのでと急で教室から逃げ出したこともあるそうです。苦手なことも得意なことも個性として捉えることが必要だと言います。

スティーブン・スピルバーグは、「未知との遭遇」「ジェラシックバーグ」という世に衝撃を与える大ヒット映画を指揮する映画監督です。彼も発達障害であることを告白しています。発達障害と一口で言っても様々なタイプがあり困っていることは一つだけではないのですが、一番厄介な思いをしたのは「失読症」だそうです。本を読めない・文字を読めない・文字が認識できない、特に子どもの頃はこの発達障害が原因で進学に遅れをとり、それがきっかけでイジメを受けていたそうです。児童期は抜き出た個性が嫌な面で目立ってしまい、さらに勉強できないというハンデで酷く悩んだと言います。しかし、字を読む事が出来ないことでより「想像力」を高めたり、普通の人とはものが異なって見えてしまうことでより想像性を刺激され、創造力の源泉となったのかもしれません。

時代を変える偉大な人、アインシュタイン、エジソン、ステーブジョブス、トムクルーズ、他多くの人は、特別な才能があるゆえに、変人(発達障害)と言われました。今も多くの才能を日本の教育は潰しています。これは人類の大きな損失です。このような後世に残るような人物が「自分は発達障害である」という発言をすることで、これは病気でなく『個性』だと社会が認識できるようになります。人と違うというだけで好奇な目で見られたり、いじめの対象になってしまうのは世の常ですが、公平な社会を目指していくのであれば、こうし著名人が勇気を持ってカミングアウトすることで誰もが生き易い社会へと変わっていくはずです。

ドラゴン桜

『ドラゴン桜』は現実味ゼロ──関係者が語る「底辺校」の残酷な現実

2021/05/14 【日刊サイゾー】
文=藤井利男(ふじい・としお)

『ドラゴン桜』(TBS)
低偏差値の高校に通う落ちこぼれの生徒たちが、カリスマ教師の優れた指導のもと、半年で東大に合格する──現在放送中の『ドラゴン桜』(TBS)は、そんなストーリーで好評を博したドラマが16年ぶりに復活した作品だが、現実は常にドラマよりも残酷だ。

『ドラゴン桜』は同名のマンガが原作の物語。「つべこべ言わずに東大に行け」を決めゼリフとする主役の「桜木建二」(阿部寛)が教壇に立つ高校は、偏差値が32といういわゆる底辺校で、そこから東大合格者を出すのがミッションだが、偏差値が40に満たない県立高校出身の30代男性のOさんはいう。

「偏差値が低い高校というと“不良の巣窟”みたいな想像をされますが、決してそうとは限りません。私はヤンキーではなかったので、入学する前は身構えていましたが、いざ入学すると、不良はごくわずか。欠席、遅刻、早退をする生徒がとにかく多く、教室は静かなものです。授業中は大半の生徒が寝ており、教師もいちいち怒りません。本人も親も教育というものにまったく興味がないので、『東大に……』と叫んでもまったく響かないでしょうね。

卒業後、地元の塾経営者と知り合いになり、出身校を言うと、私の母校は教育関係者の間で“無気力校”と言われていることを知りました。喜怒哀楽が欠落していて、他人に興味が無い子ばかりだったので、腹が立つというより『何てピッタリな表現なんだ』と思いましたね」(Oさん)

いくつかの不幸が重なり、実力よりはるかに偏差値が低い高校に通ったOさんは、奮起して大学に進んだが、高校時代は「暗黒の3年間」だったそう。マンガを読むか寝ているかの同級生ばかりで、学園祭も体育祭もまったく盛り上がらず、友達はほとんどできなかったという。一方、20年以上の教師経験を持つTさん(40代男性)は、よりシビアな現実を語る。

「これまでいくつもの高校で教鞭をとり、その中には偏差値が学区ビリの高校もあって、大きなカルチャーショックを受けました。赴任が決まった時は、マンガに出てくるようなヤンキー高校を想像しましたが、予想に反して教室は静かで、生徒も授業を聞いています。けれども小テストをやると、まったく理解していない。授業のペースが早すぎるのかと思い、ペースを落としてもダメです。

生徒を見ていると、高校生とは思えないくらい言動が幼稚だったり、極端に特定のことにしか興味が無かったり、中には会話がほぼ成立しない子もいて、知能指数が知的障害ギリギリの子、発達障害の子が恐らく相当数いたはずです。低偏差値校の生徒が“アルファベットが書けない”“分数の計算ができない”などと笑いの種にされることがありますが、マジメにやってもできない子がいるということを知ってほしいです」(Tさん)

そんな重たい話がドラマになるわけはないが、「つべこべ言わずに…」と尻を叩けば誰でも出来るほど、世の中は甘くないのだ。

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『ドラゴン桜』(ドラゴンざくら)は、メディアミックス・ジャパン(MMJ)・TBSテレビ制作によりTBS系「金曜ドラマ」枠で2005年7月8日から9月16日まで毎週金曜日22時 - 22時54分に放送された日本のテレビドラマ。三田紀房の漫画作品『ドラゴン桜』を原作に、元暴走族の貧乏弁護士が平均偏差値36の高校生を東京大学に現役合格させるまでを描いた作品。阿部寛主演。

2021年4月25日から、前作の15年後を描いた続編『ドラゴン桜』が「日曜劇場」枠で放送開始。第1シリーズで主要人物を演じた阿部寛と長澤まさみが同じ役で引き続き出演する。また、TBSとMMJの共同製作だった第1シリーズと違い、第2シリーズはTBSの単独製作となる。漫画版の続編『ドラゴン桜2』が原作だが、今の時代に合わせたエッセンスを入れ、ドラマオリジナルの展開が予定されている。

あらすじ
第1シリーズ
元暴走族の弁護士・桜木(阿部寛)は、経営難の三流私立校・龍山高校に債権者代理として乗り込む。教師・真々子(長谷川京子)らを前に、学校の解散と教師の解雇を通達。だが、弁護士としての名を上げるため、桜木は解散ではなく、東大合格者を輩出する進学校にする再建案をブチ上げる。桜木は東大受験のための特別進学クラスを創設し、生徒たちの東大合格のために奮闘する。
第2シリーズ
龍山高校での成功をきっかけに、同様の底辺高校再生の仕事が舞い込むようになった桜木は虎ノ門に事務所を構える順風満帆な弁護士人生を送っていたが、2年前に依頼された高校で特進クラスの8人中7人を東大に合格させたものの、一人だけ不合格だった男子生徒・米山がナイフで桜木を刺した上に自殺未遂を起こしたことによりマスコミから叩かれる一大スキャンダルとなり、自身も消息不明となっていた。前シリーズでの教え子であり、東大卒業後に弁護士となって桜木法律事務所で働いていた水野直美は独立して事務所を設立したものの経営が行き詰っており、かつての龍山に匹敵する落ちこぼれ校「龍海学園」から翌年に東大合格者を5名出す条件で再建を引き受けることで起死回生を図る。福井県で自堕落な生活をして落ちぶれていた桜木を見つけた水野は、彼を再び教育の場へと連れ出そうとする。
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水野直美弁護士こと長澤まさみは、『コンフィデンスマンJP』の「ダー子」にしか見えないなぁと思いつつ観ています。底辺高校は発達障害の受け皿でもあります。今回のドラマでは重度のASDとはっきり分かる昆虫大好き高校生(原健太=細田佳央太)まで登場します。「桜木建二」こと阿部寛の台詞は学ぶことの本質を語るので、一言一言胸に刺さります。

日刊サイゾーの編集部は学習障害についてもう少し正確に書いてほしいなと思いました。書けないだけ、計算ができないだけで知的な差異はないのだということや、偏差値とはワーキングメモリーを含む記憶力を測ったばらつきを指しているだけだということです。今後、原健太君がサバン症候群の能力を発揮して「記憶」と「偏差値」について一石投じてくれると思います。

その2:行動障害に有効な支援

上の図は、行動障害の人の支援を説明するのに定番で使われている資料です。有効な支援ベスト3は、1構造化支援・2コミュニケーション支援・3薬物療法です。やっかいなのは4番のキーパーソン(信頼できる人)ですが、大変曖昧な表現です。信頼できる人とはあくまで本人が決めるのです。信頼できる人とは、上位二つの支援を当たり前のように自然に支援してくれる人は必ず含まれているはずです。見通しのある環境を準備し、本人の伝えられる方法で言いたいことを聞いて周囲と折り合いをつけてくれる人がキーパーソンの条件だと思います。この二つのサポートを抜きにして、自分は信頼されているという支援者がいればそれは根拠のない妄想でしかないと思います。

しかも8割以上の有効票を得た上位2つと比べれば5割ですから、有効半分無効半分です。良いキーパーソンに当たるか当たらないかは裏表の賭けと同じ結果とも言えます。この結果からどうすれば行動障害が予防できるのかは明確です。そして行動障害の原因は何か次回に考えていきます。

SNS

発達障害の中でも特にASD(自閉スペクトラム症)の方は、相手の気持ちを汲み取る事や、相手の発言の行間を読むことが苦手です。その為、SNS上でも相手の気持ちがわからず、当事者が気づかない間に相手を傷つけてしまう可能性があります。Twitterで不適切な発言をしてしまい、本名が晒される報復を受けたりします。この場合、被害を受けるのは本人だけでなく、家族や親戚に迷惑をかけてしまうことになる為、「拡散」がされやすいSNSでの発言は要注意です。また、その他に、発達障害を持つ方がSNSを利用する際に気を付けないといけないことは、他のユーザーから誹謗中傷等のリプライ(返信)を受けてしまう事です。

インターネット上には様々な人がいます。中には憂さ晴らしの為にわざわざ攻撃の対象を見つけて、誹謗中傷を浴びせかけるような人たちもいるのです。発達障害の方がターゲットとされた時に、そのような人たちをうまく無視することができればいいのですが、ムキになって相手をしているとどんどんメンタルが疲弊してしまいます。ただし、不適切な発言をしてしまうのは発達障害の方やその特性に限りません。むしろ人口から考えれば少数です。匿名性が不適切発言を助長すると考えられます。ADHD(注意欠陥・多動障害)を抱えている方は衝動的な言動が少なくないので、SNSの利用時に衝動性が出てしまうと、SNS上での対人関係においてマイナスの影響が出てしまいます。

発達障害を抱える方が上手にSNSを使う為には、文章や画像を送る前に、「この投稿を見た人はどのような気持ちになるだろう」「この投稿をすることによってどのような影響が出るだろう」と考えるルーチンを作るために、キーボードの横に【入力したら吟味する】等の標語シールを貼っておきます。また、多くのSNSには「限定公開」という機能があり、自分の友達や知り合いの間のみでSNSを楽しむという事もリスク回避になります。おススメは「ミュート」です。ブロックをすると相手のアカウントと自分のアカウントを完全に隔離することができますが、ブロックをしたこと自体が相手にバレてしまうSNSが多いですが、ミュートであれば、相手にミュートしたことがバレずに相手からのリプライを見えなくしてくれるので、相手に余計な感情を抱かれる危険性がありません。

SNS上では自閉スペクトラム症(ASD)のことを「アスぺ」と呼んで揶揄する人がいます。そして、その「アスぺ」という言葉の使い方は間違った意味で使われていることが多いです。特に、文を誤解して捉えてしまった人に「アスぺ」という言葉がかけられることが多いのですが、読解能力と、ASDのコミュニケーションの特性とは関係がありません。また、ADHD(多動症・注意欠陥)についても、誤った認識のもと、SNS上に投稿がされているケースが散見されます。こうしたSNS上でのスラングが発達障害に対して間違った認識を生む原因の一つにもなっています。

発達障害の当事者やその両親の方がSNSから得ることができる恩恵はたくさんあります。例えば、発達障害に特化したSNSを利用して発達障害による日常的な困りごとについて相談できる相手が見つかるかもしれません。発達障害の当事者やその両親は、周りに発達障害の悩みを相談できる人がおらず、孤独感を抱えてしまいがちです。しかし、SNSならば同じ悩みを相談し、共感しあえる相手が見つかるかもしれません。発達障害の当事者やその両親にとって、悩みを共感しあえることは大変喜ばしい事です。また、発達障害に特化したSNSではなくても、Facebook等には、発達障害の情報交換を目的としたコミュニティもあります。

自分が「馴染めそうだな」と感じたコミュニティに入ってみて、普段抱えている発達障害の悩みを打ち明けあったり、共感したりすることができれば孤独感の解消に繋げることができます。直接、発達障害のコミュニティが主催する場に足を運ぶのは抵抗があるかもしれません。しかし、SNSを利用することで発達障害のコミュニティに入ることの心理的障壁を下げることができるかもしれません。ただし、SNSは匿名性が前提なので、場所や氏名等の個人情報が特定できないようにする注意が必要です。

SNSは根拠がなかったり、嘘を平気で拡散して喜びにする人や、その嘘に乗っかって本気で信じてしまう人たちも少なくありません。でもそれはSNSに限ったことではありません。テレビや新聞など大手のメディアでも平気で根拠のないことを拡散することがあります。メディアの目的は嘘だろうが真実だろうが大衆に注目してもらい金を稼ぐことですから、過激になり尾ひれがついて連日報道されます。

今流行りの「#検察庁法改正案に抗議します」も、発端は63歳で今年2月退職のはずの検事長を、検事総長にするために退職延長したのはけしからんし、これでは65歳定年の総長を68歳まで任用を延長できることになるので更にけしからんと言います。しかも今回の法案はこれを正当化するので言語道断というものです。しかし、この法律を施行するのは2年後の4月なので、仮に今の方が総長になっても2か月前に65歳を過ぎており新しい法の影響はありません。現行政の人事権限の問題は法案とは関係のない話で、法案の何が問題なのか説明になっていません。それでも、著名人がこのハッシュタグ付けるとファンが爆発的に拡散します。もう、正しいか間違いかは法案の内容とは関係ないようです。

武漢ウィルス恐慌という最大の危機を前にして、今そんなことでもめてる場合かというのが、大勢の意見ではないかと思います。SNSとは情報の一方通行時代から、市民が双方向性のメディアを手に入れたという意味では画期的なものです。ただ、使い方によっては、個人だけでなく社会の毒にも薬にもなる代物だという事も理解しておくことが大事です。

 

中止・延期。子どもたち不在で事を進めていいのか?

今年も修学旅行、運動会が中止・延期。子どもたち不在で事を進めていいのか?
妹尾昌俊 | 教育研究家、学校・行政向けアドバイザー

5/17(月) 【Y!ニュース】

新型コロナウイルスの影響を受けて、1年前と同じく、今年も修学旅行や運動会などの学校行事の中止、延期などが各地で起きています。

「楽しみにしていた運動会は中止することにしました」。10日、福岡市の小学校では校長が校内放送で告げた。1年生のクラスでは「えー」と悲鳴が上がり、「寂しすぎる」と泣きだす児童もいたという。40代の女性教諭は「なぜ東京五輪はできて、運動会はできないのか」と憤る。

 福岡県教育委員会は10日、運動会やクラスマッチ、文化祭、学習発表会、修学旅行などの学校行事は宿泊等の有無にかかわらず、実施しないよう県立学校に通知。福岡や北九州、久留米、飯塚各市なども宣言期間中は運動会を実施しないと決めた。

(西日本新聞2021年5月14日)

変異ウイルスが猛威をふるうなかですから、理解できる部分も多々あります。しかし、一方的な中止等は、学校教育の根っこに関わる、別の問題もあります。

■多くの自治体が修学旅行や運動会の中止を呼びかけ
教育新聞(2021年5月7日)は、その日時点で緊急事態宣言が出ている都府県の状況を整理しています。(※5/7現在の状況。今後の状況等しだいで変更がある可能性はあります。)

東京都:学校行事で感染リスクの高い活動は中止。修学旅行は中止または延期。
京都府:学校行事で感染リスクの高い活動は中止。修学旅行は緊急事態宣言中は実施しない。※京都市も同様。
大阪府:府県間移動を伴う学校行事は中止、延期。修学旅行は緊急事態宣言中は中止・延期。※大阪市、堺市も同様。
兵庫県:学校行事で県外の活動は見合わせる方向。修学旅行は原則行わないが、一部は学校判断。
神戸市:児童生徒が接触する学校行事の活動などは中止。修学旅行は中止または延期。
愛知県:修学旅行を含め学校行事は中止または延期。
名古屋市:検討中。
福岡県:検討中。
福岡市:検討中。
北九州市:運動会や体育祭は延期

中止または延期という判断のところが多いようです。修学旅行は大人数で飲食や宿泊を伴う活動ですし、運動会、体育祭などでは接触する種目もありますから、新型コロナの感染防止の観点からは、延期等もやむを得ないという判断であろうと思います。

理解できる部分は多いのですが、一方で、とても気がかかりなこともあります。ここでは2点に整理したいと思います。

■疑問1:「中止」という選択肢しか本当にないのか?
延期はまだわかりますが、早々に「中止」を決定する自治体、学校もあります。本当に「中止」しか選択肢はなかったのでしょうか?

修学旅行について言えば、感染リスクが低い地域に変更、延期したり、日帰りの体験活動に変更したりする例が昨年度もありました。運動会なども、学年別に分けて開催したり、接触の多い種目は除いたり、保護者等の人数を限定したり(あるいは無観客にしたり)する例もありました。

こうしたことは、教育委員会も教職員もよくわかっているとは思いますがが、感染リスクが心配なので「中止」しかない、という考えのところもあるようです。

■疲弊して萎縮する学校現場
「もう少し柔軟に、幅広い選択肢から考えたらよいのに」と、私は感じますが、「行事を強行して、感染者が出たときには、すごく学校が非難される」という心配、もっと言えば、恐怖が学校や教育委員会には強いのだろう、と思います。

ある教員も「もちろん、やれるものなら、やりたいという気持ちは先生たちにもありますよ。でも、何かあったときすごくバッシングされるのはいつも学校です」と言っていました。

実際、行事にかぎらず、普段の学校で感染者が出たときも、学校の対応がマズかったのではないか、という批判、非難が多く寄せられる地域はあります。地域のかたや議員さんからクレームが入るのです。家庭内感染が主なルートであったとしても。冷静に話をしてくれる人ばかりではありません。

ただでさえ、多忙を極めているのが、多くの学校現場です。やっかいなクレーム電話に対応するのは、精神的にもすり切れてしまいます。

※もちろん、学校の対策が十分だったかどうかという検証や検討は重要なので、こうした苦言をすべて「クレーム」と見なすことも適切とは言えませんが。

「中止」とすぐに決めてしまう教育委員会や学校のなかには、こうしたこれまでの痛い経験があるため、萎縮してしまっているところもあるのです。

なお、文科省は感染対策は講じた上で、修学旅行等をなるべく実施してほしい、という考えです。再三通知を出していますが、この4月1日にも、「令和3年度における修学旅行等の実施に向けた配慮について」という文書を出しています。

■疑問2:子どもたち不在で決めていくのが「教育」か?
ちょうど約1年前の状況を振り返っても、修学旅行や運動会、体育祭、文化祭などの中止が相次ぎました。私が問題視しているのは、中止の是非というよりも、その決め方です。

すべての地域がそうだったとは申し上げませんが、一部の教育委員会や校長は、子どもたち不在でいろいろ事を進めようとしてきました。教育委員会と校長会でゴニョゴニョと協議し、早々に決めたところも多かったですし、昨年度は夏休みを大幅に短縮する動きも一方的でした。調査データがないので、推測になりますが、おそらく多くの地域では、こうした決定の前に児童生徒の声を聴いたという形跡はほとんどありません。保護者もほとんど関与できなかったところが多いのではないでしょうか。

約1年前に見られたことが、また今年も繰り返されつつあります。

本当にこんなことでよいのでしょうか?

