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議員のマスク拒否、法廷闘争に 口元切り取りは正当な権利?挑発?

議員のマスク拒否、法廷闘争に 口元切り取りは正当な権利?挑発?
3/11(金) 【毎日新聞】

コロナ禍でマスク着用を拒否する地方議員の行動が物議を醸す中、北海道白糠町では法廷闘争に発展している。原告の福地裕行町議(71)は「法的根拠なく、着用を強要するのは違法」と主張。一方の町側は、自ら口元を切り取ったマスク姿で議場に現れたことに「挑発行為」と戸惑いを隠さない。ただ、着用拒否を巡る見解はさまざまで、町議の行動を問題視する識者がいる一方で、「必ずしもマスクが善ではない」とする識者もいる。【高橋由衣、本間浩昭】

「裁判所ではマスクの着用を推奨しております」。釧路地裁で10日開かれた第1回口頭弁論の冒頭、新谷祐子裁判長がこう呼び掛けると、法廷内に沈黙が流れた。だが、マスクをせずに入廷した福地町議は気に留める様子もなく、しばらくして新谷裁判長は意見陳述を促した。

福地町議は一礼後、眼鏡を外して陳述書を手にし、「ワクチン接種とマスク着用を強要し、同調圧力によって応じない者に差別と偏見が全国に広がった」「問題提起するため未着用を決めた」などと読み上げ、審理は終結。判決言い渡しは29日午前10時に決まった。

訴状などによると、2020年3月、町議会は全員協議会で、マスク着用などの感染対策をとることを「申し合わせ事項」として確認。当時、福地町議もマスクを着けていたが、その後に一転した。

同町関係者などによると、福地町議は21年6月の特別委員会で着用を拒否し、他の町議の反発を受けて審議が中断。自身が委員長を務めた同7月の委員会でも着用せず、他の委員が離席して委員会は空転した。

その4日後に開かれた臨時会では議長から退席を命じられ、議場を退出。議会事務局職員に不織布マスクとハサミを要求し、口元を四角く切り取った手製の「マスク」を着用して再び議場に現れた。「それはマスクではない」と議長から発言禁止を告げられると、「マスクだよ、これ。なんで認めないの」と激高したという。

福地町議は同8月、法的根拠なくマスク着用を強制され、発言禁止の処分を受けたとして、町側を相手に20万円の損害賠償とマスクをせず議会で発言する権利の確認などを求めて提訴した。代理人の木原功仁哉弁護士(大阪弁護士会)によると、マスクの着用を巡る議員の提訴は全国初。

福地町議は訴訟で「公益性のための活動を制限するのは違憲、違法だ」と主張。「マスク着用は子どもの発達障害を引き起こす。症状がある人に推奨する程度にとどめるべきだ」と訴える。

これに対し、町側は「マスク着用は全員協議会で協議し、感染対策の自主的な取り組みとして全員が合意した」などと請求棄却を求めている。臨時会の進行に支障を来した上、飛沫(ひまつ)対策に無意味な切り取りマスクをしたのは「議会を挑発し、愚弄(ぐろう)していると言われても仕方ない行為」と非難する。

福地町議は毎日新聞の取材に「マスクの効果を疑問に思っていた。メディアに出ない専門家の話を聞くなどさまざまな勉強をして、着用が有効であるというエビデンス(証拠)はないとの確信に至った」と未着用に至った経緯を説明。現在、フェースシールドを着用して議会に出席しているのは「本当はしたくないが、しないと発言できない」と話した。

一連の騒動を識者はどう見るか。

中央大の佐々木信夫名誉教授(行政学)は「集票活動の一環のようで、政治利用が透けて見える。『民意を鏡のように反映する』という地方議会の仕組みからして、住民に誤った情報を流布する活動になりかねない」と危惧する。さらに「反マスク運動を展開するなら、被害が広がった場合に議会人としてどう責任を取るのかを示した上で、反マスク運動の有効性を証明すべきだ」と指摘する。

同志社大の中谷内一也教授(リスク心理学)は、福地町議ら地方議員のマスク着用拒否に「何のメリットがあるのか分からない」と首をかしげる。一方で、「感染対策に反対する主張には一理あるものもある。どんな対策にもメリットとデメリットがあり、トレードオフ(何かを得るために何かを失う)の関係がある。必ずしもマスクをすることが善、ワクチン接種が正解とは思わない」と話す。

また、「前例のない事象で、先のことが正確に分かる人はいない。専門家も過去のデータを基に将来の評価をしており、不確実性を含んでいる。自己判断する上で、この人が言っているから絶対に『正しい』『間違っている』という考え方には注意が必要」と指摘する。

地方議員のマスク拒否を巡っては、大分県臼杵(うすき)市の若林純一市議が議会でマスク着用を強制され、発言を許されなかったのは違法などと21年11月に提訴し、係争中。今年2月には、広島県呉市の谷本誠一市議が釧路空港から羽田空港に向かう旅客機内で着用を拒んで出発が1時間以上遅れ、市議会は辞職勧告決議案を可決している。

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この記事で、「マスク着用は子どもの発達障害を引き起こす」と福地議員が言ったか、記者がそう表現したかはわかりませんが、明らかな間違いなので訂正してほしいと思います。発達障害の人が感覚過敏でマスクがつけられない場合があるのは良く知られたことですが、マスク着用が原因で発達障害にはなりません。取材の段階で気が付いてほしい間違いです。こういう基本的なところで間違われると、正論を示しても誰も信用しなくなります。

マスクの着用について議会ともめている議員は、北海道と広島県と大分県の3名の地方議員です。広島県の議員は飛行機搭乗にマスク拒否をしてフライト時間を遅らせた結果、議会で辞職勧告がなされました。大分の議員は福地議員と似ていて議会でマスク着用を強制すべきものではないと反発し、この二人は裁判を起こしています。身に着けるものは、表現の自由とも重なり他者に制限を加えるべきものではありません。しかし、議会なのですからそんな子どもじみたパフォーマンスをするより、言論で戦えば良いのではないかという意見もあります。

マスクは、新型コロナ感染症が流行するまでは、健康な人が着用しても予防効果はないというのがWHOの正式見解でした。インフルエンザの予防のために感染者がマスクをするとある程度周囲への予防効果があるとは言われていました。しかし、インフルエンザ・ウィルスとコロナ・ウィルスは種類の違うウィルスですから、予防方法が同じかどうかは分かっていません。

世界がマスクに注目し始めたのは、日本の感染率の低さを見て、日本人はマスクをしているから感染が低いのではないかという憶測が起こりWHOもそれを根拠なく追認してからです。国内では、スーパーコンピューター「富岳」の飛沫シミュレーションをテレビ放映したことで、コロナウィルスが飛沫感染で広がるという印象を国民に与えました。

結局、かなり離れていても飛沫を吸い込むことは分かったのですが、それを吸い込んで感染するのかどうかの研究結果はいまだにありません。そもそも、コロナウィルスは感染者の排泄物の接触感染との研究成果がサーズウィルスの流行の時から積み上げられており、この説は覆されてはいないのです。トイレやトイレに持ち込むスマホ等を消毒しないと感染は広がるのです。クラスター感染は全て多数の人が使う共同トイレのある所で発生しているのがその根拠と言います。

科学的な根拠がないのに、一律に強制してマスク着用を求めるのはおかしいというのが3議員の主張です。これ自身は筋が通った話で、地方議会が強制力のある形で市民の代表者である議員の表現の自由を奪うべきではありません。もしも、法制化するなら欧米のように政府が決める事です。ところが日本の憲法の建付けではこういう強制が出来ないと言うのですから、それならば地方議会が政府や憲法を越えるべきではありません。

我が国は同調圧力によって個人を押さえつける癖が強く、根拠のないことでもみんなで渡れば怖くないという事が多いです。PCR検査もWHOが35回増幅で良いというものを45回も増幅して感染力のない1匹ほどのウィルスを見つけて陽性とし、いつの間にか感染者にすり替えられてしまいますが、医師会でこの事を指摘する人はほとんどいません。さすがに11歳以下のワクチン接種は「同調圧力をかけてまでやる必要はない」と東京医師会が言い出しました。感染が広がった最初の頃はデータがないのである程度非科学的な行動も仕方がないです。けれども、もう2年も経ったのですから、やり方を変える事が大事です。が、これも我が国が最も苦手とするところです。

平成から令和へ

平成最後の日がやってきました。テレビでは「平成を振り返って」特集をあちこちでやっています。
昭和生まれにとっては、平成よりも昭和の方に懐かしさを感じてしまいます。平成は30年、昭和は60年余と2倍の長さがあり、敗戦から高度経済成長そしてバブルと、実にドラマのような展開でした。

