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みんなちがってみんないい

ワクチン未接種の教師の出勤を禁じる判決

新型コロナワクチン未接種の教師に対して学校への出勤を禁じる判決が下される

2021年03月22日 12時30分【THE TIMES OF ISRAEL<GIGAZINE】

2021年3月21日(日)、イスラエル・テルアビブの労働裁判所が「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の定期検診やワクチン接種を拒否する学校教職員の出勤を禁止することができる」と、労働者の権利よりも子どもの安全が優先される判決を下しました。

イスラエル・ツルイガルの地方議会は、学校で働くすべての労働者に対してワクチン接種および新型コロナウイルスの検査を受けることを要求しました。この決定に対して、同地域にある学校でティーチングアシスタントとして働くSigal Avishai氏が、ワクチン未接種でも学校で働けるように議会の決定を覆すための訴訟を起こしました。

これに対して、3月21日に労働裁判所は「Avishai氏は仕事に戻ることができず、支払いも受け取れない」という判決を下しています。

裁判を担当した裁判官のMeirav Kleiman氏は、「Avishai氏が主張する個人の権利」と「学生や保護者、学校で働く労働者が有する権利」を比較検討した場合、「後者を優先すべきという判断になる」と判決について説明。そして、COVID-19に感染するリスクを回避するために、プライバシーと個人の自主性がある程度損なわれるのは仕方のないこととしています。

Avishai氏は従業員に対してCOVID-19検査を求めることは「ある程度不快なこと」と認めていますが、個人の医療情報を開示するという「プライバシーの侵害」は、比較的被害の少ない行為であるという見解を示しています。

今回の判決に対して、ツルイガルの地方議会で雇用法を専門とする弁護士のNaama Shabtay Bahar氏は「これは経済全体に影響を与えるであろう歓迎すべき前例です。労働裁判所は労働者の権利と一般市民の利益との間の正しいバランスを取りました。すべての労働者は予防接種を受けるか否かの権利を有していますが、すべての労働者がその決定に対する責任を負う必要があります。労働者とサービスを提供する一般消費者の両方を保護することを目標とする雇用主に、すべての責任を負わせるべきではありません」とコメントしています。

なお、イスラエルでは法律で「保健省が3カ月間にわたりCOVID-19ワクチンを接種していない人々に関する情報を地方自治体や教育省と共有すること」を許可しています。この法律は予防接種を受けていない人に予防接種を受けることを推奨することを目的としており、他の目的で予防接種に関する情報を使用することを禁止しています。

しかし、2021年3月初めにイスラエルの高等裁判所は、保健省がCOVID-19ワクチンを接種していない人々に関する情報を地方自治体に渡すことを禁じる一時的な差し止め命令を出しました。この差し止め命令において、裁判所はイスラエルにおける「プライバシーに対する憲法上の権利を害する」と主張しています。

なお、イスラエルの保健省が発表したデータによると、450万人以上のイスラエル人がCOVID-19のワクチンを接種しており、ワクチン接種率は世界でも有数です。

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武漢風邪のワクチン接種で世界のトップを走るイスラエルですが、接種しない権利はあるが未接種者の教育職での就労権はないということでしょう。ワクチンアレルギーの人などはどう考えるのでしょう。ただ、この記事を読んでいると、パレスチナとの戦火やテロが収まらない戦時国家の、全体主義的なムードを感じてしまうのは考えすぎでしょうか。

確かに、高齢者や呼吸器や血液系の疾患を持つ人への直接のサービス提供者の接種が就労する前提の義務だというなら理解できますが、子どもへの感染では世界中でかぜの軽微な症状だという事実に立てば、国家規模の集団ヒステリーのようにも感じます。

子どもと保護者を守るという言葉は美しいですが子どもの実害の事実は示さず、保護者の感染可能性は学校や子どもからだけではないので非科学的で合理性がありません。実害も示さず非接種者には学校での就業を認めないというのは、生活の糧を人質にした見せしめにしか見えません。為政者は集団パニックに巻き込まれないように冷静にリーダーシップをとってほしいものです。

障害者ファッションでパリコレへ 福祉業界からのチャレンジ

障害者ファッションでパリコレへ 福祉業界からのチャレンジ

2022年05月30日(月曜日) 18:43 サンテレビNEWS

おしゃれのチカラで障害者と福祉業界のイメージを変えようと奮闘する男性が尼崎市にいます。
アパレル業界からではなく福祉業界から挑む、規格外の挑戦とは?

小浜英博アナウンサー「土曜日です。人手が多い梅田にやってきました。こちらである方が、記者会見を行うそうなんです。ある大きな夢に挑戦するというこちらの方。スカート姿という個性的なファッション。ラメが入ったキラキラの眉。一体何者なのでしょうか?」