ある学校(複数)では、修学旅行の代替となる校外学習を小6、中3の子どもたちが話し合いながら企画しました。そういう学校と、「コロナで残念だったね」で済ませる学校で、どちらが子どもたちが育つでしょうか?

■日本の教育は「従順さ」ばかりを育てている
子どもの権利条約では、子どもは自分に関係のある事柄について自由に意見を表すことができ、おとなはその意見を子どもの発達に応じて十分に考慮することを求めています(第12条)。

日本が子どもの権利条約を批准したのは1994年。25年以上経っているのに、学校や教育行政では、いまだに、子どもたちの意思や意見が十分に尊重されているようには見えません。子どもの権利・法律問題に詳しい、佐藤みのり弁護士はこう話しています(強調は引用者、大人んサー「夏休み短縮、部活動中止…子どもの意見を聞かず、大人だけで議論していいのか」) 。

 こうした声(引用者注:子どもたちの声、意見)に耳を傾けず、大人だけで物事を決めてしまうと、子どもは『どうせ自分たちが意見を言っても大人は聞いてくれない』と感じ、次第に『何を言っても無駄だ』と諦めるようになってしまいます。教育が大きく変わる可能性のある今こそ、大人が子どもの意見にしっかり耳を傾けるチャンスです。

 子どもの意見をよく聞き、それを踏まえて議論し、その過程や結論を子どもに分かりやすく説明することが大切です。そうすることで、子どもは大人が真剣に向き合ってくれたと感じ、今後もあらゆる場面で、自ら考え、意見を言えるようになるでしょう。

「主体性のある子どもを育てる」「自律的に学び続ける大人になっていってほしい」。こう日本中の先生たちは言うわけですが(学校目標にはそういう文言がよく入っています)、まったくきれい事ではないでしょうか?

「教育委員会や先生の言うことに黙って従うのが〝いい子〟」ではありませんよね?

■理不尽な校則を押しつけることも、根は同じ
茶髪禁止、ツーブロック禁止、スカートはひざ下5センチ、下着は白のみ。「ブラック校則」と言われることもある、合理的な理由がよくわからない校則を押しつけることも、行事の中止等と同じ根っこの問題がある、と私は見ています。

かつて荒れて生徒指導がたいへんだった時代に、頭髪や服装などを厳しくしないと、地域等からクレームがたくさん来る学校もありました。ともかく校則を守らせておけばそうしたクレームにはならないだろうという安直な考え方が教職員に引き継がれ、また、日々忙しいなかで、校則や学校の決まりを見直そうというエネルギーさえ生まれてこない。そして、子どもたちの意見表明や主体性を軽視してきたことが、こんにちまで続いているのです。

学校や教育委員会だけを責めて解決する問題でもありません。教育関係者に加え、保護者や地域のかたなど、多くのかたが、「大人の言うことを子どもたちは黙って従っていればいい」という教育をしてしまっている現実に気づき、「もっと子どもたち主体で練り直そう」、「コロナでたいへんだけれども、だからこそ、子どもたちと一緒に考えていこう」と転換できるかかどうかが、問われています。

※本稿は、拙著『教師と学校の失敗学:なぜ変化に対応できないのか』(PHP)を加筆して作成しました。

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筆者も妹尾氏の意見に同意します。一度決めたら変えられない。その理由に政権や学校の「権威がなくなる」ことを恐れているのだそうです。明治維新然り太平洋戦争然り、幕府の攘夷方針を変えることができず薩長に政権を明け渡した徳川、ミッドウェー海戦で空母を致命的に失うのに停戦協定等に移行できなかった大本営と同じです。そこに横たわっているのは、権威とか言うけど、それは言い訳でかっこつけてるだけだと思うのです。農耕型ムラ社会が足並みを揃える事で生産性を維持するために作った文化、身に染みた同調圧力が怖いだけではないかと思います。子どもと共に語り合う事は、自分たちのことは自分たちで決める自立心を育てていくのだと思います。

その3:二つのコミュニケーション

行動障害の予防には原因を正確につかむことが必要です。この図は障害による二つのコミュニケーションの障害が行動障害の直接原因だとしています。そして環境要因としてのモノ・ヒト・コトが掛け合わされて長い年月をかけて積みあがり行動障害が形成されます。

さて二つのコミュニケーションと書きましたが、このブログをお読みの方はもうお分かりだと思います。

そうです。理解コミュニケーションと表出コミュニケーションの二つです。最近は、理解コミュニケーションは構造化支援や視覚化でずいぶん取り入れられるようにはなってきました。昔は絵カードなんて社会では使えないからと平気で言う方がおられましたが、さすがに影を潜めました。障害のない人でも記憶が定かでなかったり、すべてを知っているわけではないので書いてあるものを頼りにするのだから、聴覚入力や記憶がさらに弱い人なら視覚支援は当たり前だということがやっと広まってきたからです。

例えば以下の経験のない人がいるでしょうか。みんな物事を理解するために、忘れないために視覚支援という情報に大半頼っているのです。(1)カレンダーに予定を書き込んで、忘れないようにしていいる人。(2)《すべきこと》のリストを作って、机や冷蔵庫に貼っている人。(3)何がほしいかを伝えるときに、広告やメニューの写真を指さしたことがある人。(4)買い物に出かける前に、買い物リストを作る人。(5)「列に並んで下さい」、「入口・出口」などの標識を見たことがある人。(6)料理本のレシピを見ながら、食事を作ったことがあり、その料理を作る度に、そのレシピを繰り返す人。(7)家族への伝言を、メモに書いておく人。(8)レストランで注文を決めるとき、メニューに目を通す人。(9)子どもが歯磨きを忘れないように、チェックリストを作った人。(10)やるべきことを思い出すために、付箋紙に書いて鏡や玄関ドアに貼ったことがある人。(11)《イラスト入り組み立て説明書》を見ながら、買ってきた家具などを組み立てたことがある人。(12) 電車やバスに乗るときに、時刻表や接近情報を見る人。(13) 車を運転するときに、様々な道路標識や交通信号を見る人。(14) 新幹線や映画館で指定席に座るとき、座席の番号を切符を見て確認する人。(15) スーパーなどで買い物するとき、値札を見て買うかどうか考える人。あげだすときりがありません。理解コミュニケーションに障害があれば、もっと丁寧に支援するのは当たり前だと思います。

二つ目のコミュニケーションは最も大事なコミュニケーションです。表出のコミュニケーションです。どんなに周りのことや大人の言うことが理解できても、何も伝えることができないとすればあなたならどんな気持になると思いますか?それが毎日毎日です。永遠にその感じが続くとすればどうでしょうか?周囲のことが少々理解できなくても、自分から伝えることができれば大体のことは解決できると思いませんか?

明日は表出のコミュニケーション障害と行動障害について考えてみます。

大阪モデルと視覚化の効能

大阪府では5月5日、『大阪府新型コロナウイルス対策本部会議』で、約1カ月延長が決定した緊急事態宣言の規制を早期に緩和させるための独自基準「大阪モデル」を決めました。吉村洋文知事は、「感染状況を4つの信号に分ける。警戒信号が7日間点灯しなかったら自粛を解除する」と発表しました。

この日の会議では、府独自の基準にも基づく自粛要請もしくは要請解除の基本的な考え方について検討。モニタリング指標として、4つの警戒基準案を資料にして公表しました。
1つめは、新たに発見された感染経路(リンク)不明陽性者の増加比(前週比1未満)
2つめは、新規陽性者における感染経路不明数(10人未満)
3つめは、新規PCR検査での陽性率(7%未満)
4つめは、重症の患者を受け入れる病床使用率(60%未満)
(5月4日時点で、1=0.68、2=7.29人、3=4.5%、4=33%とすべて基準値以下)

この4つを「警戒信号」とし、陽性者の発生を抑えて4つの信号すべてが原則7日間消えれば自粛は段階的に解除します。一方、解除後であっても1から3までの信号が全点灯した場合には、改めて府民へ自粛などの対策を要請するという方針です。現在の緊急事態措置において、5月31日までは自粛を継続しますが、吉村知事は「14日の国の判断も参考にしながら、15日に府としてどう判断するかを発表したい」と、大阪府ではこれら警戒基準案をベースに段階的な解除が可能か判断するといいます。今後、府下の警戒状況については、「より分かりやすく行動変容を促せるよう大阪城や太陽の塔、通天閣にも協力をお願いし、大丈夫は緑、警戒は黄色、注意は赤などライトアップで見える化したい」と語りました。

大阪城のライトアップは金がかかりすぎると松井市長に断られましたが、視覚化と言うアイデアは安心感をもたらします。発達障害の人だけでなく、誰だって視覚化すれば見通しがもてて頑張ろうとするのがよくわかる事例だと思います。今日で達成6日目で後二日で判断です。基準や枠組みを示し視覚化すれば、辛いことなのに楽しみさえ持てるのが視覚化のすぐれたところです。

大阪市の小中学校 24日から通常授業

大阪市の小中学校 24日から通常授業を再開へ

05月17日【NHK】

今回の緊急事態宣言を受けて、大阪市立の小中学校が自宅でのオンライン学習と、学校でのプリント学習を組み合わせる形で対応していることについて、市の教育委員会は、今週後半から授業を段階的に再開したうえで、来週24日から通常の形での授業を再開することを決めました。

緊急事態宣言を受けて、大阪市立の小中学校では、子どもたちの感染リスクを抑えるため、先月26日以降、原則、自宅でのオンライン学習と、学校でのプリント学習を組み合わせる形で対応しています。

これについて、大阪市教育委員会は、この間、子どもの感染者数が徐々に減少傾向となっているほか、重症化した事例の報告もないとして、今週後半から授業を段階的に再開したうえで、来週24日から通常の形での授業を再開することを決めました。
具体的には、今週20日から、各学校の実情を踏まえながら授業を最大で4時間実施し、残りの時間は、オンライン学習などを行うとしています。

そのうえで、来週24日から通常授業を再開するとしています。
また、先月26日以降、午前のみの保育としている市立の幼稚園についても、来週24日から通常の保育を再開し、このうち、今年度、新たに入園した子どもについては、段階的に保育時間を延ばすとしています。

松井市長は、記者団に対し、「病床のひっ迫や、変異株の感染リスクを考慮し、子どもたちの接触機会を減らすための対策をとってきたが、幸い重症例もなかったので、通常授業に戻していく」と述べました。

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武漢風邪のピークアウトは連休前にあり、その後は下げ止まりの感があり、3月頃の100名以下にはなりそうにありません。それも踏まえて、宣言延長による学校の自粛登校の効果もあまりなかったということで、緊急事態宣言終了日の1週間前倒しで「再開」したのかも知れません。大阪市長の「幸い重症例もなかったので、通常授業に戻していく」の主語は子どもですが、もともと子どもの重症例は世界的に報告されていないどころか、無症状がほとんどです。通学自粛には結果的に意味がなく、他市と平等であるべき子どもの学習機会を根拠なく奪ったことへの取り繕いのコメントだとすれば残念です。

その4:表出のコミュニケーション

前回の二つのコミュニケーションで重要なのは表出のコミュニケーションだと述べました。ただ、表出のコミュニケーションと言えども誰にでも伝わるものでなければ役に立ちません。また、自発的に使えないと肝心な時に役に立ちません。

言葉での表出は、発声機能に問題がないこと、言語処理機能に問題がないこと、聴覚的短期記憶や長期記憶に問題がないことが前提です。身振りはどうでしょう?身振りはそのサインを模倣できる力や相手にもそのサインが何をさすかがわかる必要があります。絵や写真はどうでしょう?相手にものを渡せる機能と、絵が現物を表現する方法だと分かればだれでも使えますし、誰でも伝わります。つまり、意思伝達に絵カード表現は最短距離で到達できるということです。

二つ目に大事なことは、表出コミュニケーションの自発性を獲得していることです。私たちは用もなく話しかけることはほとんどありません。必ず目的があります。ところが、行動障害の方は、相手に自分から情報を与えて目的をかなえる、「自発的」な表出コミュニケーションが困難な方がほとんどなのです。

また、日常相手が黙っていると「どうしたの?」と私たちは声を掛けます。「どうしたの?」は、「何か欲しいの?」「どこか痛いの?」「何か気分が悪いの?」「何か困っているの?」「何か助けがいるの?」等の意味です。自発的な表出に困難がある人は、「どうしたの」が聞かれなければ何も表出(言えない・身振りできない・カードが示せない)人が多いのです。中には何か言ってほしそうにじっと相手の顔を見つめる人もいます。これが「指示待ち」です。つまり「どうしたの?」や「~してね」を待っているのです。

相手が自分に話しかけたり相手が自分にはたらきかけたりして、初めて伝えるもの、初めて行動を起こすものという理解をしている方が大変多いのです。この状況を想像してみてください。自分の要求を叶えるために相手が自分に話しかけてくれるのを四六時中ずっと相手の様子を見守り待つのです。万が一、話しかけてくれたにしても表出スキルが低くかったり相手の理解力が低かったりして上手く伝えられなかったらまた待つのです。実力行使する行動障害の人たちの気持ちが分かります。

適切な意思伝達は自分から起こすものだということを理解してもらうには、適切なコミュケーションスキルで意思伝達ができ要求が叶ったという経験を蓄積するしか方法がありません。日常場面では、スキルを教えるよりこの自発性を教える方がはるかに難しいと感じています。それはある程度のコミュニケーションの成功体験の回数が必要だからです。その人にもよりますが、1日100回を超えなくては文字通り話にならないと思います。つまりその人が便利だと気がつくまで生活のあらゆる場面で経験が蓄積される必要があります。

大阪に追随「京都方式」

昨日掲載した武漢ウィルス感染症緊急事態宣言の解除を示した「大阪モデル」にならって、5/12日に「京都方式」を発表しました。以下が京都府LINE公式アカウントの発表です。

【京都府LINE公式アカウント 新着情報 #新型コロナウイルス】
本日開催の専門家会議において、緩和判断基準(案)について議論頂き、概ね了解を得ました。
コロナ感染症は収束した訳ではなく、緩和は段階的かつ慎重に進めていく必要があります。
最終的には、15日に開催する専門家会議を踏まえ対策本部会議において決定します。

<4つの判断基準(案)>
①新規陽性者数 5名未満(7日間平均)
②感染経路不明者数 2名未満(7日間平均)
③PCR検査陽性率 7%未満(7日間平均)
④重症者病床使用率 20%未満
※全ての指標が7日間連続で下回っていることが確認できた段階で緩和に移ります。

大阪の3分の1の人口で換算すれば、大阪府感染経路不明者数10名より厳しめですが、数値で枠組みを決めたところは評価できます。と、思っていると政府も追随して、発表するようです。

政府は14日午後、安倍晋三首相が記者会見し、解除を判断した理由などを説明します。対策本部での正式決定は会見後となる予定です。

解除の根拠は、直近2週間で新規感染者数が減少傾向にあり、「直近1週間の新規感染者数が人口10万人あたり0・5人以下」などとするものの、必達の基準とはせず、医療提供体制に余裕があるかやPCR検査の拡充など各地域の状況を総合的に判断する方向です。

再び感染が急拡大する兆しがみられる場合は、改めて緊急事態を宣言する考えです。ただ、具体的な数値基準は示さず、直近の新規感染者数や、感染経路不明者の割合などをもとに判断する方向で調整中と言います。

どうも官僚色が強ければ強い程、責任を取りたくないのか条件が曖昧ではっきりしない感じがします。数値基準もハードルが高過ぎます。人口1億2千万とすれば、新規感染者数が週600人、一日85人以下ならOKですよということです。京都府260万なら週13人、1日2人未満ですから、京都の5人未満目標の倍以上のきつい目標となります。ただ、学校を3か月止め、飲食店も1か月以上止めれば達成はできるはずです。気になるのは煽り気味の自粛ムードと、その同調圧力を恐れて解除の決断が根拠なく遅れてしまうことです。

 

福島第1原発事故甲状腺検査、任意性確保に課題

福島第1原発事故甲状腺検査、理解進まず県聞き取り調査、任意性確保に課題/福島

2021/5/19【毎日新聞】

福島第1原発事故当時に18歳以下だった子どもに県が実施している甲状腺検査について、県は17日の県民健康調査検討委員会で、検査を受けた子どもと保護者への聞き取り結果を公表した。検査を受けることによる不利益や、自らの意思で検査を受けるかどうかを決める任意性についての理解が進んでいないことが明らかになった。

小中学生と高校生への甲状腺検査は、担当者が学校へ出向き、授業中などに希望者に対して実施されている。一方、学校での検査は断りづらく任意性が確保されにくいという意見や、無害の甲状腺がんの発見で心身に負担が及ぶ「過剰診断」の不利益を被るとの指摘も言われ続けている。

調査は今年3月、検査を受けた県内の高校生3人と、中学・高校生の保護者6人へのインタビュー形式で実施された。検査を授業中に学校で行うことに強制性を感じるかという質問には「半強制みたいな感じ」「時間をとってやるので、受けないのが変かな」などとの回答があった。また、検査を受けるかどうかを決めるうえで、検査による利益・不利益を知っているかとの質問には「受ける・受けないを決める考えはなかった」「デメリットは考えたこともない」「検査の情報は圧倒的に少なく、説明会をもっときめ細やかにやるべきだ」などの意見が出た。

県は今後、検査の利益・不利益を説明する文書を本格的に配る。星北斗座長(県医師会副会長)は「任意性の確保の工夫と同時に、検診の機会の容易さも考えなければならない」と指摘した。【寺町六花】
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武漢風邪のPCRスクリーニング検査で陽性になっても偽陽性もあるので罹患したかどうかは発症をみないと分からないことと同様の問題です。しかし、個人へのダメージが大きい点では比べ物にならないくらい、甲状腺超音波スクリーニングは問題が多いです。小児に関しては甲状腺癌の早期発見が再発率の低下に貢献するどころか真逆である可能性が高いという医師もいます。福島の放射能汚染の風評被害は、野菜や魚だけではありません。子どもたちの遺伝子異常の風評被害まであるからです。

超音波スクリーニングで発見される小さな腫瘍は悪性の甲状腺がんとは限らないです。しかし、今までは予防的には使われなかったこの検査が、任意ではあるけれども福島の子どもの早期発見のためにと言う大義名分で使われているのです。今までは、首にしこりなどの症状があって甲状腺超音波検査をしていたのが、症状のない人にまで拡大すれば、発見数は増えて当たり前です。そして、検査数を増やして腫瘍発見数が増えたからと言って悪性の甲状腺がんが増えたと言うエビデンスはありません。