平成はというとバブルがはじけ「失われた20年」という言葉が日本の衰退と没落の代表語のようにも使われます。けれども、私はそうは思いません。平成は、驚くべき勢いで日本の福祉が進んだ時代であったと思います。共同作業所という成人障害者の進路先ですら親がお金を出し合って細々と経営していた昭和。放課後等デイサービスは、学童保育所ですら全国にいきわたらなかった昭和では思いも及ばない公的サービスの実現でした。
文明は進化する。考えてみれば人口減少だ、少子高齢化だ、デフレだ、財政破綻だといっても、平成の日本の労働者1人あたりのGDPは2000年から15年間で約20%も伸びているのです。経済を支える舞台裏で日本人が頑張り続けた結果です。もちろんブラック企業が大きな顔をしたりする時もありましたが人手不足の今では影を潜めています。福祉が目に見えて進んだ平成時代が終わりをつげ、明日から始まる令和がどんな時代になっていくのかは誰にも分かりません。わかっているのは、時代を作っていくのはその時代を生きていく人たちだということです。昭和や平成を生きた人々と同じように。

さくら開花予想

事業所の近くを歩いていたら、早咲きの桜が咲いていました。今年のさくらは、平年より大幅に早く咲く見込みで、記録的に早くなる所もありそうです。ただ、九州南部や静岡など温暖な地域では、暖冬の影響が大きいためほぼ平年並みの開花となりそうです。

--------------------------ウェザーマップの「さくら開花予想」

今年の冬は、寒気が流れ込んでも北日本までのことが多く、西日本を中心に大幅な暖冬となっています。このため、休眠打破は鈍く花芽の成長も鈍いとみられます。一方、1月・2月も春のような暖かさの日が多く、3月も一時的な寒の戻り以外は気温がかなり高めの状態が続くと予想されます。暖冬の影響よりも1月下旬以降の高温の影響が非常に大きいとみられるため、平年より大幅に早い開花となりそうです。九州や四国など暖冬の影響が大きい地域は、記録的な早さとはならない見込みです。

 

格安航空会社「ほなやろ課」積極雇用

ピーチ障害者はつらつ・・・「ほなやろ課」積極雇用

2021/03/02 05:00【読売新聞】

マニュアル写真・絵で工夫
勤怠や運航
関西空港を拠点にする格安航空会社(LCC)「ピーチ・アビエーション」で、障害者が大半を占める「ほなやろ課」の取り組みが注目されている。障害を持つ社員がそれぞれの特性をいかして働いており、運航上の重要な実務も任されている。グローバルに展開する同社はダイバーシティー(多様性)を尊重しており、「障害があっても、『成長したい』と挑戦できる環境を整えていきたい」としている。(北口節子)

「ほなやろ課」は、障害者雇用の受け皿として2018年9月に発足し、聴覚障害や知的障害、肢体不自由などの24人を含む29人が在籍。関西弁のユニークな課名には「あらゆる業務において、真摯しんしに前向きに業務に取り組もう」という思いが込められているという。

業務は多岐にわたり、名刺の作製や給与・勤怠業務をはじめ、給油量の管理、航空機の整備記録の保存など運航業務も担う。障害者の積極的な人材活用により、同社の障害者雇用率は法定の2.3%を上回る3%前後を保っている。

様々な障害を持つ課員の誰でも数多くの仕事をこなせるのは、工夫をこらした業務マニュアルの存在が大きい。写真やイラストを多用して「仕事のイメージがわきやすい」と好評で、多数のマニュアルをそろえる。

サポート役に徹するスタッフが質問や相談を最優先で受け付けていることも、安心して働ける職場環境につながっている。トラブルが生じても不安にならず、仕事に集中できるという。障害のある課員がサポートする側に回ることもある。

発達障害がある同課の井上亮一さん(26)は航空機の整備記録のデータ化などを担当。以前の職場では人間関係のつまずきで退職を余儀なくされることもあった。「障害の有無にかかわらず、業務を任せてもらえることにやりがいを感じ、仕事の幅も広がっていく」と充実感を口にする。

障害のある社員の専門的な能力を伸ばすことで、障害者枠での採用後、ITや整備などの一般枠に切り替わったケースもある。


「ほなやろ課」を引っ張る黒木均課長(35)は約10年間、特別支援学校で教諭を務めた経験がある。兄は重度障害があり、職業の選択が限られた。「教え子らには働ける場所をもっと広げたい」との思いで3年前、ピーチに転職した。今では障害者雇用の先進事例を学ぼうと、企業や学校などから講演や指導の依頼が寄せられている。

1月には泉南市の府立すながわ高等支援学校の1年生に向け、キャリア教育についてオンラインで講演した。障害者の職域開発を進め、客室乗務員が主に行う機内清掃にも参加するようになったことを紹介。「掃除だけでなく、不審物の有無もチェックする。何かあれば飛行機を運航できず、責任問題になる」と重要業務を任されていることを説明した。

黒木課長は「障害を理由に簡単な仕事しかさせないなどの行き過ぎた配慮は不要。障害のある人も必要なサポートを遠慮せずに発信するなど、苦手を克服する工夫も大切だ」と指摘する。

◆障害者雇用率障害者の働く機会を確保するため、障害者雇用促進法は、民間企業や国、地方自治体などに対し、一定割合の雇用を義務づけている。3月1日から、民間企業は2.3%、国や自治体は2.6%と、それぞれ0.1ポイント引き上げられた。

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送迎の途中、ぼそっと子どもが「僕は将来どうせ働けない。生活保護で生きていくしかない」と呟いていました。誰が彼にそんな風に思わせたのか腹が立ちますが、一方でこうした障害者雇用・ダイバーシティー雇用の情報を子どもに流していない自分に気が付きました。そんなことは学校がするだろうと思っていても、どの学校でしているわけではありません。心無い大人は、マスメディアに興味本位に引きこもりやごみ屋敷を描きます。子どもたちがそれを見て、自分の未来に仕事はないな誤解するのは当然です。子どもの未来に前向きな情報がもっともっと必要です。身近な格安航空会社がこんなに雇用努力しているとは知りませんでした。がんばれ!ピーチ!

 

学校HP、コロナ禍後に保護者の満足度上がる

学校HP、コロナ禍後に保護者の満足度上がる

2022年3月14日【日本教育新聞】

学校が家庭向けに発信する情報について、印刷機関連企業などで構成する民間団体が保護者を対象として行なった調査で、学校が開設しているホームページへの満足度は新型コロナウイルス感染症が広がってから向上していることが分かった。プリント類の満足度は依然として高かったが、コロナ禍が始まってからはやや下がった。

この調査は令和2年の1~2月と11月に実施。小・中学生、高校生の子どもがいる人を対象とし、初回は1000件、2回目は1030件の回答を集計した。インターネットモニターから回答を募った。

学校からの連絡の手段について、「プリント(紙)」「メール」「学校のホームページ」を挙げ、それぞれ「とても満足」または「満足」と答えた割合を比べたところ、「学校のホームページ」は中学生の保護者が19・5ポイント増の58・5%と大きく伸びた。小学生、高校生の保護者も増えていた。

「プリント(紙)」は、中学生の保護者で6・2ポイント減となるなど、各学校種ともに、低下したが依然としてホームページを上回った。

調査を行ったビジネス機械・情報システム産業協会のデジタル印刷機部門では、プリント類は、五感を刺激する情報伝達手段であるとして、優位性があるとの見方を示した。

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学校ホームページは当事業所も良く閲覧します。学校の短縮下校時間が何時なのかを確認することが多いです。原則は保護者からの連絡を待つのですが、学校の連絡文書を紛失されたり記憶違いがあったりで、事業所からも学校のホームページから下校時刻を検索することは少なくないのです。

各校の学校のホームページを閲覧していると、ホームページの発信や更新にかなりの差があり、学校の年間行事計画すら掲載されないところから、毎月の学校だよりで次月の下校時間やお知らせが事前に定期的にアップされているところまで様々なのです。当事業所が把握しているところでは、年間行事計画や次月の予定が掲載されている学校は7割程度というところです。

残る3割のうちわけは、保護者パスワードがあれば閲覧できるシステムになっているものが1割、あとの2割はそもそもホームページの整備ができておらず、更新も管理職が思いついたようにしているという学校のHPがあります。プリントを配布しているのだからそれ以上はなくてもよいサービスだという考えもありますが、プリントは持ち歩けないし、紛失の可能性もあるものですから、ネットが検索できるのはありがたいのです。