平林景さん「これは必ず時代を動かす時代の扉を開くひとつのきっかけになる」

尼崎市の平林景さん。44才。尼崎市内で、発達障害の子などが通う放課後等デイサービスを4つ運営しています。

平林さん「自分の身近な人に発達障害を持った方がいらっしゃったので、そういう方たちが通えるように。長所を強烈に伸ばせるような」

元々美容師で、おしゃれが大好きだった平林さん。

人生をかけて取り組んでいるのが…。

平林さん「福祉におしゃれをかけあわせて世の中の障害や福祉業界に対するイメージを明るく華やかにする」

2019年、同じ志を持つ仲間と日本障がい者ファッション協会を設立。年齢・性別、障害の有無に関係なく、おしゃれを楽しめるブランド「ボトモール」を立ち上げました。

こちらの巻きスカートはマジックテープやゴムを使用。車いすでも脱ぎ着きしやすくなっています。

廃生地を利用したこちらのジャケットは、車いすに座ってもしわにならない、丈が短いものや、袖にチャックがついたもの。

開発した商品は、東京や大阪などの百貨店で期間限定販売を行った他、一部の商品は、障害者が働く施設で縫製を行い、働き甲斐や雇用を生み出しています。

平林さん「車いすユーザーだけではなくて、かなり性別も年齢もだいぶ幅広い形でご購入して頂いた」「(就労施設での取り組みは)1つの地域から日本全国にそういったものが広がってきたら世の中変わっていくと思う」

さらに、障害者などが働くレストランの制服や、兵庫教育大とコラボしたジェンダーレスの制服を制作。

また、SNSでは自らのファッションや思いを発信。では実際はどんな人なのでしょうか?

谷口藍さん「彼自身も公表しているがADHDの診断をうけていまして、衝動性が強い。やると決めたらやる。しかもすぐに。ただ、その分ワーキングメモリーっていって記憶できる容量が少ない。本人も自覚しているが。色々すぐ忘れてしまう。それを周りが色々サポートしたり、本人も努力しながらやっている」

平林さん「あくまで発達障害っていう部分は、その人の凸(長所)凹(短所)の部分が激しいだけの部分なので、得手もあれば不得手もある。得手を強みに変えていけば」

福祉の専門家として、発達障害の当事者として、仲間たちと発表した夢は…。

平林さん「誰もが心躍るファッションをパリから発信する」

その夢とは、車いすファッションでパリコレに出展するというもの。

パリコレには、有名ブランドだけでなく、新人デザイナーなどが行うショーもあり、費用や場所を用意できれば、誰でも出展が可能です。

しかし、見る目が厳しいファッションの本場で、多額の費用をかけてまでショーを行うことは、大きな挑戦となります。

平林さん「ショーのテーマはif(もしも)車いすが当たり前の世の中だったら、どんなファッションが生まれていたのか、流行っていたのか、その世界を表現したいを思っている」

ショーのコンセプトは、「ネクストUD(ユニバーサルデザイン)」「着やすく、おしゃれで、かっこいい」から新たな価値と流行を生み出すとして、9月27日、フランスのパリ日本文化会館で実施。

モデルは、障害の有無を問わず10人ほどになる見込みで、現地と日本で募集。

詳細は、6月1日にHPで発表です。

平林さん「僕はこれをやることによっていまの世の中の当たり前だったり、偏見だったり、この時代を子どもたちに引き継ぎたくない。このタイミングで1回けりをつけないといけない時期」

おしゃれが変える福祉の未来。アパレルではなく福祉の世界からパリコレへと挑みます。

平林さん「楽しさだったりワクワクだったり、明るいものが世の中を変えていく原動力になると思う」

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久しぶりの「みんなちがってみんないい」のコーナーです。こちらも不定期になると思いますが,よろしくお願いします。

さて,今までにも一度「ボトモール」について取り上げたことがありました。(「福祉×オシャレで世の中を変える」 身体障害者の声から生まれたブランド「ボトモール」: 02/03  )

この記事の中では「ネクストUD(ユニバーサルデザイン)」という言葉がありました。「もし車いすが当たり前の世の中だったらどんなファッションだったのか」「着やすく、おしゃれで、かっこいい」と話しています。

近年では男性がウィメンズのアイテムを着用する,女性がメンズのアイテムを着用する,ということが当たり前になってきました。ユニクロ,GU,無印良品等ではそのために女性用のボトムスもある程度男性が着用できる,またはその逆の想定で商品を作っていることもあります。初めから「男女兼用」といった商品もあります。筆者が服を調べていて「おっ、これいいな」と思ったものが男女兼用の商品,ということも少なくありません。このようにファッション業界では「ジェンダーレス」がどんどん広まっています。

 それの次に「様々な人が着れる服」という「ネクストユニバーサルデザイン」の服がファストファッションの店頭に並ぶ時代が来ればな,と思います。身体障害者の方以外にも触覚過敏の人でも着れるような素材で出来た服なども出てくるかもしれません。

読み書き障害


「読み書き障害=全く読み書きができない」ではなく、「読み書きを正確かつ流ちょうに行うことができない」状態のことです。知的な障害とは異なるため、文章の意味を理解できないわけではありません。

 「文字を見て認識することは難しいが、音を聞いて意味を理解することはできる」、「文字を拡大したり、行間を広げたりといった調整で意味の理解が助けられる」という児童生徒も少なくありません。


そうした読み書き困難を見つけ出すためには、学校でよく行われる発達検査では、読み書きの能力を測ることができません。 そこで、適切な読み書きのアセスメントを行う必要があります。 アセスメントは、子どもたちに音声教材支援を実施する根拠にもなります。