韓国では甲状腺超音波スクリーニングでの過剰診断の問題が明るみにでてから甲状腺癌の手術件数は減少していますが、実は診断された数と手術数の割合は変化していません。つまり、甲状腺癌と診断された大多数の患者は過剰診断を知っていながらそれでも手術を受けることを選択しているのです。子供に対して癌を”放置する”という決断ができる保護者はなかなかいません。経過観察を選択したものの、数年後に不安に耐えられなくなって手術に踏み切るのです。子供にとっても甲状腺癌を経過観察するということは一生涯に渡って大きな重荷を背負わせることになります。

子供に癌患者とのレッテルを貼ることがQOLを大きく低下させる、ということを認識する必要があります。過剰診断の被害は小さな腫瘍が見つかった時点で始まっています。ところがこの小さな腫瘍が無害かどうかは時間がたたないと分からないのです。若年者の甲状腺癌の過剰診断は成人のそれより被害が深刻です。

それは問題が健康問題にとどまらず、人権問題も伴うからです。特に、福島県の子供に対しては、「遺伝子が放射線で汚染されている」「結婚すべきではない」等、心無い風評が残念ながら広がってしまっています。このような状況で子供たちに”がん”という診断名をつけることは彼らの人生に重大な影響を与えます。福島で甲状腺癌と診断された本人や家族が最も懸念しているのは健康問題ではなく「結婚」問題なのです。

その5:丁寧にひとつずつ

私たちは表出言語を教えられた経験はありません。自然に覚えたからです。行動障害を起こしていたりその可能性のある方に表出のコミュニケーションを教えるにも自分の経験がないのです。人は自分の経験にないことを習得するにはそれなりの時間がかかります。スポーツの経験のある方や習い事をされた方ならわかると思います。さらに、人に教えられるようになるには普通にできる人より深く広く熟知する時間が必要です。

サイン言語の研修会やPECSの研修会に行って少し職場でやってみたけど子どもがうまく反応してくれなかったり成果が出なかったりして、周囲からもなんとなく疎まれている感じがしてあきらめてしまう支援者は少なくないと思います。成功している方は、家庭でも現場でも長く粘り強く取り組んでいる方です。人の発達を考えても、自発のコミュニケーションの基礎が完成するまでに10か月から18か月かかるのです。焦りは禁物です。あの手この手の工夫も必要です。

子どもが自発の表出コミュニケーションの扉を開けると驚くような速さで表出コミュニケーションを吸収していくのも事実です。言葉の獲得まで進む方もいます。言葉があったけれどもうまく使えなかった人も適切に会話ができるようになる人もいます。

この道のりを試行錯誤で切り拓いたのは100年前のヘレンケラーとサリバン先生。今日、表出コミュニケーション支援が最も体系化されエビデンス(科学的根拠)が確認されている方法は、PECS以外に私たちは知りません。ただPECSも細部にわたって万能ではないし人はみな個性があり違います。一番大事なことはその人が好きなことをたくさん知っていることです。先にも述べたように私たちは表出のコミュニケーションを「教えられた」経験はありません。だから私たちも表出のコミュニケーションの学習者です。行動障害を予防し強度行動障害を軽減するコミュニケーション支援は、子どもたちに並走しながら地道に学んで伝えて、一歩一歩進むことが大事だと思うのです。

川崎病類似の症例

新型コロナ、川崎病類似の症例急増に関与の疑い-イタリア医師ら指摘

ブルームバーグニュース Jason Gale 2020年5月15日 9:15 JST

少数の子供にしか見られないが、発症すれば血管に炎症が起き大事に至ることもある川崎病に似た症例が世界各地で報告されている。症例数は通常の約30倍に急増しており、新型コロナウイルスがこれを引き起こしている可能性があると、イタリアでの調査報告が指摘した。子供へのリスクについて、パンデミック(世界的大流行)の影響に苦しむ他国にも不吉な警告だ。

イタリアの感染拡大の中心地となったベルガモでの詳細な分析が14日、医学誌ランセットに掲載された。それによると、川崎病に似た症状の子供が10人見つかり、さらにニューヨークと英イングランドでおよそ90人の症例が報告された。

川崎病は5歳までの子供がかかることの多い希少疾患で、血管に炎症や腫れを起こす。発熱や発疹、目の充血、唇や口の乾きやひび割れ、手のひらや足の裏の赤み、リンパ節の腫れなどの症状を伴う。

新型コロナ感染症(COVID19)にかかっても子供は成人に比べて重症化するリスクは依然低いが、リスクはゼロではないと、この報告は明示している。新型コロナが猛威を振るう他国でも同様の症例が発生する可能性があり、学校再開を巡るガイドラインを策定するに当たり考慮すべきリスクだろう。

報告執筆者の1人でベルガモの小児科医であるアンナリーザ・ジェルバゾーニ氏は、「われわれの経験では、新型コロナに感染した子供のうち川崎病のような症状が出てくるのはごく少数だ」としつつ、「世界の各国が社会的な距離をとる政策の緩和を計画する中では特に、新型コロナが子供に及ぼす影響を理解していくことが重要だ」と電子メールで指摘した。

一般的な例では、この症状を発症した子供のうち約4分の1が心臓の合併症を起こすが、適切な治療が行われれば命に関わることはまれだという。この症状を引き起こす原因は判明していないが、感染に対する免疫の過剰反応が関係しているとみられる。

原題:Coronavirus Spurs Spike in Serious Blood Disorder in Children(抜粋)

不登校の「その後」見つめる

あの時ほしかったものを不登校の「その後」見つめるびーんずネット・金子純一さん(49)

2021年5月17日 【東京新聞】

七年前、仕事から帰宅すると、テーブルの上に小学三年だった長男からの書き置きがあった。「学校に行きたくないです」
突然の不登校にひどく慌て、悩んだ。「学校に行くことに意味を感じていたし、弱さや甘えを許してしまうと将来が心配だ、と思っていましたから」。一緒に風呂に入るたびに「新学期から学校に行こうな」と言い聞かせた。

長男は漢字を書くのが苦手だった。漢字ドリルの不正解だった部分に、先生が付せんをつけていく。その付せんが連なって、「ライオンのたてがみみたい」と同級生にばかにされたのだという。「漢字のない国に行きたい」と長男は打ち明け、大泣きした。

結局、新学期からも登校せず、子育てを巡って夫婦げんかに。翌朝、妻あかねさんから本を渡された。「子どもを信じること」(田中茂樹著、さいはて社)。先回りし、価値観を押しつける親の危うさが書かれていた。ぜんぶ自分のことだ、と思ったという。
「子どもが転ばないように、勝手に石をどけようとしていた。先回りはやめて、自分たちが変わろうって決めました」

二〇一八年、妻が産業カウンセラーの資格を取得したのをきっかけに、夫婦二人で「びーんずネット」の活動を始めた。不登校に関するセミナー開催のほか、不登校だった人々の「その後」に着目した事例集「雲の向こうはいつも青空」を年二回発行。今年三月で五冊目になった。

リアルで等身大の不登校を立体的に伝えるため、不登校の経験者や保護者、支える人々ら、一冊で七人のインタビューを紹介する。つづられているのは、正解のない、七人七色の雲と青空だ。読者は全国に広がり、「安心した」「勇気をもらった」との声が届く。
「不登校のその先はどうなるのか。悩んでいたあの時、まさに自分がほしかったものなんです」

長男は今、登校のない通信制高校の二年生。今年二月、肩まであった髪を切り、ファストフード店の厨房(ちゅうぼう)でアルバイトを始めた。やけどした手を見せるのも、どこか誇らしげだ。
「これで万々歳とは思わないけれども、親としてじんわりうれしい」。ほおが緩んだ。(石川修巳)

<びーんずネット>代表は妻の金子あかねさん。「まず、親が幸せになる」をキャッチフレーズに、気づきや学びの場となるセミナーをオンラインで開催。ほかにインタビュー事例集「雲の向こうはいつも青空」(税込み1100円)の発行など、不登校をテーマに活動している。詳しくはホームページへ。

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記事に出てくる「漢字のない国へ行きたい少年」は読み書き障害と思われます。小学校は毎日のように漢字の小テストがあります。先生は親切心ですが、読み書き障害の子どもにとっては、たまったものではありません。多くの学校は読み書き障害のない前提で学習を進めているし、読み書き障害のスクリーニングもしないので、苦しむのは子どもという事になります。

発達性読み書き障害の研究者で有名な宇野彰先生によると、学童期で日本語の読み書きで7~8%、英語になると10%存在すると言います。そのグレーゾーンまで含めると、無視できない数となっています。にもかかわらず、字が下手糞、書写が遅い、音読の家庭学習が不十分等といわれなき中傷を昔から受け続けてきたのです。しかし、現代は読み書き障害が発達障害の一つとして国際的に認知されているのです。これが不登校の主要な原因なら、学校は合理的配慮の不作為を問われ責任を追及されても仕方がありません。

不登校の原因は学習の問題だけではないですが、まじめな子どもであればあるほど、自分ができないのは他人がもっと頑張っているからに違いないと思い、自分を責めだんだん登校が苦しくなっていきます。学習障害を契機とする不登校だけは学校の力で防止してほしいものです。

その6:虐待防止

行動障害の原因や支援方法を理解をしていないと虐待の可能性が高くなります。今回は虐待防止について考えてみます。
2012年から始まった障害者虐待防止法の最後に「養護者に対する支援等に関する施策を促進」と書かれています。また、「養護者に対する支援」という部分では、家族など養護者の虐待について触れています。家族は、もちろん愛情をもって育てていますが、介護している人の中には大きなストレスを抱えていたり、相談できる人が周りにおらず追い込まれた状態にある人がいます。これらが原因であることが多いので、虐待までに発展しないように、家族などの養護者を支援していく事が必要としています。
また、虐待が起こってしまった場合には、なるべく早く小さいうちに見つけて、虐待がエスカレートする前に被害を防いでいくことが重要です。そこで、法律の中でも早期発見・早期対応ということが重視されています。

虐待の類型は養護者・職員・使用者と分けて書かれています。

〔養護者による虐待の5つの類型〕
①身体的虐待:障害者の身体に外傷が生じ、若しくは生じるおそれのある暴行を加え、または正当な理由なく障害者の身体を拘束すること。②性的虐待:障害者にわいせつな行為をすることまたは障害者をしてわいせつな行為をさせること。③心理的虐待:障害者に対する著しい暴言または著しく拒絶的な対応その他の障害者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。④放棄・放置:障害者を衰弱させるような著しい減食または長時間の放置、養護者以外の同居人による①から③までに掲げる行為と同様の行為の放置等養護を著しく怠ること。⑤経済的虐待:養護者または障害者の親族が当該障害者の財産を不当に処分すること。その他当該障害者から不当に財産上の利益を得ること。

〔施設・事業所(職員)における虐待の5つの類型〕
①身体的虐待②性的虐待⑤経済的虐待は養護者と同じです。③心理的虐待では、「~不当な差別的な言動」が加筆されます。④放棄・放置では、「他の利用者による①から③までに掲げる行為と同様の行為の放置その他の障害者を養護すべき職務上の義務を著しく怠ること。」が加わります。

〔使用者による虐待の5つの類型〕
①身体的虐待②性的虐待⑤経済的虐待は養護者と同じで、③心理的虐待は、職員と同じです。④放棄・放任では、「養護者以外の同居人」や「他の利用者による」となっていたところが、「~ほかの労働者による」とし、同僚・上司・部下などからの身体的、性的、心理的な虐待が起こっていることを容認したり見過ごすことが書かれています。この使用者による虐待については、障害児童も高齢の障害のある人もこの虐待防止法が適用されることになっています。

〔事業所での身体拘束・行動制限について〕
本人を落ち着かせるためにとか、周りへの影響を考えてなどの理由で本人の行動を抑制することが、本人にとってはマイナスになってしまう可能性があることや、倫理的な部分で問題になってくることがあります。障害特性などをしっかりと理解し、できる限り支援方法の共有化やマニュアル化などによって行動障害が起こってしまう前に、適切に支援することが大事です。身体拘束については、切迫性、非代替性、一時性の3要件すべてを満たすことが必要です。ただ、身体プロンプト(スキル獲得のための身体誘導で、徐々に消去していく行動支援)と身体拘束は全く違うものですから支援の専門家は行動支援の手法について良く学習をすることが必要です。
「問題行動」に対処するために、身体的虐待に該当するような行動制限を繰り返していると、本人の自尊心は傷つき、抑えつける職員や抑えつけられた場面に対して恐怖や不安を強く感じるようになります。人や場面に対しての誤った学習を繰り返した結果、さらに強い「問題行動」につながり、さらに強い行動制限を行うという悪循環に陥ります。行動障害に対する知識と支援技術を学び、支援をマニュアル化することなどによって職員全体で共有し、行動制限の廃止に向けて取り組むことが施設・事業所での障害者虐待を防止することにつながると共に、支援の質の向上にもつながります。

YouTube「向日が丘学習支援チャンネル」

臨時休業中の学校のホームページを見ると、先生方が色々頑張って発信している学校もあります。小中学校独自ではテキストベースのものが多いですが、支援学校はおもしろい動画のオンパレードでした。

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京都府立特別支援学校で学まなんでいる児童生徒のみなさん、学校に通かよえない毎日が続いていますが、元気にしていますか。このページぺーじ『まなびのバイキングばいきんぐ』は、コロナウィルス感染拡大予防のため在宅となっているみなさんを応援するために、全の府立特別支援学校の先生が協力して立ち上げました。このページには、みんなの笑顔を思浮かべながら考えた先生たちのアイデアがたくさん詰まっています。自分のできそうなもの、楽しそうなものを選んで見てください。そしてやってみてください。そして、学校でまた会えたときに、どれが楽しかったか教えてくださいね。それでは、「見みてみよう・やってみよう!!」

http://www.kyoto-be.ne.jp/tokubetsu/cms/?page_id=96

これの向日が丘支援学校版がyoutubeにアップされています。

https://www.youtube.com/channel/UC-R92ycFKYIO1WexpZVym8Q

校舎内やスクールバスに投影するプロジェクションマッピングや簡単なマジックなど楽しいですよ。一度覗いてみてください。

 

わいせつ教師のブラックリスト

わいせつ教師のブラックリスト共有化を考える
園田寿 | 甲南大学名誉教授、弁護士

5/21(金)【Yahoo!ニュース】

■はじめに
教師による学校内での児童生徒に対するわいせつ事件があとを絶ちません。優越的立場を背景に、抵抗できない弱い者に対して自己の性的欲望を暴力的に満たすのは、もっとも卑劣な行為だといえます。ところが現行の制度では、処分を受けて教員免許状を剥奪された者が、最短で3年経過すれば再び教職に返り咲くことができるようになっています。性的な不祥事を起こした教員が再び教壇に立つことができないようにするべきだとか、3年という時間はあまりにも短すぎるといった意見がありますが、もっともだと思います。そこで、この点を改善すべく、法律案が検討されています。

法律案は、わいせつ教師のブラックリスト(データベース)を作成し、免許状の再交付にあたって全国の教育委員会、学校法人の採用担当者などが閲覧できるようにするという仕組みを提案しています。私は、この法律案の基本的な方向性に反対するものではありませんが、十分な議論が必要だと思います。本稿では、その議論の端緒を整理してみたいと思います。

なお、2021年5月10日付けで、学校における子どもの人権を考える会(共同代表:佐久間亜紀、慶應義塾大学・教師教育学)による「『教職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律』案についての論点整理」が公にされています。法案の内容については、基本的にこれに依っています。

■現行制度の確認
現行の教員免許法では、(1)懲戒免職、(2)分限免職、(3)その他教員にふさわしくない重度の非行がある場合には、「免許状取上げ」の処分を行い、「当該処分の日から3年を経過しない者」には免許状の再交付を行わないという規定になっています(第5条1項)。

懲戒免職とは、犯罪や重大な非行などを行ったことを理由として解雇される場合で、(「身分保障の限界」という意味の)分限免職は、心身の故障、勤務成績不良や懈怠(けたい)などを理由とした免職で、必ずしも犯罪や非行などを理由としたものではありません。

問題は、このような理由によって免許状が取上げられた者であっても、最短3年が経過すれば申請によって免許状が再交付されうるという制度になっている点です。

実際に、「福岡県で生徒へのわいせつ行為で懲戒免職を受けたことを隠し、虚偽の履歴書を提出して88~2018年に埼玉県で教員として勤務した」といったケースが報告(埼玉新聞2021年3月23日)されていますし、同様のケースは少なくありません。

■法案の内容
今回の法案はとくに以上のような点について、制度を改めることが目的です。そして、目玉となるのがデータベースの構築ですが、それは以下のような内容になっています。

(1)次のような行為を「児童生徒性暴力等」と定義する。
a. 強制性交、わいせつ行為(刑法上の罪)
b. 児童買春のあっせん、児童ポルノ所持、製造、輸入、盗撮による製造等(児童ポルノ禁止法上の罪)。
c. 児童生徒を著しく羞恥させたり、不安をおぼえさせるような態様で、衣服の上から、あるいは直接児童生徒等の身体に触れたり、通常衣服で隠されている下着や身体を撮影し、または撮影目的でカメラ等を向けたり設置したりする行為
d. その他、性的羞恥心を害する言動であって、児童生徒等の心身に有害な影響を与える行為

(2)児童生徒性暴力行為等によって免許状が失効した場合、各教育委員会がその教員の情報を、文科省が一元的に管理するデータベースに迅速に登録し、各教委や学校法人などが採用の参考とする際に閲覧できるようにする。

(3)各教委が第三者委員会の意見を基に、再交付の可否を判断する「裁量権」を認め、その際、教員の更生状況などを勘案する。

端的にいえば、文科省がわいせつ教師のブラックリストを作成管理し、このデータベースを各教育委員会や学校法人が参照して免許状の再交付の可否を決定するというものです。

はたしてこのような制度は、今までの制度に矛盾なく溶け込むのでしょうか。以下、その点を考えたいと思います。

■一般的な問題点
国の基本的な制度からの大きな方向転換になりはしないか
第一の論点は、ブラックリスト共有化という新しい提案が、国の従来からの制度に対する大きな方向転換になりはしないかという点です。

現在の刑罰制度は、根底に応報という考え方(苦痛を与えることによって過去の犯罪行為を清算すること)があり、その枠内で犯罪予防(一般人の犯罪を予防し、受刑者本人の将来の犯罪を予防する)を考えるというものです。そのため、実際の刑罰執行(行刑制度)は、受刑者の再社会化(更生=人生のやり直し)を目的として組み立てられてきました。

その一つに前科抹消制度といわれる制度があります。
これは、刑に処せられて一定の時間が経過すると、刑の言渡しがなかったことになるという制度です。刑の言い渡しを受けて、判決が確定すると市町村役場に置かれている犯罪人名簿に登録されます。しかし、前科は更生の障害となる場合があるため、昭和22年に刑の消滅の規定(刑法34条の2)が設けられ、執行終了または免除後一定期間(禁錮以上は10年、罰金以下は5年、刑の免除は2年)を罰金以上の刑に処せられることなく経過したときに、刑が消滅し(法律上の復権)、前科人名簿からの抹消が認められました。