公立学校は「ネットコモンズ」という当ホームページでも使っている無償のホームページシステムが使われているので、操作は極めて簡単で担当者さえ更新の仕事をしていれば、プリントされた配布物をPDF化してアップするのは数分でできる作業です。このHPシステムはスマホでも閲覧できるシステムなので、学校だよりなど予定は積極的にアップしてもらえると、保護者にも関係者にもとても役立ちます。もちろんプリントの現物はもらった感があって大事なのは変りないので、当事業所でも印刷お便りの「すてっぷ通信」は欠かせません。

令和元年

テレビのどこのチャンネルも令和元年の報道ばかりです。そもそも天皇一代で元号一つは明治からの話です。むかしは案外簡単な理由で元号が変わっていたそうです。明和は、1764年から1772年までの8年間施行されました。この時代の天皇は後桜町天皇、後桃園天皇。江戸幕府将軍は徳川家治でした。何故明和9年がなかったのか?「めいわく年」は良くないという理由で8年で終わり 安永(1772-1781)に続いたというのです。案外簡単な理由で変えているのです。日本古来の元号は面倒ですが世界に一つのオンリーワン、と思えば誇らしくもあります。

子ども起業

京都市内の中高校生が経営する小学生向けプログラミング教室が2月、中京区にオープンした。受講生集めから経理、指導まで全てを担い、経営の厳しさや面白さを体感している。生徒たちは、昨春から北区のコミュニティーFM局「RADIO MIX KYOTO(ラジオミックス京都)」で週1度の番組「17歳、就職活動なう。」を担当している。経営者らへのインタビューを通して働くことの意味や大学での学びを考える内容で、企画を続けるうちに実際の事業経営に関心が生まれたという。

大人も若者の挑戦を支援する。番組プロデューサー中川隼人さん(34)は、生徒を「つかず離れず」の状態で見守り、全国でプログラミング教室を展開するNPO法人「ロジカ・アカデミー」(大阪府池田市)は運営面での協力を申し出た。経営に携わる生徒は18人。10人ほどが中心となり、リーダーの「社長」を筆頭に、経理や人事、技術担当を決めてビデオ会議を定例で行う。週1度の教室では生徒が同アカデミーの教材を用いて小学生にプログラミングを教える。現在は教室がスタートして間もなく収入がないため、運転資金は中川さんが貸し付けている。事業計画の中で収入確保策や返済計画を立てる予定で、中川さんは「徹底的に自分たちで考えることで、これからの時代に必要な問題解決能力が養われると思う。今後が楽しみ」と応援する。

中高生が運営する教室は同アカデミーの教室に例がなく、目下の悩みは小学生にどう教室の存在をアピールするかだという。社長の平野福さん(15)=同志社高1年=は「楽しい教室にするのは得意だけど、集客や広報の難しさを実感している。一方で小学生の発想の豊かさを間近に感じられるのは楽しい」と話す。「ロジカ式京都四条校」は中京区室町通六角下ルの「こいやまCafe」で毎週水曜日に開講。月謝制。問い合わせは中川さん090(7554)8081。

【2020年3月3日 14:00 京都新聞WEB】

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プログラミング講座を中高生が企画するというのも面白いのですが、高学年、中高生が店を出したり会社を起業させてみるのはとても良いと思います。小学生なら洗車・清掃会社、中学生なら御用聞きの便利屋、高校生なら記事のような学習支援サービスや企画も行うイベント会社などです。自主的に組織的に収益上げて目標を達成するというところがとても大事で、大型旅行の費用にする、高額のスポーツ用具やIT機器をそろえるなど、期間限定型の起業はぜひ経験させたいプログラムです。

一斉休校から1年・・・数年後にストレスが表面化

一斉休校から1年・・・コロナ禍で学校生活「激変」専門家「数年後にストレスが表面化」

2021.3.2 17:06【SankeiBiz】

新型コロナウイルス対策の全国一斉の臨時休校から2日で1年。多くの学校は6月まで休校を余儀なくされ、授業再開後も行事が中止されたり、部活動に制限がかかったりと、学校生活は大きく変わった。子供たちにもストレスによる心身への影響が懸念される中、昨年自殺した児童生徒は過去最多に。現在も外出などの自粛が求められる中、専門家は「今は問題ない子供でも、数年後にストレスが表面化する可能性がある」としている。(藤井沙織)

自殺が過去最多
「最近、子供が急に『習い事をやめたい。宿題もやらない』と言って泣き出すようになった」。兵庫県の会社員の女性(44)は、小学2年の長男(8)についてこう話す。友達や先生とトラブルがあったわけではなく、以前は学校も習い事も楽しんでいる様子だったといい、「どうすればいいのか」と悩む。

コロナの感染防止のため、学校生活にも1年以上にわたり、さまざまな制約がかかっている。常にマスクの着用が求められ、給食は黙って食べる「黙食」。合唱や調理実習など、感染リスクが高い教科や、部活動は制限されている。修学旅行や文化祭、運動会などの行事も中止や規模縮小となり、子供自身も気づかない間にストレスは蓄積している状況だ。

文部科学省などによると、令和2年に自殺した小中高校生は前年より140人増え、統計のある昭和55年以降最多の479人。同省はコロナとの関係の分析や今後の対応策の検討を急ぎ、今年2月から児童生徒の自殺予防に関する有識者会議を重ねている。

変化に注意
子供たちの抱え込んだストレスが「これから表面化してくるおそれがある」と指摘するのは、早稲田大の本田恵子教授(学校心理学)。東日本大震災の際、3年ほど後になって心身のバランスを崩し、不登校などになる子供が数多くいたためだ。

「特に注意が必要」とするのは、ストレスをためこむ子供。泣いたり怒ったり、がむしゃらに勉強したり逆に無気力になったりと、分かりやすい「サイン」があれば、周囲も気づきやすい。だが、「約6割の子供はストレス反応を表に出さず、求められたルールを真面目に守って、自分を抑圧してしまう」と本田教授は指摘する

実際、学校現場で求められる感染症対策に、子供たちは従順だという。大阪府内の複数の公立小中学校長は「子供たちは文句も言わず、感染対策に協力してくれる」と口をそろえる。

だが、ストレスのサインが表面化しないわけではない。子供たちのストレスサインは、朝起きるのが少し遅い▽甘い物ばかり食べるようになった▽大人に気を使っている-など、小さな変化として現れるという。

変化に気づいた保護者は、どうすればいいのか。本田教授は「話を聞いて共感を示し、まず背景にある『悔しい』『寂しい』などの感情を受け止めて」とし、「解決策は子供が決めるので、保護者からは提示しない」ことを挙げた。毎日の登校や宿題、感染対策など、当たり前にできていることに「頑張っているね」「ありがとう」と伝えることも大切という。

相談先はある
大阪母子医療センター子どものこころの診療科の平山哲医師は、コロナ禍での子供たちは「心のエネルギーがたまりにくい状態にある」と話す。「心のエネルギー」は人とのコミュニケ-ションや遊びなど、心が前向きに動くことで生まれるといい、「給食時間に友達と話せず、遊び方も制限される状況が続き、終わりが見えないことが、ボディーブローのように小さなダメージとして蓄積している」という。

そこで、平山医師がアドバイスするのが、外では制約されるコミュニケーションを、家庭でこそ意識的にとることだ。その日の出来事や面白かったテレビ番組などについて、保護者から会話を投げかける。子供が学校の話をしなくなれば、「『今日の給食のお肉は豚だった?牛だった?』など、感想ではなく経験した事実を、会話の入り口にしては」。

子供のストレスは保護者にとっても不安で、対処に悩むもの。各自治体にはスクールカウンセラーや精神保健福祉センターなどの相談窓口がある。自治体のホームページでも紹介されており、平山医師は「相談先があることを知ってほしい。それだけでも気持ちが違うはずだ」としている。

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「心のエネルギー」は人とのコミュニケ-ションや遊びなど、心が前向きに動くことで生まれる・・・という平山医師の説はその通りだと思います。知識やスキルを学ぶのは、それを遊びや生活で生かすから意味があります。実際のリアルな場面がなければ、その必要にも気が付きませんし、言われたからやっているという受け身の自分が際立つだけです。

子ども時代の遊び友達の存在は何にも変えがたいものです。そこから冒険心や挑戦心や競争心や、いたわりやねぎらいや優しさという、より良い自分を目指すエネルギーがわいてきます。すべてがそこから始まるからです。友達から語らいや遊びを抜けば何も残らないと言っても言い過ぎではないように思います。それを失うような予防が必要な風邪ではないし、少なくとも普段のインフルエンザと比較しても子どもの感染死亡事例もない軽度の症状なのですから、ふざけ合う事もできないような過剰な予防を子どもに強いる必要は全くないと思います。