読み書きの困難
• 読むことが遅いと?
– 理解が不十分なままに教科書の学習が進んでいく可能性が生じます。 
– テストの問題文を読むことに時間がかかり、理解できていても解答できていない可能性もあります。

• 書くことが遅いと?
– 黒板をノートに全部写す前に消されてしまったり、書くことに極端な苦痛を感じていることもあります 。
– 試験の途中で時間切れになってしまうことも考えられます。

• その結果として?
– 理解できており、書きたいことはあるけど表現ができない、評価されない状態かもしれません。
– 学習が遅れたり、意欲をなくしてしまっている可能性もあります。

• 読み書きの速度や正確性を確認する
– 学年ごとの平均値と比べることで、個々の児童生徒の読み書き困難の状態を客観的に把握することが必要です。
– 極端に読み書きの困難がある場合、「自分の目で文章を読む」、「鉛筆を使って文字を書く」以外の 別の方法を使うこともあります。

すてっぷ では読み書き検査と発達検査を実施することができます。ご希望の方はスタッフまでお問い合わせください。

★STRAW-R(ストロウ-改訂版)小学生の読み書きスクリーニング検査
小学1年生から高校3年生までの(本事業所は小6まで)音読速度を調べることのできる速読課題や、漢字の音読年齢が算出できる漢字音読課題を検査します。本邦で唯一ひらがな、カタカナ、漢字の3種類の表記について比較できる検査であり、どの表記から練習したらよいのかの指標が得られます。さらに速読課題は文章課題を含んでおり、入試で試験時間の延長を希望する際の客観的な資料にもなっています。(1時間程度の検査)

★K-ABC II
認知尺度と習得尺度の2つの尺度からなる検査。認知面での障害や得意な部分の状況と、学力の習得の状況の両方の側面を、同時に調べて比較することができます。小学生から高校生程度までを対象にすることができます。(1時間程度×2回の検査)

東京と大阪は感染状況が違います

【速報】東京で新たに40人の感染確認 「不要不急の外出自粛を」

2020年3月27日 金曜 午後4:36【Fuji News Network】

3日連続、40人以上の感染が確認された。

新型コロナウイルスの感染拡大が続く東京都で、27日に新たに40人の感染が確認されたという。

小池都知事「たった今の暫定の数字ですが、感染者40名。学校活動のさまざまな場面における具体的対応や、万が一、感染者が発生した場合の対応などを加えて、都としての指針を定めて、昨日は都立学校などへ通知した」

小池都知事は、27日午後4時から会見を開き、東京都で新たに40人、新型コロナウイルスの感染が確認されたことを明らかにした。

東京都では、25日に41人、26日に47人、そして27日が40人と、3日続けて40人以上の感染者が確認されている。

小池知事は、現状について「感染爆発の重大局面」として、今週末の不要不急の外出を自粛するよう、強く呼びかけている。

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これは東京のお話で、関西は先週末の3連休で移動を自粛した結果新規感染者は増えていません。東京や埼玉では本来往来を自粛すべきところを、わきが甘くなって何も対策を取りませんでした。その結果が、東京での感染の爆発的増加です。なんでも、大事なところで対策を打たないと後からフォローするのは大変です。

「お母さん」「お父さん」という表現を避ける

「お母さん」「お父さん」という表現を避けるよう、ニューヨークの学校がガイドラインを発行。インクルーシブ教育のあるべき姿とは

3/23(火) 18:01配信【FINDERS】

多様な人々が尊重される共生社会の実現は、世界的な課題だ。近年、この問題の解決を目指す「インクルーシブ教育」の注目度が高まっており、各地で取り組みが始まっている。

そんな中、ニューヨークの学校が始めたインクルーシブな取り組みを紹介したい。

「mom」、「dad」を「grown-ups」、「folks」に
これはは昨年9月、インクルーシブな学校を目指すべく、教職員向けガイドラインを発行。その中で、「mom(お母さん)」、「dad(お父さん)」、「parents(両親)」といった表現の言い換えを推奨していると、『City Journal』が今月初めに報じた。

このガイドラインの家族に関する表現の言い換えをまとめた章では、「家族はさまざまな形で形成され、構成されています。同校では、この多様性を反映したインクルーシブな言葉を使います。子どもが誰と一緒に暮らしているか、誰が子どもの世話をしているか、毎晩同じ場所で寝ているかどうか、両親に会っているかなど、決めつけないことが大切です」と記載がある。そして「mom」、「dad」、「parents」を「grown-ups(大人たち)」、「folks(両親)」、「family(家族)」、「guardians(保護者)」と言い換えるよう薦めている。片親や同性婚の両親のもとで育てられている子どもに対する配慮なのだろう。

また、ガイドラインには性別、性的指向、人種、民族に関する言葉遣いや言い換えについてもまとめられている。例えば、「boys(男の子)」、「girls(女の子)」を「people(人々)」や「friends(友達)」と言い換えたり、「What are you?(あなたは何者ですか)」、「Where are you from?(どこから来ましたか)」と聞くのではなく、「What is your cultural/ethnic background?(あなたの文化的/民族的背景は何ですか)」、「Where are your ancestors/is your family from?(あなたの先祖/家族はどこから来ましたか)」と言い換えたりするよう促している。