わいせつ教師のブラックリスト共有化は、この前科抹消の制度と基本的に調和するのでしょうか。ブラックリストからの削除についての規定も、登載期間についての規定もないので、ブラックリストに登録することで、一度過ちを犯した者を刑法の原則を超えて社会から排除するおそれのある制度となる危険性はないのでしょうか。社会制度としてこのような仕組みを設けることは根本的に妥当なのかという点について疑問があります。

本制度は、再び教職に付かせないということだけが狙いなので、他の職業に付くことへの制約にはならない、つまり職業選択の自由を侵すものではないといえるでしょうか。これが次の論点です。

罰則規定がないのは問題
刑法学者としての観点からこの新提案を見た場合、もっとも気になる点は、情報漏洩や悪用についての罰則規定がないことです。

教育委員会や学校法人がブラックリストを閲覧するわけですが、教育委員は公務員ですから、得た情報を漏洩したり悪用した場合は守秘義務違反の罪(最高1年以下の懲役)がありますが、私立学校の採用担当者は私人であって、罰則がありません。私立学校の校長などが、友人の予備校や塾の経営者、さらには一般企業などに情報を漏らすようなケースも想定することが必要でしょう。

ブラックリストには性犯罪歴が登録されているわけですから、もしもこれが漏れたりした場合はたいへんなことになります。本人はもとより、家族や親戚へのダメージは想像以上でしょう。

ブラックリスト共有化が教員免状の再交付を厳格にするだけの制度だから問題はない、といえるのかです。

「児童生徒性暴力等」の概念は明確なのか
ブラックリストに登録されることは、本人にとって重大な制裁的効果があります。登録の前提条件である「児童生徒性暴力等」の概念は、明確なのでしょうか。

この概念の中には、刑法上の性犯罪から、明確に「犯罪行為」として認識されないような行為まで、行為の性質と重さの異なるさまざまな性的行為が含まれています。それらに対する一律的な行政的制裁として免状の取上げがあるわけですが、これにさらにブラックリストへの登録という実質的な制裁処分が課されることになります。その際、なされた行為における侵害性の軽重は問題となっていません。このような仕組みは、近代法の大原則である責任主義(許されるのは責任の重さに応じた制裁)に反する疑いが濃厚です。

また、具体的に当該行為が「児童生徒性暴力等」に該当するとの判断は、だれがどのように行うのかも問題ですし、本人の弁明の機会なども十分に保障されなければなりません。

■では、どうすればよいのか
誤解のないようにいいますが、私も性的な問題を起こした教師がわずか3年で免許状の再取得が可能であるという現状はたいへん問題だと思います。しかし、ブラックリストに登載して排除するという方向性にも疑問があります。

では、どうすればよいのか。

今回の法案では、教育委員会の裁量権を認めることも提案されています。一定の法定要件が具備されれば免許状がオートマティックに再交付されるのではなく、再交付の可否について教育委員会が個別に判断することになります。この提案じたいに異論があるわけではなく、むしろ望ましい制度だと思います。しかし、ブラックリスト方式を前提に考えると、教育委員会が検索して該当者がヒットすれば、それだけで該当者についてさらに実質的個別的な審査が行われる可能性は、特別な事情がない限りきわめて小さいと思われます。

この教育委員会の裁量権を活かすためには、再交付に際して参考とされるデータベースはブラックリスト方式ではなく、ホワイトリスト方式とされるべきです。つまり、まず全教員リストから、懲戒、分限等の処分があれば、その都度ここから該当者を削除していき、いわばホワイトリストを作成する。そして教育委員会が免許状の再交付を審査する際にはこれを参照し、申請者がこれにヒットしなければ、さらにその者について聴聞の機会も保障して個別に実質審査を行う。このような仕組みであれば、法案が目指すものと同じ効果が得られますし、官民の多くの人たちに共有されるデータベースのあり方としても望ましいのではないかと思います。

いずれにせよ、新しい提案について十分に議論されることが必要です。

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性犯罪の再犯率は低くありません。しかも、学校教員や施設職員から子どもが受けるわいせつ事件のほとんどは、行政処分を受け社会的制裁を受けたのだからと起訴されないことも多く、軽微なものと判断されるものは略式起訴程度で終わるものがほとんどで、服役をするほどのものはごく稀です。

犯罪の種類でいえばわいせつ罪は強制も準強制も最高懲役20年と罪が重いのですが、職員が犯す罪は健全育成条例違反の淫行罪がほとんどで懲役2年が最高で、初犯なら執行猶予がつくものがほとんどです。従って前科抹消制度が摘要されれば前科すら消えるのです。

免許制度をわいせつ前科のある人には免許を与えないようにする法案も、憲法の掲げる職業選択の自由を侵すとして断念されました。そこで、行政処分リスト(官報)を調べる証明システムを免許申請や採用時に求める仕組みを文科省が考えたのですが、履歴は今年からと言う情けないシステム(教員の懲戒免職・解雇理由、官報に記載 03/30)なので、日本版DBS(子どもの性被害どう防ぐ?: 01/06) を法律で決めようと言うわけです。英国では2012年にスタートしたそうですが、日本型民主主義(憲法)は時間がかかり過ぎます。

子どもの呼称

福祉の関係者の中には、「~ちゃん」「~くん」と呼ぶことを、人権侵害または人権侵害への傾きがあるとする見解を持つ人がいます。呼称は、そのように単純な問題ではありません。こういう指摘に対して、現場の支援者が納得できない気持ちは理解できますが、ちゃん付けが正しいわけでもありません。

呼称の問題を単純化する悪弊は、自治体職員や福祉支援者に地域住民・利用者を「お客様」と呼ばせることや、学校教育における児童生徒の男女差別を解消するための手立てとして、男女すべてを「~さん」に統一して呼ぶとするなどがあります。「お客様」は消費者主権主義にもとづくビジネスモデルにおける呼称ですから、ビジネスモデルに包摂されない地域住民やサービス利用者は、行政の主権者ではありますが金銭とサービスを交換する「お客様」とは違います。敬意をもって丁寧に接することと、お客様扱いは意味が違います。学校における「~さん」への呼称の統一というのは、差別事案を具体的にとらえて克服していこうとするのではなく、呼称の統一によって「性区別なく公平に扱っていますよ」、「君付けは上から目線だから使いません」というのは、アリバイ工作程度にしか感じないのです。だからと言って、これが全部間違いだというのも逆のステレオタイプのような気がします。もう少し呼称や敬称の問題の本質をつかんだ上で、プロとしての流儀を明確にしたいと思うからここで取り上げてみたのです。

福祉的支援における呼称の問題は、サービスの種類で区別して考える必要があります。一つは施設入所支援やグループホームのように親密圏を構成する支援サービスの中で、支援者と利用者が取り結ぶ関係性にふさわしい呼称の場合です。もう一つは、就労継続支援や就労移行支援に代表されるような、公共圏において支援するか、「公共圏に向けて」支援する時空間において支援者と利用者が取り結ぶ関係性にふさわしい呼称です。だから、この場合は呼び捨てにしたり「~ちゃん」はあり得ません。

親密圏における呼称は、関係当事者の同意に従ったいかなる呼称も、公序良俗に反しない限り、人権侵害には該当しません。ただ、支援者の優位性をテコに利用者を「子ども扱い」して呼び捨てにしたり「~ちゃん」と呼称するのは論外です。しかし、この問題の本質は呼称にあるのではなく「子ども扱い」することに人権侵害の根幹があるのです。関係者の相互了解さえあれば多様な呼称が容認されてもいいのかもしれません。ただ、利用者が施設やグループホームから地域社会のさまざまな活動(就労、買い物、外出、友人との仲間活動等)に参加する場面で呼び捨てや「~ちゃん」を使用し続けることは、人権侵害につながる問題をはらんでいます。地域社会における一般市民の受けとめ方の中に障害のある人に対する「子ども扱い」や特別視を助長しかねないからです。

「~ちゃん」の呼称が、いつの間にか人権侵害につながる恐れがあるという指摘は、呼称の問題が本質なのではありません。親密圏そのものがはらむ「割り切れないリスク」に問題の本質があります。親密圏における「暮らしの中の人権侵害」の問題には立ち入らず、呼称という表面的な問題で片づけているとも言えます。障害のある人が親密圏と公共圏のそれぞれにおいて、難しさを感じることなく、もっとも活き活きと周囲の人たちとの関係をゆたかに取り結べるための呼称を、ケース・バイ・ケースで考えるべきかもしれません。ただ、言霊文化を重んじる日本では、声に発した言葉が、相手にも自分にも良くも悪くも影響を与えると言われてきました。敬語や呼称敬称によってその関係性を持続させるという考え方は行動科学としては理にかなっており、あながち否定できるものでもありません。

そこで、児童サービスの場合も同じ課題が浮かび上がります。支援者が子どもを名前呼びにしたり、ちゃんづけしたりするのは良くあります。特別支援の必要な子どもの場合は日常茶飯といっていいかもしれません。しかし、ここにも親密圏と公共圏、もしくは公共圏に向けた支援かどうかということが問われます。中学高校生の利用者に「~ちゃん」と呼びかけた声を、同じ場所で小学生が聞いているという状況に、あまりにも鈍感ではなかったかと思うのです。子どもへの支援者の言動は子どもの言動に乗移っていきます。家族以外からいくつになっても「~ちゃん」と呼びかけられている子どもに、公共圏での自尊感情は担保されるのでしょうか。また支援者自身がそのことを意識できるのでしょうか。さん付け君付けだけで、子どもに敬意を払うことができるわけではありません。そのことを深く理解していること、それがプロとしての流儀と言えるのかもしれません。

 

ソーシャル・ナラティブで感染不安の解消を

毎日、垂れ流される武漢ウィルスの感染情報に恐れをなしているASD児のことについては何度か掲載してきましたが、問題は正確に感染のリスクが子どもたちに知らされていないことです。なので、他者に接触すれば感染すると誤解している子どもが少なくありません。これをソーシャル・ナラティブ風に書くと以下のようになります。

新型コロナウィルスに感染した人はこの4か月間で16367人。10万人に13人です。これは、サイコロを6回振って6回連続で同じ目が出る確率に近いです。つまり、感染する人はものすごく少ないのです。

4か月間で交通事故に遭う確率は10万人に100人で、先の感染確率の8倍で0.1%です。この確率でも、通事故にあうかもしれないから外出しないという人はほとんどいません。それはごく小さな確率だからです。信号を守る、一時停止をする、交差点で左右をよく見て通行するという交通ルールに気を付ければ事故を防止できる確率だと考えられるからです。

新型コロナウィルスの感染率はそれより一桁小さな確率です。これは外出してもほとんど感染しないと考えて良い確率です。マスクをする、外のものを触った手で目や口を触らない、帰ったら手を洗う、この三つを守れば予防できる確率だと考えられます。

コロナウィルスは人に直接接触しても皮膚から感染はしないウィルスです。つまり、皮膚感染を恐れる必要はありません。友達の身体に触れても感染しないのです。どうしても気になる時は、ポケットに除菌シートを入れて黙ってそっと手をふけば気持ちが落ち着くかもしれません。

このウィルスは70歳以上のお年寄りの人に感染したときに重い肺炎になりやすいです。しかし、子どもが感染しても、何も起こらないか、少し熱が出るくらいの人が多いです。新型コロナウィルスの感染が原因で死んだ子どもは、わが国には一人もいません。

テレビでは、感染が少なくなっているのに、感染すると危険だという情報を毎日何回も放送しています。これは、感染数が少なくなったという放送より、感染は危険だという放送の方が視聴率が上がるからです。テレビ放送は視聴率が上がるように作られるので、真実が放送されないこともあります。ただ、子どもには何が正しい情報か調べる方法がないので、私は、親や先生に聞いて確かな情報を教えてもらいます。

私は、外でマスクをすれば直接口を手で触れないし、帰ったら手を洗うのでウィルス感染の予防ができます。そして、もしも、子どもが感染しても軽い症状だけで治ってしまうので、私は心配しなくても大丈夫です。

『ドラゴン桜』で説明した東大の「文化」

『ドラゴン桜』で説明した東大の「文化」にOBから疑問の声 学生間の試験対策を「発達障害の学生のため」と紹介?

2021/05/24 【リアルライブ】

日曜劇場『ドラゴン桜』(TBS系)の第5話が23日に放送され、平均視聴率が13.8%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)だったことが各社で報じられている。第4話の14.3%からは0.5ポイントのダウンとなった。

第5話は、専科の生徒との勝負に負けた藤井(鈴鹿央士)は苛立っていた。そんな様子の藤井を案じた理事長の久美子(江口のりこ)は、東大専科と一流大学コースで再度勝負することを桜木(阿部寛)に提案する。そして、東大専科には5人目の生徒がやってきて――というストーリーが描かれた。

※以下、ネタバレ含む。

専科に来た5人目の生徒とは、学年で成績ワースト1位という発達障害の健太(細田佳央太)。桜木は健太のその異様な記憶力に注目し、健太が好きな昆虫研究の英語の論文を渡すことで勉強欲を刺激することに成功していた。

そんな中、水野(長澤まさみ)が話した、発達障害でも東大で勉強できる、ある文化が話題になっている。

「健太は目から入った情報は忘れないものの、一方では聴覚的短期記憶能力が低く、これまで授業についていけなかったとのこと。このことから幼馴染の麻里(志田彩良)から『仮に東大に入れたとしても講義についていけないんじゃ?』と指摘する場面がありました。しかし、水野は『大丈夫。東大には書き起こし文化があるから』といい、当番制で教授の話を書き起こす制度だと説明。『そのぐらい東大に通う発達障害の学生は多いのよ』と話していました」(ドラマライター)

この水野の説明に、視聴者からは「書き起こし文化なんてあるんだ!」「そんな文化あるなんてすごいな」という感心が集まっていたが――。

「しかし、SNSからは東大OBを名乗るユーザーから『ミスリード』を指摘する声が噴出することに。実際、この書き起こし文化は東大法学部の学生の間で自発的に行われているもので、発達障害の学生のためだけではなく、そもそもの目的は試験対策とのこと。ツイッターからは『発達障害を起源に持ってくるのは無理がある』『書き起こしは公式ではないし万能でもない』『学生間の試験対策を発達障害に配慮した文化にするのはちょっと…』という指摘が上がっていました。また、大学側の制度ではなく学生間で行われている文化のため、書き起こしがない授業も多く、語弊があるとの指摘もありました」(同)

ドラマでの説明と現実での乖離に、多くの東大OBが違和感を抱いてしまったようだ。

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前回(ドラゴン桜 05/15)、健太(細田佳央太)のサバン症候群が発揮されると書きましたが、予想通りでした。ドラマは全てが事実ではないのに、あえて疑義を唱える元東大生の『ミスリード』指摘にはステレオタイプの方に少なくない特性を感じます。けれども、東大が発達障害を持つ学生の支援に力を入れていることは事実です。2010年には、発達障害の学生をサポートする専門機関である「コミュニケーション・サポートルーム」を立ち上げています。

開設当時、東京大学学生相談ネットワーク本部は、「東大が多くの発達障害の人を抱えるのは事実」「支援室の開設は発達障害と共に生きる東大としての第一歩」と言っています。また、日本学生支援機構の調査によれば、東大は対人関係スキルを身につけるためのセミナーを全学生に向けて開催しているそうです。今回の件について、東大のコミュニケーション・サポートルームは学生のプライバシー保護のためにノーコメントだそうですが、ノートテイク支援の是非を聞いているだけなのにあえてコメントしないという事は、様々な支援事例があるので安易に触れられないということでしょう。

大事なことは、東大で授業の講義が書き起こされるかどうかの真偽ではなく、普通の学校の授業で視覚的支援が合理的配慮としてなされているのかどうかです。視覚的支援がないから学習に取り組めないし、不適応行動の原因を知能が低いからと誤解しているから、いつまでたっても不適応行動が収まらない、という桜木(阿部寛)の台詞にこのドラマのメッセージがあります。そして、「だけど」と付け加えた桜木(阿部寛)の、「無理やりに学習をさせようとはしなかった担任の行動は、健太(細田佳央太)の学校への安心を形成して、学習への嫌悪感を与えなかった」という台詞内容も支援の本質を感じさせました。

気象病

「う~ん15時から降水率60%か~ビミョ~」今日は雨が降るかどうか、梅雨の時期だからこそ外で遊ばせたいスタッフは、ヤフー天気予報といつもにらめっこしています。ところで、季節の変わり目に体調変化や気分変動があるように、気圧が下がると体調が乱れ、片頭痛や関節痛、耳鳴りなどの症状が悪化する「気象病」はご存じでしょうか。季節の変わり目と同じように自律神経のバランスの乱れが関係するそうです。

気圧の低下によって悪化する症状の多くは、自律神経のバランスの乱れが関わっています。春先や秋口などの季節の変わり目や、梅雨時の低気圧接近による気圧の低下で、以下のような症状が悪化することがあると考えられています。

①片頭痛:片頭痛のはっきりとした原因は不明ですが、血管の拡張によって痛みが生じることが知られています。過労や環境の変化などによるストレスとともに、気温や気圧の急激な変化も、痛みの引き金となります。②関節痛:気圧が下がり、相対的に体内の圧力が上がることで、関節まわりの炎症部分が圧迫されます。また、気圧の低下による血流の増加で、自律神経の痛みに対する過敏性が高まると考えられています。③めまい:気圧の低下により相対的に耳の内部の圧力が高まることで、耳の内部にある器官(蝸牛や三半規管)から内リンパ液という液体が漏れだすことで、回転性めまい(ぐるぐると回っているような感覚になるタイプのめまい)が悪化します。④耳鳴り:気圧の低下により、相対的に耳の内部の圧力が高まることで起きます。エレベーターで高層階に行くときに耳鳴りが起きるのと、同じ仕組みです。⑤過敏性腸症候群(IBS):主にストレスによって胃腸の調子が悪くなる状態で、便秘型・下痢型・混合型に分類されます。低気圧が日本に近づく春先や秋口になると、自律神経のバランスが乱れ、症状が起きやすくなります。⑥精神関連:自律神経失調症、パニック障害、うつ病、統合失調症、不安障害などの精神疾患は、自律神経のバランスの乱れを招く気圧の低下によって、悪化しやすいと言われています。尚、昔は喘息も低気圧と関係すると言われてきましたが、最近の研究によると気圧変化か心理変化かどちらかはっきりとは言えないそうです。

それぞれの症状の悪化は、気象状況の影響かどうかに関わらず、医療機関を受診して、適切な治療を行うことが何よりも大切です。治療に加えて、日頃から予防するには、自律神経のバランスを整えるトレーニングも有効です。
●ウォーキングなど適度な運動を行い全身の血行を改善する。●栄養(繊維質タンパク質)がとれる食事と、規則正しい時間に食事をして代謝を整える。●シャワーではなくぬるい湯船にゆっくりつかって汗をかきリラクゼーションする。●就寝する2時間前以降はインターネットやゲームを禁止して快眠を得て生活リズムを整える。●小集団でのレクリエーションや軽作業など計画的に軽いストレスに慣れる。
要するに、自律神経系に働きかける、運動や食や温度管理や、過剰な視覚ストレスを避けつつ日常的に調節できる範囲で仕事や勉学の負荷をかけることです。放デイにできることは、雨の隙間を縫ってみんなで体を動かすことだという事です。