小1男児、トイレに連れられ児童8人から殴られ蹴られる…学校側は保護者に「ポピュラーな遊び」

小1男児、トイレに連れられ児童8人から殴られ蹴られる...学校側は保護者に「ポピュラーな遊び」

3/15(火)【読売新聞】

仙台市立小学校の男子児童がいじめを受けて不登校になったとして、市教育委員会は、いじめ防止対策推進法で定める「重大事態」と認定する方針を固めた。児童の欠席日数は認定の目安となる30日を超え、15日で連続50日に上る。市教委は「事実確認で時間がかかっている」として、対応の遅れを認めている。

保護者によると、小1の男子児童は昨年12月15日、時間内に食べ終わらなかった給食を昼休みに食べていた時、同級生にトイレへ連れて行かれ、児童8人から胸や背中などを殴ったり蹴られたりしたという。受診した小児科で「全身打撲」「急性ストレス反応疑い」で全治4週間と診断された。

学校に対して調査を求めた保護者によると、学校側からは「ポピュラーな遊びだった」「加害者側もたたかれた」などと回答され、いじめは否定されたという。男子児童は同16日から不登校が続いている。

保護者は市教委に話し合いを求め、今月4日に状況を説明した。これを受けて市教委は「いじめがあったという前提で、学校内で詳しい状況を確認している」として、重大事態として第三者を含む「いじめ調査委員会」を学校に設け、調査する。

事案の発生から3か月が経過し、保護者は「子どもが学校へ行けない日が続いている。市教委は実態を正しく確認して説明してほしい」と求める。学校側は14日、読売新聞の取材に対し、「個別案件には答えられない」としている。

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こんな杜撰なクレーム対応は民間ではあり得ません。最低限の機能を果たさないポンコツ商品にクレームを付けたら「商品の仕様です」と弁解されたら金返せと言われるのがオチです。子どもが教師の視界から外れたところでいじめられているのに、「ポピュラーな遊び」と弁明する事は、これが「わが校の仕様です」と言っているに等しいです。一言、「ご心配おかけして申し訳ありません。すぐに調査し指導します」と言えなかったのでしょうか。

「申し訳ない」この一言が言えない学校関係者は少なくありません。そして、子どもの行動は学校の責任ではないと思っているような言動が目立ちます。もちろん、学校には様々な子どもが通学していることは親も承知です。しかし、様々な子どももがいるからこそ、心身の安全の確保は大人の責任なのです。教員の指導が行き渡らなかった、学校の管理が行き渡らなかったという発想が出来ない人が少なくないような気がします。

結果として、校長も自分の責任だと言わないので「上の人出して」ということにつながります。教育委員会に親がクレームを言うのは、親がクレーマー化しているからではありません。クレーマーと言うのは、些細な事を捻じ曲げてクレームにして業務をしつこく中断させる行動をとる人を言います。「申し訳ありません」「すぐに改善します」の対応がなく、言い訳に終始するから教育委員会に持ち込まれるというケースがほとんどです。学校の常識は世の中の非常識といわれる所以を学校関係者は考えるべきだと思います。その非常識さが逆に本当のクレーマーの餌食にもなっているのです。教員は、苦情対応を含む教育サービスを売り物にし、その対価を報酬としてもらっていると考えて欲しいものです。

高文脈型コミュニケーションと低文脈型コミュニケーション

日本人と米国人のミックスの子どもで使う主言語がどちらかによって、行動や心理発達まで変わってくるといいます。

『すてっぷを見に行くね。』と言うと、日本人だったら言ってる本人が行くのだろうとすぐ想像がつきます。しかし、英語を母国語に持つ人は、『誰が行くの?』と聞き返してきます。食後『テーブルを片付けといて。』と頼むと、『テーブルは重くて動かせない。』と返事されます。端折った日本語表現も悪いのですが、テーブルは誰でも重くて動かせませんし、その上にあるものだと分かるはずです。また、『そこ、拭いといて。』と言うと、『そこじゃ分らん。』と返事が返ってきますし、『テーブルだ。』と返事をすると、近くにあったティッシュで拭き始めました。『テーブルは台布巾で拭くものだ。』と話すと、『言わないと貴方が考えていることは分らない。』と反論されます。英語圏人には、とにかくいちいち説明する必要があるのです。
コミュニケーションには、"HC" High Context Communication(高文脈型コミュニケーション)と"LC" Low Context Communication(低文脈型コミュニケーション)があり、日本語は高文脈型に属します。

高文脈型は、集団主義的な考えを持つ文化で生まれ、非言語のコミュニケーションが多いことが特徴です。人間関係が密接で情報が共有されるため、言葉以外の文脈や状況までコミュニケーションの前提としています。また、全体との協調や調和を大事にするため、主体的でない間接表現が多く、遠まわしで曖昧な言い回しが多いのです。
英語は低文脈型に属します。低文脈型は個人主義的な考えを持つ文化から生まれており、個性を重視した主体的なコミュニケーションに価値をおく言語です。よって、伝達される情報は言葉の中にすべて入っており、逆に語られない言葉にはメッセージが存在しない事になります。

自分の考えを言葉にはっきり出すため、分りきった内容でもいちいち言葉として表現する必要があり日本人にはストレスに感じる部分も多くあります。英語はお互いの意思を一つ一つ言葉で確認し合う低文脈型の文化圏で発達した言語であることを意識する必要があります。

このように文化が先か言語が先かは今となっては卵と鶏で、どちらが先と言えないですが、言語スタイルと思考パターンやコミュニケーションパターンはセットとなるということです。だったらバイリンガルの人はどうなるんでしょう?どちらかの言葉を主で考えているという答えが多いようです。

文脈のとらえ方が使用言語によって違うというのは、子どもたちとのコミュニケ―ションでも考えさせられることです。子どもは低文脈型ですからいちいち言語(シンボルやサイン含む)にする必要がありますし、いちいち表出させないとそれで伝わったと勘違いして育つ可能性もあります。

 

センバツ無観客

日本高野連は4日、第92回選抜高校野球大会(19日開幕、甲子園)について、史上初の無観客で開催準備を進めることを決めた。主催者の日本高野連と毎日新聞社は大阪市内で運営委員会と臨時理事会を開き、出場32校に無観客での実施に向けての準備を要請することを決めた。だが、新型コロナウイルスの感染状況によっては中止することも明言した。開催の可否は11日の臨時運営委員会で結論を出す予定だが、予断を許さない状況だ。

「開催ありき」で進めてはいけない。これから1週間の状況を注視し、やはり開催は難しいと判断されれば、速やかに中止を打ち出すべきだ。丸山大会会長も「中止も視野に入れている」と強調したが、言葉だけではないことを強く願う。11日の判断にあたっては、科学的、疫学的な面から冷静に開催可否を決めて欲しい。「球児の夢だから」という感情が先走るとしたら危険だ。

確かに、出場校からは歓迎の声が多く上がった。甲子園でプレーさせてあげたいという日本高野連の心情は理解できる。昨年のセンバツ入場料収入は約3億3000万円。甲子園大会は放映権料がないため、無観客とすることで収益面ではかなり厳しい運営が待っている。それでも、現時点では中止を決めなかったことに“決意”が表れている。ただ、一般的な国民感覚からすれば、驚きをもって受け止められたと思う。毎日新聞社とともに世論の批判を覚悟の上で、今回の決定に至ったのだろう。その覚悟を、大会終了まで最大限、安全確保に努めることで示さないといけない。

【アマチュア野球担当=石橋隆雄、古川真弥 2020年3月5日 日刊スポーツ】

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深刻なのは、高校球児だけではありません。応援の人々を輸送するバス会社、宿舎、飲食関係業者と広がっていきます。学校の臨時休校でも民間給食会社とそこに供給している業者は悲鳴を上げています。もちろん政府のつなぎ融資は提案されてはいますが、先日も書いたように人は支え合って生きています。お金だけで何とかなるものとならないものがあります。広がりの底辺に行けば行くほど細々と様々なものを支え合っています。

誤解を恐れずに使うならば、リスクとリターンはバランスよくとるしかありません。高い効果を狙えば大きなコストも覚悟しなければなりません。大きなコストを恐れて小出しに対応するとわずかな効果しか期待できません。結局、そこそこの持続を求めるなら、バランスがどこにあるのか探るしかありません。どちらかに偏った形での正解はないのです。

 

小学校全学年の35人学級を実現

35人学級に、学校現場は満足しているわけではない

前屋毅 | フリージャーナリスト
3/4(木) 7:00【Yahoo News】

小学校全学年の35人学級を実現するための国費を盛り込んだ2021年度予算が、3月2日の衆院本会議で可決された。いよいよ本格的に少人数学級への取り組みが動きだすことになる。しかし、それで終わりではない。