誤った報道に、学校側が声明文を発表
グレース・チャーチ・スクールが発行したこのガイドラインは、多くのメディアによって取り上げられ、注目を集めた。しかしその一方で、一部メディアが誤った報道をしていると同校の公式サイトで声明を発表した。

一部メディアは、このガイドラインが“教職員向け”ではなく“生徒向け”と報じたり、「mom」などの言葉の使用を“推奨”ではなく“禁止”していると伝えたりしていたという。これにより、間違った解釈が広まり、学校に批判の声も見受けられた。

同校は「人種差別に対抗し、可能な限り歓迎的で、敬意ある学習環境を提供するため、多くの構想の中の一つとして、昨年9月に教職員に対しガイドラインを提供しました。ガイドラインは、義務的なポリシー、カリキュラムの一環、学生に対する指導として発行されたものではありません。ガイドラインの意図と目的をもっと明確にするべきでした。(ガイドラインは)生徒との交流において、教職員が感性と包括性の文化を育むのに役立ち、専門的スキルの開発や継続教育のためのツールになると考えています」と述べている。

インクルーシブ教育は共生社会実現のための大きなカギとなるはずだ。しかし一方で、批判の声も上がるだろう。インクルーシブ教育の在るべき姿について、ぜひ考えてみてほしい。

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う~ん・・・としか声が出ません。これは、あくまでニューヨークの私立学校「グレース・チャーチ・スクール」という小さな私立学校の話であり、アメリカ全土の話ではありません。しかし、この記事を最初にピックアップした『City Journal』の狙いはなんとなく分かります。ポリティカルコレクトネス(性別・人種・民族・宗教などに基づく差別・偏見を防ぐ目的で、政治的・?社会的に公正・中立とされる言葉や表現を使用すること)を学校に持ち込む是非での炎上狙いではないかと勘繰りたくなります。

為政者は、その発言についての影響力を考えて時代に即した発言を心がけるべきでしょうが、それを社会全体で上から求めるのは間違っています。子どもにとっては、教員は教える人です。上からではなく論じ合うだけだと言いますが、そうしないと公平社会には到達しないのでしょうか。確かに様々な民族で構成された社会では、多数派の人が移民とは知らずに初対面者に「どこから来たの」は出身国を聞いているようにも受け止められ上から目線を感じるのかもしれません。「前はどこで暮らしていたの」と聞けば少し和らぐという意味でしょう。単一民族の日本人にはわからない機微はあると思います。

しかし、米国には様々な家庭があると言え「僕のお母さん」を「僕を生んだ方の大人」とでもいうのでしょうか。継母や両親ともに男性なら「僕の大人」だけでしょうか。「君どこから来たの」ではなく「君の民族的背景を教えて」と書いていますが、子どもがそんな風に話す方が気色悪いです。

家族やその背景についてや個人の特性については、違って当たり前でそれぞれの人がその出自や特性は変えようがないし、むしろ誇りを持つことは正義だという教育こそ大事だと思います。かの私立学校のガイドラインは、実母を母と呼ぶ感情よりも周囲を気遣う感情を持てというのは行き過ぎています。「みんなちがってみんないい」のインクルーシブ教育とは何の関係もないと怒り出す人がいても当然です。ブラックマターの影響かどうかは知りませんが、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」と、今流行りの渋沢栄一ではないけれど紀元前からの人知である『論語』をお勧めしたくなります。

eスポーツで障害の固定観念を打ち破れ

eスポーツで障害の固定観念を打ち破れ

【9月11日 AFP】

岩手県に住む畠山駿也(Shunya Hatakeyama)さん(28)は、対戦型格闘ゲーム「ストリートファイター(Street Fighter)」のプレーヤーだ。キャラクターを自在に操り、複雑なコマンドを打ち込み必殺技を繰り出す。彼のために設計された特別なコントローラーを駆使して。

 体から筋肉が少しずつ奪われていく難病、筋ジストロフィーを患う畠山さんは、両手でコントローラーを握るかわりに顎でアナログスティックを動かす。eスポーツに身体的障害の有無は関係ないことを証明しているプレーヤーの一人だ。

 全盲の北村直也(Naoya Kitamura)さん(28)は、音を頼りに格闘ゲーム「鉄拳7(Tekken 7)」の闘いに挑んでいる。活況なeスポーツ界で才能を発揮することが、障害者に対する社会の偏見をなくす一助になればと願う。

 北村さんはAFPの取材中に「鉄拳7」のキャラクター、ラッキー・クロエ(Lucky Chloe)の目まぐるしい攻撃を実演して見せた。「どういう技が飛んできたかすべて音で聞いて判断して動いています」

 世界中で人気を博すeスポーツ界は年間10億ドル(約1420億円)を超える収益を生み出している。五輪競技の正式種目になる可能性があるとの見方も出ている。

 障害のあるプレーヤーが活躍する場を増やそうと、加藤大貴(Daiki Kato)さん(41)は2016年、eスポーツを通じた障害者支援事業を行う「ePara(イーパラ)」を設立した。

 同社は畠山さんや北村さんらプレーヤーを雇用し、ウェブサイト運営やゲームイベントの企画といった業務を任せる一方、ゲームのためのトレーニング時間を設けている。

 畠山さんは「ストリートファイターV」で、誰もがエントリー可能なオープン形式の大会に参加することが多い。格闘ゲームの魅力は「ハンディキャップやいろいろなハードルを越えて、いろんな相手と対戦できる」ことだと言う。