 

ソーシャルナラティブ

昨日のソーシャルナラティブという言葉が初めて出てきたので解説します。これは、以前書いたソーシャルストーリーTMのことです。自閉スペクトラム症の人の捉え方に合わせて(=理解の仕方に配慮しながら)、社交上の約束事や暗黙の了解について伝える方法です。非自閉スペクトラム症の人々が、自閉スペクトラム症の人に物事を伝える際のマナーとも言えます。開発者のキャロル・グレイが書いた書き方ルールは著作権があり、「ソーシャルストーリーTM」とされています。それをまねて(C・グレイ)のルールに完全には従わず、オリジナルのものを書く場合は、区別のために「ソーシャルナラティブ」と称すべきなので今回はソーシャルナラティブと書きました。

ソーシャルナラティブという用法を日本でおそらく初めて論文で用いた藤野・米山(2009:415)らには、用語について以下のような注があります

「ソーシャルストーリーTM」という名称は米国において 商標登録され,現在では Gray による公認を受けなければ,この名称を使った講演,研修会,研究発表などを行うことは許可されていない(Gray, 2006)。一方,Myles, Trautman, & Schelvan(2004)はソーシャルストーリーTM に代表される社会的状況の意味を説明し望ましい行動の 見本を記述した物語を使った支援方法の一般呼称として“Social Narrative(ソーシャルナラティブ)”という名称を 創案し使用している。本稿でも Myles らにならい,この ようなタイプの教育技術を「ソーシャルナラティブ」と 総称することにした。また先行研究で“Social Stories” を使用したと記載している論文でもGrayによる公認を受けたことが明記されていないものは“Social Narrative(ソーシャルナラティブ)”を使用したものと解釈し,本稿ではそのように表現した。

 

1人1台コンピューター「一見よさそう」の落とし穴

学校1人1台コンピューター「一見よさそう」の落とし穴
科学医療部次長岡崎明子

2021年5月25日 【朝日新聞デジタル】

小学生の娘が、学校から配られたiPadを使うようになってから2カ月がたつ。コンピューターを活用した教育を広げるため、文部科学省が進める「GIGAスクール構想」の一環だ。3月末までに、全国のほとんどの小中学校に1人1台分のパソコンやタブレット端末が配られた。

アップルのスティーブ・ジョブズは家で子どもがiPadを使うのを制限し、読書や会話の時間を大切にしていたという。だから私も、娘が幼い頃からなるべくスマホやiPadを遠ざけてきた。それなのに。

娘は喜々として「今日はヤフーで『三角形』を検索した」などと教えてくれる。国は、この構想は学びを個別最適化し、創造性を育むと言う。でも本当にそんなエビデンス(科学的根拠)があるのだろうか。

学びの質を研究してきた東大名誉教授の佐藤学さんに聞いてみた。「実は、ICT(情報通信技術)教育が学力向上につながるというエビデンスはほとんどないのです」

最も信頼できるのが、国際学習到達度調査(PISA)の調査委員会が2015年にまとめた報告書だという。先進国の集まりであるOECD加盟の29カ国のデータを分析すると、学校でコンピューターの使用が長時間になると、読解力も数学の成績も下がっていたという。衝撃的な内容だ。

PISAの担当者はその理由を二つ挙げる。一つは深い思考を育む先生と子どもの対話がコンピューターによって阻まれる可能性。もう一つは従来の授業スタイルのままコンピューターを入れることの限界だ。

佐藤さんはこれに加え、今のICT教育の現場で使われるソフトの質を挙げる。答えを入力すると即座に○×が表示され、正解なら次に進むといったものも多い。

ここから続き
「刺激と反応の学びは短期記憶にしかなりません。そもそもGIGAスクール構想は20年前のコンピューター教育。協同で探究する学びに改革する必要があります」

世の中には、「一見、よさそう」と思って導入したものの、実は効果がなかったということが結構ある。

今から半世紀前の1976年2月。米国の陸軍基地で1人の新兵が豚インフルエンザで亡くなった。見つかったウイルスは、18年のスペイン風邪と同じH1N1型だった。パンデミック再来を恐れた当時のフォード大統領は、専門家の助言に従い、全国民2億人以上にワクチンを接種するという前代未聞の事業を決断した。

接種は10月から始まり、4千万人以上がワクチンを打った。だがギラン・バレー症候群など多数の副反応が報告され、わずか10週間で事業は中止された。実際のところパンデミックは起きなかった。残ったのは、公衆衛生行政への不信感だけだった。

検証報告書は、貧弱な証拠から組み立てられた理論に、専門家らの過信があったと指摘している。エビデンスがない政策は税金の無駄となるだけでなく、ときに害を与える。

コンピューターに向かう時間が増えることが、子どもたちから深く思考する機会を奪うとしたら。その代償は計り知れない。私は子どもには、物事を多面的にとらえ、自分の意見をしっかり持った大人になってほしい。1人1台を進めるにしても、エビデンスのないまま広げ、貴重な学びの場が「実験台」になるのは勘弁だ。

コンピューターに一切触れるなと言っているわけではない。実はPISAの報告書には、ヒントとなりそうなデータもある。例外的に、オーストラリアではコンピューターを使うほど読解力が上がっていた。

日本のICT教育は、先進国の中では周回遅れだ。だからこそ、効果をあげている他国の例に学べるというメリットがある。ジョブズはこうも語っている。「教育の問題はテクノロジーでは解決できない。これは、政治の問題なのだ」(科学医療部次長 岡崎 明子)

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ICTを使えば学習ができるようになると言うのは正しくないです。当たり前のことですが、学習ができるように作られたICTならば学習ができるようになるのです。例えば、今はやりの講義アプリのスタディーサプリがあります。あれは、優秀な講師が講義をするので学力が平均以上の人にとってはとても役に立ちます。しかし、基礎学力の伴わない人が使っても成績向上は望めません。また、聴覚情報が苦手な人にも向いていません。

下のグラフは2015年のもので、このグラフだけで本当にICTの利用と非利用の格差が出たかどうかはどんなデーターの取り方をしたかどうかわからないので何とも言えません。こういう数字のマジックを使うのはメディアの得意技です。PISAの500を平均とした標準偏差100の5〜6点差は、入試偏差値の平均50・標準偏差10にすれば1ポイント未満の数値です。これをわざわざグラフで大きく切り取って見せているのです。また、日進月歩のICT世界での2015年当時とは一昔前とも言え、適切な学習アプリが開発されているとは言えないからです。少し自信がない記者は、アップルコンピュータのカリスマ、スティーブ・ジョブズを引っ張り出して、自説を補完します。

ICTを使った学習を○×の短期記憶の学習機とレッテルを貼るのも、メディアの得意技です。PISAの報告書によれば、周回遅れのはずの日本はICTを使ってないのに読解力は落ちているのです。このことについては何も触れずに我田引水です。ICT機器を学習に使うメリットは、その人の興味や関心、分かる速度に合わせて自学自習ができる事や、学習したことや気づいたことを簡単に仮想空間で共有できることです。まさに、教室から外に飛び出した授業が展開できる可能性が広がっているという事です。

ICTと学力とは関係がない事ですが、日本のワクチン開発が先進国の中で遅れているのは、政治の責任と言うより、メディアが散々ワクチンの副作用をエビデンスもないまま恐怖を国民に煽ったからです。副作用が恐ろしいぞと特殊例だけをあげて煽れば、誰も国内で売れない商品を開発しようとはしないでしょう。その舌の乾かぬうちに今度は開発が遅れているのは政府の責任だと言うのです。今回のメディアによるICTの教育展開の批判も同じ類の根拠のない無責任な主張ではないかと思います。今大事なのは、ICT機器を利用するためらいではなく、学校や家庭のネットワーク環境を整備してソフト開発にどんどん民間会社を呼び込んで良いソフトを競争して作ることです。

 

端末持ち帰り調査

<学校ICT時代端末持ち帰り調査>(上)小中学校編岐阜が先行、福井認めず

2021年5月26日 【中日新聞】

小中学生に一人一台ずつ学習端末を配備する国の「GIGA(ギガ)スクール構想」。新型コロナウイルス禍による休校も想定し、文部科学省は学校だけでなく、自宅での学習にも端末を生かしてほしい考えだ。こうした端末の「持ち帰り」にどう対応するか?。中部九県の県庁所在地と政令指定都市の計十市教委に取材した。(北村希、加藤祥子、河原広明)

昨年九月に全児童生徒への配備を済ませ、直後から「持ち帰り」に取り組むのは岐阜市。同市教委担当者は「休校時でも自宅の子どもと学校の先生をつなげる環境をいち早くつくりたかった」と話す。

学校便りの配信など保護者との連絡に用いたり、一部の学校で不登校の児童生徒向けに授業を中継したりするなど積極的に活用している。コロナ禍による昨年の一斉休校では「学びの保障」が課題に。文科省は「一人一台」の配備完了時期を二〇二三年度から二〇年度に前倒し。自宅への持ち帰りも促す。

名古屋と金沢、富山の三市も本年度中の持ち帰りを「認める」と回答。富山市では既に持ち帰りを進めている学校も。名古屋市教委の担当者は「学びの継続性を考えると持ち帰りは必要」と説明する。ただ、配備が慌ただしく進んだこともあり、自治体によっては一部の学校で「持ち帰り」を試行し、効果的な活用法を検討したり、課題を見定めたりする場合も。津市は本年度に全七十校のうち四校で試行。その結果を基に来年度以降の全体の対応を決める。

同市教委の担当者は「地域や学校ごとに状況が異なり、一斉に導入するのは難しい。小一から中三まで学年の幅も広く、どんな課題が出てくるか予想できない」と漏らす。
一方、「コロナによる休校など有事以外は認めない」とするのは福井市。市教委の担当者は「(破損時の)保険や家庭の通信環境の確保などで費用負担が大きい」と説明。「効果も十分検証されておらず、紙を用いた学習を続けながら、周りの状況を注視したい」とした。

通信環境確保に四苦八苦
「持ち帰り」では家庭の通信環境の確保が欠かせない。ネットを活用した調べ学習をしたり、休校時などに学校と家庭をつなぐ「オンライン授業」に取り組んだりするためだ。
GIGAスクール構想で配る端末は、通信回線の契約付きか否かの二種類。十市のうち唯一、「通信契約付き」にした岐阜市では、家庭の通信環境に関係なくネットに接続できる。残り九市の端末は、家庭で通信環境が整っていないとネットに接続できない。

名古屋市と津市、金沢市など五市は通信環境がない家庭に、ネット接続に必要な機器「モバイルルーター」を貸し出して対応する。機器を整えても、ネットにつなぐ通信費を誰が負担するかも各市の悩みどころ。使う頻度にもよるが、一人分は少額でも、全児童生徒分だと額が膨らむからだ。

全ての児童生徒分を市が全額負担する岐阜市や「検討中」の市を除き、各市は家庭負担が基本。その上で、名古屋市や津市などのように生活保護受給世帯などを対象に全額または一部を補助するケースが多い。

補助以外の方法も模索されている。長野市教委の担当者は「通信環境のある学校や公共施設を開放し、家庭の負担を減らす方向で検討したい」、浜松市教委の担当者は「市で負担するのは予算的に厳しく、休校時などに通信環境がない家庭の児童生徒は学校に来てもらう形も検討する」と話している。

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<学校ICT時代端末持ち帰り調査>(下)高校編配備済みの岐阜と福井は可生徒の個人所有方式も

2021年5月27日 【中日新聞】

国の「GIGA(ギガ)スクール構想」の一環で、県立高校でも生徒に学習端末の配備が行われている。中部九県の教育委員会に端末の自宅への持ち帰り状況を聞くと、認めているのは「一人一台」が完了した岐阜県と福井県のみ。そもそも全児童生徒の端末代を国が負担する小中学校と異なり、高校では国の負担は一部にとどまるため、配備状況に差が生まれている。(白井春菜、杉浦正至、福沢英里)

高校生の端末について、国は三クラスに一クラス程度分は配備できるよう負担。新型コロナウイルス関連の交付金なども使って「一人一台」を目指すよう求めている。小中学校で一人一台で学んだ生徒が、高校でも同じ環境で学べるようにするためだ。

交付金も投入して一人一台を達成した岐阜県。大垣市の大垣北高校は公費端末を生徒が家に持ち帰り、手書き入力ができる学習支援アプリで宿題をこなす。以前は宿題に使ったノートを授業開始後に教員が見て回ったり、授業後に集めてチェックして返却したり時間を要した。今では教員が授業前に自分の端末から各生徒の宿題の状況を確認でき、授業時間を有効に使える。

同県教委ICT教育推進室の室長は「コロナ禍や台風による臨時休校など有事への備えにもなる」と強調。推進室職員、ICT担当の教頭と指導主事の計十数人が県立校八十三校を手分けして回り、教員らの活用を後押し。画面のひび割れなどの破損は、故意でない限り県教委加入の保険でカバーする。

福井県も同様に一人一台を達成して持ち帰りを認める。担当者は「家庭学習に使い、休校しても学びの継続性を確保するため」と話す。学校の課題に取り組むなど授業と連動した活用を想定している。

富山県の端末配備は今年の夏ごろに完了する見込み。持ち帰りを認める予定だが、時期は各校が実情に応じて判断する。担当者は「オンライン授業や課題の提出など学校教育に限らず、教育目的なら資格取得に向けた勉強なども認めていく」と述べた。
一人一台の体制になっていない静岡、石川両県は、持ち帰りの方針について「未定」と答えた。

一方、生徒が個人所有の端末を持ち運び、学習に使う「BringYourOwnDevice(BYOD)」方式を採用する県も。大半の生徒が保護者負担で端末を用意し、それが難しい家庭には公費端末を貸し出す。

長野県は二一年度にタブレットかスマートフォンでBYOD方式に。公費で配備した端末は持ち帰りを認める方向で検討中だ。二一年度中に全生徒の三分の一強に国費端末が行き渡る予定の愛知県は現時点で認めていない。ただ、担当者は「端末の紛失や損傷時の補償、弁償の枠組みなど、さまざまな課題が解決できれば二一年度中にも認めたい」と話す。

通信費 多くは自己負担ルール作り課題
家庭の通信環境の確保はどうか。環境が整わない家庭向けに、多くの県でネット接続に必要な機器「モバイルルーター」などを貸し出す用意がある。通信料は県費で負担する岐阜県を除き、多くが自己負担。富山県は「今後の検討」とした。
家庭の状況に応じて、国の「高校生等奨学給付金」を案内する県も。通信料相当として年一万二千円が補助される制度だ。それでも足りない場合、福井県は低所得世帯向けに補助を上乗せしている。

スマホの所有率が高い高校生でも、端末依存やネットトラブルの懸念はある。岐阜県はフィルタリングソフトを入れて、会員制交流サイト(SNS)やゲームサイトにつながらない設定にしている。三重県の担当者は「情報モラルはこれからの社会を生きる世代に必要な基本スキル」と教育の必要性を強調する。
持ち帰り時のルールについて愛知、福井両県は学校の実情に応じて決めてもらう。富山県は、県教委で作ったひな型を各校に周知した上で、ルール作りを各校に委ねる。

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記事を読んでいて、この期に及んでもGIGAスクール構想での各生徒にPC一台配備の意味が理解できてない役人がいることが、明らかになった感じです。これは前回も掲載(「校長がブレーキになってはいけない」 文科相 02/20)しましたが、危惧した通り自治体によって相当違う対応になっています。

特に福井県は福井市教委と、福井県教委で真逆の対応となっているのが驚きです。小中では金がないから家庭に持ち帰らせないとし、高校は県が買い与えてでも家庭学習を推進する対応です。つまり県全体としてGIGAスクール構想をたたき台にしたICT教育の統一的な構想がないので、同じ県下でも方針が違うのでしょう。京都府と京都市も似ていますが、京都市は府と同じくらいの財政権限を持つ政令市ですので比較対象にはなりにくいです。

京都府や地元の自治体は、家庭持ち帰りや家庭の回線環境についてまだ統一的な見解を発表していませんが、この記事にあるような否定的な見解を持つ学校関係者も少なくありません。いったいいつになったら、子どもたちは家庭でルールに沿って自由に端末で学習ができるのでしょう。岐阜県のように持ち帰りを前提にセルラー機器(民間回線接続)を購入している自治体もあるのですから、 ひとえにICT教育担当の役人にかかっていると言っても過言ではないと思います。以下は東京渋谷区の子ども用の持ち帰りルール例です。かなり決まりが多いですが、それでも子どもを信じて持ち帰らせようと言う関係者の気持ちに共感できます。政府の施策なのに住んでるところでこれほど運用に差があっては、公教育の名折れだと思います。

裏面あり画像クリックでPDFが読めます

子どもへの診断告知

子どもに自分の障害について早い時期から告知していくことは必要なことだと言われています。ただ、診断名だけを告知しても、障害受容はできません。近視を説明するのに近視だというだけでなくメガネやコンタクトを装着させることで、なるほどと思わせるような支援の有効性とセットで教える必要があります。告知は子どもに諦めさせたり大人に従わせたりするためではありません。それでは診断名を否定的なものと考えてしまいます。診断名を知っても苦手なものは苦手です。子どもの苦手な理由を聞いて支援策を考えることが大事です。困難な状況であっても具体的支援で乗り越えるしかないのです。告知で何とかなるという発想は、治療方針を示さず当事者が聞いたこともない病名を告げて患者が安心すると言っているのと同じことです。「ADHDだから気をつけろ」とだけの注意は具体的な助言ではありません。これは「多動で不注意だから注意しろ」と言っているのに過ぎません。どうすれば集中できるのか、失敗をどうリカバリするのかを具体的に教える必要があるのです。

A病院では自閉傾向、BセンターではLD。C心理士はADHDと、結局のところよく分からないままでは、子どもに伝えようがありません。診断や評価は支援のためにあります。逆に言えば支援に結びつかない診断や評価は価値の低いものでレッテル貼りです。支援内容が具体的に出てこない診断名だけの診断・評価では、やればできると子どもに思わせるのは無理です。最初に、得手・不得手とその理由(見方・考え方のクセ)を具体的に見きわめます。子どもの見方・考え方のクセは、親にはあまりにも身近すぎて見えにくいです。子どもの考え方のクセを教えてほしいと事前にはっきりと伝えて、医療機関・療育機関・教育機関での評価を利用してみましょう。

子どもへの告知(医学心理学教育)の最も重要な部分は診断名を伝えなくてもできます。特性に合わせた具体的支援から始めるのです。親の判断はLDだったけれど医学診断は軽度精神遅滞だった、親の判断はADHDだったけれど医学診断は自閉症だった、ということは良くあります。子どもに診断名を伝えた後で修正の必要が生じると親子ともども混乱します。診断名を子どもに伝えるのは熟練した専門家の判断を受けてから行います。

赤ちゃんは、誰に強制されたわけでもないのに毎日努力を続けて這い立ち歩行へと進んでいきます。子どもというのは、本来、誰に言われなくても前へ進んでいきます。大人が邪魔し続けて、前に進むことへの希望を奪わなければ前へ進むのです。子どもが診断名を言い訳のように使うとしたら、その子は言い訳をする以外に自分の心を守る方法を手に入れていないのかもしれません。子どもにも達成可能な、人からも歓迎される具体的な方法を教えてあげてください。子どもの意欲を引き出すのは説得ではなく達成感です。

ASDやADHDは病気ではありませんから、治す必要はありません。でもそのために不都合が生じないための工夫や努力は大切です。でも最も大事なことは、子どもたちに何かの技術を教えるのは、子どもたちのやり方は間違いだから正しいやり方を教えるのではないということです。ASDが人口の99%を占める世界があったなら、研修の参加者が「187名が主催者発表でした」ではなく「まぁ200くらい?」なんて平然と表現する曖昧さや、「会話は、興味なくても相手に注目して、キャッチボールのように話す」という変なこだわりは、きっとASDの皆さんにあきれられてしまうでしょう。私たちの教えているのは「多数派のやり方」です。ASDの皆さんの感じ方も一つの真実だけど、みんなの暮らしやすさのために多数派のやり方に合わせるワザを使って欲しいということです。この続きは明日。

緊急事態宣言 京都大阪兵庫解除

 緊急事態宣言 北海道は継続へ
05月21日 11時56分【NHK】


緊急事態宣言の解除をめぐり、政府が専門家に意見を聴く「諮問委員会」が開かれ、大阪など関西2府1県で解除するとした政府の方針は妥当だとする見解が示されました。東京など首都圏の1都3県と北海道は宣言が継続されることになります。
新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言の解除を前に、政府が感染症の専門家などに意見を聴く「諮問委員会」が午前10時ごろから開かれました。
冒頭、西村経済再生担当大臣は「8都道府県のうち京都府、大阪府、兵庫県では直近1週間の新規感染者の報告数が10万人あたり0.5人程度以下となり、医療提供体制や監視体制も十分と認められることなどを総合的に勘案し、宣言を解除することが妥当と判断される」と述べ、関西2府1県で宣言を解除する方針を諮問しました。
このあと西村大臣は記者団に対し、関西2府1県で解除するとした政府の方針は妥当だとする見解が示されたことを明らかにしました。
東京など首都圏の1都3県と北海道は宣言が継続されることになります。
これを受けて政府は午後、衆参両院の議院運営委員会での報告と質疑を経て、21日夜に開く対策本部で正式に決定することにしています。
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あちこちの放デイでは「もう限界」と言う声が聞こえていたので、やれやれというところです。おそらく冬までは第2次宣言はないと思いますが、放デイのマンパワーがかなり疲弊して、ボロボロになっているのは間違いないです。

みんなと違う子だから発達障害?