新型コロナウイルス感染症(新型コロナ)の感染予防のために、少人数学級への要望が高まった。教室での密状態を避けるためだ。そして実に約40年ぶりに学級規模の引き下げが実施されることになった。その経緯から、少人数学級は新型コロナ対策だけのため、とおもわれがちである。もちろん、その目的もあるが、それ以外にも大きな目的があることを忘れてはならない。

なぜ、少人数学級の実現が必要なのか。それを理解するには、現場の教員の声に耳を傾けるのがいちばんだ。『もっと!少人数学級』(旬報社)には、少人数学級を体験した教員たちの思いも綴られている。

たとえば小学校教員の高橋公平さんは、「クラスの人数が少ないと授業中よく『喋る』と感じます。もちろん学習に無関係なおしゃべりではなく、授業の課題解決の場面や行事の縦割りの異学年交流などでも一人ひとりができることを進めようという想いがあると思います」と書く。

そして、「教師と子ども、子どもたち同士のかかわりの『濃さ』が、子ども一人ひとりの主体性を伸ばしているのだと考えています。『主体的・対話的で深い学び』につながる子どもたちの姿ではないでしょうか」と続ける。

佐藤光音さんは、中学の教員としてクラス全員が帰りの会で作文を読み合うという実践経験を書いている。その活動のなかで、「ともすれば落ちこぼれ」になりそうな子がクラスの人気者になっていく。

作文をとおして、クラスの子たちが彼に対する理解を深めていった結果だそうだ。大勢のクラスだと、それは難しいかもしれない。佐藤さんは、次のように書いている。

「人数が半分になれば一人ひとりの声を聞く機会が倍になり、それぞれの個性を互いに理解する深さが深まります」

少人数学級では人と人との物理的距離は離れるが、精神的距離は近づく。子どもたちの成長にとっては、はかりしれない「効果」をもたらす。

もちろん、授業も充実する。佐藤さんは、「例えば、机間巡視。人数が少なければ一周回るのにかかる時間が大きく変わります」と書く。教員が子ども1人あたりに目を配れる時間が、クラスの人数が少なければ少ないほど多くなるというのだ。それは、学習効果にも大きく影響してくるだろう。

いよいよスタートする35人学級で、こういうことが実現されていくのだろうか。あまり期待しすぎないほうがいいかもしれない。

先の佐藤さんの話も、実は25人学級での経験なのだ。佐藤さんは33人学級での経験もあるが、「33人学級で同じように作文の読み合いをしてもここまでの深まりにはたどり着くことはできませんでした」と書く。

約40年ぶりに引き下げられて35人学級になっても、まだまだ学級単位としては大きすぎるのだ。子どもたちが大きく成長し、学習効果も上げていくためにも、35人に留まらず、さらなる少人数学級の実現が必要なのだ。

同書のなかで山﨑洋介さん(ゆとりある教育を求め全国の教育条件を調べる会)は、「約11万人の教員、国・地方合わせて約1兆円の追加予算」で20人学級が実現できると述べている。学級人数を毎年度1人ずつ引き下げていって15年間で20人学級を実現し、その間に教員養成と教室など施設の確保もすすめていく、と具体的な方策も提言している。

35人学級がスタートするといっても、それがゴールではない。さらなる少人数学級を実現していかなければ、子どもたちのためにはならない。

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学校定数法では、35人を超えれば学級を分割して最低18人のクラスができるという仕組みです。つまり最高35人のクラスもあれば最低18人クラスもあるという制度で、平均すれば26.5人になるのです(現在の平均は30人)。記事にあるように最も教育効果が上がったと教員が感じられたのは22人なら30人学級にしないとその平均値は得られないのです。OECD加盟国の1学級の平均が21人なので、先進国標準の定員は26人です。

学級定員が減っても学力には大きな差はないという研究者もいますが、公費だけで教育費を賄う先進国と、私費を費やす日本では簡単に比較できません。日本の子どもたちはPISAでは比較的上位にいます。しかし、自己肯定感や幸福度、他者を助けた経験など、いわゆる「非認知能力」に関する調査結果は、諸外国と比べ明らかに低いのです成績以外のところで格差は生じているようにも感じます。学級定員を減らすのは武漢風邪の感染防止策などとケチなことを言わずに、中学校も含めて世界のトップ水準に教育水準を引き上げるとは言えないものでしょうか。

 

「辞書に見当たらない」から×? 先生によって大きく異なる漢字の採点基準

「辞書に見当たらない」からバツ? 先生によって大きく異なる漢字の採点基準

2022.03.16【朝日新聞】

SNSでたびたび話題になる漢字の「とめ・はね・はらい」の問題。実は気にする必要がないという〝ファイナルアンサー〟は文化庁の指針で出ているのに、学校現場では知られていません。なぜなのでしょうか。教員養成に携わる棚橋尚子・奈良教育大教授に聞きました。

たなはし・ひさこ/1959年生まれ。兵庫教育大大学院学校教育研究科教科・領域教育専攻言語系コース修士課程修了。公立中学校、国立大付属小学校の教員、奈良教育大教育学部助教授を経て現職。専門は国語科教育学。

「文化庁の字体・字形指針を理解」は教師の4割だけ
――漢字には様々な字形があり、細かな「とめ・はね・はらい」を気にする必要はないということは、2016年に文化庁が出した「常用漢字表の字体・字形に関する指針」で示されています。このことは、教育現場ではあまり知られていないようです。

日本漢字学会が昨年、小・中学校、高校などの教師587人に聞いた調査では、指針について内容を理解しているのは4割ほどで、存在を知らないという人も2割いました(図1)。思ったよりも知られていないという印象です。多くの先生にとって、指針はご自身の仕事とはかけ離れたところにあるという認識なのかもしれません。

先生たちはみんな、自分の中に理想の教育の姿を持っています。だからこそ外野の意見を受け付けないところもある。漢字学会には「学校の先生の厳しい指導が漢字嫌いを助長している」と憤っている研究者も少なくありませんが、現場の先生からすれば、ただ子どもたちに漢字の力をつけたいという善意からやっていることだと考えます。ベテランの先生ほど長年慣れた指導から脱却できないということもあるかもしれません。

私は小・中学校で教えた経験もあるので、どちらの立場も理解できます。自分自身の経験から言うと、指導は細かくてもかまいませんが、テストなどの採点は、だいたい書けていれば正解としていいのではないでしょうか。漢字の字形の柔軟な評価については、学習指導要領解説にも記載されています。入試の採点が厳しいから緩められないという声も聞きますが、2010年に出された「文部科学大臣政務官通知」は大学入試での漢字の評価は柔軟にするよう求めていることから、少なくとも大学入試はかなり緩くなっているはずです。漢字の字形の細かな正誤より、漢字を使うことの有用性や喜びを認識させられる漢字指導になってほしいものです。

――先生たちはテストで何を採点基準にしているのでしょうか。

漢字学会の同じ調査では、テストを採点する際に、何を正しい形の根拠としているかも聞いています。その結果、8割近くが「教科書の文字」でした。

教科書の文字は、中学校では少し前まで明朝体のフォントが使われていましたが、明朝体は手書きの文字とはかなり差があることから、現在は中学校でもほぼ教科書体フォントが使われています。ただ、ひと口に教科書体といっても出版社によって細部の形が異なります。

調査では様々な手書きの漢字について、どう採点するかも聞いていますが、正誤がかなり割れていました(図2)。「他の漢字と誤解する余地がない」漢字は○にするという意見もあれば、「辞書に見当たらない」漢字は×といった判断もありました。「丸をつけて、余白に正しいものを書く」「長短については指導をしているので、指導したところができていない場合は減点」というコメントもありました。先生によって採点基準がかなり異なることが分かります。

私は、かねてよりテストの採点基準について「緩いコース」と「厳しいコース」を作って、子ども自身にエントリーしてもらって採点してはどうかと提案しています。このアイデアは現場の先生たちには、あまり評判が良くありません。「公平」でないことが受け入れられないのかもしれません。しかし、子どもたちが自分で自分の漢字学習を振り返るためにもこの方法は有効なのではないでしょうか。

漢字は学力全般にかかわる
――漢字の指導のあり方についてはどう考えますか。漢字ドリル任せになっていませんか。

授業時数が限られているので、漢字は学年が上がるにつれて家庭学習で身につけていく傾向が強まります。1年生は学校で1字1字筆順から丁寧に教えますが、高学年になると字数が多く、授業だけでは扱いきれないのでドリル任せという先生が増えます。授業で教えて細かく注意したわけでもないのに、テストの評価ばかり厳しいのはおかしいですよね。

――漢字ドリルに加え、ノートに同じ漢字を繰り返し書くという宿題が多いようです。繰り返し書かせるという指導が「漢字嫌い」を増やしているのでは?