 大会に出る時に「障害があるかどうか」は関係がないと畠山さんは話す。「自分のプレーで人を感動させられるようにできればいい」

■特別仕様のコントローラー

 進行性筋ジストロフィー患者の畠山さんは、6歳のころから車いすで生活している。

 格闘ゲームはずっと好きだったが年を追うごとに筋力が低下し、ついにはコントローラーを握れなくなってしまった。

 打ちのめされた畠山さんは、一度は格闘ゲームを諦めた。6年がたった頃、顎で操作できる特別仕様のコントローラーを友人とともに設計した。昨年のことだ。動かせる指先でコンピューターのキーボードも使いながらゲームを始めると、すぐに感覚がよみがえったという。

 今では障害のある他のプレーヤーのコーチも務め、複雑なコンボや個々のキャラクター対策を教えている。

「もし格闘ゲームをやっていなかったら、困難にぶつかったときに解決策を探そうとしなかったと思う」と畠山さんは振り返る。

 普段は呼吸補助器を装着し、電動車いすで生活をしている畠山さん。「ゲームの中だけは本当に自由に動くことができて、格闘ゲームでキャラを操作するために不自由さを感じることはほぼない」と話す。

 eParaの加藤さんは、障害のあるゲーマー向け市場の拡大を確信している。「聴覚障害の人でも全盲の人でも遊べるように、プレーヤーが増えれば企業が対応するようになっていく」

■「一緒のルール、一緒の大会」

 加藤さんは、eスポーツを通じて障害のある人たちの才能を知ってもらいたいと思っている。日本では「障害者のことを知る機会が少ない」と感じている。

 小眼球症のために生まれつき目が見えない北村さんは、障害者は「助けなければいけない」存在だという考え方を変えるためにeスポーツが役立つと言う。

「パソコンを使うのはめっちゃ得意ですよ」と北村さん。「目が見える人よりできるところもある」

「支援されるだけじゃなく(中略)場合によっては協力できることもある。お互いに協力し合えるんだよ」

 五輪の正式な種目として導入されることが期待されるeスポーツ。しかし、オリンピックとパラリンピックとを分ける必要性について、加藤さんは首をかしげる。

「車いすであろうとなかろうと、一緒のルール、一緒の大会でプレーできる」

 そこがeスポーツの面白いところだと、力を込めた。

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近年eスポーツへの注目が日に日に増しています。

福祉業界でも「e-Sports」は大変注目されています。年齢性別を問わず参加でき,少しの操作でプレイできること。またリハビリや社会参加への観点からも医療や福祉業界にも浸透し始めているのです。ゲームを通じて社会に参加,コンピュータースキルの取得や向上というメリットも大きいといえます。

筋ジストロフィー患者でもあるパク・スンヒョン選手(韓国)に代表されるように,障害を持ったe-Sportsのプロ選手が、世界各国から続々と誕生しています。eSportsは、医療・福祉業界においても、ますます盛り上がりを見せているのです。 

発達障害の特性とeSportsは相性が良いと言われています。普段チームで物事に取り組んでいる時に周りを気にせず自分のしたいことをしてしまったり,寝てしまったりすることがある方でもゲーム,eSportsの分野になれば自分の得意を活かして大活躍することがあります。

 以下一部ディーキャリアより抜粋

〇「好きなこと」に対する集中力
発達障害の特性のひとつとして、興味を引かれたこと、好きなことへの集中力が
非常に高い傾向があります。集中力を発揮するまでの過程は特性によって
個人差があり異なりますが、ゲームスキルの向上やクリア目標達成に対して、
高い集中力を発揮するのです。

〇他者との難解なコミュニケーションが少ない
e-Sportsの選手は、競技以外の時でも「ゲーム」が仕事。スキルアップなどに多くの

時間を費やします。スポーツのアスリートでいうところの「トレーニング」です。
そのため、オフィスワークで必要な難解で複雑なコミュニケーションを
あまり必要としません。
このことは、発達障害の方にとって弱みが現れる場面が少なく、
とても良い環境といえるでしょう。

 〇勝敗、スコア、など結果や成果がはっきりしている
e-Sportsは、ほとんどのタイトル(種目)は、その場で勝敗やスコアなど
成果が明確になるものばかり。オフィスワークや営業といった業務のように、
自分の仕事に対しての不安感が少なく、また、成果が明確になるため、
すぐに飽きてしまう特性でも続けられるという利点があります。

〇スキルアップへのこだわり / 地道な作業への集中(ASD特性)
ASDの特性のひとつとして挙げられるのが、「特定の事柄に対して非常に強いこだわり」を
持つことです。e-Sportsにおいても、技術向上や戦略・攻略のために、探求力や努力が必要であり、
ASD特性の強みが遺憾なく発揮されます。

また、バトルサバイバルゲームのような、展開によっては我慢強さを
求められる場面の多いタイトルや、パズルゲームのような緻密さを
求められるタイトルに対しても、ASDの特性は非常に高い集中力を発揮するので、
とても相性が良いといえるのです。