『みんなと違う子だから発達障害』という考え方はなぜ危険なのか

5/27(木) 12:31【婦人公論】

個性の強さから学校で問題児扱いされるような子どもたちを集め、彼らに自由な発想と学びの場を提供することを目指した教育が、東京大学にて行われています。ディレクターを務める中邑賢龍教授が「みんなと違う子だから治療する、という考え方は危険すぎる」と警告する理由とは?

※本稿は、中邑賢龍『どの子も違う――才能を伸ばす子育て 潰す子育て』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。

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◆たくさん届く相談メールを前にして

毎日、さまざまな人から子育てについての相談メールが私のところに届きます。
自分の気に入らないことには感情を剥き出しにして抵抗する子、苦手なことに関して心を閉ざし、貝のようになってしまう子など、少し読んだだけで、見守る家族のご心労がひしひしと伝わってきます。

ここで見方を変えてみましょう。私からすれば、それらの子どもたちは、みな人間らしいとも言えます。親の苦悩を感じつつも、実際、その行動のユニークさや豊かさには、思わず頬が緩むこともしばしば。

しかし、だからといって、現状の学校や社会は必ずしもそんな彼らに優しいわけではなく、「集団に馴染めない=困ったこと」と一元的に捉え、彼らに特別な教育や指導を受けるように求めています。

実際、それが機能する子どももいるでしょう。しかし、その教育や指導に苦しみ、闘う子も少なからず存在します。

なぜ、子どものことをしっかり考えているはずの学校や社会が、結果として彼らにとっての《壁》になってしまうのでしょうか? 以下いくつかの事例を紹介しながら、彼らの行動の本質について考えてみたいと思います。

◆なぜ小学4年生はカーテンの中で授業を受けたがったのか
子どもが大人の常識とかけ離れた行動をとると、ほとんどの親は驚き、「信じられない! 何でこんなことするの! 早くやめなさい!」などと声を荒らげます。その行動の裏に、実は子どもなりの事情があるにもかかわらず、大人はそれを理解しようとする前に、まず声を出してしまう。

たとえば私の知る例として、カーテンの中に入って授業を受けようとする小学校4年生のA君がいました。

先生は「椅子に座って授業を聞きなさい」と怒るのですが、彼はカーテンから出ようとしません。先生が怒れば怒るほど、クラスの子どもたちの目も「勝手なことをする変わった子だ」というものになっていきます。

そこでA君に「なぜ授業中にカーテンに入りたがるの?」とお母さんがたずねたそうです。すると彼は、「カーテンに入っていたら、ノートを取らなくていいから」「そうしたら聞くことに集中できて、授業がよく理解できるようになる」「授業が分かると楽しい」と話したそうです。

◆「ルールを外れたから悪い」を改めよ
いったい、誰がこんな答えを想像したでしょうか? 子どもが机から離れてカーテンに入っている、と聞けば「授業を受けずにサボっている」と感じる親がほとんどでしょう。だからこそ、「椅子に座って授業を受けなさい」とたしなめると思います。

しかしA君の場合は、自分に一番合った学び方を自分で発見していたのです。
背景を知れば、カーテンに入ることは批判される行為ではなく、褒められるべき行為だったと私は思います。しかし日本の多くの学校においては、「授業は椅子に座って正しい姿勢で受ける」というルールが存在します。

つまり、彼がいかにカーテンの効用を説明したとしても、その理由や事情を理解していない先生にとって、この行為は単にルール違反となってしまう。

大切なのは「ルールを外れたから悪い」と一律に判断するのでなく、まずはその背景を探ってみること。彼らのユニークな行為の背景には、個々の子どもの有する性格や、認知の特性が影響していることが多々あるのです。

◆理解できない行動をとる可能性もある
これまでの日本では、そういった「違う」子を区別してきました。しかしそれでは進展がありません。「彼は『違う』子だから治療する」「ほかの集団に移す」といった発想にしかならないわけです。

自らの経験や知識に乏しい人が、A君の行為を受け入れることは容易ではないでしょう。
一方、最初から自分とは「違う」認知特性や、性格特性を有する人がいるのが当たり前で、理解できない行動をとる可能性がある、という事実を理解しておけば、次に出会ったA君のような子どもにも、温かく接することができるようになるはずです。

◆発達障害と診断される子どもがなぜ増えているのか
最近では自分の子どもが発達障害の診断を受けた、と相談される機会が増えています。国が積極的に発達障害支援を進めているという影響もあるのかもしれません。

なお私自身の考えを記せば、単にユニークなだけの子どもまでが発達障害の診断を受け、治療を受ける機会が増えているようにも感じており、そうした流れには危機意識を持っています。

もちろん社会に適応できず、子ども本人が困っているケースもあるでしょう。しかし、多くの場合は本人ではなく先生や親が困っているだけ、というのが現実です。子どもが一人で好きにしている分には何も問題ない。なのに、集団に適応するために治療が行われている、というのが実態ではないでしょうか。

◆集団に適応すべく投薬治療や訓練を受ける子どもたち
幼稚園や小学校のような一斉指導の場で、勝手な行動は認められません。事故が起こるのを防ぐ、また、他児の学びの妨害とならないため、結果として立ち歩きや発声、攻撃行動などを持つ子どもは、投薬治療やソーシャル・スキル訓練(SST: Social Skills Training)を受けるのが一般的になりつつあります。

しかし大人の立場として困る特性の多くは、実は子どもの持つユニークな個性であり、才能でもある。
私のまわりにいる研究者を見ていると、空気を読まない、集中力がすごい、こだわりが強い、思考が面白いほど拡散している、といった人たちばかりです。そしてその特性があるからこそ、ユニークな研究ができているわけです。もちろん、周囲が支えてくれる環境があるのが前提とはなりますが。

◆彼らを修正するのではなく環境を調整しよう
少し前なら、個性の強い子も、ある程度まで集団の中で許容される雰囲気がありました。
しかし、今の社会では基本的に「人と違う」行動は許されず、子どもたちも相当なストレスを感じているはずです。個性の強い子は、果たして本当に治療されなければならないのでしょうか。

このまま早期から子どもの治療を続けていく時代が続くと、おそらく個性が乏しくなる分、画期的なイノベーションが起こりにくい社会になる気がしてなりません。
ユニークな子どもたち、その全てを障害と認定し、性急に治療する、という考えはとても危うい。むしろもう少し、ゆるやかに支えていくことが重要です。

彼ら自身を修正するのでなく、環境の方を許容できるものに調整できれば、個性を伸ばしながら、成長することは十分可能なのです。

中邑賢龍

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中邑先生の主張に同意します。ただ、こういう主張を誤解して取り上げ、だから服薬も支援も必要なく昔のようにおおらかに構えていればいいのだというほったらかしの自然放置論は百害あって一利なしです。かつての民主党の「コンクリートから人へ」のスローガンに似ています。ダムは自然破壊だと主張してステレオタイプに全国の治水工事をストップした結果、大洪水の被災が毎年起こっています。なんでもかんでも同等に扱うと被害が大きくなる例はいくらでもあります。

中邑先生は東大で「異才発掘プロジェクト」を主催し、多くのユニークな子どもと触れ合っていますから彼らの事が良くわかるのだと思います。放デイで働く私たちも行動や学習不振の問題から支援学級に入級し才能を埋もれさせている子どもに出会う事があります。子どもの特性に大人が気づかず、やってもやっても分からない勉強を繰り返す事で学習性無力感に苛まれている子もいます。ある子は教室を飛び出し、ある子は教師に悪態をつき、仲間からは異端としていじめを受ける元々の原因は、特性に応じた大人の手立てが遅れたためです。

初期の段階で少し支援すれば、少し服薬すればこんなに傷つかずに済んだだろうと思うケースの方が多いのです。中邑先生のメッセージを読んで我が意を得たりと特別なニーズ支援を否定する輩がいそうで危惧します。大事なのは早期発見と早期支援です。もちろん、周囲の大人や集団が本人を受け止める度量を広くするのは大前提ですが、何もしないのはダンピングといって安上がりの教育施策に理由を与えてしまいます。アメリカのブッシュ政権の時期にインクルーシブ教育が大事だと言う建前で多くの発達障害児が通常学級に放置され大失敗をしました。個性の尊重と支援・治療は本来対立するものではありません。本人をしっかり見ないで、機械的でステレオタイプな支援が優れた能力まで摘み取ってしまうと言う警告だと受け止めたいと思います。

その2:特性は長所でもある

支援者が子どもに伝えるべき事柄は個々の具体的な困難への対処方法です。それは子どもが実践可能で、効果的でなくてはなりません。手助けと自分の工夫で、毎日の暮らしが安定する!嫌なこと・困ることも、やりようで変えていける!こうした経験を子どもにもたせてから告知は始まります。自閉症の特性は不都合の原因となる場合も多いものですが、人間としての長所でもあります。興味が偏る裏返しは、好きなものには集中でき探究心も高いところが長所です。自分の特性は長所でもあると告知の前に伝えて置くべきことです。叱られてばかりの暮らしの中で取ってつけたように誉められても子どもはそれを信じられません。「自分の特性は長所でもある」という認識は「やりようはある」という実感と不即不離のものです。

やりようはあるという実感・長所でもあるという実感を、毎日の生活の中で、個々の具体的事柄に関して積み重ねていくこの第一段階が、子どもへの告知の基盤です。これを子どもに充分に経験させるには支援者に技術力が必要です。この段階では診断名の告知は必要ではありません。この具体的対応を教える段階を充分に経験しているか否かが、告知が支援となるか、意味のない宣告となるかの分かれ目です。

親だからわが子に合った育児ができるなんて絶対にありません。子どもが自分の良さを発揮するために特別な工夫を必要としているように、特別な工夫を必要とする子どもを育てる親にも特別な工夫が必要です。子どもがその工夫のために支援者を必要としているように、親もまた支援者を必要としています。自閉症協会や親の会、保健所や発達障害支援センター、或いは発達障害の知見に詳しい地域の福祉事業所にも連絡を取ってみることをお勧めします。学校にも相談部門がありますから聞いてみましょう。ただし、担当者によって腕が違うのは病院やいろんな技術職と同じで、ある意味当たり前のことです。親同士の情報も参考にしましょう。この続きは明日。

将棋道

将棋は、藤井聡太四段のように身近な家族から教わることが最初の第1歩です。しかし、最初から8種類20枚の駒(コマ)を使って将棋をすることは難しいものです。そこで段階を踏んで将棋に興味をもってもらい、強くなるための本格的な指導は将棋教室等強い人に教えてもらいます。
将棋には、大人でも難しいと感じる「漢字」がたくさん書かれています。そのため「苦手意識」を持ってしまう子供も多数います。実は将棋には様々な遊び方があります。「遊び」を通じて、将棋の駒への抵抗感を下げていきます。

◎まわり将棋
将棋盤と駒をつかった2人対戦の「すごろく」ゲームです。お互いに「歩」1枚を将棋盤の「隅」(対角線状)に置きます。4枚の「金」をさいころのように振って、出た目を合計した数だけマスを移動します。
裏 ⇒ 0マス
表 ⇒ 1マス進む
横向き ⇒ 5マス進む
上向き ⇒ 10マス進む
下向き ⇒ 20マス進む
マスは将棋盤の端を時計回りに移動します。コマが将棋盤を1週するか。「隅」に止まると大きなコマに変ります。
歩 ⇒ 香 ⇒ 桂 ⇒ 銀 ⇒ 角 ⇒ 飛車 ⇒ 王将
早く王将になった人が勝ちです。自然に「駒」の格(強さ)を学ぶことができます。

◎将棋崩し
2~4名で対戦するゲームです。将棋の四角い箱に、全ての駒を入れた状態で将棋盤にひっくり返して「山」を作ります。指1本だけを使って、音を立てないようにコマを将棋盤の外に出します。出したコマは自分のものになります。もし、「カタッ」と音が鳴ってしまったらその瞬間に、次の人に交代します。山がすべてなくなり、最後に持っているコマの数が一番多い人が勝ちです。

◎はさみ将棋
2名で対戦するゲームです。それぞれ9枚の「歩」を将棋盤の端に並べます。「歩」は左右上下のいずれかに動かすことができます。交互に1つずつ「歩」を動かし、相手の「歩」を自分の2つの「歩」で挟み込むと相手の「歩」を取ることができます。1つだけはなく、隣同士で並んでいる「歩」の両端を挟めば、2個以上とることが可能です。相手の「歩」を全てとったほうが勝ちです。

◎スタディ将棋で駒の動かし方を覚える
本将棋をはじめる子供は、「くもん出版」から販売されている「スタディ将棋」を使うことが多くなっています。動かせる方向が描かれているため、わざわざ動かし方を覚えなくても将棋を楽しむことができるからです。実は、話題の藤井四段も子供のころに使用していました。藤井四段への注目度があがるにつれて、「スタディ将棋」も人気となっているため、現在は品薄状態になっています。

将棋はゲームのひとつであるため、将棋を一生懸命頑張ったからと言って学校の成績がよくなるわけではありません。しかし、将棋を楽しむことによる副次的なメリットがいくつもあります。
1.礼儀・マナーをおぼえる
将棋教室に参加すると、同世代はもちろん、年上のお兄さんから年配のおじいちゃんまで幅広い年代の人と対局をすることになります。将棋も日本の古い武道とおなじく「礼」に始まり「礼」に終ることを重んじているため、しっかりとした礼儀作法を身に着けることができます。
2.地道な努力の大切さを学べる
将棋で強くなるためには、無数にある局面において、どのように指した方が有利かと言う「記憶」が極めて重要です。したがって、過去の棋譜を地道に覚えるという作業が必須になります。将棋以外の分野でも良い成績を収めるために努力が必要と言うことが理解できます。
3.達成感を得ることができる
一生懸命努力をして、今まで勝てなかった相手に勝てた時の喜びはとても得難いものです。その喜びを知っているからこそ、日々の地道な努力を続けることができるのです。将棋の世界は細かく「級」にわかれており、自分がどんどん強くなっているという実感が持ちやすく、特にやり始めの時は達成感を得やすい習い事です。

わいせつ教員対策法成立

わいせつ教員対策法成立 免許再取得、拒絶可能に

2021/5/29【毎日新聞】

教員による児童生徒へのわいせつ行為を防止するための新法が28日、参院本会議で全会一致により可決、成立した。わいせつ行為で懲戒免職となった教員の免許再取得を都道府県教育委員会が拒絶できるようにする議員立法で、国がデータベースを整備することも規定。一部を除き公布から1年以内に施行される。

新法では、教員のわいせつ行為などを「児童生徒性暴力」と定義し、同意の有無にかかわらず禁止すると明記した。国や地方自治体、学校に防止や早期発見、調査などの対応を求める。


現行の教育職員免許法では、免職により免許を失効しても3年後に再取得が可能。処分歴を申告せずに他自治体に採用され、わいせつ行為を繰り返したケースがあり、規制を求める声が高まっていた。

新法は、免許授与権を持つ都道府県教委に「裁量権」を与え、更生状況などが「適当と認められる場合」に限定。第三者による審査会の意見を踏まえることで、教委の判断が恣意(しい)的にならないようにして公平性を担保する。

採用時の活用を想定し、わいせつで免職となった教員の氏名や処分理由などを国がデータベース化するとした。

付則には、子どもに関わる職業従事者の性犯罪歴を照会する制度を検討することを盛り込んだ。

文部科学省によると、2019年度にわいせつ行為やセクハラで懲戒処分や訓告を受けた公立小中高などの教員は過去2番目に多い273人。文科省も昨年、免許再取得の制限期間を延長する法改正を目指したが、「職業選択の自由」に抵触する恐れがあるなどとして断念した。

「大きな一歩」「実効性懸念」
わいせつ教員対策を強化する新法は、再び教壇に立たせないようにするだけでなく、教育委員会や学校に防止や調査を求めた。問題を訴えてきた人らは「子どもへの性暴力根絶に向けた大きな一歩」と評価する一方、「身内に厳しく対処できるのか」との疑問も抱いており、実効性のある対応が必要と指摘する。

「教員の性暴力に特化した法律ができるのは画期的」。全国学校ハラスメント被害者連絡会の共同代表を務め、対策を求める5万筆超の署名を文部科学省に提出した郡司真子さんは強調する。指導や恋愛と称した性暴力もあるとし「何が問題か先生が理解できるよう具体的な基準を国が作るなど実効性ある対応を」と注文した。