小学校中学年くらいまでは漢字を書けるようになること自体が子どもたちにとって、一種誇らしいことでもあることと、発達段階的にも繰り返し学習がさほど苦にならない傾向があることにより、それほど嫌がらないのですが、高学年ともなると、何度も書くのが無意味に思える子が増えるようです。ただ、高学年で学ぶ漢字は、ほとんどがそれまでに習った漢字や構成要素の組み合わせです。繰り返し書くことを嫌がらない中学年までに、基本的な漢字をしっかり身につけておくことが大事です。つまり、漢字学習の成否は小学校中学年までの漢字学習のあり方に連動しているのです。

学習障害があるお子さんなどには別の手立てを講じる必要がありますが、漢字はやはり手を動かして習得するのが基本。嫌がらないように仕向ける工夫が求められます。書店には様々な工夫がされた漢字教材が並んでいるので、試してみるのもいいかもしれません。また、「一つの漢字につき何回」と書く回数を提示する先生もいますが、自分で書けるようになったと思える回数を子どもに自ら決めさせることも漢字学習の主体性を保障する意味から大事かと思います。そのうえで、漢字の形声的要素や偏旁冠脚などの知識が動員できるといいと思います。

――これからの時代に漢字を学ぶ意味は何でしょうか。

漢字ができないと文章の読解ができず、学力全般にかかわってきます。公立の学校で定員割れしている高校での例ですが、「山月記」のような難解なテキストを回避する事態が常態化していたことがありました。文章を解釈する以前に、そもそも漢字が読めないのです。そこで、総ルビのテキストを使ったところ、教師の期待以上の深い解釈ができたと聞きました。この事例からは学習における漢字の読み書きの重要さがわかります。早い段階で「漢字嫌い」にさせないようにすることが大事です。

漢字学習が「書き」に偏りすぎていることにも問題があります。これからはもっと「読み」に力を入れるべきです。ふりがなも活用し、気軽に読ませてほしい。お勧めしたいのは、国語以外の教科の教科書を音読すること。すべての子どもの手にある教科書は子どもたちにとって最も身近な活字媒体です。国語の教科書には出てこない様々な単語に触れることができ、言葉に対する興味や関心を広げることにもつながります。

葉山 梢 EduA編集部 記者
1977年生まれ、北九州市出身。朝日新聞北海道支社、新潟総局、東京本社社会部などを経て現職。鉄道好きでマイペースな小5男子と、好奇心旺盛でしっかり者の小3女子の2児の母。ツイッターアカウントは @kzehym

漢字学習関連のシリーズ(3/4~ )
https://www.asahi.com/edua/author/11003210

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すてっぷで子どもたちの宿題を見ていると、漢字の繰り返し書きが宿題になっているのは定番で見ます。気になっているのは、繰り返し書きは良いけれども子どもたちは本が読めているのかが気になっています。記事にもあるように、漢字学習は書くことが重視されすぎていて、読んで意味を掴むことが等閑になっています。

しかも、放デイ利用の子どもの中には、読みに困難のある子が多いですから、書くことばかりトレーニングしても読みや意味を掴んでいなければ時間の無駄になるばかりか、やってもやっても効果が上がらないので、学習性無力感に苛まれることになります。まずは、正確な読みのアセスメント、特に速度・流暢性を見てあげて欲しいと思います。

読み書きが苦手な子に対して、この子は読めますと言う学校の先生方のコメントを良く聞きますが、それはゆっくりなら苦労しながら読めているだけであり、学習に生かせるようなレベルではない場合が多いのです。読めるというのは、つっかえずにすらすら読める、苦労せずにすらすら読める事を指します。人のエネルギーにも限りがあります。10ある力を読むことに8割以上使うと意味を理解する力が残ってない図式を思い浮かべて欲しいと思います。

書くことも同じです、書くことに8割もの力を使うと、論理を考えたり文を構成することにエネルギーが回せなくなります。書くことにもすらすら書ける流暢性が必要です。もしも、いくらトレーニングしても多くのパワーを使う苦労が軽減されていないなら、考えることにパワーを回すように仕向けるのが合理的配慮です。書く代わりにキーボードを使う、音声入力を使うなどして文字を書くことの苦役から解放してあげたほうが良い場合もあります。これは障害がなくても同じことが言えます。漢字の止め跳ねエネルギーと思考のエネルギーはトレードオフの関係なので調整が必要で子どもによって違うのです。

子どもの疲労回復力

小学生ぐらいの子どもの日常を知っている人にはさほど驚きのない研究結果がフランスから報告されました。

小学校高学年の子どもにはプロのトライアスロン選手ぐらいの体力があり、しかも肉体疲労からの回復力がハンパなく早いことが科学的に実証されたそうです。

「ママになって体力が落ちた」
「パパも、もう歳かな……。」

なんて今まで思っていたのは間違いで、そもそも子どもと体力を比較しても一般の大人が勝てるわけがなかったのです。

小学生と20歳過ぎの成人男性とプロのアスリートに、同じ量の激しい運動をしてもらい、体に残った疲労感(乳酸の分泌によって引き起こされる)がどのぐらい早く回復するかを心拍数、酸素摂取量と、血中の乳酸の濃度を量って調べたそうです。

すると子どもたちとプロアスリートたちはほぼ同格の数値だったのに対し、一般の成人男性は、疲労からの回復が遅いという結果が出たのです。それどころか、子どもたちのほうがプロのアスリートたちよりも疲労からの回復が早かったそうです。

「なぜ子どもたちは一日中遊んで、遊んで、大人たちが疲れてダウンしてしまった後にもひたすら遊び通せるのか、ようやく解明されたかもしれません」との報告でした。どおりで親が子どもより先に寝落ちするわけです…。

ICT を活用した個に応じた指導法

京都府の教員研修先は京都府総合教育センターです。ここが、昨年3月に発行した「ICT を活用した個に応じた指導法の研究(3 )」がホームページに公開されています。

序文はこんな風です。
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平成 28 年4月1日に、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(障害者差別解消法) が施行され、公立学校(園)では、合理的配慮の提供が義務となりました。また、 平成 29 年3月には小学校及び中学校学習指導要領、 平成 30 年7月には高等学校学習指導要領が告示されました。新学習指導要領では、 各教科等で学習上の困難に応じた指導内容や指導方法の工夫について記述され、具体的な例として ICT 機器の活用についても触れられています。
そして、 平成 30 年度からは、小学校、中学校及び義務教育学校における通級による指導を受けている児童生徒の増加や、中学校卒業後の生徒の高等学校等への進学状況などを踏まえ、高等学校における通級による指導が制度化されました。

このように特別支援教育をめぐって大きな変化の時代にある中、 京都府総合教育センターでは、 読み書きに困難のある児童生徒の中には、 ICT 機器を読み書きの代替機能として活用することで、 うまく学習することができる児童生徒がいるのではないかと考え、 平成 28 年度は 6 校、 平成 29 年度は 14 校の通級指導教室で、 対象児童生徒のべ 38 名の御協力を得て、 プロジェクト研究に取り組んできました。

平成 28 年度に、 京都府内(京都市を除く 。)全小中学校の特別支援教育コーディネーターと通級による指導担当の先生方を対象に行った調査(302 校から回答) によると、読み書きに困難がある児童生徒がほとんどの学校に在籍しているということが分かった一方で、 ICT機器の活用については、代替え機能として活用しているケースはほとんどないが、効果的な指導を知りたいという意見が多いという状況の中で、 この研究はスタートしました。平成 28 年度の実践及び調査研究により、 ICT 機器を使った効果的な指導や実践を具体的に情報提供することが必要であることを再確認しました。 平成 29 年度のプロジェクト研究において、アセスメント、 ICT 機器を含めた具体的な指導方法の実際や評価の在り方、通常の学級との連携の在り方に関する研修の機会の必要性などの課題が明確になるとともに、 学習意欲の向上、学習内容の理解、自らが効果を実感する等の変容が見られるなどの成果がありました。

こうした 2 年間のプロジェクト研究の成果と課題を踏まえ、 今年度は学習支援の充実はもとより、 通級による指導から通常の学級での学習へ「つなげる」 ことや、小学校から中学校へと「つなげる」ことを目的として取り組みました。 これは、 多くの先生方や児童生徒の皆さんの御協力により得た成果を、広く活用していただくためには何が必要なのかを明らかにしていく ことでもあります。この冊子を、 児童生徒の将来の姿につながる「今」の支援を考えるための資料として、御活用いただければ幸いです。
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そして、この研究の助言者になってきた東大の近藤先生はこう締めくくっています。
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近年、教員の過重労働や疲弊の現状が世間にも知られるようになりました。 3 年間、学校、教室やその周辺の多くの課題に直面しながらも、 ICT を一つの手段として活用し、目の前にいる児童生徒一人一人の学ぶ機会の保障に奔走してくださった、プロジェクトに参加された研究協力員の先生方、総合教育センターの先生方に深く感謝いたします。微力ながら指導助言者を務めましたが、私自身にとって、学び多き日々でした。