〇クエストやバトルを優位に進める独特な発想 (ADHD・SLD特性)
ADHDの特性では、クリエイティブな感性が強く、誰も考えつかない発想を生み出しやすいと言われています。この特性はe-Sportsでも大いに活かすことができ、相手の予測を上回る戦略で相手の隙を突いたり、想像を超えたスキルフルなプレイで戦いを有利に進めたりと、
能力を発揮する可能性が高いのです。

(一部「ディーキャリア」より抜粋、引用)

もちろん中毒性や依存等,注意することも多々あります。しかし障害のある方も他の人と同じステージに立って活躍できる場があることはこれからのインクルーシブ社会で大事なことだと考えています。まだまだ日本は海外に比べるとeSportsは広まっていないですが,良い方向で広がっていくことを期待しています。

ゴールボール(パラ&ユニバーサルスポーツ)

ゴールボール競技は、第二次世界大戦で視覚に傷害を受けた傷痍軍人のリハビリテーションの効果を促進するために考案されたリハビリテーションプログラムの一つでしたが、1946年にオーストリアのハインツ・ローレンツェン、ドイツのセット・ラインドルの両氏によって競技として紹介されたのが始まりとされています。

パラリンピック大会には、1972年にハイデルベルグ大会(当時西ドイツ)で公開競技、1976年にトロント大会(カナダ)で正式種目となり、1978年にオーストリアでワールドチャンピオンシップが開かれ世界的に広まっていったとされています。その後、2002年アジア・太平洋地域の障害者スポーツ総合大会であるフェスピックブサン大会において実施競技として行われ、フェスピック(極東南太平洋身体障害者スポーツ大会)は、現在アジアパラ競技大会となり引き継がれています。

現在、IPC(国際パラリンピック委員会)の加盟団体であるIBSA(国際視覚障害者スポーツ協会)の公認競技となり、またパラリンピック大会夏季大会20競技の一つで、視覚障害者の正式種目(球技)として行われています。 

我が国でゴールボール競技が初めて紹介されたのは、1982(昭和57)年にデンマークのスポーツコンサルタントのクラウス・ボス氏が来日し、東京都立文京盲学校を会場として競技の紹介が行われましたが全国的な普及には至りませんでした。

1992(平成4)年、財団法人日本身体障害者スポーツ協会によりゴールボール競技の本格的な競技規則の翻訳が行われ、ゴールボール競技の全国的な紹介がなされました。これを機に、東京都多摩障害者スポーツセンターや京都市障害者スポーツセンター等でゴールボール教室が開催され、競技の紹介と競技者の育成等に取り組むようになりました。
 
1994年
フェスピック北京大会で日本は初めてこの競技に参加(結果4位)
同年5月に日本ゴールボール協会が発足
1995年
8月イギリスで開催されたアトランタ1996パラリンピック大会のゴールボール競技予選大会に選手団を派遣
2004年
アテネ2004パラリンピック大会、女子チームが初出場、銅メダルを獲得
2008年
北京2008パラリンピック大会、女子チームが連続出場、最終結果7位
2012年
ロンドン2012パラリンピック大会、女子チームが3大会連続出場、金メダルを獲得
2016年
リオ2016パラリンピック大会、女子チームが4大会連続出場、最終結果5位

さらに同協会主催により日本ゴールボール選手権大会、審判員養成講習会等が毎年開催され全国的な競技の紹介や普及が行われています。
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この競技は、アイシェード(目隠し)を着用した1チーム3名のプレーヤー同士が、コート内で鈴入りボール(1.25kg)を転がすように投球し合って味方のゴールを防御しながら相手ゴールにボールを入れることにより得点し、一定時間内の得点の多少により勝敗を決するものです。

吹田市いじめ調査を研究所と協同

大阪府吹田市がいじめの大規模調査を実施。子どもの発達科学研究所と協同
[公益社団法人子どもの発達科学研究所]

2021/03/24-19:46【時事通信】

市全体で取り組む初のいじめ実態調査。講演で発表
大阪府・吹田市の要請を受け、公益社団法人子どもの発達科学研究所(大阪市北区梅田 代表理事:片山泰一)は、吹田市全体の小・中学校でいじめ調査を実施しました。市全体の小・中学校を対象にした大規模ないじめ調査は、日本では特筆すべきものになります。
なお、2021年3月23日にメイシアター(吹田市文化会館)にて「令和2年度いじめ予防推進事業講演会」が開催され、今回の調査結果をまとめた講演を、子どもの発達科学研究所の所長である和久田学が行いました。

吹田市では、令和2年度より「いじめのない学校づくり」を教育ビジョンに掲げ、「いじめ予防推進事業」を実施してきました。そのなかで、同市の教育委員会は、いじめの調査と予防を目的に、子どもの発達科学研究所が開発した「いじめ予防プログラム『TRIPLE-CHANGE』」(*1)を採用しました。

今回、子どもの発達科学研究所が発表した調査は、同研究所の特色でもある「科学的手法」をベースにしており、吹田市全体の小・中学校を対象とする大規模調査として注目されます。令和2年度に実施したTRIPLE-CHANGEプログラムでは、小・中学校の教師の方々に対し、90分の職員研修を10コマ開催しました。