小学生の時に被害に遭った千葉県の女子生徒(14)の父親も「大きな一歩。良い流れだ」と評価。ただ、実際に法律を運用する学校や教委について「きちんと対応するのか不安」と明かす。被害を受けた当初、校長は教員を異動させず、女子生徒に転校を勧めたといい、「教委や学校の姿勢に誠実さが感じられなかった」と振り返る。女子生徒は今も大人を怖がり、自宅からほぼ出られない。父親は「被害に遭った子どもの目線に立った対策を」と話す。

教員の性暴力対策の必要性を訴えてきたフォトグラファーの石田郁子さん(43)も、実効性に懸念を口にする。自身も10代後半、通っていた札幌市立中の教員から被害を受けた。市教委に訴えたが取り合ってもらえず、市と教員を提訴。昨年12月の東京高裁判決が性暴力を認めた後、市教委はようやく懲戒免職にした。「加害者が否定すれば教委はかばい、なかったことにされる」とし、独立した第三者が調査する仕組みが必要だとした。

性暴力被害に詳しい上谷さくら弁護士は「教育現場は性暴力が起きやすい構造にある。新法は現場が対策を講じるための大きな後押しになるはずだ」と語った。
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今後は教育委員会が免許再申請者の提訴を恐れて怯まない限りは現実的な法制度が教員レベルでは完成したと言えます。付帯決議はされましたが、保育士や指導員など福祉現場の法制度改革がまだ残っています。また、痴漢事件でみられるような事実無根の虚偽の訴えについても、個人的な恨みなどが法制度化によって増えてくることは予測がつくので、これへの罰則(刑法では虚構申告罪・虚偽告訴等罪・偽計業務妨害罪がある)や名誉回復の行政手続きなども用意する必要はあります。

学校内のわいせつ行為を警察に通報し行政処分と並行させる義務は良いと思います。校長らは嫌がるのですが淫行の軽犯罪であっても通報を行う必要があると思います。校長は事件化を嫌がり被害者の気持ちをなだめようとしますが、これが校内セクハラの温床にもなってきました。しかし、今回の法律もどこからを通報対象にするのかは曖昧です。

公立学校は独立性が弱く、校長は上を向いて学校経営をしがちです。職員の人事や懲戒行為は、もしもの公判に耐える体制が必要ですから校長は行政組織に守られる分、権限は少なくなる仕組みです。しかし、逆に言えばこの仕組みは、校長の判断の間違いも曖昧にする仕組みです。学校の権限と責任を増やし強化することで子どもの人権は守られるという意見は一理あります。

その3:告知のタイミング

告知はとても個別性が高いものです。子どもの支援・親の支援・生活学習環境等を検討して方法を探ります。診断名告知に積極的に取り組んでいる専門家の中でも、どの時期が良いのかは様々です。幼児期からできるだけ早く診断名告知をしたほうがいいという専門家もいれば、問題が噴出しているときこそ診断名告知の好機だという専門家もいます。つまり、答えはなく、それぞれの対象の子どもの状況や環境、専門家のポジションやその背景によっても違うのです。これも必ずというわけではないないですが、前回述べたように支援の効果を子どもが知っていることは告知の理解には有利だという事です。だからといって、場合によっては詳しい告知から入った方が効果が上がる人もいます。

子どもへの診断名告知の判断を親だけが引き受けていくというのはとても荷の重い作業です。必ず医師や心理士、教育関係者等専門家のサポータを作ってから始めます。また文字情報を処理する能力が相応に高い子どもで、診断名に関してもしかしたら既に知っているのかもしれないと思われる場合や混乱なく受け止めるだろうと予測される場合には、ASDの子どもたちは自分のペースで文字情報を手がかりに情報処理をしたほうが理解も納得もしやすいので診断告知に関する書籍を与えて予習してもらうことも有効です。想像力の問題のために一度思い込んだ事柄を修正するのが苦手な子どもたちなので、その意味でもひとりでじっくりと情報で吟味することが有効な場合も多いからです。書籍を渡してもらう場合には、今、目の前で読めと迫ることはしないで、自分のペースで情報処理するようにゆったりと構えて取り組みましょう。また情報を渡す際には、後ろ向きな感想も含めいろいろのことを思ったり話し合ったりすることは大事だと必ず伝えていくことが必要です。

また、告知は1回で済むものではなく、サポーターが協力して少しづつ違う角度から複数回行います。また節目節目にバージョンアップもして伝えていくものです。ここまで読んでお分かりの方も多いかと思うのですが、子どもへの発達障害の告知とは、医師の特権行為というより子どもへの教育なのです。子どもが一つ一つ自分について知っていくプロセスを支援することが大事だからです。これを心理学的医学教育といいます。

ここまで書いたことは、日本のASD告知のオーソリティーでもある吉田友子医師のホームページを参照しています。書籍資料や講演会情報などアクセスしてみてください。http://i-pec.jp/

 

京都市学校再開案内

京都市の学校再開案内が22日に発表されました。読んでいてごちゃごちゃ書いてあって具体的なことがよくわからないです。文書は5W1Hをバランス良く書く必要がありますが、今回の文書は言い訳のようなWHYがやたらに多いのです。

主旨は、1週目は給食無し帰り、2週目は給食あり帰り、3週目から平常校時です。また、登校が不安な家庭の児童の欠席は当面欠席日数としてカウントしないそうです。これは強迫性やこだわりが強い子どもの家庭の場合かえって複雑な事態を招きそうです。

尚、2週目までは全員が集まると良くないので半分づつ登校する学校や、学年で時間帯をずらして登校する学校になるというものです。これがものすごくわかりにくいのです。これで感染予防になるのかなとも思います。ウォーミングアップだの欠席はつけないだのと全学校が揃えることを指示しながらも、児童生徒の分け方も登校日や始業終業時間も各学校に丸投げしているので、各校の足並みが揃わないようです。あえてややこしい指示を出しているのは、責任の半分を学校に持たせたいのかなとも勘ぐってしまいます。

そして、学校の登校人数を半分にしたからといって感染リスクが半分になる証拠も、逆に、人数を倍にしたらリスクが倍になる証拠も今のところはないのです。それは、この3か月、日曜以外毎日開所してきた、3密の学童保育や放デイの感染者が京都中ゼロ名で、この理屈が成り立たないからです。しかも、子どもらの多くは品切れや様々な理由でマスクすらしていないにも関わらず、京都府の感染者はゼロだからです。つまり、2週間の半数登校作戦にリスクを減らす統計的な根拠は今のところないのです。強いて言えば、この方が安心だという気分が得られるということかもしれません。

発表後土日をはさんでいるので、明日からもう少しまともな提案が各校から出されるのかもしれません。しかし、働いている親にとっては、宣言が解除されているのにあと半月、隔日や時間別の登校に付き合わされるということです。もちろん3密の学童保育や放デイは、まだまだ延長してこの受け皿になるわけですから、どこが感染予防に慎重なのか科学的な根拠すら乏しいと思います。今回の再開指示が「感染回避の対策はしましたよ」というアリバイ作りに見えてしまうのは私だけではないと思います。

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令和2年5月21日
京都市教育委員会

市立学校・幼稚園の再開について

政府による緊急事態宣言及び京都府知事からの学校に対する休止要請が解除されたことを受け,下記のとおり,本市立学校・幼稚園を再開します。

1.学校・幼稚園の再開時期
 5月31日(日曜日)までとしている臨時休業期間については,5月18日(月曜日)からの「教育活動再開に向けた準備期間」の取組(希望制による「学習相談・面談」や,学級や学年等を対象とする「登校(園)日」等。)を継続し,準備を進めたうえで,6月1日(月曜日)から学校・幼稚園を再開します。

2.段階的な学校・幼稚園の再開
 令和2年3月5日からの休業期間が3か月に及ぶことから,再開に向けては,各校種の実態も踏まえながら,段階的に,通常の教育活動へ繋げることとします。

(1)6月1日(月曜日)から12日(金曜日)まで (高校は5日(金曜日)まで)
ア 児童生徒等が,学校・幼稚園生活へ順応するための「ウォーミングアップ期間」として,各校種の実態も踏まえつつ,段階的に「在校時間を増やす」,「登校する日を増やす」等しながら,学校園を再開します。
イ 長期間に及ぶ臨時休業期間を踏まえ,児童生徒等の心身のケアとともに,学校生活における感染拡大防止のための行動様式の確認と指導を図りつつ,児童生徒等同士また児童生徒等と担任をはじめ教職員とのつながりを深める期間とします。
ウ また,臨時休業期間における家庭学習等の丁寧な確認と見取りを行い,必要に応じて指導し,その定着を図ります。

(2)6月15日(月曜日)以降 (高校は8日(月曜日)以降)
通常の学校教育活動を再開します。

※ 6月1日(月曜日)以降に実施する教育活動に,感染拡大への懸念等から御家庭の判断により欠席する児童生徒等は,当面,指導要録上の「欠席」としない取扱いとします。

3.感染拡大防止対策の徹底について
 各学校・幼稚園で,次の事項を踏まえた,学校・幼稚園ごとの感染拡大防止の取組指針を作成し,保護者等とも共有して,感染拡大防止を徹底しながら教育活動を行います。

(1)基本的な感染症対策の徹底
ア 登校時,授業と授業の間や給食時間前,長時間休憩後等のこまめな手洗いや咳エチケットを徹底するよう指導。
イ 多くの児童生徒等が手を触れる場所(ドアノブ,手すり,スイッチ,共用する器具等)の毎日の消毒。
ウ 免疫力を高めるため,十分な睡眠,適度な運動やバランスの取れた食事を心がけるよう指導。

(2) 集団感染のリスクへの対応(「3密条件」の回避等)
ア 教室等のこまめな換気を実施。
イ 教室内の座席と座席の間隔をできる限り広く確保するなど席配置を工夫。
ウ 飛沫を飛ばさないよう,やむを得ない場合や場面を除き,必ずマスクを着用するよう指導。また,教職員,来校者もマスクの着用を徹底。

(3)児童生徒等の健康管理の徹底
ア 毎朝「健康管理票」を持参させ,健康観察を徹底。
イ マスク着用に伴い,熱中症のリスクが高まる可能性があるため,室温調整やこまめな水分補給等の実施。

4.新型コロナウイルス感染症の予防に関する指導
 児童生徒等が,新型コロナウイルス感染症に関する正しい知識を身に付け,感染のリスクを自ら判断し,これを避ける行動をとることができるよう,発達段階に応じた指導を実施します。
5.各教科等の指導における留意事項
(1)各教室の席は全員が前を向く講義型(一斉授業の形態)として,席間についてもできる限りスペースを空けるなど席配置を工夫。
(2)児童生徒同士の話し合い活動やグループ活動等については,近距離での会話とならないよう,また,それが難しい場合は,当面,行わない等,授業展開を工夫。
(3)各教科等の特性上,感染症対策を講じてもなお飛沫感染等の可能性の高い活動を行う場合等については,順序の変更等の工夫。
6.給食の実施について
 小学校・中学校(義務教育学校含む),及び総合支援学校では,以下に留意し,6月8日(月曜日)から給食を再開します。
(1)配食・会食前や返却後の手洗い,給食当番のマスク着用等,感染防止対策を徹底。
(2)給食の受取,返却等は,学年ごとに時間差を設けるとともに最少人数で行うなど,密接,密集を避ける。
(3)会食時は,飛沫を生じないよう,机を向かい合せにしないで会話を控える。
7.部活動について
 中学校(義務教育学校後期課程含む),高校では,通常の学校教育活動の開始日(中学校は6月15日(月曜日),高等学校は6月8日(月曜日)予定)以降,条件付きで再開します。
 小学校は,児童への負担等を考慮し当面休止とします。
8.授業時数の確保に向けた取組
 夏休み等の10日程度の短縮や,学校行事の見直し,1校時当たり5分短縮することによる7時間授業を週1回から3回程度実施するなど,児童生徒等の負担にも配慮しながら,様々な工夫を行い,授業時数を確保します。

市立学校・幼稚園の再開について
お知らせ(5月21日付け)(PDF形式, 962.87KB)

 

eスポーツで引きこもり解決 

eスポーツで引きこもり解決 潔癖症の漫画家とスクールの出会い

2021/5/30 【毎日新聞】

引きこもりだった人が、ゲームで社会とつながっていく。金沢市のビジネススクールと潔癖症の漫画家の出会いで生まれた漫画がある。なぜ、ゲームなのか。生きづらさを感じる人らのためのスクールと、漫画の世界観を紹介する。【森野俊】

潔癖症、学ランを洗濯する日々
漫画「ケッペキゲーマー」は人と接するのが苦手な主人公が、ゲームを通じて人とつながり、変わっていく姿を描いた物語。極度の潔癖症で引きこもりだった少年は、関節リウマチで手足が不自由な車いすの少女の一言でゲームに触れる。ゲームの前では全ての人が対等であることに気づいた少年は、ゲームの腕前を競う「eスポーツ」の世界に足を踏み入れていく――。小学館の青年コミック誌「ビッグコミックスペリオール」で連載が始まり(現在は電子版のみ)、28日に単行本1巻が発売された。

「漫画の半分くらいが、自分の経験や考えからできています。同じ境遇の人だけでなく、支える家族など周りの人たちにこそ読んでほしい。どんなことを感じ、考えているのかを周りの人が理解してくれるだけで、問題の半分は解決すると思います」

そう話すのは、作者の「あまの」さん。中学時代は毎日欠かさず学ランを洗濯し、卒業する頃にはグレーにしたほどの潔癖症という。当時は「人が触ったものが黒いオーラをまとっているように感じていました」と振り返る。

あまのさんは、障害者とeスポーツ、自身が抱える潔癖症をそれぞれ漫画にしたいと考えていた。半身不随のプロゲーマーの記事を読んで、「三つがクロスした一つの漫画を描きたい」と思うようになった。障害とゲームが関係する取り組みを探して見つけたのが、金沢市のビジネススクール「カラフル・金沢」。ゲームを使い、引きこもりだった人を就労につなげる取り組みを進めていた。

カラフル・金沢では、障害がある人や引きこもっていた人、生きづらさを感じる人らが社会生活を送るための訓練をし、就労や起業を目指している。2016年に「ビジネス」「生活」「起業・経営」の3コースで設立され、19年4月にゲームコースが加わった。ゼネラルマネジャー(GM)の別宗(べっそう)利哉さんは「好きなこと、得意なことは、社会でいろいろな経験をするきっかけにできます」と力を込める。

「ゲーム漬けにさせて本末転倒」「ゲームをして仕事につながるのか」。ゲームコースの開設当初はメールなどで批判があった。別宗さんは「いつもは教室の隅にいる子が、ゲームの話になると輪の中心にいます。コミュニケーションを生み、自己肯定感も上がると思いました」と振り返る。ゲームコースは、他の3コースを受講するゲーム好きな生徒が議論を重ねてできたものだった。

自力と他力を合わせる
現在ゲームコースには、精神疾患や知的な障害、発達障害などがある10~30代の7人が通う。ほとんどの生徒がアルバイトを含めた社会経験がなく、両親の職業すら知らない人もいるという。

授業では、eスポーツ大会で採用される「ぷよぷよ」などのパズルゲーム、「ウイニングイレブン」といったスポーツゲーム、「エーペックスレジェンズ」など操作が複雑なシューティングゲームを用いる。主に対戦形式のゲームをプレーして攻略法を話し合う。

また、1カ月に1回程度、生徒が授業で取り組みたいことを話し合い、実行するプログラムが用意されている。既存のゲームを幅広い年齢やあらゆる心身状態の人が楽しんで対戦できるよう、ルールを修正して遊んだり、自作のカードゲームでの対戦を提案したり。ゲーム大会の開催も案に挙がり、企画書や参加申込用紙の作成、当日の運営まで役割を分担して実施した。

プログラムには、企画や提案、タイムマネジメントなど社会人に必要な能力の向上を図る狙いがある。別宗さんは「自力と他力を合わせることの大切さを知る機会になります」と強調する。

あまのさんは19年6月ごろから、カラフル・金沢の取材を始めた。暗い雰囲気をイメージして訪れたが、参加者の表情は明るく、雑談も途切れない。「その中心にあるのがゲームでした」と振り返る。「人の目を見るのが怖いとか、何を話していいか分からないなど、社会で出くわすものの対策や練習、突破口の一つになると感じました」と話す。

あまのさんは転校が多く、人間関係を一から作る上で相手が何を考えているか分からず想像して苦しんだ。「それが潔癖につながったと思います。はたから見える以上に自分たちは苦しんでいます。引きこもりも潔癖も、やめられるならやめたい。漫画にはその気持ちを込めました」と語る。

漫画「ケッペキゲーマー」には、カラフル・金沢の別宗さんも「ぱすてるの別所さん」として登場。読んだ生徒は「障害のある方が描かれた漫画ですか?」「どうしてこんなに自分たちの気持ちが分かるんですか?」と感想を寄せた。

ゲームコースは開設して2年が経過した。オンラインで4人対戦ができるオリジナルのカードゲームを作った生徒や、コンピューターグラフィックス(CG)やアニメのキャラクターを用いて動画配信、投稿を行うバーチャルユーチューバー(Vチューバー)に挑戦する生徒も出てきた。別宗さんは言う。

「今まで人を避けていた子たちが、ゲームを通じて人を喜ばせています。好きなことだから主体的に動ける。これが社会に出るスタートです」
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記事を読んでいて、高3生でプヨプヨ日本選手権で1位になり外車を買った、ドラマ「コントが始まる」の神木隆之介演じる瞬太を思い出しました。金髪の青年で焼き鳥屋でアルバイトをしています。趣味はスナック通いで、主食はポップコーンです。小学生の頃から1人で家にいることが多く、買い与えられたゲームで時間を潰して過ごし、中学生になるとゲームセンターに通い始め、対戦型ゲーム「ぷよぷよ」に熱中します。「ぷよぷよ」一色の生活を始め、高校3年生の頃には日本一を決める大会で頂点に立ちます。元々は社交的な人間ではなく、目立たない存在でしたが、文化祭での演技が話題となり一目おかれる存在になります。卒業後はプロゲーマーの道を歩むが、春斗と潤平に出会ったことで「マクベス」のメンバーになりドラマが展開していきます。

ゲーム会社のセガはeスポーツ大会として2か月に一回、プヨプヨ選手権の賞金に100万円を超える金額を出資して、ゲーマ人口のすそ野を広げようとしています。これは任天堂をはじめ世界中のゲーム開発会社も同じ立場です。そんなわけで世界的には賞金1000万円を超える大会も少なくありません。このブログでも以前、障害者雇用の一環としてeスポーツの選手養成のための就労支援事業が出てきたという記事を掲載しましたが、プロスポーツなら就労職種の一つではあると妙に納得した経緯がありました。どんなことであっても、人は好きなものに対しては熱心に努力するので、上達が早くモノになるのです。好きこそものの上手なれです。

睡眠障害

人間をはじめとする多くの生物は、基本的なリズム(活動する・休む・眠る)および体内の働き(自律神経機能・内分泌機能・代謝機能などのさまざまな生体機能)が1日に約25時間を周期とするリズムで変動しています。そして、この変動のリズムをもたらしているものを生体時計(体内時計)と呼びます。ヒトの生体時計は実際の1日24時間より約1時間長いので、社会生活を維持していくためには、1日24時間を周期とする生活リズムに調整していかなければなりません。この生活リズムが狂ってしまうと、不眠症、うつ、不登校、全身倦怠感、注意集中困難、イライラ、学習困難などのさまざまな症状が出現します。不眠症は入眠困難という形で現れ、遅寝遅起きになります。近年、発達障害や夜型生活との関連で増加している睡眠相後退症候群は、子どもの身体・知能の発達、さらには不登校、神経症、自閉傾向を強めるとして注目されています。では、どのようにして生活リズムを24時間にリセットして規則正しい生活にすればよいのでしょうか?