一方で、上述したように、今回の研究事業のような取組が存在した故になんとか実現できたことや、課題感が大きく残され、今後の継続的な取組が期待されることも明らかになりました。今後、インクルーシブ教育が発展していく中で、多数派の生徒の学び方と、それ以外の学び方を必要とする児童生徒の間では、両者を共に包摂できるユニバーサルな学びの場が拡大していくことは間違いないでしょう。

しかし同時に、両者のコンフリクト(対立)がなくなるわけでもないこともまた、真実です。これも繰り返しになりますが、コンフリクトは忌避するべきことではなく、両者が相互理解を深めて望ましいあり方に向かうために、歓迎すべき対話の入り口でもあります。そしてそのような対話の場は、すべての子どもたちと私たち教員にとって、学びに満ちた機会でもあります。「個別のニーズのある児童生徒の教育保障に ICT を活用する」という切り口が、合理的配慮のみならず、その学びの機会を目に見えるものにする一助となることを祈っています。

近藤武夫
東京大学先端科学技術研究センター

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残念ながら、この事業所がお世話になっている学校では、読み書き困難に対して子どもたちがタブレットを頼りにしている形跡はいまだにありません。タブレットと言えばYOUTUBEを見るものだと理解している子どもばかりです。どうして先生方の研修先のセンターと学校ではこうも開きがあるのかと、利用者の保護者の方から聞かれることがあります。私は、若く志のある教員がおられてもまだまだ少数なので、同調圧力に負けているのと違うかなと返しています。その背中を押し、伝統を重んじる大勢の先生方を説得するのは、学校のトップである管理職の先生しかいません。

下着「白」を6割が指定

下着「白」を6割が指定 長崎 県立高校と国公立中学校

2021年3月5日 6時42分 【NHK】

長崎県内の県立高校と国公立中学校の6割が校則などで、下着の色を「白」に指定していることがわかり、県教育委員会は、色の指定やそれを確認する行為は人権問題になりかねないとして、見直しを求める通知を出しました。

長崎県の関係者によりますと、学校の校則や指導の在り方が全国で議論になる中、県教育委員会が県立高校と県内の国公立中学校の合わせて238校を対象に、校則や指導の際の基準となる「学校のきまり」について調査した結果、全体の58%に当たる138校が下着の色を「白」に指定していることがわかりました。

県教育委員会は、下着の色の指定や下着を確認する行為を例に挙げたうえで、校則などの中には人権問題になりかねない内容や、生徒の実情、社会を取り巻く環境の変化になじまないものが散見されるとして、今月2日付けで県立学校宛てに校則の確認や見直しを求める通知を出すとともに、各市や町の教育委員会などにも同じ文書を送りました。

また、今回の通知では、校則の見直しにあたっては生徒が話し合う機会を設けたり、保護者にアンケートを行ったりするなど、生徒や保護者が何らかの形で参加できるように工夫することも求めています。
県教育庁「かなり前につくられた校則か」
県教育庁の児童生徒支援課はNHKの取材に対し「学校が荒れていた時代に、風紀を守るために下着の色を『白』にそろえることになったと記憶している。かなり前につくられた校則がいまだに残っているのだと思う」と話しています。

そのうえで「人権問題の観点や時代が変わっていく中で、それに則した校則の見直しを積極的に検討していく必要があると考えている。通知を受けて、各学校で見直してほしい」と話しています。

女子中学生「下着の色を確認されるのも嫌」
みずからが通う学校では「学校のきまり」で下着の色が「白」に指定され、着替えに合わせて定期的に下着の色の確認が行われているという女子中学生が、NHKの取材に匿名で応じました。

この女子中学生は「体育の授業で着替える時に女性の先生が教室にいて『下着は白じゃないとだめだよ』と言われることがある。人それぞれ買いたい下着の色やサイズも違うので、店によっては白ではない色しか売っていない場合もあり、今の時代に白だけというのはちょっとどうかなと思う。下着の色を確認されるというのも嫌なので、白だけというルールは変わってほしい。授業では白以外の下着を着ていても支障はないし、むしろ白ではないほうが下着も透けないと思う」と話しています。

専門家「方法によっては人権的にも問題」
長崎県内の教育現場にくわしい長崎大学教育学部の池谷和子准教授は「下着の色に関してまで細かく校則で規定する必要はないのではないか。下着を実際に確認する行為もあるので、それがいったいどのように行われているのか、方法によっては人権的にも問題になってくる」と指摘しています。

そのうえで、池谷准教授は「生徒には『校則があるからただ従う』というのではなく、どうして制限がかかっているのか、その必要性を理解し、将来的には自分で判断できるように成長してほしい。学校には教育機関として子どもたちにそういうことを考えさせる機会を作り、子どもたちの要望によっては、果たしてこの制限がいま現在の社会で本当に必要なのか判断していくことが重要だ」と話しています。

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長崎は武漢風邪の感染防止アプリ(健康状態集約アプリ: 02/05) で先進的な働きを以前紹介しただけに、ショックです。穿った見方をすると、県民は子どもの頃から管理慣れしているのでこのアプリも平気だったのかなと妙な想像をしてしまいます。長崎の学校は何時代なんでしょう。先日の大阪府立高校の頭髪色不登校賠償裁判では学校の裁量権が広く認められたのですが、こういう事は裁判にはなじまず大人側のセンスの問題なのだと思います。いつの時代も古いものは排斥され、未来の世の中では笑い話になるのですが、「服装の乱れは心の乱れ」と本気で考えている人にはなかなか通じません。

教員の腕次第、まるで「学校ガチャ」 オンライン活用、広がる学校格差 教育現場の課題は…

教員の腕次第、まるで「学校ガチャ」 オンライン活用、広がる学校格差 教育現場の課題は...

2022/3/18【神戸新聞NEX】

教育のオンライン化が急速に進む中、学校間で活用度合いが異なるという格差が行政課題として浮上している。兵庫県西宮市では全国に先駆けて教員へのパソコン配備や教室への大型テレビ設置などを進めてきたが、授業で使いこなせる教員はまだ少なく、市教育委員会は習熟度アップに向けた研修に苦慮。教員の腕次第で子どもの学びが変わるという意味で「学校ガチャ」との言葉も聞かれる。(村上貴浩)

「○○という文章があります。何を意味しているのでしょう」

西宮市内の市立小学校。黒板ではなく大型テレビ画面に国語の読解問題が示され、児童たちがタブレット端末に答えを書き込んでいく。クイズ番組さながらに全員の解答が画面上に映しだされると、担任の男性教員(50)が続けた。

「では、みんなの答えをもとに考えてみましょう」

新型コロナの感染拡大で2年前から学校の臨時休校が相次いだことを受け、文部科学省はICT(情報通信技術)を活用した家庭学習も視野に入れ、2025年度末を予定していたタブレット端末の配備を前倒しした。そんな中、西宮市教委は20年夏から準備を始め、21年3月までに配備を終えた。

「端末を使えば思考や答えを瞬時に共有することができる。算数や理科の授業でも計算の見直しがすぐにできるため深い学びにつながる」と男性教員は手応えを語る。

男性は2004年ごろから独自にパソコンでアニメーションを授業に取り入れるなど積極的にICTを活用。しかし、ここまで使いこなせる教員はまれだ。

市教委は、端末の活用法などについてまとめた「GIGAスクール・スタートパッケージ」を策定し、オンラインの指導例を示しているが、授業のやり方は学校に任せている。

男性は「実態は、どこも手探り状態。『他の学校ではタブレットを活用して授業をやっているのに、うちの学校ではしていない』という保護者の声も聞く」と話した。
     ◆   ◆
そんな状況を、子どもがどんな親の下に生まれるかは運次第で、その家庭環境に人生が左右されるといった新語「親ガチャ」に掛けて「学校ガチャ」と呼ぶ保護者もいる。

パソコン作業が苦手な教員にとっては、端末用の資料を作るだけで大きな負担だ。市内の教員からは「完全に仕事が上乗せされている」との嘆きも聞こえる。

西宮市教委は端末配備に合わせて教員向けの研修を本格化。担当者が各学校に出向き、教科書に載るQRコードを読み取って利用したり、ビデオ端末機能を使って学級会を開いたりと基本的な使い方を伝える。

「パソコン作業は教員によって得手不得手がある。学校、教師で『差』ができているという課題は認識している」と担当者。「どんな授業をするかという基準を先進的な教員に合わせることは難しい。研修を通じて全体の習熟度を底上げしていくしかない」と話す。