リーダー研修の様子
また各学校にて、教師が生徒たちに向けてワークブックを使った「いじめ予防授業」を3時間ずつ行いました。
TRIPLE-CHANGEワークブック
調査に関しては、信頼性・妥当性を科学的に検証した調査項目を用いた「学校風土いじめ調査」(*2)を採用し、令和2年9月と令和3年2月に、吹田市全体の小・中学校の児童および生徒に対してアンケート形式で行い、データをまとめて分析をしています。このような大規模な現場調査は極めて珍しい事例として注目されています。
この調査結果については、2021年3月23日にメイシアター(吹田市文化会館)で開催した「令和2年度いじめ予防推進事業講演会」にて、子どもの発達科学研究所の所長・和久田学が発表を行いました。

■子どもの発達科学研究所およびプログラムへの問い合わせはこちら
公益社団法人 子どもの発達科学研究所
Tel/FAX:053-456-0575
E-mail:info@kodomolove.org
担当:安田・天野
■注釈(子どもの発達科学研究所の各プログラムについて)
*1:いじめ予防プログラム「TRIPLE-CHANGE」は、米国で科学的根拠があると証明されているプログラムの先行研究を活かし、子どもの発達科学研究所が日本の学校で実施可能なものとして開発した、いじめ予防プログラムです。今まで受講された皆様により、多くの学校現場で実践され、効果を上げています。このセミナーでは、たくさんの事例を通して、いじめ問題に関する「正しい知識/技法」を提供しています。また、受講後すぐに現場で取り組めるように、指導案や教材も準備しています。
URL:http://kodomolove.org/business/course/prevention

■子どもの発達科学研究所およびプログラムへの問い合わせはこちら
公益社団法人 子どもの発達科学研究所
Tel/FAX:053-456-0575
E-mail:info@kodomolove.org
担当:安田・天野
*2:学校風土いじめ調査は、学校で起こっている「いじめ」と、その学校や学級の「風土(雰囲気)」に着目した調査です。信頼性・妥当性を科学的に検証した調査項目で、「いじめ被害」と「学校風土」の実態把握を行います。子どもたち1人ひとりへの無記名のアンケート調査を行い、子どもたちの視点から「学校」や「学級」の風土(雰囲気)を数値(データ)で捉え、可視化します。それにより、教師の方々が漠然と感じていた学校や学級の「強み(長所)」や「弱み(短所)」をデータとして捉え、教師間で共有できるようになります。このようなエビデンスに基づき、課題解決に向けた具体的な学校経営や学級を行えます。
URL:http://stopijime.kodomolove.org/lp/

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いつまでも同じ調査を続けるだけでは時間の無駄です。調査から見出された傾向を把握し積極的にいじめを防止するプログラムの実施こそが必要です。我が国の公的サービスは調査と実践が乖離しています。今回の吹田市と研究所のプランは調査と実践がセットになっています。実践したことがどれだけの効果を上げたのか、効果が上がった理由と課題を調査して、さらにプログラムに磨きをかけていきます。言ってみれば当たり前のことですが、これが日本の教育や療育はできていません。

どんなに評価の高いプログラムでもやりっぱなしでは効果があったのかなかったのかわかりません。エビデンス(科学的根拠)のある教育・療育というのは個別にも全体にも7割以上の効果を上げるものを言います。もちろん、実施前のベースライン(事前調査)も事後のデータもどのように(客観性のあるもので)取ったかも重要です。このプランとプログラムが成果を上げ日本中に広がれば良いと思います。

 

『silent』で話題!音声認識アプリ開発は「難聴の友人に自分の声を文字で伝えるため」

現在、放送中の木曜劇場『silent』(フジテレビ)で使用されている音声認識アプリ「UDトーク」が話題となっています。

若年発症型両側性感音難聴を発症し耳が聞こえなくなった想(目黒蓮)と会話をする際、紬(川口春奈)や湊斗(鈴鹿央士)が使用するアプリで、自分が話したことがスマホの画面に文字となって表示されるというもの。

第2話で、紬と想がカフェで会話をするシーンで初お目見えし、第3話、第4話でも登場。筆談やLINEでやりとりするよりスムーズに意思疎通ができるアプリへの反響は大きく、放送後、すぐさま「UDトーク」の公式Twitterも反応しました。

アプリは、開発者の青木秀仁氏が難聴の友人ができたことがきっかけで、「自分の声を文字で伝えるため」に作ったもので、今でも「本当にあんな(ドラマのような)感じで使っていますよ」とコメントしています。

使用上のポイントは「話し手が使うこと」。第2話で、紬が自分のスマホにダウンロードしたアプリを起動し自ら使う流れが「よかった」とも綴っています。

『silent』で取り上げられたことについて、「ドラマで取り上げられることで耳が聞こえない人に話を伝える手段として『手話』『筆談』に加えて『音声認識』が選択肢として加わった気がします。ベストではなくベター。どれか一つに決めるのではなく、自分が伝えたい相手に伝わる手段をそのつど自分で選んでいきたいですよね」(10月24日投稿Twitterより)と歓迎しました。

その後も第3話、第4話と「UDトーク」が効果的に使われ、さらに反響があったことで、10月30日には、「開発者が解説する!話題のドラマ『silent』UDトークのシーン別使い方解説」という動画を公開。