生活リズムをリセットする因子として以下のものがあります。光による明暗(昼と夜)・社会的因子(家庭・学校・会社・仕事・遊びなど)・食事・身体的運動・環境(温度・湿度・騒音・振動など)。この中で、朝の光を浴びること、朝食、日中の運動がもっとも強い同調因子です。朝のジョギングや歩いて登校するなどの活動はこれらをすべて満たしてくれるといってもいいでしょう。特に、規則正しい生活リズムの獲得は身体にも心にも良い影響を与え、社会生活の様々なリスクを回避する礎となります。

睡眠を阻害する因子の中で、ストレスが占める割合は一番大きいのかもしれません。一般によく聞かれる不眠症とは、心身の健康を維持するために必要な夜間の睡眠が量的または質的に不足し、昼間の日常生活に支障をきたしたりストレスを抱え込んでいる状態のことをいいます。逆に、睡眠に問題がないということは、日中眠気がなく、心身共に健康に生活できる睡眠がとれるということです。ここで、睡眠障害の4つのタイプを見ると、入眠障害:布団に入ってもなかなか寝つけないタイプ。不眠の中ではもっとも訴えの多い症状です。中途覚醒:夜中に何度も目が覚めてしまい、再び寝つくのが難しいタイプ。熟眠障害:睡眠時間のわりには、朝起きた時にぐっすり眠った感じがしないタイプ。早朝覚醒:朝早く目覚めてしまい、まだ眠りたいのに眠れなくなるタイプ。高齢者に多いのが特徴。睡眠相後退症候群:夜なかなか寝つけず、朝はなかなか起きることができない状態が極端に悪いもので、最も多いのが、通常夜中の2時から朝の6時頃まで眠れず、そのため朝はまったく起きられなくなるというパターンです。一旦眠ると普通に眠れますが、その眠る時間帯が社会のリズムとずれているため社会適応が困難になります。遅刻や欠席が多く、また日中に強い眠気に襲われたり、授業に集中できないといった障害がおこります。このように学校に適応できない状態が続くと二次的に抑うつ状態、不登校、ひきこもりになることも稀ではありません。

中高校生の不眠患者の約半数がDSPSといわれており、思春期での発病率がもっとも高く、典型的なDSPS患者は発病前から夜型人間の傾向が強く、感覚過敏のあるASDや、ゲーム・携帯電話などにはまっている場合に多く見られます。また、DSPSが不登校の原因かもしくは結果かについての判断は難しいですが、両者は深く関係しており、DSPSの治療をすることで不登校から立ち直ることができたケースも多く見られます。DSPSの病態生理は、睡眠相だけでなく、深部体温のリズムや脳のメラトニン(睡眠を制御するホルモン)の分泌リズムが遅れており、このため生体リズムが後退したまま固定され、外部環境に同調できない状態となることがわかっています。

DSPSを改善するための早寝早起きの工夫をみてみましょう。日当たりの良いベッド。朝にカーテンを開ける。朝は必ず起きる。起きたらすぐに着替える。朝に日光を浴びる。日中に身体を動かす。入眠3時間前から照明を落とす。昼寝をしない。メラトニン療法。高照度光療法。ビタミンB12。

寝る前にしたほうがいいことは、寝る1~2時間前から脳をリラックスさせることが大切です。一旦布団に入った後でも、眠れない時は無理に眠ろうとせず、布団を出て気分を変えるのも一つの方法です。できれば眠くなるまで布団には入らないようにしましょう。また、布団の中で、好きな本を読む、携帯電話、ゲームなどをしないようにしましょう。他には、ぬるめのお風呂にゆっくりつかる。カフェインが含まれていないハーブティを飲む。眠りを誘う音楽や心が落ち着くビデオを鑑賞。空腹の時はホットミルクを飲む。就眠3時間前から室内の照明をダウンさせる(真っ暗より薄暗い程度、蛍光灯より白熱灯、直接照明より間接照明)。寝袋、身体を強くしばる、マッサージなどの刺激がよいことも。就眠儀式はあったほうがいい (歯磨き、ストレッチ、ぬいぐるみなど)が挙げられます。

寝る前に避けたほうがよいことは、熱いお風呂に入ること。コーヒーや紅茶などカフェインを含む飲み物。寝る前のおやつや食事。勉強や激しい運動。テレビ、ゲーム、パソコンなど。明るすぎる室内照明(明るい蛍光灯など)。

障害の種類に関わらず、また、テレビやゲームのしすぎなどにより、生活リズムの乱れている子どもも多く見られます。子どもが衣食住に関わる基本的な行動・習慣を身に付けるためにも、約束を決めて子どもがしたいことをする「時間」を保障しながら、まずは親が子どもの生活リズムをコントロールすることが重要です。さらに、タイムスケジュールのような簡単な表などを使い、目に見える形で評価することでより意識しやすくなるでしょう。そして原因のはっきりした避けきれないストレスが子どもの生活リズムを乱しているなら、まずは、その原因から子どもを遠ざけ、健康な生活リズムを取り戻すことを優先した選択を行うべきだという考え方もあります。

「放課後等デイサービス」経営悪化

障害児支える「放課後等デイサービス」経営悪化の事業所相次ぐ
【NHK2020年5月25日 5時38分

多くの特別支援学校で休校や分散登校が続く中、障害がある子どもや家族を支えているのが、「放課後等デイサービス」と呼ばれる制度です。民間などの事業所が子どもたちを受け入れ、自立した社会生活を送るための力を養うものですが、国の要請で運営時間を延長した3月以降、経営が悪化する事業所が相次いでいて、業界団体は支援を訴えています。

東京 江東区にある放課後等デイサービスの事業所はこれまで午後2時から5時半まで開けていましたが、特別支援学校が休校になった3月以降は子どもの居場所を確保してほしいという厚生労働省の要請を受け、午前8時半から開けて運営時間を延長しています。

ダウン症の娘が通う区内の女性は「自宅では同居する母親を介護するため子どもをみる時間がないが、ここに来れば友達や顔見知りのスタッフもいる。サービスのおかげで生活リズムを保つことができる」と話していました。

その一方、事業所では東京都の外出自粛要請が続く中、利用者数自体は減り、運営時間が延びた影響で人件費は増えたことなどから、先月の収支はおよそ130万円の赤字だったということです。

事業所を運営する田中祐子さんは「今は経営は二の次で、サービスを必要とする子どもや家族の声に応えたくて続けています」と話していました。

全国476の事業所が加盟する「障害のある子どもの放課後保障全国連絡会」の中村尚子副会長は、「放課後等デイサービスの運営費用はその月の利用者数に応じて国と自治体から支払われる仕組みで、今回のような事態が起きると存在が危ぶまれてしまう。公的な支えが必要だ」と訴えています。

中学生徒8人が搬送 運動会練習中

熱中症か 中学生徒8人が搬送 運動会練習中 福岡 篠栗町

2021年5月31日 【NHK】

31日昼すぎ、福岡県篠栗町の篠栗北中学校で運動会の練習中に複数の生徒が相次いで熱中症とみられる症状を訴え、生徒の男女8人が病院に搬送されました。

31日午後0時40分ごろ、篠栗町の篠栗北中学校で、グラウンドで行っていた運動会の練習中に、複数の生徒が気分が悪くなったと学校から通報がありました。

消防と学校によりますと、男子生徒1人、女子生徒7人の合わせて8人が熱中症とみられる症状を訴えて病院に搬送されました。

このうち3人が重症とみられいずれも意識はあるということです。

学校によりますと、31日は午前中、全校生徒およそ310人が参加して、来月開催する予定の運動会のリハーサルを行っていました。

31日昼前ごろに、生徒2人が体調不良を訴え、このうち1人は回復しましたが、リハーサルが終わった後に別の7人が新たに体調不良を訴えたということです。

学校では、生徒にはマスクをするよう指導していましたが、競技中は外してもよいとして、生徒の判断に任せていたとしています。
また、生徒たちにはこまめな水分補給を呼びかけていたということです。

松本修校長は取材に対し「2年ぶりの運動会となり子どもたちが外で長く運動することに体が慣れていなかったかもしれない。今回の事態を重く受け止め再発防止に努めたい」と話していました。

31日の福岡県内は気温が上昇していて、篠栗北中学校からおよそ10キロの所にある福岡空港の31日午後0時40分の気温は28.9度を記録し、夏日となっていました。

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本番よりもリハーサルがしんどいと子どもたちは言います。集団演技で「ハイ良くできました。では、その調子でもう一回!」「なんでやねん!」と子どもたちは突っ込みを入れます。「できたんやったらもうええがな」と。発達凸凹の子どもたちにとっては、大嫌いな体育祭あるあるです。

それにしても、炎天下でマスクをさせて待機させたら危険と、誰も咎めない学校職員の思考停止状態が心配です。今のところ日本人の感染確率は0.5%、炎天下のマスク使用で重篤な熱中症確率は300名中8人で約3%、武漢風邪の6倍の確率です。さらに、PCR陽性者のうち人体に影響のない無症状者が6割(*)なので重篤な身体ダメージだけで考えれば熱中症は15倍以上の危険率です。(PCR検査を使用した調査では、陽性判定者のうち無症状だった例(無症状感染者)の割合中央値は65.9%;Annals of Internal Medicine誌2021年1月22日オンライン版の報告)

一般人ならともかく確率計算を生徒に教える中学校の教師は何をしているのかと心配になります。もちろん8名の生徒の熱中症確率は結果ですが、生徒を炎天下でリハーサルさせる経験はこれが初めてでもないはずです。「競技中は外してもよい」は下手な言い訳に過ぎません。待機時間の方が競技時間よりはるかに長いのは周知のことです。

熱中症は下手をすると死に至ります。それくらいの判断ができないくらい感染報道に洗脳されているのかと思うと恐ろしくなります。エビデンスのないリスクマネジメントは呪いよりタチが悪いです。屋外飛沫感染の事実は医学的に確認されていないのですから、体温調節が未成熟な子どもの高温下でのマスク装着は、運動の可否に関わらずリスクが高過ぎると思います。

パラリンピック

東京オリンピックのチケットが取れなかった倍率100倍だったとネット上をにぎわせていますが、パラリンピックはいまいち盛り上がりに欠けると関係者の間では言われています。東京パラリンピックでは22競技537種目が実施されますが、チケットは8000円以下で平均2~3000円だそうです。

実はこのパラリンピックのチケットが史上初で完売されたのが前々回のロンドン大会でした。大会準備にあたって、関係者がとにかく市民にパラスポーツを体験してもらう取り組みを粘り強く行ったそうです。誰だって競技がわからなければ観戦なんてしません。パラスポーツが健常者競技に勝るパワーとテクニックが必要なことは競技を知らないとわからないのです。この結果、ロンドン大会は大成功を収めました。

ところが前回のリオ大会はロンドン大会以前に逆戻り。チケットが余り、観戦席もまばらで選手にも申し訳ない状況がおこりました。リオ大会はそもそも政変のただ中での開催で、選手宿舎問題やオリンピックインフラ建設が追い付かない状況だったので全体の準備そのものが大変だったようです。だからこそ、GDP世界第3位の日本の首都東京で開催するパラリンピックは、ロンドン大会のレベルまでに戻すことが重要です。

世界一の車いすラグビーや世界2位のボッチャなどみどころもたくさんあります。チケット発売は日本国内では、東京2020組織委員会が直接販売し8月発売の予定です。

 

テレワーク継続

テレ(リモート)ワークをやってみると意外に会社に行く必要はそんなにないと感じたサラリーマンは多いと聞きます。緊急事態宣言が解除されても、そのままテレワークが続けられる会社はそのままでという政府の後押しもあって、新しい働き方が定着するかもしれません。そして、それは社会性の障害等を持つ人たちにとって、新しい就労の機会=在宅勤務の機会を広げることになるのかもしれません。

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【事例】ITスキルを学び、テレワークを実現!
       障害者就労移行支援manaby
@Press
2020.5.21 16:12 SankeiBiz © 2020 SANKEI DIGITAL INC.

障害福祉サービス、就労支援事業を行う株式会社manaby(本社 宮城県仙台市、代表取締役 岡崎衛)は、創業時から障害者への在宅就労訓練を提供しており、就職者の23.2%(※2020年3月時点)がテレワークで活躍しています。

★得意を活かして在宅就労を実現
Aさんは、自動車部品を販売する会社でEC(通販)サイト用の画像加工やバナー制作、HP更新の仕事をしています。障害者雇用枠ではなく一般の求人でしたが、自身の障害をオープンにして働いています。自分が学んできた技術を活かせる仕事があるとマナビーの支援員から紹介され、入社して1年が経ちました。Aさんにはパニック障害がありましたが、現在はほぼ寛解しています。発症は公認会計士を目指して頑張っていたころのことでした。一次試験を通過し、二次試験に向けて勉強に取り組んでいるときに体に異変が起きたのです。机に向かっても気分が悪くなってしまい、人混みに出ると疲れるようになりました。電車に乗るのもつらく、休むことしかできなかったと言います。しばらくは不安定な体調との闘いでした。医師と相談しながら薬の量を増やしていったあるとき、「もう少し外に出てみよう」と思えたそうです。そんなときに検索して見つけたのがマナビーでした。 

★心強い仲間の存在
Aさんは公認会計士への挑戦から気持ちを切り替えて、マナビーで学ぶことを決めました。在宅訓練ができると知って興味を持ったマナビーでしたが、支援員からは「Aさんならできるはず」と通所訓練を勧められました。電車もそれほど混んでいなかったので、通ってみることにしたAさん。事業所でホームページ作成のHTML/CSS、画像処理のPhotoshop、illustratorなどを学びました。「スタッフが一緒に考えて応援してくれるので、自分のできることをやってみよう、と思えるようになった。一人じゃない、と感じました。心強いですね。」とAさんは言います。

★健康に働き続けるために
現在Aさんは自宅で週に5日働いていますが、体調を崩すことなく仕事に集中できています。「多くの人とのコミュニケーションに疲れてしまうところもあったので、在宅で働くことで、自分にとって程よい距離感を維持できるとも感じています」一方で、意識をしないと家に籠りがちになってしまいます。Aさんは、運動不足解消もかねて毎朝30分近所を散歩し、太陽の光を浴びるようにしているそうです。また、腰を痛めないように椅子に姿勢補助器具を使うのも、快適に働くためのポイントです。

★いま、自分にできることを積み上げること
社会の状況で思うようにできない、他人のようにはできない、と悩む方がいるかもしれません。自分の目指す働き方を実現するのは難しいと思うこともあるでしょう。「いま、自分にできることを積み上げていくことが、きっと自分らしい働き方につながる。自分もそうだったから」と、Aさんは力強く語ってくれました。そしていま、Aさんは働きながらファイナンシャルプランナーの勉強をしています。すでに2級の資格を取得して、さらにその上を目指して頑張っています。「障害者が直面するお金の相談に乗れるように、困っている人の役に立ちたいと考えるようになりました。そんな仕事もしていきたい。仕事はひとつでなくてもいいですよね。」

トランスジェンダー女子の学校スポーツ参加禁止

トランスジェンダー女子の学校スポーツ参加禁止 米フロリダ

2021年6月2日 マイアミ/米国【AFP】

米フロリダ州で1日、トランスジェンダーの女性が公立校で女子の運動部に参加することを禁止する法律が成立した。

法律は7月1日から施行され、女子チームに入る生徒や学生は、出生証明書で生物学的な性を証明することが義務付けられる。

州内のキリスト教系の学校で法律に署名したロン・デサンティス(Ron DeSantis)知事は「競技の整合性を守ることが非常に重要だと信じている」と話し、「フロリダでは女子は女子の、男子は男子のスポーツをプレーする。われわれはスポーツを行う際、イデオロギーではなく生物学を土台にする」と続けた。

共和党のデサンティス知事は、性的少数者(LGBTQ)の「プライド月間(Pride Month)」初日に法律に署名した。

これを受け、ヒスパニック系で、ゲイを公表している民主党のカルロス・スミス(Carlos Smith)州議会議員は「おぞましい」ことだと話している。性的少数者の権利擁護団体ヒューマン・ライツ・キャンペーン(HRC)も、訴訟を起こす意向を表明している。

共和党の知事が率いる州では、すでに同様の法律が成立しているところもあるが、フロリダはその中でも最も人口が多い州となっている。(c)AFP

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宗教との関係があるのか共和党の強い州はLGBTQ問題を避けて通りたがるし、逆に民主党は伝統的なものに反発するキャンセルカルチャーの意識が強く、こうした極めて個人的で繊細な問題を政争の具にします。どちらも法律と裁判で決着をつけようとするのは、勝ち負けだけで良いのかと、スポーツ精神も地に落ちてしまい、ちょっと受け入れがたいです。

筆者の個人的な感覚では別に目くじら立てずにトランスジェンダーの参加を認めていいと思います。女子のラグビーチームに「男子サイズ」の人がボールをもって突進してきて、相手チームがフリーズしている動画を見たことがあります。それで勝ったから何なのと皆思うはずです。スポーツは見た目がチーム同士で拮抗しているから面白いのです。逆に言えば、チーム力が拮抗していれば性差は関係がないです。個人競技はウェイトで区別すればすむ話です。

日本のラグビー熱が盛り返したのは一昨年のワールドカップでしたが、これの下地を作ったのは外国人選手の活躍です。古くはプロ野球・大相撲・プロサッカー、最近ではバスケットやバレーボールまで外国人選手の参加で盛り上がりを見せます。ナショナルチームへの外国人参加は良くてトランスジェンダーの女子スポーツ参加の何が悪いのか良くわかりません。きっと、世間はそれで面白くなければ振り向きもしなくなるし、面白ければ盛り上がるだけです。

アマチュアの世界は純血主義でというのも、かえって気持ちが悪いです。大事なのはやっている本人と見ている人が感動できればそれでいいと思います。ラグビーワールドカップで、189cm・113kgのリーチマイケルの突進力にも感動しますが、スクラムハーフで166cm・73kgの田中史朗が巨人の中を潜り抜けていくのも痛快です。 日本がベスト8入りしても外国人がいるから興覚めだと言う人には言わせておけばいいと思います。女子スポーツにトランジェンダーの人が参加する事の好き嫌いは個人の勝手ですが、法律で規制したり裁判で争うような筋のものではありません。