■校舎の改善着実に前進 必要度増す貧困世帯支援

西宮市の教育現場は「オンライン教育の推進」という新時代の対応に追われる一方で、ここ数年、「小中学校の校舎改善」と「教育機会の格差解消」という二つの課題解決にも力を注いできた。

市内の学校施設の多くは阪神・淡路大震災による財政的な影響から大規模改修などが遅れ、市は2018年度に「学校施設長寿命化計画」を策定した。

同市教育委員会によると、中でも遅れの目立った「洋式トイレ化」を本格化させると、整備率は17年の約41%から2021年には50%を超え、2年後の24年度には60%に達する見込みだ。

また18年から小中学校の体育館への空調設置を始めると、20年度には全中学校で整備。21年度からは小学校に取りかかり、25年度には完了する見通しという。

一方、西宮市は子育て世代の流入が多く、18年に三田市を抜いて「県内で最も若いまち」となる陰で、低所得世帯への教育支援が課題となっている。

西宮市は小中学生と高校生のそれぞれを対象にした給付奨学金について、他市に比べて申請できる基準所得のハードルを低く設定。高校生対象では追加申請をすれば「オンライン学習通信費給付金」も受けることができるようにした。

「文教住宅都市」を掲げ、民間調査の「住みたい街ランキング」で関西1位になるなど人気の高まる西宮市。市長選は20日に告示され、子どもの教育環境を巡る論戦にも注目が集まる。

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親も教師も「子どもの運次第」という表現が「親ガチャ」「学校ガチャ」です。学校は教師の力量で子どもの学力差がつくのは昔からです。そもそも学校での学力形成をあてにできないから塾が繁盛するのです。そして、塾にも善し悪しがあるので「塾ガチャ」です。月謝が高い塾の方が良い教師をそろえていますから、結局、ばらつきはあるものの、親の収入によって子どもの学力は決まるのです。ですから、学校教育の質がある程度平準化しない限りは「親ガチャ」によって学力は決まるということになります。

ただ、ICTを使った教育は下手な大人の指導より効果があると言われています。どんなものでも100%効果があるものはありませんが、ICTとAIを利用すればBIGデーターから解析してある程度の学習支援のタイプ分けができるので下手な教師より臨機応変な支援が実現すると思います。記事にあるのは、ICTを利用した教育技術の高い教員の話です。パソコンが使えるから、子どもの指導技術が全て高いという事ではありませんが、理解しやすい授業展開ができるのは間違いないです。

教育支援に尽力する西宮市ですが、その一方で6年生のクラスの9割が一人の児童をいじめ不登校になっているのに担任が事態に気づかないばかりか、秘密を条件に親からこの相談を受けた教委が、親の了解もなく情報を学校に伝えてしまうという失態がテレビ報道されていました。学校教育というのは統一性がなかなか担保できない事業です。学校は商店街のようなもので、教員は様々な店の店主と同じで、校長や管理職は商店街の役員のようにお願いに回る事しかできない仕組み、という例えがあります。デパートや大型店のように社員をコントロールできないのです。しかし、学習指導のICT導入は支援の格差を埋めていく大きな可能性を持っていることは間違いないと思います。

福祉用具の選定・適用のできる事業所

質の高い福祉用具を効果的に使うことで、自力での生活行動の範囲を広げることが可能になりますが、福祉・介護従事者の中には、その十分な知識とスキルが不足するために、福祉用具による介護を人の温かみがないと否定したり、機器の操作を覚えることを苦手とする人が多く、介護現場でなかなか福祉用具が活用されていないのが現状です。

自立とは、何でも自分でできることを意味する訳ではありません。何らかの障害があっても、何をしたいか、どうしたいか、自分が主体的に望むことの選択ができることです。そのために、他人の助けや協力を得ることがあっても、また福祉用具を使用することであったとしても、主体的に選択し行動できることが自立を意味するのです。福祉用具はそうした自立生活を確保するためにきわめて重要なものです。

たとえどんな障害があっても、主体的に生きることができる環境を用意し、それぞれが希望するスタイルを実現することが大切だという理念をもち、福祉用具の選定・適用のできる専門職がいるすてっぷでありたいものだと思っています。ただし、資本力がものを言いますが・・・。

 

ICT活用ハンドブック

昨日は京都府ですが、文科省もICT教育のハンドブックを作っていましたので紹介しておきます。読めば読むほど現状との乖離を感じます。

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発達障害などにより、学習に困難を抱える子供たちへの支援においてICT(情報通信技術)を効果的に活用した実践に大きな期待が寄せられています  このため、文部科学省では、平成25年度に「ICTの活用による学習に困難を抱える子供たちに対応した指導の充実に関する調査研究」を兵庫教育大学、宮城教育大学、筑波大学への委託により実施し、その成果を教員向けのハンドブックとしてまとめましたので公表いたします。  発達障害のある子供たちへの学習支援は、特別支援学級での指導や通級による指導のみならず、通常の学級においても必要なことから、ハンドブックは、特別支援学級、通級指導教室、通常の学級の3つの指導場面毎にそれぞれ作成しています。

 

めざせ甲子園

めざせ甲子園、知的障害ある生徒の挑戦元プロ選手協力

2021年3月7日 13時00分【朝日新聞デジタル】

【東京】知的障害のある生徒たちが硬式野球部として挑戦するのを支援する「甲子園夢プロジェクト」が6日、発足した。特別支援学校に通う全国の生徒に呼びかけ、元プロ野球選手らが協力して指導にあたる。球児たちの聖地・甲子園へ――。夢につながる第一歩だ。


発案したのは東京都立中野特別支援学校(中野区)の主任教諭、久保田浩司さん(55)。これまで知的障害のある子どもたちにソフトボールなどの指導をしてきた。6日にあった記者会見で、「野球の指導を通して、生徒たちに夢を見させてあげたいし、自信を持たせてあげたい」。指導に協力する元ロッテ投手の荻野忠寛さん(38)は「うまくなりたい思いのある子の力になりたい」と話した。

荻野さんのほか、社会人野球の経験者も指導に加わる。参加者が集まれば今月下旬にも第1回の練習を行い、その後も定期的に実施する予定。コロナ禍のため、オンラインによる指導も検討中だ。

久保田さんは元球児。日本体育大でも野球を続け、教員になって都立高校を甲子園に導くのが夢だった。配属されたのは軽度の知的障害のある生徒が通う養護学校。思い描いていた学校と違い、戸惑った。

転機となったのは3年目。「野球クラブ」の顧問を任された。ソフトボールを教える中で、「キャッチボールを教えてほしい」と頼まれた。ボールの握り方や腕の振り方、足のステップなどを身ぶり手ぶりで基礎から教えた。1時間ほど指導すると、約30メートルをまっすぐ投げられた。「その子は跳び上がるくらい喜んでね。障害があっても、きちんと伝えればできるんだ、と」。今でも忘れられない体験が、新たな夢をはぐくむきっかけになった。

練習は手探りだった。打者がどちらに走るか分かるように自分が一塁ベースで待っていたり、打者と一緒に一塁まで走ったり。ルールを知らない生徒の目線にたって、分かるように教えた。その後異動で何度か勤務先が変わったが、チームを都の特別支援学校の大会でたびたび優勝に導いた。

プロジェクトの将来的な目標は、特別支援学校の大会ではなく公式戦への出場だ。参加した生徒がそれぞれの特別支援学校で出場をめざす。2016年には、鹿児島県で特別支援学校の生徒が初めて、夏の地方大会に出場している。この時は連合チームだった。「甲子園をめざし、夢を追いかけることのすばらしさを伝えたい」と久保田さん。「教員生活最後の夢として、自分にしかできないことにチャレンジしたい」(野田枝里子)

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特別支援学校の高等部生のソフトボールチームはだいたいどの学校にもあります。年1回府下・県下の支援学校対抗戦もあり、その日は選手も応援者も結構盛り上がります。たしかに、試合としては外野に打たれると、連係プレーができないのでほぼ塁に出られてしまい、ピッチャーの玉の速さで勝負が決まりやすいです。

高等部の軽度知的障害の子どもと言いますが、軽度知的障害だけの子どもは野球がそこそこ上手な子が多いのです。高等部は知的な障害のある人を対象としていますが、中学校で特別支援学級在籍籍者は高等部に入学できるので、知的には遅れのない発達障害の子どももいます。この子たちの中に不器用であったり、対人プレーが下手な生徒が多いのです。

そもそも、集団ゲームの楽しさも、下手糞ゆえに学びそびれてきています。サッカーなどは味方も敵も動くので難しいですが、野球は玉がまっすぐに投げられ守備ができれば参加できます。野球の楽しさ、スポーツの楽しさを経験するのは子どもの大切な権利だと思います。