青木氏が劇中での使用について、シーンごとに丁寧に解説しています。

“話し手が相手に伝えたいことを伝えるため”のアプリ
動画の終盤では、青木氏が「耳が聞こえない人とのコミュニケーション・ツールは手話だけではない」と、その多様さについても解説。

耳が聞こえない人がみな手話ができると思うのは間違いで、手話ができず、(話し手の)口型を読んで理解する人、多少の聴力があり補聴器で音を頼りにしながら、口型を読み、さらに手話も取り入れるといった人もいるように、手段はさまざまなのだといいます。

さらに、障がいには「医学モデル」と「社会モデル」があるとも。

「医学モデル」は、実際に障がいのある目や耳といったところが原因で課題が浮上する、という考え方。一方の「社会モデル」は、「暮らす社会のほうに障がいがある」という考え方だと説明。

特に、聴覚障がいについては、「あらゆる動画に字幕があったり、話し手が伝えるために何か工夫をするとか、そういうことをいろいろやっていけば、聴覚障がいの課題はほとんど解決するんじゃないか、と僕は思っています」と主張。

「UDトーク」に関しても、「障がい者の方の役に立つ」「自立支援のためのアプリ」などと紹介されることには否定的で、「障がい者の人が頑張ることでもないんです」と強調します。

「『UDトーク』は、“話し手が相手に伝えたいことを伝えるため”のアプリ。まず、これを忘れないでいてほしいのと、その立場に立って使うと、めちゃめちゃ使いやすいと思います」と改めて「話し手が使う」ことが前提だと説いています。

今後も劇中での登場が予想される「UDトーク」。どんな会話が展開されるのか楽しみです。

「UDトーク」公式サイト:https://udtalk.jp/

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今期最も注目されているドラマ「silent」です。筆者は川口春奈目当てでドラマを見始めました。

このドラマの主要人物である想(目黒蓮)は後天的に聴覚障害者になり,主に手話を使ってコミュニケーションを取っています。ただ高校時代の友人たちは手話が使えないのでコミュニケーションが取れません。そこで音声認識アプリを使ってコミュニケーションを取ります。

劇中で使用していたアプリは実際にあるもので「UD(ユニバーサルデザイン)トーク」というアプリです。

前回のブログ(T先生とY先生のお茶の間話~国語編~ : 10/31)でも書きましたが筆者とY先生の間で「ユニバーサルデザイン」という単語が研究テーマのようなものになっており,今回これを取り上げました。

こういったアプリが広まり,様々な人がコミュニケーションを取れる時代がになってきていることを実感しています。

筆者が教員時代,難聴の子どもが在籍している学校に勤めていた時,交流学習で私の教室に来て一緒に学習したことを覚えています。その時は「視覚支援!」の意識をして授業を組み立てていました。しかし子ども同士で話し合いをする時などの場面でどうすればよいかを考えていましたが結局何もできなかった苦い記憶があります。「UDトーク」のようなアプリを使えば,もっと子ども同士の学び合いを深められたのでは,と当時の自分に教えたいですね。

読み書き障害は二つある「視覚系」「音韻系」

発達性読み書き障害のお子さんには「知的には問題がない」ため、知能検査を行い、知的発達に問題がないことを確認することが前提ということを以前書きました。

ただ、読み書き障害と簡単に言いますが、その原因メカニズムは大きく二つに分かれます。(両方あるときも稀にありますが…。)

それは、字は見えているけど読めない場合、音は聞こえているけど音のつながりが読めない場合の二つです。今回は前者の視覚系に課題のある場合について述べていきます。

「視覚情報処理に問題がある」子どもの場合、視覚認知機能や視覚性記憶を要する方法で読み書きの指導をすることは有効ではありません。例えば字を何度も書くトレーニングは効果が上がらないのです。やってもやっても覚えられないからです。

視覚的な入力での指導は困難ですが、知的には遅れがないのですから、聴覚的な入力で代償するとうまくいくことがあります。例えば、“動く”という漢字を覚えるとき、「重いものに力を入れると動く」と文字の形態を言語化して覚え、言いながら書くことで習得することが容易になります。

視覚系に躓きがあるお子さんはノートに何度も“動く”と書く通常の教育方法は、書くのが遅い上に、他のお子さんと比べると字が下手。その上、何度書いてもなかなか覚えることができません。字が汚いと怒られ、書くのが遅いと怒られ、覚えられないと怒られ、それでは文字を書くことがどんどん嫌いになってしまいます。

足に障害があり歩けない人に、何度も歩く訓練をすれば障害のない人と同じように歩けると言っているのと同じです。分からなかったとは言え全く科学的根拠がないトレーニングを私たち大人は特定の子どもたちに強いてきたかもしれないのです。

確かにトレーニングすることできれいな字が書けたり早く書けるようになる子どもはいます。しかし、考えてほしいのです。視覚系に躓きのない子が今の能力量の3割で文字を書いたり読んだりしているとしましょう。ところが視覚系に躓きのある子は8割の力を使って同じ作業をしているとすれば余力はあと2割しか残りません。学習の大事なことは得た情報から推測したり考えたりすることですが、書くことにエネルギーの大半を消費した子には、考えたり推測に充てるパワーが残っていないのです。

次は音韻系で躓く読み書き障害について書きます。